いきいき!エバーグリーンラブ: 10月 2016

2016年10月20日木曜日

たくさん動いていれば何を食べてもOK

秋です。
スポーツと食欲の季節ですね。

エバーグリーン研究室では、病気を避けて、いつまでも健康で過ごすための勉強を続けています。
これまで、運動と、適切な食事について様々なお勧めをしてきました。

今日は、健康でいるための大きなヒントとなる研究が報告されましたので、ご紹介しながら、もう一度、運動と食生活の関係について学びたいと思います。

ここで質問です。

下のイラストで、運動するタイミングはどちらが良いと思いますか?

運動, 運動不足, 栄養学, 栄養素, 血糖値, 健康的な食事, 消費社会, 食後高血糖, 糖尿病, 食後の運動で、2型糖尿病患者の食後高血糖を管理できる

Reynolds, A.N., Mann, J.I., Williams, S. et al. Advice to walk after meals is more effective for lowering postprandial glycaemia in type 2 diabetes mellitus than advice that does not specify timing: a randomised crossover study. Diabetologia (2016). doi:10.1007/s00125-016-4085-2

Short walks after meals may prove important tool in managing diabetes

【研究の参加者】
41人の2型糖尿病患者( 年齢60 ± 9.9歳、糖尿病の罹病の平均値10年)

【研究の方法】
41人を、
①特に時間を決めずに毎日30分のウォーキングをするグループ
②毎日3回の食後に10分ウォーキングをするグループ
に分けて、2週間運動をしてもらい、その後1か月運動を休み、その後、のウォーキング方法を入れ替えた。
アクセロメータ(加速度センサー)で身体の活動度と、持続血糖測定器で血糖値を5分ごとに継続して1週間以上測定して、運動を行う前後で比較した。

【研究の結果】
  • ②の毎日3回の食後に10分ウォーキングは、①の特に時間を決めずに毎日30分のウォーキングに比べて、食後の血糖値を12%減少(幾何平均 0.88, 95%信頼区間 0.78-0.99)した。
  • 食事中の炭水化物の割合が最も多く、座っている時間が最も長かった夕食後のウォーキングが血糖値を22%減少(幾何平均 0.78,  95%信頼区間 0.67-0.91)させ特に効果があった。

【研究から考えられること】
  • 特に炭水化物の割合の多い食事をとる場合、食後の運動の指導をすべきである。
  • 現在の糖尿病の運動指導では、食後30分から2時間にかけて運動を行うと効果的としているものの、実行が難しい場合は、患者のライフスタイルに合わせて、実施しやすい時間を選んで行う、という指導内容を訂正し、食後の運動を推奨すべきである。 

食休みは身体に良くない

いかがですか?

この研究は無作為化クロスオーバー介入研究ですので、①も②も同じメンバーが試験対象となっています。
ですから、参加者はそれほど多くはないものの、かなり信頼できる結果だと思われます。

エバーグリーン研究室では、以前から、炭水化物、特に糖質(遊離糖質、単純糖質)は、「早い栄養素」とか「エネルギー密度・エネルギー効率の高い栄養素」として、アスリート、代謝の活発な若者以外は、あまりたくさん摂るべきではないとお勧めしてきました。
運動不足の人は、なおさらです。
⇒早い、うまい、安いが身を滅ぼす
⇒吸収が速い栄養素は老化を進める?
⇒速い栄養にご注意
⇒主食の罠

この研究からもわかる通り、炭水化物、特に糖質は食後の血糖値を急速に上げます。

しかし、それは、活動的でなく、運動をせずに、体を安静にし過ぎている場合に問題となるのです。

運動をしたり、家事をして活動的になり、筋肉や赤血球や脳が、血中のグルコース(ブドウ糖=血糖)を消費してくれれば、血糖値は上がらずに済み、インスリンも余計に分泌されずに、太らずに済むわけです。

要するに、炭水化物は直ちに血糖となり、血糖をエネルギーとして使わないと体が脂肪としてため込もうとするため、ため込むすきを与えないように常に活動的でいて、エネルギーを使ってしまえばよい、ということです。
⇒糖をためる仕組み、脂肪を消費する仕組み

文明社会の利便性→運動不足→不健康

農業・畜産業・林業・漁業など一次産業が主な就労であった時代には、特に運動(スポーツ)を意識しなくても、普通に生活をしていれば、活動的になり、血糖値などを気にせずに、炭水化物を食べても問題になりませんでした。

それどころか、汗をかいて体を使う仕事をする人々には、即時にエネルギー源となる炭水化物はぴったりの栄養素だったのです。

日本でも、戦前は一次産業の就労人口が多く、自家用車などが普及する以前には、2型糖尿病は現在ほど多くはありませんでした。

ところが、約300年前に起こった産業革命以降、文明社会に住むヒトは、利便性と引き換えに、慢性的な運動不足に陥っています。
⇒文明が病気を作った!

都市への一極集中が加速し、移動には車や自転車、階段は使わず、最近では買い物さえ宅配で荷物も持ちません。
家事や買い物さえもロボット技術とITにより自動化が進んでいます。
仕事もデスクワークが多く、趣味でスポーツする方も減っているようです。
昼休みにバレーボールやキャッチボールをしている光景も珍しくなりました。
1日1回軽く汗をかく活動をしていますか?

糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化、がん、認知症などの生活習慣病の主原因は、実は食事内容よりも、運動不足です。
運動習慣あるヒトや毎日の運動量が多いヒトでは、食事内容をそれほど気にせず健康を維持できるということです。

消費社会に騙されない!

では、なぜ運動の重要性が認識しにくいのでしょう。

エバーグリーン研究室では、その原因は、資本主義が生み出した現在の消費社会のシステムにあると考えます。

消費社会では、企業活動に代表される、消費者の貨幣による消費が重要視され優先されるので、企業は利得のために消費者に消費を促します。

消費を促すためには、消費者の欲望、安易さと不安と恐怖を刺激するのが常道です。

「美味しいもの、美しい容姿や、健康を、労力を使わず、この商品を使えば得ることができる」などと盛んに製品を売り出し、宣伝広告しています。

また、「これは便利だ」「楽ができる」などとの誘い文句で、掃除・洗濯・片付けなどをしなくてもよい安楽商品もたくさんあります。
ルンバなどの自動掃除ロボットや、乾燥機能付き洗濯機、使い捨ての商品などがその典型ですね。

また一方で、
「これを食べていると健康に悪い」
「これを飲まないと健康に悪い」
「サプリを使わないと太る、醜くなる」
「化粧品を使わないと美容に悪い」
などとというキャッチコピーを使って、不安と恐怖を刺激して、安心のために製品を買わせようとする企業や宣伝は数え切れません。

医療保険なども同様です。
「病気になったらお金がかかる」と不安をあおって加入させようとしています。
いくら保障の厚い保険に入ろうとも、病気になったら、まず幸福にはなれません。

そして、マスメディアやインターネットにはびこる広告やマーケティングによって、
欲望、安易さと不安と恐怖を刺激され続け、これらの商品・製品を必要以上に消費するため、
ヒトは貨幣の虜になっています。

そのため、長時間の労働を強いられ、その内容も、会社員であればデスクワークや単純作業の比率が多く、体を使う就労は少なくなっています。
多忙と疲労のためにエレベーター・エスカレーターはもちろんご近所への移動も車やタクシー。
やっと迎えた週末には、疲れていて、趣味やスポーツどころか、ちょっとしたストレッチをする気力もない。

貨幣の獲得のために、仕事優先の思考になり、休日も取らず、ストレスが多くなり、不健康な食事や飲酒・喫煙などで憂さを晴らす、といった方も多いと思います。

消費社会と貨幣にとらわれ、時間を奪われ、安心することに脅迫されて、本質を見抜く思考ができなくなってはたいへんです。
生き物が本来守るべき、自分の健康な命を見失ってしまわないようにしたいものです。
健康を損なえば、自分だけではなく周りの人間も不幸になります。
病気になって喜ぶのは医療従事者と医療産業だけです。

保険に入っても病気予防はできない

医療・医学は未完成です。
現在の医療技術で、一度かかってしまった病気を完治させることはまだまだ困難です。

保険に入っても病気は予防できません。
保険をかけて、発病してからお金をかけて高級な医療を受けても、根治しないことが多いのです。
病気にならないことが大切です。

そして、あらゆる生活習慣病に共通して最も有効な予防法は、運動であることを忘れてはなりません。

人生は限られています。
誰にとっても時間は等しく過ぎていき、貨幣を出しても買い足せません。
なるべく多く健やかな時間を過ごすことが、貨幣には代えられない幸せではないでしょうか。

さあ、今日は17:00に退社して、自宅の最寄り駅から1つ前の駅で降りて、歩いて自宅に帰りましょう。
エレベーターもエスカレーターも使わないようにしましょう。
きっと新たな風景や発見を楽しめますよ。
帰ったら軽いストレッチをしましょう。
これだけでもかなりの運動量です。
そうすれば風呂上がりのビールも格別ですよ。

週末はきちっと仕事を休んで、趣味やスポーツに汗を流しましょう。
美味しい料理をたくさん楽しめますよ!!!

2016年10月16日日曜日

レシピ*豆腐で作るチーズもどき

八丁味噌 漬け 写真 レシピ余った味噌と安い木綿豆腐で作りました。
見た目はちょっとチーズでしょ?
さっぱりしていておいしいです。

この「大豆チーズもどき」には、チーズの欠点である過剰な脂肪分が含まれていません。
チーズに含まれる脂肪は乳脂肪ですので、飽和脂肪酸が多いため、あまりたくさんは摂りたくありませんね。
チーズの代わりに、ちょっとおつまみにするのにピッタリですよ。

味噌の種類を変えれば、味にバリエーションも。

【材料】
木綿豆腐 1丁
味噌(今回は八丁味噌で作りました) 70gくらい

【作り方】
1.一晩、冷蔵庫で木綿豆腐の水を切る。

2.キッチンペーパーで豆腐を包む。
 キッチンペーパーを豆腐の側面を覆えるサイズにカットすると使いやすいです。


3.キッチンペーパーの上から味噌を塗る。 
今回は八丁味噌です。




4.新聞紙で包む

5.冷蔵庫に入れ、水分が浸みてきたら新聞紙を取り換える。
初日は1日に2~3回。
あとは1~2回くらい。
はじめて新聞紙を取り換えるとき、味噌が新聞紙についてはがれてきますが、つけ直してください。
2回目以降は付いてこなくなります。
 


6.4日くらいして、水分があまり浸みだしてこなくなったら、キッチンペーパーごと味噌をはがす。















3日くらいで食べてください。

大豆は優秀なタンパク源

大豆は、タンパク質を多く含む優秀な食材です。
「植物性タンパク質が体にいい」と言われますが、動物のタンパク質と植物のタンパク質を比べたら、動物のタンパク質のほうがずっと優秀です。
どういうことか、もう少し詳しく説明しましょう。

タンパク質はアミノ酸でできている

タンパク質は、消化管で1つのアミノ酸か2~3個連なった形にまで分解されて吸収される
タンパク質とは、アミノ酸がたくさん連なったものが立体的に折りたたまったものです。
  1個のたんぱく質を作るアミノ酸の数は、数千個のものから数億個のものまであります。

しかも、私たちの体の中で使われるアミノ酸には20の種類がありますから、その組み合わせで、様々なタンパク質ができます。

私たちは、口から食べたタンパク質を アミノ酸に分解して、このアミノ酸をもう一度、まったく別の形のタンパク質に組み立てなおして、体の必要な場所に取り込んでいます。

コラーゲンを食べてコラーゲンが増える確率はわずか

例えば、お肌にいいと言われるコラーゲン。

コラーゲンはタンパク質ですが、コラーゲンを食べてもそのまま皮膚に取り込まれるのではありません。
タンパク質は大半が消化管でアミノ酸に分解されて吸収されます。
そして、ほとんどの場合、コラーゲンとは全く違うタンパク質の材料として使われます。
たまたま、コラーゲンが足りないときには、コラーゲンの材料として使われることもあります。
コラーゲンは、アミノ酸が幾つか連なった特殊な形(オリゴペプチド)で吸収される場合があり、それがコラーゲン生合成効果を持つという仮説もありますが、まだはっきりしていません。

タンパク質は生命活動そのもの

タンパク質はご存じのとおり、炭水化物(糖)、脂質と並んで、三大栄養素の1つとされています。
でも、我々動物にとって最も重要な栄養素は、炭水化物(糖)や脂質ではなくタンパク質(アミノ酸)です。

動物では、炭水化物(糖)、脂質は、体の部品の一部には使われますが、割合は多くありません。
炭水化物(糖)、脂質は、どちらかというとエネルギー源として利用しています。

タンパク質がなぜ重要かというと・・・
外から摂った栄養素を体の部品として取り込むには、消化(分解)酵素の働きが重要ですね。
この酵素はタンパク質でできています。

血中に取り込んだ栄養素を細胞に取り込むときには、膜輸送体というタンパク質が細胞膜の入り口として働きます。

運動や、血液循環、呼吸などを行う筋肉もミオシンとアクチンというタンパク質で構成されています。

神経細胞が興奮したり、鎮静したりする、つまり考えたり、感じたり、喜んだり悲しんだりするのにも、膜輸送体のタンパク質が働いています。

つまり、私たちのすべての生命活動は、タンパク質によって行われているのです。

私たちの遺伝子には、自分の設計図が書かれていると言いますが、DNAが決めているのはタンパク質を作るアミノ酸の並び順だけです。
DNAから作られた酵素などのタンパク質と外から取り入れる栄養素を使って、私たちの体は自分自身を組み立てていくのです。
それだけのことで個性が生まれるのですから、不思議ですね。

タンパク質を作るアミノ酸の種類

さて、ヒトの体は20種類のアミノ酸で構成されていると言いましたが、その中には体内で合成できないアミノ酸が9種類あります。
これを必須アミノ酸といいます。

【必須アミノ酸】

・トリプトファン 
・リシン 
・メチオニン 
・フェニルアラニン 
・トレオニン 
・バリン 
・ロイシン 
・イソロイシン 
・ヒスチジン

これらのアミノ酸は、外から摂らなければなりません。

動物性のタンパク質には、これらの必須アミノ酸を豊富に含んでいますで、効率よくタンパク質を摂れます。
それに対して植物はタンパク質を多く含むものが少なく、比較的多く含む米や小麦(ただしどちらも全粒での話)、芋類などでも、必須アミノ酸の種類が偏っているものが多いようです。

ごま大豆パン

大豆は必須アミノ酸をバランスよく含む植物

大豆は、植物にしては珍しく、必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。

大豆&ラズベリークリームチーズパン
動物性タンパク質には必須アミノ酸がバランスよく含まれているので、魚や肉類、卵などを食べていれば問題はありませんが、忙しいと、食事をパンだけで済ませたい時もありますね。

そんなとき大豆パンを食べれば、大豆パンそのものに必須アミノ酸が入っているので、これらをバランスよく摂ることができます。
ただし、大豆のタンパク質の消化吸収の効率は動物性蛋白ほど良くないので、少し多めに摂る必要があるかもしれません。

大豆&チョコパン