いきいき!エバーグリーンラブ: がん
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2018年2月17日土曜日

加工食品の摂り過ぎでがんになる⁈

今の先進諸国と呼ばれる地域の住人、特に働き盛りの年代の人々は、何より忙しすぎることが最大の問題だと思います。

忙しすぎることは、多くの場合、貨幣を得るために時間を割きすぎて、人生の様々なことに充分な時間がとれないということです。
例えば、営業の外回りに忙しいセールスマンや、残業して1日10時間以上PCの前で事務を行うOL、国際的に活躍するジェットセッターと呼ばれるようなビジネスマン、共働きで、職場と保育園を掛け持ちしながらなんとか子育てをこなすママ・パパなどの人々は、健康の基本である食事や運動にどれだけの労力と時間を費やせるというのでしょうか?

忙しいことが常習化され、そのようなライフスタイルが定着すると、心身の健康にかなり影響することが解明されてきています。

今日は、そんな中でもちょっとショッキングな、(超)加工食品の摂り過ぎでがんになるようだとの研究をご紹介して、時間の使い方=ライススタイルについて考えてみたいと思います。


超加工食品の消費とがん発症リスク

Thibault Fiole et.al. Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: resultsfrom NutriNet-Santé prospective cohort.

【研究の参加者と方法】

●参加者:18歳以上の健康なフランス人104,980人(平均年齢42.8歳、女性78.3%)

●参加者は、6か月ごとに、2週間(1週末を挟む)の食事内容を24時間オンライン食事アンケートに応答して、食品3,300種類について普段の摂取量を測定し、最低でも2日間の記録が必須とされ、これを完遂できた人々を解析の対象とした。

●上記の食品はNOVAという食品の加工の程度の分類に従って、
未加工:未加工ないしは最小限の加工の食品

調理食:素材を家庭で使用する調味料で調理した食品(油漬けや酢漬けなどの保存食品なども含む)

加工食品:缶詰、瓶詰、塩や砂糖を加えたナッツ、砂糖漬け食品、燻製肉、チーズ、パン屋で売っているパンなどで、抗酸化剤(ビタミンCやEなど)、防腐剤、食塩など、食品を長持ちさせるための添加物を含む食品。ビールやワインなどの①の未加工食品を発酵させて醸造したアルコール飲料はこのグループに属する

超加工食品
・抗酸化剤(ビタミンCやEなど)、防腐剤、食塩、安定化剤(ジャムのペクチンなど)、砂糖など5種類以上の添加物を加えている食品。
・カゼイン、乳糖、ホエイ(プロテイン)、グルテン、水素添加油脂、エステル交換油脂、 加水分解蛋白質、大豆プロテイン、マルトデキストリン、転化糖、高果糖コーンシロップ、色素、香料、炭酸飲料、砂糖以外の甘味料(人工甘味料も含む)などを含む加工食品。
・これらを代表する食品として、スナック菓子、アイスクリーム、キャンディー、大量生産されたパッケージ入りのパン、マーガリン、(パンなどににつける)スプレッド、ケーキ、ケーキミックス、シリアル(コーンフレークなど)、エナジードリンク、エネルギーバー、砂糖・果糖入り飲料、フルーツ飲料、ココア飲料、乳飲料(カフェオレ・イチゴオレなど)、インスタントソース(カレール・パスタソースなど)、ピザ、フィッシュやチキンナゲット、ハンバーガー、ホットドッグ、ハム・ソーセージ・ウインナーなどの加工肉、カップ麺、インスタント食品、インスタントスープ、インスタントデザートなど
・ウイスキー、ジン、焼酎などの蒸留酒はこのグループに属する

以上の4つのグループに分類し、参加者が食べているものを分析した。







●患者の申告と、それを裏付ける医療記録、国の疾病データベースを利用し、参加者のがん発症を平均5年以上追跡して確認した。
●年齢、性別、教育レベル、がんの家族歴、喫煙の有無、身体活動レベルなどのがんのリスク因子で調整を行った。

【研究の結果】
食事中の超加工食品の割合が10%増加すると、全がんのリスクが12%上昇した (2,228人の解析、ハザード比 1.12、95%信頼区間 1.06~1.18、 P<0.001で統計学的に有意)

食事中の超加工食品の割合が10%増加すると、乳がんのリスクが11%上昇した (739人の解析、ハザード比 1.11、95%信頼区間 1.02~1.22、P<0.02で統計学的に有意)

●前立腺がん、結腸直腸がんに関しては、統計学的に有意な関連はなかった。

●これらの結果は、食品中の栄養の質(脂質、ナトリウム、炭水化物摂取、西欧食)などの調整因子で補正後も統計学的に意味があるものだった。

●②の調理食の多い食事内容だった人のグループは、がんリスクの上昇は認められなかった。

食事中の、①の未加工の割合が10%増加すると、全がんのリスクは58%低下することが認められた。(102,752人の解析、ハザード比 0.42、95%信頼区間 0.19~0.91、 P<0.03で統計学的に有意)

食事中の、①の未加工の割合が10%増加すると、乳がんのリスクが約10%低下することが認められた。(2,228人の解析、ハザード比 0.91、95%信頼区間 0.87~0.95、 P<0.001で統計学的に有意)

●超加工食品の内訳は図の通りだった。




超加工食品はがん発症を招く

いかがですか?

ちょっとライフスタイルを考え直すきっかけのような研究ですね。

超加工食品の摂り過ぎはがんを招き、一方、自分で調理して、素材を生かした食事をすればがんになりにくいということです。

この研究では、仮説として次のことが原因で超加工食品ががんを増やすのではないかと指摘されています。

●超加工食品には、栄養成分以外に合成化合物が含まれ、加熱処理によりメイラード反応が起こりその結果、アクリルアミド、ヘテロサイクリックアミン(HCA)、 多環芳香族炭化水素(PAH)などの発がん性物質が生成される。

●超加工食品には、ビスフェノールAなどの発がん性がありホルモンに類似した内分泌攪乱物質も含まれることがある。

●規制当局に添加物として認可されてはいるものの、摂取した場合に健康上で議論のある、加工肉に含まれる次亜硝酸ナトリウムや、酸化チタン(白色剤)などは動物モデル、細胞モデルで発がん性が示されている。

加工食品があまり体に良くないことは分かっていても、サラリーマンなど勤めがあると、忙しいので、つい加工食品やファストフード、ファミレスなどの外食、コンビニ中食、お弁当などで済ませてしまうことが多いと思います。

産業革命以降の文化的な生活は、ライフラインなどのエネルギーや、衛生などヒトの生存に有利な技術をたくさん生んできました。

しかし一方で、資本主義・貨幣経済に代表される社会システムは、ヒトが貨幣や物品、安心という見えない「価値」に脅迫されるようにして、「人生」という貨幣や保険では代替できない「ヒトに許された時間=寿命」を消費させるようにしています。
そのような「価値」も、人生の時間が短ければ=早死にしてしまえば、意味のないものです。
本当の「価値」とは健やかで楽しい生命力にあふれた時間を多く持つことではないでしょうか?

私も勤め人だった期間が長かったですが、ファストフードやコンビニ食などを美味しいと思って利用したことはありません。
ファストフードやコンビニ食はあくまで時間を節約するために利用していたと思うのです。

現在の社会を生きぬいてゆく上で、健康には良くないと分かっていても、忙しさを理由にそれらのものを利用せざるを得ない状況が多すぎると思います。
⇒米国マクドナルド が抗生物質与えた鶏肉の使用をやめる

せめて、生命の本質の1つである、「食べること」にもっと時間をかけて、丁寧に、美味しくいただこうではありませんか。

忙しく時間を節約するライフスタイルが、かえって寿命を短くする食事内容につながるのはこれではっきりしたようです。

さあ、せめて今晩は、定時に帰って、自分で好きな料理を作って、ゆっくりと美味しく味わいましょう。

エネルギー効率のよすぎる食事は考えもの

最後に、円グラフの超加工食品の内訳をご注目ください。
超加工食品は主に糖質で、飲料などの割合が多いことがわかります。

超加工食品の占める割合が多い食事では、インスリンが多く追加分泌され、血糖値も高止まりしやすいでしょう。
そこに、上記の発がん性物質や内分泌攪乱物質が発がんの引き金になって、がんとなるのでしょう。

言うまでもなく、血糖値の高い糖尿病やその予備軍でのがんの罹患率は高いことが分かっています。
⇒糖尿病予備軍は癌リスクが15%高い

バナナとバナナジュース、どちらがヘルシーだと思いますか?
やはり、超加工食品は食後の血糖値を速やかに上げてしまう、砂糖入り清涼飲料や流動食やルーを使った食事など、のどごしが良く早食いできる「早い栄養素」の割合が多いようです。

「エネルギー効率の良すぎる食事」は控えめにするべきですね。

⇒『主食の重ね食べ』は肥満のもと


2017年1月26日木曜日

”週末にまとめて運動”でも死亡率は下がる!

寒いですね―。

エバーグリーン研究室のメンバーは、日常的に運動する習慣ができてはいても、この寒さだと、ジョギングやスポーツジムなどに出かけるのが少し億劫になりますね。


運動不足を自覚していても、お勤めがあって「仕事が忙しくて、運動している暇がない」とお嘆きのかたもいらっしゃると思います。

または、忙しいので週末だけスポーツジムに集中して通う方も多いでしょう。


そんな方々に心強い研究報告が発表されたので、ご紹介します。

”週末にまとめて運動”でも総死亡率、心血管疾患・がんによる死亡率は下がる!

Association of “Weekend Warrior” and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality. JAMA Intern Med. Published online January 9, 2017. doi:10.1001/jamainternmed.2016.8014

【研究の実施国と参加者とデーター収集期間】

  • イギリスで、63,591人の40歳以上の人々(平均年齢58.6歳、男性45.9%)で1994年から2012年の期間

【研究の方法】

上記の間に自分の活動性を自己申告してもらい、そのデーターを2016年に分析した。
 
参加者が報告した活動性は
  1. 運動なし:中強度運動も75分以下の高強度運動も全くしていない
  2. 運動不足型:週に150分以下の中強度運動か、週に75分以下の高強度運動を週に何回行ったかも報告してもらった。
  3. 週末集中型:週に150分以上の中強度運動か、週に1~2回の75分以上の高強度運動
  4. 高活動型:週に150分以上の中強度運動か、週に3回以上の75分以上の高強度運動
に分類され、それぞれの総死亡、心血管疾患による死亡、がんによる死亡の件数を比較分析した。

 

【研究の結果】

  • 観察期間中の総死亡は8,802件、心血管疾患死は2,780件、がんによる死は2,526件。
  • 総死亡リスク
  1. 運動なしに比べて
  2. 運動不足型週に1~2回運動したと報告した人々では、34%低下[ハザード比0.66 (95%信頼区間, 0.62-0.72)]
  3. 週末集中型は30%低下[ハザード比0.70 (95% 信頼区間, 0.60-0.82)]
  4. 高活動型35%低下[ハザード比0.65 (95% 信頼区間, 0.58-0.73)]
がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患,

  • 心血管疾患死亡リスクは、
  1. 運動なしに比べて
  2. 運動不足型週に1~2回運動したと報告した人々では、40%低下[ハザード比0.60(95%信頼区間, 0.52-0.69)]
  3. 週末集中型は40%低下[ハザード比0.60 (95% 信頼区間, 0.45-0.82)]
  4. 高活動型41%低下[ハザード比0.59 (95% 信頼区間, 0.48-0.73)]
がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患,

  • がんによる死亡リスクは、
  1. 運動なしに比べて
  2. 運動不足型週に1~2回運動したと報告した人々では、17%低下[ハザード比0.83 (95%信頼区間, 0.73-0.94)]
  3. 週末集中型は18%低下[ハザード比0.82 (95% 信頼区間,0.63-1.06)]
  4. 高活動型21%低下[ハザード比0.79 (95% 信頼区間, 0.66-0.94)]
がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患,

  • 定期的に運動する習慣がある人々が、総ての死亡リスクが最も低い傾向が認められた。 

 

【研究から考えられること】

  • 現在推奨されている運動ガイドラインに沿っていない、運動不足型でも、週に1~2回運動したと報告した人々では、週末集中型の人々と同等の死亡リスク低下率が認められた。
  • このことから、週に1-2回の運動習慣を身につければ、総死亡率、心血管疾による死亡率、がんによる死亡のリスクを低下させることができると考えられる。

運動を趣味にしよう!


いかがですか?

週に1-2回の定期的に運動する習慣でよいのです。

週末のスポーツや趣味がいよいよ楽しくなりますね。

運動の習慣がない人は、最初は億劫さや、辛さを感じがちでしょう。
でも、慣れてくると、運動によって脳の報酬系が働き、ドパミンが分泌されて、快感や達成感、満足感が得られるようになってきます。

そして、運動の習慣がつくと、運動しないと体が「鈍(なま)った」感じがして、運動をしたくなります。

この感覚をつかむまでが、勝負です。

そのあとは、言われなくても、自然に体と脳が運動することを要求してきます。

運動習慣さえつけば、あまり食べ物も気にしなくてもよいし、適量ならお酒も甘味もおいしくいただけますよ。

ぜひチャレンジしてください。

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2016年9月10日土曜日

運動不足のリスクは喫煙なみ

スウェーデンで45年間にわたり、死亡リスクを増やす原因について調査をしたところ、第1位は喫煙であることが認められました。

ここで問題です。
喫煙に次ぐ第2位は、次のうちどれでしょう。

  1. 血清コレステロール
  2. 運動不足
  3. 高BMI


回答に替えて、研究の概要をご紹介しましょう。

中年男性の45年間の死亡リスクに影響を及ぼす因子について

Per Ladenvall et.al.; Low aerobic capacity in middle-aged men associated with increased mortality rates during 45 years of follow-up.

【研究の方法】
  • 1963年に50歳だった男性の792人のデータを使用した、45年間にわたる前向き観察研究(プロスペクティブコーホート研究)。
  • 参加者が54歳の1967年に、792人のうち656人が自転車(エルゴメーター)に乗ってマスクをつけて、最大酸素摂取量(VO2max)を測定して、運動能力の上限を測定した。
  • 2012年の99歳まで参加者を観察して、約10年ごとに運動能力検査をした。
  • 参加者の死亡および一般国民の死亡率は、スウェーデン国民死亡原因登録のデータで確認した。
  • 参加者の身体測定・血圧や血液検査データと、運動能力と死亡のデータを比較して分析した。
【研究の結果】
  • 運動能力の指標である最大酸素摂取量(VO2max)で、次の3つのグループに分けて比較した。
  1. VO2maxが高いグループ
  2. VO2maxが中等度のグループ
  3. VO2maxが低いグループ
  • VO2maxが高いグループは、特に運動しない場合と比べ45年間の死亡リスクが21%低下すると推算できた[ハザード比0.79 (95%信頼区間0.71–0.89; p < 0.0001)]。
  • つまり、運動しないと45年間で21%死亡しやすくなるといえる。
  • 運動しないことの死亡リスク増加へのインパクトは、喫煙に次いでの2位で、高BMI、血清コレステロール高値などよりもはるかにリスクが高かった。
  • 喫煙での死亡リスク増加は58%の上昇であった[ハザード比1.58 (95%信頼区間1.34–1.85; p < 0.0001) ]。
いかがですか。

この研究は45年にわたる長期間参加者の656人を追跡して、10年ごとに運動テストも実施しているのでかなり信頼できる研究結果といえるでしょう。
現在では、喫煙は最もはっきりした健康へ悪影響のあるリスクの1つです。

運動不足はその喫煙に次いで、死亡リスクを上げてしまうのです。

エバーグリーン研究室では、運動の習慣をつけることが、生涯の健康にどれほど良い影響を与えるかについて、皆さんといろいろ勉強してきました。

でも、運動不足がどれだけのデメリットであるかについては、解説するのが難しいところでした。
この研究で、実感いただけたでしょうか?

禁煙に成功した方、次は運動習慣ですね。

運動のメリットを復習

運動することを習慣にできれば、まず筋肉が太目に維持され、筋肉内のミトコンドリアが増加し、その働きが向上します。
筋トレと有酸素運動を組み合わせた適度な強度がお勧めです。

肩こり、腰の痛み、関節痛など、筋肉がつくだけで解消できる痛みも多くあります。
また、有酸素運動をして心拍数を上げると血流がよくなり、肺や心臓や血管の健康にも役立ちます。
定期的に骨が刺激を受けることで、骨も強くなります。

代謝が上がるので、体の中の不要なものが排泄されやすくなり、何より太らず健康に美味しいものを楽しめます。

また、運動ががん認知症などいろいろな病気を予防する証拠も数多くあります。
さらに、適切な運動で病気を回復に向かわせたり、進行を遅らせることさえできます。

エバーグリーン研究室では、健康な生活の基礎となるのが、運動習慣と考えています。
どんなダイエットや健康法、サプリメントや薬も、適切な運動習慣の効果にはかないません。

また、これらのダイエットや健康法も、運動と組み合わせなければ効果が発揮されないと考えて間違いありません。


キーワードは、
  • 筋肉の量が増加
  • ミトコンドリアが増加して活性化
  • 有酸素運動+筋肉トレーニング
  • 心肺機能向上(血流を良くする)
  • 動脈硬化予防
  • 骨の健康
  • 肥満回避
  • 代謝向上
  • 老廃物除去(デトックス)
  • 汗をかく能力(熱中症予防)
  • 体温調節
  • 自律神経活性化
  • 認知機能改善(ボケ防止)
  • 精神の健康
  • がん予防
  • メタボ防止(血圧、血糖値の正常化)
など、たくさんあげられます。

関係する話題は、下記をご参照ください。

ミトコンドリアの数で若さが決まる
有酸素運動と無酸素運動の違い
体重・BMIより筋肉量が大事
運動すると食べ過ぎる?
デスクワークは危険!
座り時間を短くすれば老化しにくい
筋肉は脚から落ちる
1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる
ミトコンドリアが活発な筋肉を保つためには
運動すればボケを防げる!
歳をとってから運動を始めても遅くはない
BMIが正常でも死亡率が上がる原因?
運動不足で脳がしぼむ!

2015年8月6日木曜日

ピロリ菌は除菌して大丈夫??

ヘリコバクター ピロリって、よく聞きますね。
H.ピロリとか、ピロリ菌と書かれていることも多いです。

胃がんの原因になるといわれて有名になりました。
このピロリ菌が胃の粘膜の中に棲みついてしまうと、胃潰瘍になったり、胃がんになったりする。
だから、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などのある人の胃の中に見つけたら“除菌”しようということで、病院ではピロリ菌除菌用のお薬パックを処方します。

パックにはなっていないけれど同じ作用を持つ薬剤を組み合わせて使うこともできますが、ここではパックを中心に説明します。

ピロリ菌除菌に使われる薬

このお薬パックには、1次除菌用と、1次除菌が効かなかったときの2次除菌用の2種類があり、それぞれ2つの製薬メーカーから、発売されています。
  • 1次除菌用:ランサップ(武田薬品工業)、ラベキュアパック(エーザイ)
  • 2次除菌用:ランピオンパック(武田薬品工業)、ラベファインパック(エーザイ)

どれも、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬の3剤がパックになっていて、1日2回、1週間飲みます。

抗菌薬は強い酸性の胃の中では効きにくいため、胃酸を抑える薬で胃の中を中性に近づけてから、抗菌薬を効かせるわけです。

パックに入っている薬は次の通り。

1次除菌用
  • ランサップ :ランソプラゾール(胃の薬)アモキシシリンクラリスロマイシン(抗菌薬)
  • ラベキュアパック :ラベプラゾール(胃の薬)アモキシシリンクラリスロマイシン(抗菌薬)

2次除菌用
  • ランピオンパック  :ランソプラゾール(胃の薬)アモキシシリンメトロニダゾール(抗菌薬)
  • ラベファインパック :ラベプラゾール(胃の薬)アモキシシリンメトロニダゾール(抗菌薬)

1次除菌用の2つのパックを見てみると、胃の薬以外は同じ抗菌薬が入っています。
2次除菌用も一緒。

1次除菌用と2次除菌用の違いは、抗菌薬のクラリスロマイシンが、メトロニダゾールになっているところ。
同じピロリ菌でも、クラリスロマイシンが効かなくなっているものもいるので、その時にはメトロニダゾールでもう一度チャレンジする、というシステムです。

ただし、メトロニダゾールは細菌だけでなく、原虫と呼ばれるようなもっと大きな生物にも効果を示します。
副作用も現れやすいので、できれば1次除菌だけで解決させたいですね。

そのためにも、薬はきちんと決められた通りに飲むようにしましょう。

ピロリ菌除菌が保険で認められている疾患

薬でピロリ菌を除菌する治療が保険で認められているのは、次の通り。

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃MALTリンパ腫
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ピロリ菌除菌で再発する可能性が低くなります。
特発性血小板減少性紫斑病は難治性の病気ですが、理由はわかりませんがピロリ菌除菌で改善することがあります。

ただの胃炎や、いつも胃の具合が悪い程度の症状であれば、除菌治療は保険では認められていません。
これは、次に説明する、常在菌や耐性菌のことを考慮すれば、妥当な適応だと思います。


ピロリ菌感染が胃がんの主な原因と考えられることから、ピロリ菌感染がみられたら、誰でも直ちに除菌するのがよいのではないか、という意見もあります。

ピロリ菌を除菌することに何の問題もないとすれば、この意見はごもっともです。
しかし、抗菌薬をたくさん使うことには、色々な意味で問題があります。

ヒトの体の中で今、生きている100兆を超える細菌を、その一部であるとはいえ、安易に殺してしまっても、身体は大丈夫なのでしょうか。

ここからは、ピロリ菌を例に、抗菌薬を使うことの弊害を考えてみます。

抗菌薬 使い過ぎの弊害

抗菌薬が他の薬と違う点は、生き物を殺す作用を持つというところにあります。

もちろん、ヒトに害がないように、細菌にあってヒトにないもの・・・細胞壁とかDNAを作る酵素とか・・・をターゲットにした殺菌力を持つように作られています。


抗菌薬はたくさんの種類の菌に効かないものを選ぶのが原則

まずは、数多い抗菌薬のどれを選ぶか、という考え方をお話しします。

抗菌薬は何の菌にでも効果がある方がいい薬、というイメージがありませんか?
これは間違いです。

抗菌薬は、目的とする細菌以外は殺さない作用をもつものを選ぶのが正解。
ピロリ菌を除菌したければ、なるべくピロリ菌以外の菌には効かない抗菌薬を選びます。

理由は2つあります。

理由1 常在菌を殺さないようにするため

私たちの体の中・・・特に腸管の中には、私たちになくてはならない細菌がたくさん棲みついています。
これらの細菌を常在菌といいます。

身体に良い菌を善玉菌、身体に悪い菌を悪玉菌とする呼び方がありますが、これはあまり正確ではありません。
なぜならば、同じ細菌でも、体調や細菌の数や、身体のどの部分にいるかによって、身体に良い菌として働いたり、悪い菌として働いたりすることがあるからです。
除菌は人類を滅ぼす?

何の役にも立っていないように見えて、実は、重要な役割を担っている菌もたくさんいます。

腸内細菌が免疫のシステムを作る話はこちらをご覧ください。

色々な細菌に効く抗菌薬を使ってしまったら、身体に必要な常在菌まで殺してしまうことになります。

抗菌薬を飲むとおなかをこわすことがありますね?
あれは、抗菌薬が必要な常在菌を殺してしまって、腸が正常に働けなくなってしまった結果です。

理由2 耐性菌を作らないため

耐性菌って聞いたことはありますか?

細菌Bに対して抗菌薬Aがはじめは効いていたのに、使っているうちに効かなくなってきた場合、
細菌Bは抗菌薬Aに耐性化した
といい、
細菌Bは抗菌薬Aに対して耐性菌になったと考えられます。

細菌が耐性化する仕組み

例えば、細菌Bが抗菌薬Aに耐性化する仕組みをみてみましょう。

細菌Bの中には、抗菌薬Aがとてもよく効くタイプもいれば、あまり効かないタイプもいます。

細菌は人間と比べてかなり頻繁に増殖します。
人間はせいぜい30年に数人子供を産む程度ですが、大腸菌は条件が良い場合20分に1回分裂する、つまり子孫を増やしています。

遺伝子は、増殖する際に間違ってコピーされることが多く、このコピーミスが違った性質の子孫を作ることになります。
ですから、増殖の機会の多い細菌は、ちょっと性質の違う子孫ができる確率がヒトより高くなります。


抗菌薬が細菌を耐性化する仕組みのイラスト 耐性菌を作らないようにするために抗菌薬の使用はよく考えて。ピロリ菌除菌 抗生物質の正しい使い方 イラスト 
右の図を見てください。

細菌Bが増殖したところへ抗菌薬Aを投与したとします。
細菌Bは、中でも抗菌薬Aがよく効く性質をもったものから順に死んでいきます。

抗菌薬Aがよく効くことを「抗菌薬Aに感受性が高い」といいます。

何回か抗菌薬Aを投与すると、抗菌薬Aが効きにくい性質を持った細菌B、つまり、耐性化した細菌Bだけが生き残った状態になります。

この段階で抗菌薬Aの投与をやめるとどうなるでしょう。
抗菌薬Aに耐性化した細菌Bには、周囲に競合する細菌Bがいなくなりましたから、抗菌薬A耐性細菌Bばかりが増えます。

そして、次に細菌Bが増えすぎて肺炎の症状を起こした時には、抗菌薬Aを投与しても効果が得られなくなってしまいます。


医師や薬剤師から、抗菌薬を決められた期間、きちんと飲むようにと言われたことはありませんか?
それは、中途半端に感受性の高い菌だけを殺して、耐性化することのないようにするためです。

とはいっても、やっぱり耐性化は防げないようで、ピロリ菌の除菌に用いるクラリスロマイシンもメトロニダゾールも、耐性化が進んでいることが実験で確かめられています。
Sasakiら:J Clin Biochem Nutr 2010; 47:53-58
和田真太郎他 感染症学雑誌 77(4); 187-194

どんな菌にでも効く抗菌薬が必要な場合

「特定の細菌にしか効かない抗菌薬を選ぶ」という原則には例外があります。

お腹をこわしたり、肺炎になったりしたときなど、原因の細菌が何かを調べるのを待っていられないこともあります。
原因の細菌は、痰や便を調べることで確認することができますが、何日か時間がかかってしまいます。

こういうときに限って、何にでも効く抗菌薬をとりあえず飲むことになります。

これを「エンピリックセラピー」といいます。

インフルエンザに罹ったときには、10分くらいで簡単に調べて薬を処方されますが、インフルエンザは患者さんがたくさんいるので、検査薬メーカーもがんばってインフルエンザウイルス用に特別な検査薬が開発したのですね。

ピロリ菌ワクチンは必要??

現在、中国ではピロリ菌を感染させないためのワクチンの開発が進んでいます。

6~15歳の小児4,464例を対象に、ワクチン投与群とプラセボ(偽薬)投与群とを3年間フォローした結果、ピロリ菌感染がみられた人数は次の通り。
  • プラセボ群:2年目22例、3年目13例
  • ワクチン群:2年目10例、3年目6例
Lancet. 2015 Jun 30. pii: S0140-6736(15)60310-5.

さて、ここからはみなさんに考えていただきたいことです。
このワクチンを使うべきかどうか。

衛生状態が良くなったことで、ピロリ菌の感染者は減少したと考えられています。
また、ピロリ菌が原因で胃がんが発症するのは高齢になってからです。

ということは、近年までほとんどの人は生まれてすぐにピロリ菌に感染し、感染したまま60歳程度の天寿を全うしていたということになります。

これは、ピロリ菌と人間がお互いに持ちつ持たれつの共生関係を保っている証拠なのではないでしょうか。

ピロリ菌除菌で食道がんにはなりやすくなる

ピロリ菌除菌によって発症率が高くなる病気もあります。
食道がんがその一つ。

ピロリ菌は胃の中で、胃酸という強力な酸の中で生息しています。
これは、ピロリ菌が胃粘膜にある尿酸を塩基性のアンモニアに変えるウレアーゼという酵素を分泌して、胃酸を適度に中和して住みやすくできるためです。

ピロリ菌はウレアーゼのほかにもCagA(カグエー)など、色々なタンパク質を出すのですが、これらが胃粘膜に炎症を起こします。
この炎症が何十年もの長期間続くことで、がんが発症すると考えられています。

さて、食道について考えてみましょう。
健康な人でも、胃の中のものが食道に入ってきてしまうことがありますね。
この時、胃の中の強い酸は、食道の壁を攻撃してしまいます。

ピロリ菌が胃の中にいれば、ウレアーゼが胃酸を中和してくれることで、食道に胃の中のものが逆流した時にも、強い酸が食道に触れずにすみます。

つまり、図らずもピロリ菌は胃酸から食道を守る働きをしているわけです。

ピロリ菌感染で、免疫の働きが鍛えられる

ピロリ菌が感染している人は、小児ぜんそく、アレルギー性鼻炎、皮膚アレルギーなどの疾患に罹る割合が低いことも報告されています。
Yu Chen and Martin J.Blaser  Journal of Infection Diseases 2008; no.4: 198

さらに、乳児期にピロリ菌に感染することで、ピロリ菌に対して強い炎症反応を起こさなくなることも確認されました。
A.Amberbir et al. Clinical and Experimental Allergy 2011; no.10: 41

つまり、3歳くらいまでにピロリ菌に感染していれば、年をとってから胃の中にピロリ菌がいたとしても強い炎症が起こらないからがんにならない。
さらに、喘息や花粉症、アトピーなどの免疫が過剰に働いてしまう病気にもならない、ということです。

これは、細菌がヒトの体の中に棲むことで、ヒトの免疫反応が教育されて、「ほどほどに外敵と闘う力」を身につけるためと考えられます。

衛生的な環境が整うまでの何100万年という歳月の中で、ヒトは様々な細菌と出会い、お互いに一番うまく生き抜く方法を作り上げてきたのです。
いきなり環境が変わっても、100年足らずの年月で簡単には適応できません。

抗菌薬で常在菌を殺すのは、身体に優しくない

ヒトの体からいなくなったのはピロリ菌だけではありません。
私たちのおじいさん、おばあさんの時代ですら、お腹の中に寄生虫がいたり、頭にシラミがいたりするのが当たり前でした。

水洗トイレができて、ごみの回収が徹底されて、快適になった暮らしは、もう元には戻せませんね。
寄生虫も、シラミも勘弁・・・です。

天然痘やはしかのように、致死率の高い感染症がワクチンで防げるのもありがたいことです。

一方で、こうして一つひとつきれいに、安全にするたびに、他の危機・・・アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症など・・・が生まれます。

と、考えると解決策は思い浮かびませんが、せめて、過剰な抗菌薬の使用だけは避けたいものです。

風邪の原因はほとんどがウイルス。
抗菌薬は効きません。

抗菌薬を飲むこと=薬で過剰に菌を殺すことのデメリットをしっかり考えて、薬を使いましょう。

といっても、自分で判断するのは難しいですから、風邪で医師から薬を処方された時、
「この中に抗菌薬はありますか?
私の症状には、抗菌薬が必要ですか?
と聞いてみてください。

医師の中には、抗菌薬を処方しないと患者さんが満足しないと思って、効かないと思いながら処方している方もいます。



もちろん、先に書いたピロリ菌除菌の適応に相当する方・・・放っておくと胃がんになる可能性の高いような方には、除菌することをお勧めします。


ピロリ菌について、詳細を知りたい方は
JACRI 日本臨床検査薬協会のウェブサイトがわかりやすいです。
寄生虫なき病
参考図書
モイセズ・ベラスケス=マノフ/著 赤根洋子/訳 福岡伸一/解説『寄生虫なき病』 文芸春秋 2014年3月発行


2014年7月28日月曜日

電子レンジは安全?



今日はいつもとちょっと気分を変えて、日々使っている電子レンジのお話をしましょう。
 ⇒電子レンジの原理(しくみ)についてはこちら

オーガニック系??の人たちのなかには電子レンジでの調理やマイクロ波の危険を言う人もいます。

電子レンジが危険だという論拠としては、以下のものがあげられているようです。

それぞれ調べで見ました。

さて、次の問はホント?うそ?


1.電子レンジのマイクロ波により食品中のタンパク質の化学構造と性質が変わる(変性する)のでよくない?

答え:うそ

これは、Hans Hertelというスイス人の食品化学者が提唱していましたが、どうやって実験したのか詳しいことが明確ではなく、本当かウソか検証できないものです。
さらに、科学論文として審査を受けて発表されてもいないものです。

根拠がないといってもよいでしょう。

また、焼いたり煮たり、蒸したりといった、電子レンジ以外の方法で加熱しても、タンパク質は約60℃以上の熱で「熱変性」します。
ですので、電子レンジでの加熱が特に悪いということはありません。
タンパク質が変性をしなければ、目玉焼きも、ウエルダンのステーキもできないのです。
タンパク質の変性を嫌うなら食品を加熱しないで生で食べるのがよいでしょう。


2.電子レンジのマイクロ波により食品中に発癌性の物質ができるので電子レンジで調理されたものは体に悪い?

答え:うそ


電子レンジの加熱では、水の温度は100℃までしか上がりません。
ですので通常の食品(油が極端に多いものは除く)は電子レンジをかけても焦げません。

食品の調理でできる可能性のある発癌性物質の代表はジメチルニトロソアミンです。
これは焦げるぐらいの高温で調理したときにできる物質です。
フライパンで焼いたり、オーブンで焼いたり、油で揚げるような高温での調理のほうがジメチルニトロソアミンができやすいです。
一方、通常の食品を電子レンジにかけた場合は、食品中の水が最高100℃になって、ほかの成分(タンパク質など)を温めるので、高温になりにくく、発癌物質もできにくいといえます。
水は100℃より高温にはなれないからです。

ガスで調理した魚のジメチルニトロソアミン量は、電子レンジで調理した場合より多いというデーターもあります。

ちなみに、揚げ物など油を多く含む食品をを電子レンジで加熱すると、油は、電子レンジのマイクロ波を受けて100℃以上の高温になり、油が酸化されやすくなります。
これはオーブンなどで揚げ物を再加熱しても同じです。

3.電子レンジからマイクロ波が漏れ、癌を誘発するのでよくない?

答え:どちらともいえない

マイクロ波は、テレビ、携帯電話、電子レンジと同じ波長帯の電(磁)波です。

これらのパワー(量子エネルギー)は低く、分子を揺らすことはできても、分子の構造を変えるような力はありません。
癌を引き起こす原因となるDNAを傷つける(DNAの分子構造を変化させる)ほどの力はないと考えられます。

ただし、同じ波長帯の電(磁)波を出す、携帯電話と脳腫瘍の関連を示した研究がいくつかあります。

今のところ、癌を誘発するという決定的な証拠もなければ、癌を誘発しないという決定的な証拠もないので、安全を取って、電子レンジでの調理中には電子レンジから1mから2m離れれば安心です。マイクロ波の物理的性質を考えれば、これくらいの距離を取れば実質的に影響はないと思われます。


4.食品中のビタミンなどの栄養素が壊れる?

答え:うそ

ビタミンCなどの水に溶けやすい水溶性ビタミンは、たとえば、電子レンジでの調理でもどんぶりの中に水を張って、その中にブロッコリーを入れるなど、大量の水を使って調理した場合は、水(ゆで汁)にビタミンが溶け出してしまいます。
このような調理法は、ガスの火を使ってブロッコリーをゆでるのと変わりません。

でも、ブロッコリーを濡らして容器に入れて加熱するといった通常の電子レンジ使用法では、ゆでるよりビタミンが保持されることが多いようです。
なぜならゆで汁にビタミンが出でいかないからです。
実際に煮た場合と電子レンジでの調理を比較して、ビタミンCとビタミンB1の残っている割合を調べたところ、電子レンジの調理のほうがこれらのビタミンが多く残っていたとのデータもあります。

また、ビタミンには、熱に強いもの(ビタミンA、Eなど)と、弱いもの(ビタミンC、B1など)がありますが、熱に弱いビタミンでも、加熱時間が短ければ問題ないといえます。



5.電子レンジで加熱すると食品に活性酸素などのフリーラジカルが出来るので身体にわるい?

答え:どちらともいえない



何も、電子レンジに限らず、加熱する調理では、食品の成分が熱エネルギーや、電磁気の波のエネルギーをうけて活性酸素やフリーラジカルを出します。

調理法に関係せず、加熱すれば必ず活性酸素やフリーラジカルが出るので、電子レンジだけを悪者にするのはどうかな?と思います。

活性酸素やフリーラジカルの害を避けたいのなら、食品を加熱せず、生で食べることです。

参考図書:肥後温子著 『新版 電子レンジ「こつ」の科学』 柴田書店 2005年

加熱せずに消化吸収できる食品は、生で食べることも一つの方法です。
でも、高温での調理はあまりお勧めできません。
実は、これは大切なポイントで、老化物質AGE高温での調理が関係します。

このことはまたあらためてお話ししますね。