いきいき!エバーグリーンラブ: カメはなぜ長生きか?

2015年7月3日金曜日

カメはなぜ長生きか?

今日は、エバーグリーン研究室の研究員を紹介します。

彼女は人間ではありませんが、健康に生きることを私たちに教えてくれる生物の大先輩です。
私は、彼女のお世話役として、いつも彼女からいろんなことを教わっています。

ご紹介します。

ヨツユビリクガメの うらら 愛称うらちゃん。
甲長17cm、体重1.1Kgです。
たぶん女の子、約10歳です。


ヨツユビリクガメ ヨツユビリクガメ(Agrionemys horsfieldii)は、ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメ


素敵なお家でしょう?れい主任研究員の力作粘土建築です。

ヨツウビリクガメ(ロシアリクガメ)とは

ヨツユビリクガメ(Agrionemys horsfieldii)は、ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメともよばれます。
ロシアといいながらロシアに生息しているわけではなく、野生ではアフガニスタン、イラン、ウズベキスタン南部、カザフスタン、タジキスタン、中華人民共和国(新疆ウイグル自治区西部)、トルクメニスタン東部、パキスタンに生息するそうです。
食性は植物食です。

カメは人間の大先輩

カメの祖先は、約2億年前、ヒトなどの霊長目の祖先は約6500万年前に枝分かれしたと推定されています。
生物として人間より先輩ですね。

カメは長生き

カメと言えば長生きのイメージがありますね。
うらちゃんのヨツユビリクガメも、正確にはわかりませんが野生で寿命は20~60年、条件がよれば飼育例でも40年は生きるとされています。

もしかすると、私より、うらちゃんのほうが長生きするかも知れません。

うらちゃんの好きな食べ物

うらちゃんの好物は、タンポポの花、ゴーヤの花、パプリカなど黄色い色素を含んだ野菜や花です。
甲羅の色が黄色なので、ビタミンAになるカロテノイドなどの黄色い色素がうらちゃんにとって大事な栄養素のようです。

ほかに、キュウリや、トマト、レタス、モロヘイヤ、カボチャ、ニンジンなどが好きですね。

うらちゃんに倣う正しい食性

給仕として、うらちゃんの食事を毎回観察させていただいていますが、うらちゃんの食事を観察していると、人間やペットなど家畜化された生物の食生活がいかに歪んでいるかがわかります。

うらちゃんは、食に対する依存がありません。

ヨツユビリクガメ(Agrionemys horsfieldii)は、ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメ
足るを知るうらちゃん
決して食べ過ぎず、だいたい1日1回の食事はほぼ一定量しか食べません。

何日か絶食してもこのペースは変わりません。

また、目の前の食物に突然関心をなくす「ごちそうさま」のあとで、人間が沢山食べさせようとして、好きなものを鼻先に持って行っても、絶対にそれ以上食べません。

リクガメフードという、リクガメのための人工餌で、カメが食いつきのよいレシピになっているものもあって、うらちゃんも大好きです。
試しにごちそうさまの後に出してみましたが、これも食べません。

「足るを知る」うらちゃん

カメは「足るを知る」のです。
必要以上に食べれば、健康に悪いということをきちんと脳が認識しています。

脳の中には「快い」と感じる神経回路(これを報酬系といいます)があって、人間は「快い」と感じたことを何度でも繰り返しほしがりますが、カメは必要な分だけ手に入れれば、あとは興味がなくなるようです。
この報酬系と摂食ホルモンが、過剰な食事をとらないように、バランスよくコントロールされているのですね。

うらちゃんの報酬系の「足るを知る」働きは、強固で正確です。
欲望に限りがない・制御できない人間など家畜化された動物とは異なります。

この辺が、カメの長寿の理由の1つのような気がします。

「足ることのない」人間の報酬系

人間は欲望を駆り立てる報酬系を適度にコントロールするよりも、際限なく追求することで進化し・文明を築いてきました。
そこから生まれたイノベーション(発明)は、人間の知性や能力をさらに開発し、さらに脳を進化させたたのは事実です。

しかし、我々は、もともとコントロールされるべき報酬系=欲望を満たすことに血道をあげてきたおかげで、「依存」といういわば文明病を背負ったようです。

薬物、アルコール、タバコ、糖・脂質・塩分にまみれた美味と飽食、ギャンブル、セックス、ゲーム、SNS、収集癖、物欲、ファッション、新しいもの好き、これらを得るための貨幣…報酬系を満たす欲望とその依存には限りがありません。

経済活動が「足ることのない」報酬系をどんどん刺激

現代の文明社会は、これらの報酬系を満たす欲望を刺激することで経済が成り立っています。
現代は情報化社会と言われますが、「情報」は欲望への刺激と読み替えても良いと思います。


文明社会の発展は、「足るを知る」ことで健康で進化の歴史を生き抜いてきた生物の基盤から、どんどん離れています。
それとともに、不自然と不健康を手に入れているようなものです。
しかも、エネルギーと時間とお金を使って…。

ヨツユビリクガメ(Agrionemys horsfieldii)は、ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメ
依存性が高い、タバコ(ニコチン)依存やアルコール依存なら病気という認識があり、治療への道もありますが、毎日の食事で「足るを知る」が働かなくなってしまっているヒトは、いったいどうなるのでしょう。

「足るを知る」で得られる健康と、前頭葉が異常に発達する人間の進化はトレードオフの関係なのでしょうか?

ワイングラス片手の私のそんなつぶやきを、「足るを知る」うらちゃんは、横目(尻目?)で眺めているような気がします。

はい。
今日はこれでワインおしまいにします。
おしりでご指導ありがとう うらちゃん。


報酬系については、大切なのでまた書きますね。

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