いきいき!エバーグリーンラブ: 8月 2016

2016年8月23日火曜日

レシピ*低糖質 ごまのビスコッティ

ビスコッティ ごま クッキー 写真
砂糖、小麦粉なしのビスコッティです。
ごまをいっぱい食べられます。

糖質は全部で約4g。
8枚切り食パンの1/5弱です。


【材料】
  • 卵 3個
  • ごま 150g
  • 味噌 小さじ1
  • バター 20g
  • エリスリトール 大さじ4(+上から大さじ1)
  • クルミ 50g

【作り方】
  1. ゴマをミキサーにかける(バイタミックスを使用)
  2. 1に卵、味噌、バター、エリスリトールを加え、ミキサーにかける
  3. 耐熱容器に入れ、粗く割ったクルミをちらし、上からエリスリトール(大さじ1)をかける
  4. 180℃のオーブン(予熱なし)で20分焼く
  5. オーブンから取り出し、棒状にカットする
  6. さらに170℃で20分焼く

☆オーブンの温度、時間は、調整してください。

☆棒状にカットしたあと冷ましてから焼くのが正式なビスコッティの作り方のようですが、オーブンが冷めないうちに焼いてしまっても特に支障ありませんでした。

エリスリトールは血糖値を上げない甘味料です。
ラカンカット、ラカントなどでも代用できます。
いずれも、砂糖と同じ量で同じ甘さです。

ラカンカットやラカントは粉末だと冷めたときに結晶になって出てきてしまうことがありますが、エリスリトールは一度熱を加えて溶かすと、冷めても結晶にはならないようです。





ごまは優秀な食材

ごまに含まれる栄養素を調べてみました。

カルシウムはシラスの倍以上、野菜からは摂りにくいビタミンB群も多く含まれています。
鉄、亜鉛が多いのも嬉しいですね。


ごまから抽出したという栄養素を売っている食品メーカーもありますが、食物は丸のまま食べるのが一番。
ごまを大量に食べられれば、その方が良いに違いありません。



2016年8月12日金曜日

熱中症対策、誤解していませんか?

熱中症になったら「水だけ飲んでも汗で出てしまった塩分やミネラルが不足してしまうので、塩分やミネラルも補いましょう」といわれますね。
そのようなときには、OS-1のような経口補水液が役に立ちます。

ここで、よく誤解されていることがあります。


熱中症で誤解されやすいポイント1

熱中症にならないようにするために一番必要なのは、水分を摂り続けることではありません。
予防で大切なのは
  • 体の中から余分な熱を発散させること。
  • 熱を発散させるには汗をかくのが一番なので、普段から上手に汗をかけるようになるために、筋肉を鍛えること。
  • お年寄りや体力がなくて汗がかけないような方は、暑い場所を避けること。
  • スポーツなどで大量の汗をかく可能性ある場合は予防的に水分補給をする。
です。

熱中症で誤解されやすいポイント2

熱中症で脱水になってしまったら、

水分+塩分(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質)+糖

を補わなければなりませんが、

熱中症にならないようにするために、1日中水分+塩分+糖を摂り続ける必要はありません。

そのようなことをしたら、むしろ、塩分(特にナトリウム)も、糖も摂りすぎになってしまいます。

そして何よりも、熱中症になってしまったら、まずは体を冷やしましょう。
クーラーの効いたところに駆け込んだり、水を浴びるなどして、とにかく体を冷やすことです。


熱中症とは

ここからは、熱中症について詳しくお話しします。

熱中症対策を考える前に、熱中症とは何か、正しく理解しましょう。

熱中症は「熱にあたる(中る)」と書きます。
漢字のとおり、熱が体の中から出ていけなくなった状態です。

健康な人は、気温の高いところで長時間過ごしたり、激しい運動をしたりして体が熱くなると、汗をかくことで体温を調節します。

汗をかけば乾くときに身体の表面から気化熱が奪われ、体温が下がります。
また、顔が赤くなるのは顔の表面に血管、血液が拡がってきて身体の表面から熱を外に逃がそうとするためです。

ですから、体の中の水分が少なくなると汗をかけなくなって、体温調節がうまくいかなくなります。
この状態が熱中症です。

正しい熱中症予防策とは?

熱中症を予防するにはどうすればよいでしょうか。

上手に汗をかくことができる人は、水分補給をすることで熱中症を予防できます。
若い人や、体力のある人は、比較的上手に汗をかけます。

汗をかきにくい人は、お年寄りや体力のない方に多いようです。
まさに、熱中症になりやすいと言われている方々ですね。

では、どうすれば汗をかけるようになるのでしょうか。

答えは、筋肉をつけてミトコンドリアを増やすことです。

どうして筋肉をつけてミトコンドリアが増えると汗がかけるようになるかは、とても難しいので別の機会にお話ししましょう。

ミトコンドリアについては、こちらをご覧ください。
⇒ミトコンドリアの数で若さが決まる

うまく汗をかけない人の熱中症予防策は

高齢者など、筋肉が少ない方は、体の中に水分があってもうまく汗をかけないために熱中症になる危険があります。
このような方が熱中症にならないためには、体温が高くなるような環境に、長くいないようにすることが肝心です

特に高齢者は、部屋の温度が高くなっていることに気付かない場合がありますので、室温と湿度をまめにチェックして、温度は28度以下、湿度は50~60%を超えないように、エアコンを使いましょう。

「熱中症対策に経口補水液」に異議あり!

熱中症対策にOS-1(オーエスワン)のような経口補水液が盛んに勧められていますね。
あたかも、経口補水液を飲み続けていれば熱中症にならないかのような印象を受けます。

が、正確には
「熱中症で少しでも脱水症状が見られたら経口補水液」
「暑いところに行ったり、沢山汗をかくスポーツをするような状況で脱水する可能性がある場合に予防的に経口補水液」
と言わなければいけません。

脱水するリスクの少ない生活をしている場合は、夏だからと言って経口補水液を飲み続ける必要はありません。

普通の生活をしていて(激しい運動をしないで)汗をかくだけならば、お水で十分、脱水は予防できます。


ただの水というのも味気ないので、我が家では、レモンミント水を常備しています。

朝、レモンジュースを作ったあとのミキサーに、ミントと水を入れて、もう一度回します。

レモンミント水より、もう少し味の濃い飲み物がほしいというときには、フルーツジュースに比べて糖質の低い、トマト水はいかがでしょうか。

【材料】
  • トマト   小1個(約100g)
  • 水+氷  700mL
  • お好みでバジル 1/3枚
  • 汗をかいたなと思ったら、塩  1g (塩は、小さじ1=6g なので、1gは小さじ1/6)

経口補水液での塩分の摂りすぎに注意

経口補水液は、水分を効率よく吸収できるように、グルコース(ブドウ糖)と塩分を含んでいるため、1日中飲むには糖分も塩分も高すぎます。

参考までに、厚生労働省が定める日本人のナトリウム(食塩相当量)の目標量は、
  • 男性8.0g/日(ナトリウムとして3144mg)未満
  • 女性7.0g/日(ナトリウムとして2751mg)未満
です。

食塩1gには、ナトリウムが約393mg含まれています。

OS-1には100mL中に115mgのナトリウムが含まれているので、500mL(ペットボトル1本)飲むと、575mgのナトリウムを摂取することになります。

飲み物からの1日の水分摂取量は、少なくとも1500mLとされています。
これをOS-1にすべて置き換えて、ペットボトル3本(1500mL)飲んだとすると、
575mg×3=1725mg
のナトリウム摂取。

1日の目標値の半分強です。
食事などでもナトリウムは摂取されるので、目標値を超えてしまう可能性があります。

塩飴もNG

暑くなると、よくレジの周りにおかれる塩飴
これは糖質の塊です。

塩の辛さを甘さでマスクして美味しくしています。
ですから、飴とほぼ同じ量の角砂糖をなめているのと変わらない糖質を摂ることになります。

一見、健康に良いようなコピーがかかれているパッケージをよく見かけますが、塩分(塩、NaCl、ナトリウムなどの表示)の量と、糖質の量を確かめたうえで買うようにしましょう。

脱水状態になったら経口補水液!

経口補水液が適しているのは、
  • 感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態
  • 高齢者の経口摂取不足による脱水状態
  • 過度の発汗による脱水状態
どれも、普通の健康状態ではなくなってしまったときです。

経口補水液は、自宅でも簡単に作れます。

【材料】  
  •  500 mL
  • 1.5g (小さじ3/10)
  • 砂糖 20g (大さじ2と1/5)
※ミネラルを含む水で作れば、ミネラルも摂取できます。

経口補水液が良いと言われる理由は正しい??

小腸から体内に水分を吸収するには、ブドウ糖とナトリウムイオン(Na+)が不可欠です。

経口補水液を勧める理由として、

「ブドウ糖とナトリウムイオンは、1:1の割合で取り込まれるので、1:1の割合で含まれる経口補水液を飲むと、最も効率よく水分を吸収することができる」

と、メーカーは言っています。

しかし、実際には、ブドウ糖とナトリウムイオンが含まれてさえいれば、小腸はブドウ糖とナトリウムイオンを1:1の割合で水とともに拾い上げて吸収するので、元の飲料水に含まれる割合は問題になりません。

つまり、ブドウ糖とナトリウムイオンがある程度入っていれば、厳密に1:1でなくても構わないということです。

ということで、安く簡単にできる経口補水液もどきのレシピをご紹介します。

経口補水液もどき

【材料】
  • ポカリスエット 500mL 
  • 水        500mL 
  • 塩        3g

〈参考〉小腸で水分を吸収する仕組み

小腸の吸収のシステムについては、少々、専門的なお話になります。
興味のある方はご覧ください。
エネルギーが必要なトランスポーター:SGLT1 Na+/K+ポンプ エネルギーを使わないトランスポーター:GLUT2 アクアポリン   Na+とブドウ糖濃度が適切な経口補水液を飲むと、この SGLT1が働き、Na+とブドウ糖が小腸の壁の細胞の中に移動します。⇒①  小腸の壁の細胞に入ったブドウ糖は、今度はGLUT2というトランスポーターで小腸の壁を囲んでいる血管の中へ移動します(⇒②)。  ブドウ糖と一緒に小腸の壁に入ってきたNa+は、Na+/K+ポンプ(ナトリウムイオン カリウムイオン ポンプ)というトランスポーターで、血液中のカリウムイオン(K+)と入れかわる形で血管の中に出ていきます(⇒③)。  Na+とブドウ糖が血液中に入ると、小腸の中と小腸を囲む血管の中とで浸透圧に差ができます。 (血管の中、つまり血液のほうが、小腸の中より浸透圧が高くなります。)  体の反応は、この浸透圧の差を元に戻す方向に進みます。  ここで、もう一度、腸肝の壁をみてみましょう。 腸管の壁の細胞には、水を取り込むアクアポリンというトランスポーターがたくさん存在しています。  腸管の中と血液と間にできた浸透圧の差の分、水はアクアポリンを通って腸管の膜を通過し、血液の中へ入っていきます。(⇒④)  このようにして、経口補水液に含まれるブドウ糖とナトリウムと水は、血液中に入り、全身に送られます。イラスト 画像 糖尿病

食塩は、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)が化合してできています。

小腸には、ナトリウムイオン(Na+)ブドウ糖(グルコース)の両方が存在すると働くSGLT1というトランスポーターがあります。

トランスポーターというのは、細胞膜の外から中に特定の物質を汲み入れたり、中から外に特定の物質を汲み出したりするポンプのようなものです。
トランスポーターには、働くのにATPというエネルギーが必要なものと、エネルギーを使わないで働くものがあります。
ここでは、次の4種類のトランスポーターが登場します。
  • エネルギーが必要なトランスポーター:SGLT1 Na+/K+ポンプ
  • エネルギーを使わないトランスポーター:GLUT2 アクアポリン
Na+ブドウ糖濃度が適切な経口補水液を飲むと、この SGLT1が働きます。
SGLT1は、エネルギー(ATP)を使ってNa+を小腸の壁の細胞の中に取り込み、流れを引き起こすことで一緒にブドウ糖も引き込みます。⇒①

小腸の壁の細胞に入ったブドウ糖は、今度はGLUT2というトランスポーターで小腸の壁を囲んでいる血管の中へ移動します(⇒②)

ブドウ糖と一緒に小腸の壁に入ってきたNa+は、Na+/K+ポンプ(ナトリウムイオン カリウムイオン ポンプ)というトランスポーターで、血液中のカリウムイオン(K+)と入れかわる形で血管の中に出ていきます(⇒③)

Na+ブドウ糖が血液中に入ると、小腸の中と小腸を囲む血管の中とで浸透圧に差ができます。
(血管の中、つまり血液のほうが、小腸の中より浸透圧が高くなります。)

体の反応は、この浸透圧の差を元に戻す方向に進みます

ここで、もう一度、腸管の壁をみてみましょう。
腸管の壁の細胞には、を取り込むアクアポリンというトランスポーターがたくさん存在しています。

腸管の中と血液との間にできた浸透圧の差の分、アクアポリンを通って腸管の膜を通過し、血液の中へ入っていきます。(⇒④)

このようにして、経口補水液に含まれるブドウ糖ナトリウムは血液中に入り、全身に送られます。

ここで気が付くことがあります。
  • ブドウ糖=糖尿病の原因
  • ナトリウム=高血圧の原因
  • =むくみの原因=高血圧の原因
ブドウ糖ナトリウムも、摂りすぎてはいけないとされているものの代表格です。

昔は、塩も砂糖も貴重品でした。
これらを摂ることが難しい環境だったために、わざわざ取り込むためのトランスポーターができ、現在は過剰摂取によって病気を引き起こすことになったのでしょう。

健康な人が経口補水液を常飲することがいかに無駄なことかがお分かりいただけると思います。

個人的には経口補水液よりお勧め アミノ酸スープ

経口補水液 だし汁 
アミノ酸スープ レシピはこちら

脱水で身体がだるいときには、アミノ酸スープをお試しください。
経口補水液より、格段においしいです。

OS-1に含まれるアミノ酸は、グルタミン酸ナトリウムだけですが、アミノ酸スープには、30種以上のアミノ酸が含まれています。
旨み成分として有名なイノシン酸も含まれます。

ビタミンやミネラルも、OS-1よりたくさんの種類が含まれています。

経口補水液がいいというけれど

「脱水には経口補水液」といってきましたが、ここにも重要な落とし穴があります。

原因が熱中症であっても下痢や嘔吐であっても、脱水状態になってしまったら、口からの水分・電解質の補給では間に合わないことが多いです。
特に、重症な下痢や嘔吐の時には口から水分をとっても吸収できません。

このようなときには、経口補水液を買いに走るのではなく、病院に行って点滴してください。

2016年8月6日土曜日

主食の罠

主食をたくさん食べると、やっぱり太るようですね。

面白い調査結果を報道で知りました。

『主食の重ね食べ』は肥満のもと

大阪府健康医療部が2016年8月2日に発表した、大阪版健康・栄養調査結果(速報版)によると、男女とも 4 人に 1 人が、1 日 1 食以上、主食の重ね食べ、をしているということです。

具体的には、
  • お好み焼き+ごはん
  • うどん+かやくごはん
  • ラーメン+チャーハン
  • そば+どんぶりもの
などの組み合わせでしょうね。
週に1食以上、「主食の重ね食べ」をしている人の割合をBMI(体格指数)別にみると、肥満の人は63.9%で、普通(51.6%)、やせ(44.6%)の人より高かったったということです。

この調査は2015年11-12月、18歳以上の大阪府民1858人から回答を得たものです。
大阪版健康・栄養調査結果(速報版)

News Up 「重ね食べ」は肥満の元?

調査報告書には、『主食の重ね食べは「太りそうだ」と思う人が男女とも多く、特に女性はどの世代も多い傾向だった』との記述もありました。
主食好きの人は、わかっているのについやってしまう。ということでしょうか?

これには仕組みがあります。
主食の白米や精製された小麦粉などは、糖質が多く含まれているので、余計におなかが空いてしまうのでしたね。
⇒糖質は食欲を増進させる

白米の食べすぎが糖尿病の原因に?

実は、白米の過食がアジア地域(日本人と中国人)の2型糖尿病の主な原因であることは、明らかになっています。

この研究では、メタアナリシスという解析方法で、7つの前向き観察研究(プロスペクティブコーホート研究)を解析対象として、
  • 228,869人のアメリカ人とオーストラリア人
  • 123,479人の日本人と中国人
を4-22年間観察した食事内容と2型糖尿病発病割合などの結果を比較しました。

解析結果は、
  1. 日本人と中国人で白米の摂取量が多かったグループは、少なかったグループに比べて、 55% 2型糖尿病になりやすかった[相対危険度1.55 (95%信頼区間1.20-2.01)] 
  2. アメリカ人とオーストラリア人で 白米の摂取量が多かったグループは、少なかったグループに比べて12% 2型糖尿病になりやすかった[相対危険度1.12(95%信頼区間 0.94-1.33)]
  3. 1の結果と2の結果を統計学的に解析すると、同じ量の白米を摂取した場合、アメリカ人とオーストラリア人に比べて、日本人と中国人のほうが糖尿病になりやすいと判断できる。
  4. 白米の摂取量が多ければ多いほど2型糖尿病の発病リスクは高まった(線形相関あり)。
  5. 2型糖尿病の発病リスクは、およそ1日600g(ご飯4杯)の摂取で、まったく白米を摂らない場合に比べて約50%上昇すると推算された。
いかがでしょう?

白米、うどん、パンなど、精製度が高く、エネルギーの密度が高い食品はやはりほどほどにしないと危険ですね。

日本独特の「主食」という奇妙な考え方

エバーグリーン研究室では、我々日本人が陥っている最悪の食習慣が「主食」を摂るということにあると考えます。

「主食」について調べるとわかりますが、「主食」の概念は先進国では日本以外ではまず見当たりません。
欧米人もパンやパスタは食べますが、それが「主食」になることはありません。
中国人も、南の地域では白米を多く食べるようですが、あえて「主食」といえば餃子のようです。
つまり、他の国の人々も、高エネルギー密度のデンプンを食べてはいますが、その量と割合が日本人ほど高くないということです。

「主食」は、英訳すればメインディッシュになります。
日本人の多くが、ご飯やうどんがメインディッシュということです。

外国人がこれを聞くととても驚きます。
多くの外国の料理のメインディッシュは,
肉や魚などのタンパク質が豊富な料理です。

日本人は、もともと狩猟採取による肉食中心の雑食であったのが、農業振興と租税の目的で律令時代のころから始まった肉食禁止令などによって、次第に米中心の食生活となり、江戸時代には通貨の代わりになるまでになりました。
元禄時代に精米技術の普及によって、庶民も白米を食べるようになると、脚気=「江戸患い」が出現しました。

その後も、農業保護の政策から、米を中心とした「主食」の考え方は日本に蔓延しています。
明治期にも海軍軍医の高木兼寛が海軍で多くの死者を出していた脚気の原因を白米中心の食事であることを発見して、海軍の食事内容を改めたことは有名です。

脚気の直接の原因はビタミンB1不足です。
精米によって白米にすることで、玄米に含まれていたビタミンB1は失われコメの栄養価が変わってしまうわけです。
そして、白米のご飯(主食)と漬物といった栄養価の足りない食事スタイルで脚気が起こっていたのです。
ちなみに脚気による死亡者数は、1923(大正12)年の26,796人がピークだそうです。

昭和に入っても1975年に日本神経学会で脚気の症例が全国各地から報告されて、学会がざわめいたことがあるそうです。
このころは、ちょうど高度成長期で豊かになるとともに、白米中心の食事に加え、インスタント食品や外食などの機会が増えてきたからと思われます。

もちろん医療技術の進歩も影響しているのでしょうが、日本人の平均寿命の延長は高度成長期から始まった、コメの消費量の減少に比例しています。

また、戦前までは小さかった日本人の体格が、戦後急速に大きくなったのも、食事に占める炭水化物の割合が少なくなり、タンパク質の摂取割合が増えたためと思われます。

日本の栄養学と栄養食品の問題点

日本の栄養学はあまり進歩していないようです。
PFCバランスなどと呼ばれる、1日のエネルギーの13~20%はタンパク質、20~30%は脂肪で、50~65%は炭水化物(でんぷん・糖質、食物繊維、アルコールも含む)で摂りなさいという、炭水化物が多過ぎる食事指導を行っているのが実情です。

ここにも、「主食」の考えが影響していると思われます。
「主食」の考えを改めない限り、日本食が健康食とは言えないでしょう。

日本の栄養学の問題点は、食事に含まれる栄養素の割合や熱量にばかり着目して、各食品の消化・吸収を含めたエネルギー密度・効率という視野が乏しいことと考えます。
日本の栄養学の問題点は、食事に含まれる栄養素の割合や熱量にばかり着目して、各食品の消化・吸収を含めたエネルギー密度・効率という視野が乏しい バナナジュース イラスト 

例えば、同じ量の糖質を含む食品であっても、バナナをミキサーでジュースにした飲み物のほうが、固形のバナナよりもエネルギー密度が高くなり、消化・吸収効率が良いことは、実験しなくても論理的に直観できます。

安直なキャッチの商品に注意

「食べられないなら飲めばいい」などという安直なキャッチコピーで、栄養バランスが取れているとする流動食を宣伝している食品・製薬メーカーもありますが、あのような商品を一般向けに開発する意図がわかりません。

その商品は、1パケージで200kcal/125mL(1mL当たり1.6kcal)のエネルギーだそうですが、125mLなら一気に飲めるでしょう。
200kcal(おにぎり1個強のエネルギー、糖質29.3g!角砂糖7.3個分に相当)を一飲みで摂るなんて恐ろしいことです。
仮に一食の摂取カロリーを800kcalとしても、通常の調理での、固形物の多い、のど越しの良くない、よく噛む必要のある食事では、早く食べても30分はかけているはずです。

明治 メイバランス イラストこのような商品を飲むと、唾液の分泌は少なく、胃を素通りして、膵臓がびっくりして膵アミラーゼを盛んに分泌させて膵臓に負担をかけ、急速に小腸から栄養が吸収され、血糖値の急上昇とインスリンの過剰分泌の恐れがあると思います。

ちなみに、この商品と同じグループに分類される液体半消化態栄養剤の医薬品の用法では1時間に50-100mLの速度で投与するとなっています。

※液体半消化態栄養剤:口から食べられなくなってしまった人が固形の食事の代わりに摂取する医薬品

この医薬品の液体半消化態栄養剤は、各栄養成分の組成と配合量は異なりますが、エネルギーは1mL当たり1.5kcalと上の商品と同様です。

一般に販売されている流動食のように飲む食品はこれ以外にもありますが、忙しいからと言ってこのような食品を使用しないことをお勧めします。

第一、栄養学などで食品のエネルギー換算に用いる、食品の物理的燃焼熱を基にしたアトウォーター換算係数には、問題点が多すぎます。

※ アトウォーター換算係数:食品のカロリーを計算する際に用いる係数。
食品を燃やして生じる熱量(燃焼熱)から,それを摂取した場合に糞に排泄される部分の燃焼熱と、尿に排泄される部分の燃焼熱を差し引いて求める。
炭水化物とタンパク質は1gを4kcal、脂質は1gを9kcalとする。

栄養学が、この問題点を認識できていないはずがありません。
学問として、なぜ率先して改善しないのか理解できません。
栄養学は、農業・畜産業をはじめ食品業界、外食産業などの利権が関係しやすい学問領域ですが、もう少し進歩していただきたいものです。


バランスのよい食事 20のポイント

バランス良い食事が大切とは、栄養士による栄養指導の決まり文句ですが、具体性に欠けます。

それよりも、
  1. 主な食品の主要な栄養成分を覚えておく
  2. 一種類の食品や1つの栄養素を含むものをたくさん食べすぎない
  3. いろいろな食材を用いて食事をする
  4. 動物にとってはタンパク質が最も重要な栄養素
  5. 濃い味付けを避け、薄味に慣れる(塩分を控える)
  6. 同じ調理法のものを食べすぎない(揚げ物、炒め物ばかりなど)
  7. スムージーや粥、餅など極端に粉砕・加熱・加工調理したものは控えめに
  8. のど越しの良い食物(カレーなどルーのかかったもの、あんかけの丼もの・麺、汁の多い丼もの、汁かけ飯、麺類、噛まなくて済む柔らかい食物、流動食)を食べすぎない
  9. 加工食品を食べすぎない
  10. 糖質を摂るときは食物繊維(野菜)を一緒に食べる
  11. 美味しいものは習慣性・依存性があるので嗜好品と考える
  12. 塩+砂糖+油脂の多い味付けが習慣性・依存性をもたらす
  13. 美味しい(甘い)飲み物は飲まない(子供には水!)
  14. 早食いしない(1口で30回は噛んで、食物に唾液を良く絡めてから飲み込む)
  15. 大食いしない
  16. 保存食を買い置きしない
  17. 外食を控える
  18. 食べ放題は危険
  19. 満腹を感じたら食べない。無理して食べない
  20. 食べること以外の楽しみを持つ
を心掛けると良いと思います。
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