いきいき!エバーグリーンラブ: 洋ナシ型肥満
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2018年1月24日水曜日

持久力(心肺フィットネス)が高ければ太っていてもOK!!

エバーグリーン研究室では、以前から健康の維持には運動習慣が不可欠であることをお示ししてきました。
りんご型肥満でおなかが炎症
ミトコンドリアの数で若さが決まる
また、内臓脂肪や異所性脂肪による過体重や肥満が万病の元であることもお伝えしています。


さらに、体重やBMIよりも、体重に占める筋肉の割合が大切であると考えています。
体重・BMIより筋肉量が大事
BMIが正常でも死亡率が上がる原因?
今日はこれらの考えを証明してくれる新研究が報告されましたので紹介します。

低い運動能力(低心肺フィットネス)はBMIとは独立して、腹部肥満と慢性炎症に関連する

Anne-Sophie Wedell-Neergaard et.al, Low fitness is associated with abdominaladiposity and low-grade inflammation independent of BMI

【研究の目的】
肥満者の集団のうち30%程度までは、糖や脂質などの代謝に異常は認められない。
これらの太っているが代謝的に健康な人は、腹部(内臓)肥満がなく、炎症が少なく、メタボリックシンドロームが発症するような代謝異常が認められない。
そこでこの研究では、太っているが代謝的に健康な人は、持久力(心肺フィットネス)が高く、このことによって、腹部(内臓)肥満がなく、炎症が少なくなっていいるとの仮説を立て、それが正しいかどうかを検討した。

【研究方法】
デンマークで行なわれた調査である、The Danish Health Examination Survey 2007-2008のデータから10,976人について、
●腹囲(ウエスト周囲径)
●高感度CRP(高感度C反応性蛋白):炎症の指標
●持久力(自転車エルゴメーターによる心肺フィットネス能力測定:VO2max)

を測定し統計学的に比較・解析した。

【研究の結果】
●性別に関係なく、高い持久力(心肺フィットネス)は、腹囲(ウエスト周囲径)減少と関連し、この関連は、BMI、教育歴、喫煙・飲酒習慣、健康の自己評価に関係なく認められた。

●男性では、持久力(心肺フィットネス)の+5mL/kg/min上昇で腹囲(ウエスト周囲径)は-1.50 cmと減少 (95% 信頼区間: -1.62~ -1.39 cm、 統計学的に有意 p<0.001)し、炎症の指標の高感度CRPは -0.22mg/Lと減少した (95% 信頼区間: -0.255~-0.185mg/L、統計学的に有意 p<0.001)。

●女性では、持久力(心肺フィットネス)の+5mL/kg/min上昇で腹囲(ウエスト周囲径)が-1.26 cm と減少(95%信頼区間: -1.39 ~-1.13cm、統計学的に有意 p<0.001) し、炎症の指標の高感度CRPは -0.26mg/Lと減少した (95% 信頼区間: -0.3~-0.22mg/L、統計学的に有意 p<0.001)。

●大きい腹囲(ウエスト周囲径)は、炎症の指標の高感度CRPの高値と関連し、この関連は性別とBMIに関係なく認められた。

●+1 cm腹囲(ウエスト周囲径)が大きくなると、男性では高感度CRPが0.03mg/L 上昇し(95%信頼区間: 0.02~ 0.037 mg/L、統計学的に有意 p<0.001) 、女性では高感度CRPが0.025mg/L 上昇し(95%信頼区間: 0.017~0.034mg/L、統計学的に有意 p<0.001)、この関連は、BMI、教育歴、喫煙・飲酒習慣、健康の自己評価に関係なく認められた。


【結論】
持久力(心肺フィットネス)は、BMIとは独立して、腹部(内臓)肥満と慢性炎症と逆相関を認めた。
これらのデータは、BMIとは無関係に、持久力(心肺フィットネス)を向上させることで、腹部(内臓)肥満と慢性炎症を改善させることができることを示している。
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持久力(心肺フィットネス)を向上させることで、腹部(内臓)肥満と慢性炎症を改善

運動能力が高い=持久力が高くミトコンドリアが元気

いかがですか。
やはり、運動能力を高め、それを維持することが重要なのです。

運動能力が高い人は、当然、心肺機能が鍛えられていて持久力があり、運動習慣がありますので、同じ体重の肥満者よりも筋肉が多いことが予想できます。

恰幅が良くて、一見、太って見える人でも、健診で問題を指摘されないような元気な人がいますね。
こんな人に訊いてみると、たいていスポーツを趣味にしています。
そんな人は、スポーツで鍛えた強い心肺があり、体重やBMIは高くても、筋肉が豊富にあります。
体重やBMIの増加分が、脂肪よりも筋肉で占められている割合が高いと考えられます。

実際に、筋肉量が多いと、死亡する危険性(リスク)が低下するという報告もあるのです。
体重・BMIより筋肉量が大事


同じ体重やBMIでも、それに占める割合が筋肉が多いのか、腹部(内臓)脂肪が多いのかで明暗を分けてしまうというわけです。

言うまでもなく、脂肪細胞は、脂肪をため込み過ぎると、炎症性のサイトカインなどを慢性的に放出する慢性炎症を引き起こします。
脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!


同じ体重なら、身体の構成として、脂肪ではなく筋肉を多めとすることが大切なのです。

さらに、腹囲(ウエスト周囲径)が増える原因は腹部の内臓脂肪の増加です。

内臓脂肪の蓄積は異所性脂肪とも呼ばれ、本来脂肪を貯める役割を持つ皮下脂肪以外の組織・臓器に脂肪をため込みます。
脂肪の収納場所の皮下脂肪以外にたまる脂肪なので、異所性脂肪と命名されたのです。
これが炎症を引き起こし代謝異常など様々な疾患の原因になると考えられています。

異所性脂肪が恐ろしいのは、軽くても長い時間にわたって炎症性のサイトカインなどが全身を炎症に陥れることです。

この慢性的な炎症が恐ろしいのです。
打撲や虫刺されなどによる炎症は、やがて治癒して、長い時間続くことはありません。
異所性脂肪による炎症は、減量して異所性脂肪をなくさない限り収まりません。
つまり、過体重や肥満であった期間=何年もにわたって炎症が続いてしまうのです。

上記の研究とは別の、5,115人を25年間追跡した最近の研究では、健康な成人で肺機能(呼吸機能)が急速に低下すると、メタボリックシンドロームを発症する危険性があることが分かりました。
これらの人は、胸腔内に内臓脂肪が蓄積していることが分かりました。
Moualla M et.al. Thorax. 2017 Dec;72(12):1113-1120. doi: 10.1136/thoraxjnl-2016-209125. Epub 2017 Jul 20.

運動不足や過食・過飲による影響は、腹部だけではなく全身の異所性脂肪となり、様々な病気の原因となるようです。

運動の仕方のコツ

また、上記の研究で注目すべきなのは、高い持久力(心肺フィットネス)による腹囲(ウエスト周囲径)減少効果は、BMIだけでなく、教育歴、喫煙・飲酒習慣、健康の自己評価に関係なく認められたことです。

ミトコンドリアの数で若さが決まる
つまり、過体重・肥満の人、喫煙・飲酒習慣のある人、健康に自信がない人ほど、運動して持久力を維持することが必要だといえます。

忘れてはならないのは、心肺が丈夫で持久力があり、筋肉が豊富ということは、我々に活力を与えてくれるミトコンドリアもたくさんいるということです。
ミトコンドリアがエネルギーを充電してくれるわけです。

運動は、心肺機能を高める有酸素運動と、ミトコンドリアを増やして活性化させる筋トレを並行して行うのがベストですね。

持久力 心肺機能 筋肉 ミトコンドリア

2014年9月9日火曜日

りんご型肥満でおなかが炎症

ひまんのたいぷ りんごがた ひまん なしがた ひまん エストロゲン 炎症 運動不足 脂肪細胞 脂肪組織 インスリン 閉経 中年 おなか お腹 おしり テストステロン リポタンパクリパーゼ 脂肪細胞 内臓脂肪 皮下脂肪 閉経前 食事 太もも 男性 女性
説明を追加
中年になるとおなかの周りが気になりますよね。
肥満は身体によくないことはわかっていても、どうしてなのか?
その理由を理解しておくと、健康管理に役立ちます。
これから数回にわたって、肥満になる仕組みと健康への影響をお話ししますね。

まずは、肥満のタイプと、どんなタイプの肥満が健康に悪いのかをお話しします。


リンゴ型肥満と洋ナシ型肥満


右の絵を見てください。
ひまんのたいぷ りんごがた ひまん なしがた ひまん エストロゲン 炎症 運動不足 脂肪細胞 脂肪組織 インスリン 閉経 中年 おなか お腹 おしり テストステロン リポタンパクリパーゼ 脂肪細胞 内臓脂肪 皮下脂肪 閉経前 食事 太もも 男性 女性
肥満のタイプ リンゴ型肥満 洋ナシ型肥満
肥満には、お腹に脂肪がたまるリンゴ型と、おしりと太ももあたりにたまる洋ナシ型があります。

リンゴ型肥満は中年期以降の男性に多く、洋ナシ型肥満は閉経前の女性に多いとされます。

どちらも、食事でとって余ったエネルギーを脂肪にして貯めておく生理作用が、過食のために繰り返されて、脂肪組織が成長して肥満となります。

実は、ここでもインスリンがかかわっています。
ここら辺のかかわりは複雑になるので別の機会に。

⇒インスリンの働きはこちらを


リンゴ型肥満中年期以降の男性に多い理由


さて、リンゴ型肥満が中年期以降の男性に多い理由は、男性ホルモンであるテストステロンと関係があります。

脂肪細胞が脂肪を貯めるには、血液中の脂肪分を分解して、脂肪酸にして細胞に取り込む必要があります。
その分解を助けているのが、リポタンパクリパーゼという酵素です。

リポタンパクリパーゼは、男性では腹部に多く活発に活動しています。
テストステロンはリポタンパクリパーゼの働きを抑えて、脂肪細胞に脂肪酸が入らないようにして、脂肪細胞が膨らんだり、細胞分裂して増えたりしないようにします。

テストステロンは男性らしさを保つ性ホルモンです。
つまり、本来男性は、狩りをしたり敵と戦うため、筋肉を発達させて、必要な時に力を発揮できるようにしています。
テストステロンはそれを司っているホルモンの1つです。
ですから、テストステロンは、脂肪細胞より筋肉細胞に優先してエネルギー源の脂肪酸を取り込ませようとして、脂肪酸の貯蔵庫である脂肪組織のリポタンパクリパーゼを抑えているのです。


テストステロンの分泌が歳をとるとともに減れば、リポタンパクリパーゼが活発になり、脂肪酸をどんどん取り込むので、だんだんとおなかが出てくるのです。

歳をとらなくても、過食をしている運動不足の若者は、運動をしないので筋肉も増えず、テストステロンの分泌も低下して、若くして立派なリンゴ型肥満となってしまうのです。

リポタンパクリパーゼと脂肪細胞の関係はこちらをご覧ください。


洋ナシ型肥満が閉経前の女性に多い理由


次に、洋ナシ型肥満は閉経前の女性に多い理由を種明かしします。

これにも女性ホルモンがかかわっています。

女性ホルモンのエストロゲンは、閉経前の女性には守り神のように、ふんだんに分泌されます。
エストロゲンは、女性らしさや女性の生理をコントロールする大切な性ホルモンです。

エストロゲンもテストステロンと同じで、リポタンパクリパーゼを抑制します。

女性では、おしりと大腿部のリポタンパクリパーゼが多く活発なので、その部分の脂肪細胞が脂肪を多く貯えます。
ですので、女性ではおしりと太ももが太りやすいのです。

でも、閉経するとエストロゲン分泌が減ってしまうので、リポタンパクリパーゼが活発になってしまいます。

おしりや太ももだけでなく、お腹のリポタンパクリパーゼも活性化されるので、おしり周りもお腹も太ってきます。

女性で、若いころは「しもぶくれ」だった過食気味+運動不足の人が、閉経後に、お尻だけでなく、おなかや全身が太るのはこのメカニズムです。


リンゴ型肥満と洋ナシ型肥満は性質が違う


リンゴ型肥満は別名男性型肥満とか腹部肥満とも呼ばれ、 洋ナシ型肥満は女性型肥満とか殿部肥満とも呼ばれます。

でも、この2つのタイプの肥満は性質が違います。

肥満は糖尿病や動脈硬化、癌などの原因になりますが、このような病気の原因になる肥満のタイプははっきりしています。

それは、リンゴ型肥満です。

下の絵を見てください。

ひまんのたいぷ りんごがた ひまん なしがた ひまん エストロゲン 炎症 運動不足 脂肪細胞 脂肪組織 インスリン 閉経 中年 おなか お腹 おしり テストステロン リポタンパクリパーゼ 脂肪細胞 内臓脂肪 皮下脂肪 閉経前 食事 太もも 男性 女性 太る タイプ 痩せにくい 体質 脂肪が減らない 糖尿病 脂肪組織 女性 太りやすい
リンゴ型肥満と内臓脂肪


脂肪をため込む脂肪細胞は、集まって脂肪組織を作っています。
脂肪組織は、通常は、皮膚の真皮の下にできて皮下脂肪組織となります。
ところがリンゴ型肥満では、皮下脂肪だけでなく、お腹の中に脂肪組織が広がっています。

もう少し専門的に言うと、腹膜と腸間膜の中の脂肪細胞が増えたのが内臓脂肪です。

腹膜とは胃、十二指腸、小腸、膵臓、脾臓、肝臓、胆嚢、大腸、を包んだり、支えている膜、腸間膜はそれらの臓器が動かないように固定して、腸間膜の中の血管で栄養のやり取りをしている膜です。
これらは、本来は薄い膜なのですが、食べすぎたり飲み過ぎたり、運動不足になって余ったエネルギーを蓄えようとして、膨らんでしまうわけです。
つまり、内臓脂肪の正体は、膜のように薄かった組織が異常に膨れたものなのです。
もちろん、これらは、もともとエネルギーを貯蔵するための組織だったわけではありません。
本来、エネルギーを貯蔵するための組織ではないところに、脂肪細胞が増えることを「異所性脂肪」とも呼ばれます。
内臓脂肪もその1つで、さらに、異所性脂肪が進むと、肝臓や膵臓などの臓器にも脂肪がたまってゆくのです。
有名なのは、アルコール常飲者が、アルコールによる肝臓の代謝障害のために中性脂肪が肝臓にたまる「脂肪肝」ですね。

ちなみに、洋ナシ型肥満のおしりや太ももの脂肪組織は主に皮下にできます。
つまり洋ナシ型肥満は皮下脂肪だけで太っています。
皮下脂肪は本来エネルギーを貯蔵するための組織ですので、病的ではありません。


内臓脂肪や異所性脂肪が諸悪の根源


さて、リンゴ型肥満にかくれた「内臓脂肪」や「異所性脂肪」、これこそが様々な病気の諸悪の根源であることがわかってきました。
「内臓脂肪」や「異所性脂肪」が多いと、お腹の中ばかりでなく全身が慢性的に炎症してしまうことがわかったのです。

同じ肥満者でも女性に比べて、男性のほうが若くしてメタボや生活習慣病に罹りやすい原因の1つとして、リンゴ型肥満と「内臓脂肪」や「異所性脂肪」が指摘されています。

つまり、女性は、過食・運動不足でも、閉経まではエストロゲンに守られて、悪さをしない洋ナシ型肥満でいられますが、男性は、「内臓脂肪」や「異所性脂肪」によるリンゴ型肥満で病気に結びつきやすいというわけです。

でも、女性も、生活習慣が悪ければ、閉経後に一気にリンゴ型肥満になります。
これは、閉経によってエストロゲンが分泌されなくなると、脳下垂体前葉から分泌され、エストロゲン分泌をコントロールしている卵胞刺激ホルモン(FSH)が過剰に出続けることになり、FSHは脂肪細胞に脂肪をため込ませる作用があるため太るのです。
女性は閉経後は病気という有り難くないお友達が急接近なのでご注意あれ。


今日は、肥満のタイプと性質の違いをお話ししました。

諸悪の根源「内臓脂肪」や「異所性脂肪」とそれが原因のおなかの炎症については重要ですので、順を追ってに詳しくお話ししますね。

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