いきいき!エバーグリーンラブ: ナトリウム(塩分)
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2015年4月2日木曜日

エナジードリンクは飲んでもOK?

ファイト!一発!!のリポビタンDに代表されるいわゆるエナジー(エネルギー)ドリンク(ドリンク剤、栄養剤)の飲みすぎで、健康に危険があると言われています。

日本人やアジア人は特に、エナジードリンクの愛飲者が多いようです。

エナジードリンクって?

エナジードリンクの定義はあいまいですが、肉体疲労時の栄養補給のための商品ということです。

リポビタンDのように、効能として、肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患などの場合の栄養補給、滋養強壮、虚弱体質などと表示できる商品は、第2類医薬品、第3類医薬品、医薬部外品(指定医薬部外品)などの指定を厚生労働省から受けていて、薬事法の規制下の製品です。

そのほか、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)としての製品もあるようです。
保健機能食品は認可された効能効果を表示てきます。

元気になりそうで、健康に良さげなイメージで売っているその他の商品は清涼飲料水、炭酸飲料として発売されいて、効能効果を表示できません。

海外でエナジードリンクが問題視された理由

エナジードリンクの問題がクローズアップされたのは、海外、特にアメリカで、カフェイン入りのエナジードリンクを小児や就学児が飲んで、健康被害にあった事例が複数出てきたためです。
アメリカ医師会は、小児や10歳代の青少年への販売を禁止するべきだと表明しました。

各国政府も、エナジードリンクへの規制や課税を強めていて、リトアニアでは未成年者へのエナジードリンク販売を禁止する法律が成立しています。

エナジードリンクに含まれる成分の中で危険性を懸念されている成分は、カフェインです。

カフェインには、中枢神経(脳)を興奮させることから、覚醒作用、強心作用、利尿作用などがあり、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲料を飲むと体がシャキッとした気がします。
カフェインの副作用としては、動悸(心臓がバクバクする)、めまい、不眠などがあります。

エナジードリンクの成分

では、実際に売られている代表的なエナジードリンクの成分を見てみましょう。

エナジードリンク, エネルギードリンク, カフェイン, 習慣性, 耐性, 糖質, 糖質量, ナトリウム(塩分),
主なエナジードリンクの成分(組成)

いかがですか?
相当量のカフェインが入っている製品もあるようですね。
ちなみに、レッドブルは、100mL中32mgがカフェインなので、1缶250mLで80mgのカフェイン入りとなります。
参考に、レギュラーコーヒーにどのくらいのカフェインが含まれるかというと、250mLで90mgほどです。

調べた中で、一番カフェイン量が多いレッドブルでも、コーヒー1杯と変わらない…なら、安心だ…とはいかないようです。
これらのドリンクを常用される方の飲み方の中には、疲れているからと言って複数のエナジードリンクを1日に何度も飲んだり、薬局やドラッグストアなどで買い置きしたドリンク剤、栄養剤を2本まとめてグイッ!といく人もいるようです。
1回に飲むカフェイン量がコーヒー以下でも、1日に摂る量が多ければ、副作用が出ても不思議ではありません。

それに、コーヒーなどは、カフェイン飲料を飲んでいる自覚があり、何杯も飲んではいけないと自制が働きます。
一方、エナジードリンクは「元気になる」というメーカーのイメージ戦略に乗せられて身体に良いと思い込み、内容成分を気にして飲んでいる人は少ないようです。
医薬品なら、副作用を警戒しますが、エナジードリンクのお気軽さが、健康被害を引き寄せている気がします。

もう少し知っていただきたいのが、カフェインの習慣性と耐性です。
繰り返しカフェインをとっていると、カフェインなしではいられなくなり(習慣性)、また、カフェインの作用を得るために量がどんどん増えていってしまうのです(耐性)。
これは、アルコールと似ています。

私もそうですが、朝起きぬけのコーヒーが習慣化しているのも、カフェインの習慣性によるものでしょう。

エナジードリンクによる健康被害には、カフェインの習慣性と耐性も一役買っているでしょう。
また、エナジードリンクのメーカーも、これを利用して、リピーターを獲得しようとしているわけです。
消費者が自社製品に習慣化してくれれば、濡れ手に粟というところでしょうね。

エナジードリンクの糖質

さて、もう一度表をご覧ください。

エナジードリンクの成分には体によさげなビタミンなども入っていますが、カフェインのほかに注目すべきは糖質です。

どの製品もおおよそ100mL中10gほどの糖質が含まれています。

デカビタCは100mL中糖質(炭水化物)は13.2gですから、250mL瓶1本でなんと33g!
角砂糖にすれば8.25個です!!

エナジードリンク, エネルギードリンク, カフェイン, 習慣性, 耐性, 糖質, 糖質量, ナトリウム(塩分), 指定医薬部外品のリポビタンDですら、100mL中19gが糖質(白糖:砂糖=ブドウ糖+果糖)ですから、1本で、角砂糖4.75個です!!

コーヒーにお砂糖を入れて飲む人もいるでしょうが、角砂糖5個も8個も入れますか!

糖質制限していなくても、これらの飲み物の糖質には十分ご注意あれ。

最後に、減塩中の人では、ナトリウムの量も気になりますね。
エナジードリンクのナトリウムの量も、食塩に換算すればそれほど多くはありませんが、ちりも積もれば何とかです。

エナジードリンクに限らず、加工された食品や製品を購入すとるときは、せめて内容表示をよく見て、内容をよく吟味してから、納得して利用しましょう。

こんなにカフェインや糖が入っているなんて知らなかった…、とならないように…。

2015年1月3日土曜日

レシピ*胃腸炎にアミノ酸スープ


半年くらい前のこと。
どうも朝から胃の調子が悪い日がありました。
胃腸はめっぽう逞しく、具合が悪くなることは珍しいので、「昨日、そんなに飲んでないのに」と不思議に思っていたところ、午後になって、今度はおなかが痛くなってきました。

普段は便秘がひどくて困っているので、まあいいか、と思ったのですが、時間がたっても腹痛は治まりません。
トイレに行くと、その時は治るのですが、またすぐに痛くなるので、どこにも出かけられません。
でも、食欲はあったので、普通に食事をして早く寝ました。

かつお いわし あじ ぶり グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし 水分がとれない おなかをこわす 気分が悪くて吐き続ける子どもにどうやって水分をとらせる 気持ち悪くて起きられない高齢者 翌朝も普通に起きて、普通に朝ご飯を食べて・・・そこまでは普通でした。
が、10:00頃になって突然、吐き気とひどい腹痛に襲われたのです。
どうやら、ウイルス感染症による胃腸炎のようでした。
起き上がることも出来なくなって、水分を摂っても、たちまち、下から出ていく状態。
そのうち、冷や汗が出てきて、呼吸まで苦しくなってきました。
脱水状態による軽いショック症状だったのですね。

心臓がばくばくした状態は、1時間くらいじっとしていてようやく治まりました。

そのあと、飲んだのがアミノ酸スープです。
空っぽの胃と腸に優しくしみ込んでいくのがわかりました。
そして、みるみる力が出てきたのです。

なんて書くと、怪しいCMのようですね。
でも、全然怪しいものではありません。
単純明快、アミノ酸スープは誰でも知っているだし汁です。
いろいろな病気で吐いたり、下痢したりして、水分や栄養を補給しにくい時の特効食といえます。
具は入れないほうが胃腸にやさしいです。

アミノ酸スープの作り方

カツオ ブリ アジ イワシ グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし
【材料】(1人分)
  • 削り節(かつお、ぶり、いわし、あじ) 合計20g
  • 昆布    5cm×10cm 1枚
  • 日本酒(純米酒)   大さじ3
  • 塩    ひとつまみ
  • 醤油   小さじ1.5
  • 水    カップ2
かつお いわし あじ ぶり グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし【作り方】
  1. 水2カップに昆布を1枚、30分以上浸す
  2. 1を火にかけ、沸騰する寸前に昆布を取り出す
  3. 2が沸騰したところに、削り節20gを入れ、火を止める
  4. 2~3分経ったら、削り節をこす
  5. 鍋に日本酒を入れてアルコールを飛ばす
  6. 4のこしただし汁を5の鍋に戻し入れて火にかけ、醤油、塩で味付けする

グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし

削り節

使っているのは、はなかつおヤマヒデの業務用だし
ヤマビデの業務用だしの原材料は、「さばのふし、いわしの煮干し、むろあじのふし」と書かれています。

このように、4種類の魚の削り節を使うのには訳があります。
魚によって、含まれるアミノ酸が異なるためです。
細かい分析をした研究者がいて、結果が報告されていますので、詳細はこちらをご覧ください。


削り節、特に鰹節にはイノシン酸が豊富に含まれています。
イノシン酸は、細胞のエネルギー源となるATPの原料です。

感染症や病気になると、細胞がイノシン酸(イノシン一リン酸)を作り出すことができにくくなるので、エネルギー源であるATPが減ってしまい、細胞の元気がなくなると考えられます。

アミノ酸スープはこの点に効果的と考えられます。

ただし、突然具合が悪くなったときに何種類も削り節が揃えられなければ、鰹節だけでもOKです。

昆布

昆布にはグルタミン酸が豊富に含まれます。
昆布のグルタミン酸と、削り節のイノシン酸がそろうと、ヒトにはとてもおいしいと感じられるようです。

アミノ酸スープは経口補水液と何が違う?

脱水症状にOS-1のような経口補水液が勧められていますね。
この経口補水液にはいろいろ誤解があるようですが、それは別の機会に。

脱水症状に対して経口補水液の代わりにお勧めしたいのが、アミノ酸スープです。
OS-1よりずっと体に浸み込んでいくような気がします。

それに、OS-1より圧倒的においしい!

OS-1に含まれる成分は、下記の通り。
  • 糖類(ブドウ糖、果糖、コーンシロップ)
  • 食塩
  • 乳酸ナトリウム
  • 塩化カリウム
  • 乳酸
  • 硫酸マグネシウム
  • リン酸ナトリウム
  • グルタミン酸ナトリウム
  • 香料(一部にオレンジ由来の成分を含む)
  • 甘味料(スクラロース)

これらの中で、アミノ酸は、グルタミン酸ナトリウムだけです。
アミノ酸スープには、30種以上のアミノ酸が含まれています。
旨み成分として有名なイノシン酸も含まれます。
イノシン酸はアミノ酸の仲間ではなくて、核酸系の旨みで、うまみ調味料としても利用されます。

もちろん、ビタミンやミネラルも、OS-1よりたくさんの種類が含まれています。

カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラルは、微量なのですが、体にとってなくてはならないものです。
たとえば熱中症では、汗をたくさんかいてしまうので、ナトリウムなどのミネラルが欠乏しがちです。

でも、ミネラルは、それだけでは、小腸から十分には吸収されません。
ミネラルは、アミノ酸やグルコース(ブドウ糖)と一緒に摂取することで効率よく吸収されます。

OS-1も、そのことを考えて、ミネラルを吸収しやすいように糖類や、グルタミン酸ナトリウムや、乳酸などの、アミノ酸の仲間を配合しているようですね。

でも、自然の素材を使ったこのアミノ酸スープは、さらにきめ細かいレシピになっています。
削り節にはたっぷりのアミノ酸、お酒には十分な糖類が入っています。
これらが、昆布と削り節の中の豊富なミネラルがしっかり吸収される手助けをしてくれるのです。

アミノ酸がお腹に優しい理由

では、アミノ酸は、なぜ、弱った胃腸に優しいのでしょうか?

アミノ酸は、タンパク質を構成する成分です。
タンパク質は、色々な種類のアミノ酸が立体的に連なった形をしています。
胃の消化酵素ペプシンや、膵液の中のトリプシン、キモトリプシン、ペプチダーゼ類でタンパク質が分解され、アミノ酸になって、小腸から吸収されます。

はじめからアミノ酸の形をしていれば、胃や膵臓に負担をかけずに、吸収することができます。

削り節では、発酵によって魚を構成するタンパク質がアミノ酸に分解されています。
ですから、これを煮出すことで、ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシンをはじめとする、多くの種類のアミノ酸を抽出できます。
これらは、みんな何の消化酵素の助けも借りずに、消化管から吸収されるのですね。

ノロウイルス、ロタウイルス・・・感染性の胃腸炎にもアミノ酸スープ

なんだか理由のわからない胃腸炎ばかりでなく、細菌やウイルスの感染による胃腸炎のときにも、アミノ酸スープは活躍します。

病気に関するメディア情報を見ていると、「お腹を壊して嘔吐や下痢が続くときには水分補給を」といわれていますね。
でも、本当に何を食べてもすぐ吐き戻したり、下痢してしまうようなときは、胃腸に負担をかけてしまう分だけ、無理やり水分を摂るのはかえってよくありません。

もう少し待って、ちょっと口にできそうかな、と思ったくらいの時に飲むようにしてください。


熱中症にもアミノ酸スープ

アミノ酸スープは、熱中症対策にも有効です。

熱中症には冷たいものを飲んで体を冷やすのがいいと思われがちですが、それは間違いです。
体温以下の飲み物や食べ物は、胃で体温まで温まってから、はじめて、腸に送られます。
冷たいものは、そのままでは吸収されません。

ですから、いくら暑くても、冷たいものを多く摂るとかえって体力を消耗します。
覚えておくと、役に立ちますね。

夏バテしたなと思ったら、温かいアミノ酸スープを、ゆっくり飲んでみてください。
きっと、身体が喜んでくれます。

二日酔いにもアミノ酸スープ

アミノ酸スープの応用編「とき玉アミノ酸スープ」
レシピはこちら
二日酔いで気持ちが悪いときも、アミノ酸スープが活躍します。
脱水症状を改善することで効果を示しますので、たくさん飲むのがよいです。

また、二日酔いの状態では、肝臓が疲れているので、アミノ酸をたっぷり補給してあげれば肝臓の回復が早まります。

もし、飲みすぎて起きられないあなたに、愛情をこめてアミノ酸スープを作ってくれる人がいれば、お願いしてみてください。

二日酔いについては糖質制限で二日酔いから解放?をご覧ください。


2014年7月9日水曜日

むくみの原因(メカニズム)

みやざきちかし ミヤザキチカシ
立ち仕事などで、夕方になると足がむくんで靴がきついとか、靴下の跡がつくとか、手の指が腫れて指輪抜きにくくなるなど、お悩みの方も多いと思います。

むくみですよね。

今日はむくみのメカニズムについてみてみましょう。 
むくみ(浮腫)は、細胞と細胞の間の水分が、多くなりすぎた状態です。
細胞と細胞の間を満たしている水分を「細胞間液」「組織液」「間質液」などと呼びますが、呼び方が違うだけで同じ意味です。
細胞と細胞の間を満たしている液体ですから「細胞間液」がわかりやすいので、この言葉を使って説明します。

血管とリンパ管

下の絵で、赤から青へ色が連続しているパイプが血管(動脈~静脈)です。
血管は体の隅に行くほど細くなり、やがて動脈から静脈となり、また太くなっていきます。
すみれ色のパイプはリンパ管です。
リンパ管は、体の隅々に通じていて、リンパ節に向かってリンパ液を送っています。

下の絵は、血管がもっとも細くなる体の隅ずみの部分、いわゆる末梢の細胞の集まり(組織)での模式図です。
末梢組織では、細胞たちが、血管(動脈)に乗って流れてきた、酸素、水(H2O)、栄養素の供給を受けます。
静脈とリンパ管は、余分な細胞間液や、細胞が出す老廃物を運んでくれる役目があります。
水、栄養素はとても小さく、血管の中で液体成分である血漿(けっしょうと読みます)に溶け込んでいます。

動脈から、酸素、水、栄養素が細胞に配られて、一方、細胞から出るいらない老廃物を静脈やリンパ管が送り出すためには、血漿と細胞間液のやり取りが欠かせません。
末梢組織を通る毛細血管には、大きな穴が開いていて、赤血球が運んできた酸素や、血漿中の水、栄養素など小さな物質を自由に通します。
末梢組織では、血漿が細胞間液となり、細胞間液が血漿となり、どちらも、ほぼ自由に行き来しているといえます。

下の絵ではその様子を矢印と点線の矢印で表しています。

ムクミ(フシュ)

ムクミ(フシュ)
むくみ(浮腫)のメカニズム

むくんだ状態ってどういうこと?

絵の上の青い点線で囲まれた部分は、むくんでいない正常な組織です。
下のオレンジで囲まれた部分がむくんだ状態です。

正常組織では、血漿と細胞間液のやり取りは盛んで、余分な細胞間液は、細胞の出す老廃物や、死んだ細胞の残りかすなどもリンパ管に吸収されて、これらの働きで、一定の体積(図では面積)を保たれています。
でも、むくんだ組織では血管に細胞間液が戻っていかず、細胞間にとどまってしまっています。
また、余分な老廃物などが細胞間液とともにリンパ管に吸収されず、これが原因で、オレンジの点線で囲まれた体積は青い点線で囲まれた体積より大きくなります。
体積が大きくなる、つまり普通より膨らむ、これがむくみのメカニズムです。

ちなみに、すべての体液で体重の60%を占めていて、細胞間液は体重の15%、血漿は5%の割合です。
また、細胞の中の体液=細胞内液の体重に対する割合は40%です。


ではなぜ、健康な人でもむくむのでしょう

注目は、緑色の点であらわした、アルブミンというタンパク質と、すみれ色であらわしたリンパ管です。
アルブミンは肝臓で作られて、血液に乗って体中を回っているタンパク質です。
いろいろな働きがありますが、もっとも大事なのは、末梢組織で、血漿と細胞間液のやり取りを調節する働きです。

血漿の中の小さい物質は毛細血管を通り抜けられますが、アルブミンは大きなタンパク質なので、ほとんど通り抜けられません。
この血液中のアルブミンが浸透圧を調節しているのです。

青い点線で囲まれた、正常な組織の血管には、緑の点のアルブミンがたくさんあります。
血管内の濃度が細胞間液に比べて高い状態です(浸透圧が高い状態)。

でも、オレンジの点線で囲まれたむくみの組織の血管では、アルブミンが少なくなっていて、細胞間液とあまり変わりません(浸透圧に差がない状態)。

物理法則として、濃度は一定になりたがるので、正常組織のように血管の中と細胞間の濃度に差があり、血管内の浸透圧が細胞間より高い場合は、血漿(血管の中)から細胞間液に移動した液体が、再び、血管に戻ろうとします。

ですので、正常な組織では、いったん血漿から細胞間液として出たものの9割は、再び血漿として回収されるため、むくむことはないのです。

では、むくんでいるのはどういう状態なのでしょうか。
むくみの場合は、血管の中と細胞間の濃度に差がないか、細胞間の浸透圧のほうが高い状態。
濃度に差がない場合は血漿から細胞間液に移動した液体が、再び、血管に戻れず、細胞間に留まってしまうのです。

細胞間液の浸透圧のほうが高い状態では、血管内の水分を細胞間液に引き寄せ、むくみがさらに進みます。

また、血漿から細胞間液として出た液体の残りの1割はリンパ管に吸収されていくのですが、リンパ管の働きが悪くなると、吸収も遅くなり、これも、むくみの原因になります。

今はやりのリンパマッサージは、リンパ管をマッサージすることで働きを高めることを期待されて行われているのでしょう。
細胞間液として出た液体の残りの1割がリンパ管に吸収されていくので、リンパマッサージの効果の程度も推定できますね。

アルブミンがちゃんと働いていない状態って?

アルブミンは、肝臓が疲れていると十分作られません。
大量に毎日のように飲酒している人では、アルコールの代謝に肝臓が忙しくて、アルブミンの産生効率が低下してしまうと考えられます。
また、アルブミンは栄養状態が悪いと作れません。
疲労したり、何らかの原因で食事でタンパク質が十分とれていないとむくみやすくなるのです。
極端なダイエットが原因のむくみも無視できませんね。

飲酒した後のむくみ


ちなみに、アルコールを飲んだあくる日、むくむことがあるかと思います。
アルコールを代謝するのに水が必要です。
ですので、飲酒中は脳が水分を摂れと指令を出して、無意識に水分を必要量取り込み、それを使って肝臓がせっせとアルコールを代謝してくれます。
しかし、酔いが進むと、脳の水分調節をつかさどっていた機能が低下していまい、水を摂りすぎてしまうようです。

また、酔いが回って、そのままベッドに倒れこむ、といった事態になりがちですが、睡眠中は抗利尿ホルモンが分泌されるので、これが水をため込む原因ともなります。
抗利尿ホルモンとは、名前の通りおしっこを出さないようにするホルモン。
夜中におしっこをしなくて済むように分泌されるのですが、むくみには逆効果なわけです。

飲酒して、あくる日むくまないコツは、お酒とともに、必要以上に水をごくごく飲まないことです。
ストローを添えたコップで水を飲むのがお勧めです。
また飲酒中はおしっこを決して我慢しないことも大切です。

ただし、二日酔いの予防には水をたくさん摂るのが効果的。
どちらを取るか、悩みどころです。

ナトリウム(塩分)の取りすぎも原因に

ナトリウム(塩分)の摂りすぎもむくみの原因となります。
ナトリウム(塩分)をたくさん摂ると、細胞間液のナトリウム濃度が高くなり、浸透圧が上がります。
すると、細胞間液の濃度を下げようとして、血管内の水分を引き寄せます。
こうして細胞間液の体積は増えて、むくみとなるのです。
細胞間液は増加しているのに、血管内の血液量(体積)は減少しているという状態です。

これを腎臓は、細胞間液が減ったのだと勘違いして、ナトリウムと水分を尿として排泄することを抑えてしまい、細胞間液のナトリウム濃度がさらに上がり、さらにむくむという悪循環になります。

また、血中のナトリウム濃度が上がると、脳の視床下部の口渇中枢が働いてナトリウム濃度を低下させようと、水を飲むように指令します。
これが、塩辛いものを食べたときにのどが渇く理由です。

こんなわけで、ナトリウムを摂りすぎると、細胞間液も血管の中も、体中に過剰な水に満たされてしまっているわけです。

日本人の多くは、食塩や塩辛い味付けのものを摂りすぎで、むくみがちで、これが原因で、高血圧となっている場合が多いと思われます。

まとめると、特に病気のない人では、

●むくみは細胞と細胞の間に液体がたまってしまう状態

●むくみは疲労やタンパク質の摂取不足、肝臓の機能が落ちると起こる

ナトリウム(塩分)の摂りすぎでも起こる

●アルコールも原因となる


ということになります。
むくみやすい人は覚えておいて損はないと思いますよ。

これ以外にも、糖尿病予備群の人では、糖の摂りすぎでむくむ可能性があります。
糖質制限でむくみがなくなったという人は意外に多いようです。
この話は下のページで。
糖質制限 糖質は何gまでOK?

また、脱水によって却ってむくむこともあります。
これについてはまた別の機会にお話ししますね。