いきいき!エバーグリーンラブ: 電子レンジ
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2014年7月28日月曜日

電子レンジは安全?



今日はいつもとちょっと気分を変えて、日々使っている電子レンジのお話をしましょう。
 ⇒電子レンジの原理(しくみ)についてはこちら

オーガニック系??の人たちのなかには電子レンジでの調理やマイクロ波の危険を言う人もいます。

電子レンジが危険だという論拠としては、以下のものがあげられているようです。

それぞれ調べで見ました。

さて、次の問はホント?うそ?


1.電子レンジのマイクロ波により食品中のタンパク質の化学構造と性質が変わる(変性する)のでよくない?

答え:うそ

これは、Hans Hertelというスイス人の食品化学者が提唱していましたが、どうやって実験したのか詳しいことが明確ではなく、本当かウソか検証できないものです。
さらに、科学論文として審査を受けて発表されてもいないものです。

根拠がないといってもよいでしょう。

また、焼いたり煮たり、蒸したりといった、電子レンジ以外の方法で加熱しても、タンパク質は約60℃以上の熱で「熱変性」します。
ですので、電子レンジでの加熱が特に悪いということはありません。
タンパク質が変性をしなければ、目玉焼きも、ウエルダンのステーキもできないのです。
タンパク質の変性を嫌うなら食品を加熱しないで生で食べるのがよいでしょう。


2.電子レンジのマイクロ波により食品中に発癌性の物質ができるので電子レンジで調理されたものは体に悪い?

答え:うそ


電子レンジの加熱では、水の温度は100℃までしか上がりません。
ですので通常の食品(油が極端に多いものは除く)は電子レンジをかけても焦げません。

食品の調理でできる可能性のある発癌性物質の代表はジメチルニトロソアミンです。
これは焦げるぐらいの高温で調理したときにできる物質です。
フライパンで焼いたり、オーブンで焼いたり、油で揚げるような高温での調理のほうがジメチルニトロソアミンができやすいです。
一方、通常の食品を電子レンジにかけた場合は、食品中の水が最高100℃になって、ほかの成分(タンパク質など)を温めるので、高温になりにくく、発癌物質もできにくいといえます。
水は100℃より高温にはなれないからです。

ガスで調理した魚のジメチルニトロソアミン量は、電子レンジで調理した場合より多いというデーターもあります。

ちなみに、揚げ物など油を多く含む食品をを電子レンジで加熱すると、油は、電子レンジのマイクロ波を受けて100℃以上の高温になり、油が酸化されやすくなります。
これはオーブンなどで揚げ物を再加熱しても同じです。

3.電子レンジからマイクロ波が漏れ、癌を誘発するのでよくない?

答え:どちらともいえない

マイクロ波は、テレビ、携帯電話、電子レンジと同じ波長帯の電(磁)波です。

これらのパワー(量子エネルギー)は低く、分子を揺らすことはできても、分子の構造を変えるような力はありません。
癌を引き起こす原因となるDNAを傷つける(DNAの分子構造を変化させる)ほどの力はないと考えられます。

ただし、同じ波長帯の電(磁)波を出す、携帯電話と脳腫瘍の関連を示した研究がいくつかあります。

今のところ、癌を誘発するという決定的な証拠もなければ、癌を誘発しないという決定的な証拠もないので、安全を取って、電子レンジでの調理中には電子レンジから1mから2m離れれば安心です。マイクロ波の物理的性質を考えれば、これくらいの距離を取れば実質的に影響はないと思われます。


4.食品中のビタミンなどの栄養素が壊れる?

答え:うそ

ビタミンCなどの水に溶けやすい水溶性ビタミンは、たとえば、電子レンジでの調理でもどんぶりの中に水を張って、その中にブロッコリーを入れるなど、大量の水を使って調理した場合は、水(ゆで汁)にビタミンが溶け出してしまいます。
このような調理法は、ガスの火を使ってブロッコリーをゆでるのと変わりません。

でも、ブロッコリーを濡らして容器に入れて加熱するといった通常の電子レンジ使用法では、ゆでるよりビタミンが保持されることが多いようです。
なぜならゆで汁にビタミンが出でいかないからです。
実際に煮た場合と電子レンジでの調理を比較して、ビタミンCとビタミンB1の残っている割合を調べたところ、電子レンジの調理のほうがこれらのビタミンが多く残っていたとのデータもあります。

また、ビタミンには、熱に強いもの(ビタミンA、Eなど)と、弱いもの(ビタミンC、B1など)がありますが、熱に弱いビタミンでも、加熱時間が短ければ問題ないといえます。



5.電子レンジで加熱すると食品に活性酸素などのフリーラジカルが出来るので身体にわるい?

答え:どちらともいえない



何も、電子レンジに限らず、加熱する調理では、食品の成分が熱エネルギーや、電磁気の波のエネルギーをうけて活性酸素やフリーラジカルを出します。

調理法に関係せず、加熱すれば必ず活性酸素やフリーラジカルが出るので、電子レンジだけを悪者にするのはどうかな?と思います。

活性酸素やフリーラジカルの害を避けたいのなら、食品を加熱せず、生で食べることです。

参考図書:肥後温子著 『新版 電子レンジ「こつ」の科学』 柴田書店 2005年

加熱せずに消化吸収できる食品は、生で食べることも一つの方法です。
でも、高温での調理はあまりお勧めできません。
実は、これは大切なポイントで、老化物質AGE高温での調理が関係します。

このことはまたあらためてお話ししますね。


2014年7月19日土曜日

電子レンジでお皿が熱くならない?

日本での電子レンジの普及率ってご存知ですか?
2004年の消費動向調査96.5%でしたので、現在ではほぼ100%といえるのではないでしょうか。
こんなに普及している電子レンジですが、webなどでは有害説も見かけますね。

普段、使うものですので、調べてみました。

まず、電子レンジの加熱の原理を知っておきましょう。
でんしれんじ げんり しくみ まいくろは
電子レンジの原理



電子レンジには、マグネトロンという装置があり、この装置から、マイクロ波という電(磁)波を、1秒間に約24億5千万回のサイクルで食品にあてて加熱します。

1秒間に約24億5千万回のサイクルの電磁波とは、大雑把に言えば、エネルギーの向かう方向が1秒間に12億2千5百万回ずつ入れ変わってやってくるということです。


図では模式的に赤い矢印と青い矢印で表しています。


ここでは、水(H2O)の分子にマイクロ波のエネルギーが伝わり、下方向に押されたり、上方向に押し上げられたりしている様子を模式図と動画にしています。
実際には水分子は振動(方向を細かに変えた回転)をしています。

イメージとしてはこの動画をものすごい早送りで再生する感じでしょうか。

このように食品中の水のような分子構造を持つ分子(双極分子)は、マイクロ波を受けて1秒間に約24億5千万回のサイクルで上下や左右などいろいろな方向に周期的に揺れることになり、この動きが熱となり、加熱するという仕組みです。

つまり食品中の水分と、水と似た分子構造の成分が加熱されて、その周りの成分も温められているということです。


電子レンジで食品を加熱すると、加熱むらが起きることがあります。

これは、食品中の水分に偏りがある場合に起こります。

ごはんなど水分が均一にある場合の調理や加熱は問題ないのですが、水分の少ない固形食品などで起きることがあります。
また、塩味などの味がついた食材や食品は周りから温められる傾向が強くなるので、内側が温められないこともあります。

また、電子レンジは内側(中)から温められると言われることがありますが、これは間違いです。
中から温めるのではなくマイクロ波を吸収しやすいところから温まります。
塩味がついた食品はまず外側の食塩水を含んだ部分にマイクロ波が集まってしまうのです。
電子レンジでの調理に向いているのは、野菜のような水分を均一に含んでいる食材や、塩味のついてない鶏肉の下ごしらえなどでしょう。

また、電子レンジのマイクロ波の波長は、衛星デジタル放送や無線LANと同じ波長帯で、紫外線やX線などのごく短い波長ではないので、分子が大きく強固な固体を通過することはできません。

陶器や耐熱ガラスが温められないのは、陶器の分子構造が大きくて強固なため、マイクロ波を当てても分子が振動しないためです。

コーヒーカップに飲み物を入れて、チン!しても、カップの取っ手は熱くならないのには、こういう理由があったのですね。
カップの本体は、加熱された飲み物に温められて熱くなるのです。

陶器自体がマイクロ波で温められることはありません。

参考図書:肥後温子著 『新版 電子レンジ「こつ」の科学』 柴田書店 2005年

⇒電子レンジの安全性についてはこちらを。