いきいき!エバーグリーンラブ: サルコペニア
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2017年5月27日土曜日

健康にも不健康にもすぐにはなれない

健康であることの大切さは、体調を本格的に崩した経験をして、不健康を自覚して初めて分かります。
「一病息災」とも言いますね。

人間は自分で考えるよりもずっと愚かです。
何事も経験して、ある意味痛い目に合わないと、大切なことが理解できないようです。
いくら能力にも体力にも自信があると言っても、体験を伴わない勉強や、机上の理論や思い込みだけで「分かっている」つもりにならないようにすることが大切なようです。

それを証明してくれるような長期にわたる大規模な調査研究の結果をご紹介しましょう。


長生きで健康な高齢期は、中年期が決め手

Norrina B. Allen et.al. Favorable Cardiovascular Health, Compression of Morbidity, and Healthcare Costs
Forty-Year Follow-Up of the CHA Study (Chicago Heart Association Detection Project in Industry). Circulation. 2017;135:1693-1701

Golden years are longer and healthier for those with good heart health in middle age
American Heart Association Rapid Access Journal Report

【研究の参加者】
  • 研究開始時に18-74歳(平均44歳)のだった参加者のうち、2010年時点で65歳以上になった人25,804人(開始時点の参加者の65%に該当、43%が女性、90%が白人)

【研究の方法】
  • 1963年から1974年に参加者に最初の健康テストを行った。
  • 健康保険(アメリカのメディケア)の記録から、継続的に対象者を追跡。
  • 血圧、コレステロール値、糖尿病の有無、BMI、喫煙の有無を調査して、それぞれをリスク要因と定める。
  • 心臓血管の健康状態に応じて、

  • ①良好(リスク要因なし。2010年時点で全体の6%に該当) 
    ②普通[リスク要因は0項目だが、リスク要因の指標(数値)が上昇傾向。2010年時点で全体の19%に該当]
    ③要注意(リスク要因が1項目該当。2010年時点で全体の40%に該当
    ④リスクあり(リスク要因が2項目以上該当。2010年時点で全体の35%に該当)
にグループ分けした。

【研究の結果】
  • 65歳まで慢性疾患にならなかった17,939人のなかで①良好(リスク要因なし)のグループは、④のリスク要因が2項目以上該当したリスクありのグループに比べて、
医療費節約 寿命 慢性疾患 血圧 コレステロール糖尿病 BMI 喫煙
長生きで健康な高齢期は、中年期が決め手
  1. 寿命が平均3.9年長い
  2. 慢性疾患の発症が4.5年遅かった
  3. 高齢期の慢性疾患発症が22%少なかった
  4. 医療費は約18,000ドル(約200万円)節約できた
  • 65歳まで心臓発作、脳卒中、うっ血性心不全にならなかった18,714人のなかで、①良好(リスク要因なし)のグループでは、
  1. 心血管疾患の発症が6.9年遅かった
  2. 心疾患の医療費は46.5%削減された

【研究から考えられること】
  • 長生きして高齢になってもやりたいことをするためには、健康的なライフスタイルが大切であることを、若い成人たちに普及させる必要がある
と研究者らはコメントしています。

リスク要因は年を取ってから病気になって現れる

この研究は、一見当たり前のような結果を示していますが、よくかみ砕くと警句に満ちています。

リスク要因が2項目以上該当した④のリスクありのグループの人は、65歳までは慢性疾患と診断されなくても、その後、病気と診断されて生涯病院通いになる可能性もあることを示しています。

寿命に平均3.9年、慢性疾患の発症に4.5年の差があるということは、65歳を超えたら、間もなく重い病気を発病して、闘病の末に3.9年早く亡くなるというシナリオもあり得るのです。

「65歳なんてまだまだ先、太り気味で血圧が高めだけど元気だから大丈夫」なんて思っていませんか?
辛い思いをしながら病気と闘う期間が長い老後は、果たしてハッピーリタイアメントでしょうか?

お金より健康を蓄えよう

この研究は、中年期を過ぎたら自分を労わることこそが、実は仕事・出世や貯蓄よりも、だんだんと弱っていく高齢期の、健やかで確かな備えであることを証明しています。

急に肥満にはならないし、高血圧や、2型糖尿病などの生活習慣病も、急には発病しません。

不健康」も「健康」も日常生活の蓄積によります。
中年までは、若さによって、多少の無理や暴飲暴食、運動不足、ストレスを解消できますが、それ以降は、無理をすれば「不健康」に向かって悪い要素が蓄積していくわけです。

健康にわき目も振らず一生懸命仕事をして、貨幣を得て財テクなどで人生に保険を掛けたつもりでも、「不健康」も一緒に蓄えてしまっては元も子もありません。
厚くかけた保険が充分に降りたとしても、貯めたお金を治療にふんだんに使えたとしても、現代の医療ではほとんどの場合、老化と病気は根治しないことも覚えておくべきです。

エバーグリーン研究室がお勧めできる唯一の「安心」は、
正しい知識に基づく、健康な生活習慣の獲得です。

仕事を引退して暇になったら始めるさ・・・では、間に合わないかもしれません。
健康な老後の前に、健康な60代があり、その前に健康な50代があり、その前に健康な40代があるのです。
そして、年とともに、健康の状態の質はだんだん下がっていきます。

年とともにやる気がなくなっていくことも計算に入れておく必要があります。
「もう体なんかどうでもいいや」と投げやりな気持ちになると、厄介です。

医療や介護の現場で、一番問題になるのは、患者さん本人の健康への無関心と、生活への諦めです。
一度投げやりになってしまうと、いくらアドバイスをしても、なかなか抜け出すきっかけをつかめないようです。

ときどき、ライフスタイルを見直そう

上の研究の①のグループのように、リスク因子が1つもない「無病息災」は難しいとしても、健康診断などで問題を指摘されたら、そろそろライフスタイルを考え直す時ではないでしょうか?

ライフスタイルを考え直すキーワードは、
多忙、ストレス過多、運動不足、睡眠障害(不足・質が悪い睡眠)、無趣味・無関心、タバコ・アルコール・カフェイン・甘味などの嗜好品、食べ過ぎ・飲みすぎ、偏食、外食(美食)過多
です。
これらを修正することが他のどんな健康法より一番効果があります。

中年期が、健康な老後に向けて「まだ取り返しのつく」人生最後のチャンスです。

始めるのは、今、ですね。

2016年9月10日土曜日

運動不足のリスクは喫煙なみ

スウェーデンで45年間にわたり、死亡リスクを増やす原因について調査をしたところ、第1位は喫煙であることが認められました。

ここで問題です。
喫煙に次ぐ第2位は、次のうちどれでしょう。

  1. 血清コレステロール
  2. 運動不足
  3. 高BMI


回答に替えて、研究の概要をご紹介しましょう。

中年男性の45年間の死亡リスクに影響を及ぼす因子について

Per Ladenvall et.al.; Low aerobic capacity in middle-aged men associated with increased mortality rates during 45 years of follow-up.

【研究の方法】
  • 1963年に50歳だった男性の792人のデータを使用した、45年間にわたる前向き観察研究(プロスペクティブコーホート研究)。
  • 参加者が54歳の1967年に、792人のうち656人が自転車(エルゴメーター)に乗ってマスクをつけて、最大酸素摂取量(VO2max)を測定して、運動能力の上限を測定した。
  • 2012年の99歳まで参加者を観察して、約10年ごとに運動能力検査をした。
  • 参加者の死亡および一般国民の死亡率は、スウェーデン国民死亡原因登録のデータで確認した。
  • 参加者の身体測定・血圧や血液検査データと、運動能力と死亡のデータを比較して分析した。
【研究の結果】
  • 運動能力の指標である最大酸素摂取量(VO2max)で、次の3つのグループに分けて比較した。
  1. VO2maxが高いグループ
  2. VO2maxが中等度のグループ
  3. VO2maxが低いグループ
  • VO2maxが高いグループは、特に運動しない場合と比べ45年間の死亡リスクが21%低下すると推算できた[ハザード比0.79 (95%信頼区間0.71–0.89; p < 0.0001)]。
  • つまり、運動しないと45年間で21%死亡しやすくなるといえる。
  • 運動しないことの死亡リスク増加へのインパクトは、喫煙に次いでの2位で、高BMI、血清コレステロール高値などよりもはるかにリスクが高かった。
  • 喫煙での死亡リスク増加は58%の上昇であった[ハザード比1.58 (95%信頼区間1.34–1.85; p < 0.0001) ]。
いかがですか。

この研究は45年にわたる長期間参加者の656人を追跡して、10年ごとに運動テストも実施しているのでかなり信頼できる研究結果といえるでしょう。
現在では、喫煙は最もはっきりした健康へ悪影響のあるリスクの1つです。

運動不足はその喫煙に次いで、死亡リスクを上げてしまうのです。

エバーグリーン研究室では、運動の習慣をつけることが、生涯の健康にどれほど良い影響を与えるかについて、皆さんといろいろ勉強してきました。

でも、運動不足がどれだけのデメリットであるかについては、解説するのが難しいところでした。
この研究で、実感いただけたでしょうか?

禁煙に成功した方、次は運動習慣ですね。

運動のメリットを復習

運動することを習慣にできれば、まず筋肉が太目に維持され、筋肉内のミトコンドリアが増加し、その働きが向上します。
筋トレと有酸素運動を組み合わせた適度な強度がお勧めです。

肩こり、腰の痛み、関節痛など、筋肉がつくだけで解消できる痛みも多くあります。
また、有酸素運動をして心拍数を上げると血流がよくなり、肺や心臓や血管の健康にも役立ちます。
定期的に骨が刺激を受けることで、骨も強くなります。

代謝が上がるので、体の中の不要なものが排泄されやすくなり、何より太らず健康に美味しいものを楽しめます。

また、運動ががん認知症などいろいろな病気を予防する証拠も数多くあります。
さらに、適切な運動で病気を回復に向かわせたり、進行を遅らせることさえできます。

エバーグリーン研究室では、健康な生活の基礎となるのが、運動習慣と考えています。
どんなダイエットや健康法、サプリメントや薬も、適切な運動習慣の効果にはかないません。

また、これらのダイエットや健康法も、運動と組み合わせなければ効果が発揮されないと考えて間違いありません。


キーワードは、
  • 筋肉の量が増加
  • ミトコンドリアが増加して活性化
  • 有酸素運動+筋肉トレーニング
  • 心肺機能向上(血流を良くする)
  • 動脈硬化予防
  • 骨の健康
  • 肥満回避
  • 代謝向上
  • 老廃物除去(デトックス)
  • 汗をかく能力(熱中症予防)
  • 体温調節
  • 自律神経活性化
  • 認知機能改善(ボケ防止)
  • 精神の健康
  • がん予防
  • メタボ防止(血圧、血糖値の正常化)
など、たくさんあげられます。

関係する話題は、下記をご参照ください。

ミトコンドリアの数で若さが決まる
有酸素運動と無酸素運動の違い
体重・BMIより筋肉量が大事
運動すると食べ過ぎる?
デスクワークは危険!
座り時間を短くすれば老化しにくい
筋肉は脚から落ちる
1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる
ミトコンドリアが活発な筋肉を保つためには
運動すればボケを防げる!
歳をとってから運動を始めても遅くはない
BMIが正常でも死亡率が上がる原因?
運動不足で脳がしぼむ!

2015年5月14日木曜日

1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる


座りがちの生活は、危険なことは以前お話ししました。

今日は、それを裏付ける研究がいくつか発表されたのでご紹介します。



1時間にたった2分の運動で死亡リスクが減る

【研究参加者】
2003-2004年のアメリカ国民健康栄養運動調査の対象となった3626人のアメリカの一般人で、うち383人が慢性腎臓病患者だった。
  
 【方法】
1時間相当の活動を加速度センサーで計測して、
①座りがち 
②低い活動 
③軽い活動 
④中等度活動~活発
の四段階に分類した。

①の座りがちの人が1時間ずっと座りがちを続けた場合と、1時間に2分間、上の②~④の活動をした場合とで、死亡率に差が出るかどうかを、最長3年間観察して分析した。

【結果】
●座りがちでも、1時間に2分間、③の軽い活動を行えば、全参加者で死亡リスクが約33%低下した。
●慢性腎臓病患者を選り分けて分析すると、1時間に2分間、③の軽い活動を行うと死亡リスクが41%低下していた。

なお、③の軽い活動は(加速度センサーで500-2019カウント/分)だった。

ずっと同じ姿勢でいるのは不自然なこと?

いかがですか。
上の研究の「加速度センサーでのカウント」というのがわかりにくいですね。
要するに、1時間に2分間、歩くか、ちょっと早歩きしなさいと理解すればいいと思います。
個人差はありますが、2分間歩くまたは早歩きで7-9kcalぐらい消費する運動です。

デスクワーク 猫背 サルコペニア 運動不足 エコノミークラス症候群職場でのデスクワークなどで、ずっと座っていると、伸びをしたくなったり、トイレに立ったり、無意識にしていると思います。
これは、同じ姿勢でいることに体が警告を出しているのでは?と個人的には思っています。

エコノミークラス症候群はご存じでしょう。

長時間座っていると、下半身(脚)の静脈に血の塊が出来やすくなって、この血の塊が肺に飛んで肺の血管を塞いでしまい、呼吸困難になったりするのがエコノミークラス症候群です。

私たちの体は、下肢(特にふくらはぎ)の筋肉が動くことで、下肢の静脈が押されて、血液が心臓に還っていくのを助けています。
ミルキングアクション、筋ポンプ作用とも言います)。

血液の循環はとても大切です。
特に、重力で下に下がった静脈の血を心臓に還すことが重要なのです。
心臓は血液を送り出すポンプですが、吸い上げる機能は弱いのです。
血液の循環から考えても、ずっと同じ姿勢でいるのは1時間が限度で、それを超えそうなら、最低2分歩くことが必要ということですね。

職場の上司の方にも教えてあげてください。

死亡の原因は肥満よりも運動不足が多い

つぎは、ヨーロッパで行われた観察研究です。

Physical activity and all-cause mortality across levels of overall and abdominal adiposity in European men and women: the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition Study (EPIC)

【研究参加者】
33万4,000人の男女のデータを集めた。
平均12年の観察期間中、参加者は身長、体重、胴囲を測定し、身体活動レベルを自己申告してもらった。
観察期間中の死亡リスクと、身体活動のレベルとの関係を分析した。

【結果】
●参加者の約4分の1(22.7%)が座りがちな職業で、レクリエーションもしない、“非活動的”に分類された。

●“非活動的”な人のグループと全く運動しないわけではないが軽い運動はする“ある程度非活動的”な人のグループでの死亡リスクをを比較した結果に大きな差があった。

●これらの結果から、1日に90~110カロリーを消費する運動(1日20分ぐらいの早歩き)により、死亡リスクを16~30%低減できると研究者たちは推定した。

●さらに、研究者たちははヨーロッパでの死亡に関する最新データを分析して、ヨーロッパでの男女の死亡920万件のうち、33万7,000件は肥満によるものと推定し、この約2倍(67万6,000件)が、運動不足によるものと推定した。

筋肉がないことが危険?

いかがですか?

肥満と健康についての数多くの研究の中には、ちょっと太り気味の人のほうが、死亡リスクが低いというものが結構あります。

肥満も程度の問題で、明らかなリンゴ型肥満で慢性的に炎症が起こってしまっていると死亡リスクが上がると思います。
りんご型肥満でおなかが炎症

でも、BMIや体重だけでは判断できないと思います。
私の個人的な解釈ですが、肥満というより、筋肉が脂肪に置き換わった場合が危険だと思います。
体重・BMIより筋肉量が大事

ですので、運動不足のひとの死亡が多かったのっではないでしょうか?
この研究者たちの推定が正しければ、痩せていても、筋肉がない人はリスクが高いはずです。
筋肉量と死亡リスクについての研究を行えばよいと思います。

定期的に運動すれば、筋肉が落ちてしまうことはありません。
筋肉は脚から落ちる

始めの研究では1時間に2分運動するだけでも、死亡リスクが下がるとしていました。
1日16時間活動(起きて)いるとして、2分間を15回、1日当たり30分の軽い運動=歩行か早歩きとなります。
2つ目の研究での、1日に90~110カロリーを消費する運動(1日20分ぐらいの早歩き)とだいたい同じぐらいの運動量です。

この2つの研究は全く関係がありませんが、死亡リスクを減らすのに必要な最低限の運動量がだいたい一致しているのが興味深いですね。


2015年2月7日土曜日

筋肉は脚から落ちる

座りがちなライフスタイルは、健康に良くないことをお話ししました。
⇒デスクワークは危険!

また、座り時間を短くすれば老化しにくいこともご紹介しましたね。
⇒座り時間を短くすれば老化しにくい

健康と若さの源は、筋肉に多いミトコンドリアが鍵であることもお話ししましたね。
筋肉を鍛えて維持すれば、ミトコンドリアが活性化して、生きるエネルギーを生み出してくれるわけです。
⇒ミトコンドリアの数で若さが決まる
⇒体重・BMIより筋肉量が大事

言い換えれば、運動して筋肉を維持することが、究極のアンチエイジングともいえます。
今日は、年をとると自然に落ちてしまう筋肉をどうすればいいかをお話しします。

日本人の筋肉量の加齢による特徴

大阪医科大学の研究グループが、18歳以上の日本人 4,003 人(男性 1,702 人,女性 2,301 人)を調べた研究「日本人筋肉量の加齢による特徴」があります。

⇒谷本 芳美ら 日本人筋肉量の加齢による特徴 日本老年医学会雑誌 Vol. 47 (2010) No. 1 P 52-57

それによると、

  1. 加齢に伴う筋肉量の減少の割合は男性の方が女性よりも大きい
  2. 脚は 20 歳代ごろより年を取るにつれて大幅に減少し
  3. 腕は高齢期になって緩やかに減少しはじめて
  4. 胴体は中年頃まで緩やかに上昇した後、減少し
  5. 全身筋肉量は中年頃まで微量に増加あるいは横ばい状態から減少する
  6. 筋肉量の加齢変化は部位により異なり,減少率が最も大きいのは脚で、次に全身、上肢、胴体の順で落ちていく。

ということがわかりました。



解説すると

イラスト,サルコペニア, ミトコンドリア少ない, 座りがちだと危険, 座り時間が長いと危ない, 筋肉少ないとやばい, 運動しないとサルコペニア, 運動不足で炎症,
脚(腿、ふくらはぎ)の筋肉量は全身の筋肉量の
約50%を占める
1.は、男の人は、思春期以降、男性ホルモンであるテストステロンが多く分泌されるので、筋肉がつきやすい状態にあり、学生時代の部活などのスポーツや運動の経験や習慣があることが多いために、女性よりも筋肉が多い傾向があり、このため、落ちる割合も大きいと考えられます。

2.は、おそらく、現代社会では、20歳代で社会人になって、デスクワークにつく人が多いため、運動量が減り、大幅に減少してゆくと考えられます。

3.は、でも、腕は、座りがちの生活でも使っているので、なかなか落ちにくいのでしょう。

4.は、胴体(体幹部)の筋肉、つまり、背筋や腹筋などは、座ったり、立ったりしているだけでも使われているので、中年までの時間でゆっくりと鍛えられているために、こうなるのでしょう。

5.は、とくに運動しなければ、全身の筋肉は増えることはないということですね。

6.は、つまり、現代の普通の社会生活を送れば、年を取るにつれて、自然と筋肉は落ちていくということで、特に脚の筋肉が落ちるということです。

筋肉を維持するにはどうすれば良いか

脚(腿、ふくらはぎ)の筋肉量は全身の筋肉量の約50%を占めます。
ですから、運動によって脚の筋肉を落とさないことが最低限必要なわけです。
『足腰立たなくなったら、おしまい』みたいなことをよく言いますが、まさにそうなのです。

最近では、加齢で筋肉が落ちていくことをサルコペニアといって、医学的な病気として考えるようになってきました。

カナダで 60 歳以上の 4,449人を対象とした研究では、食事、入浴、着替えなどの基本的な日常の 動作ができなくなることとサルコペニアが関係していることも報告されています。
⇒Janssen et al. Skeletal muscle cutpoints associated with elevated physical disability risk in older men and women. Am J Epidemiol. 2004 Feb 15;159(4):413-21.

年をとって、食事、入浴、着替えなどが満足にできなくなるのなんて嫌ですよね。

まずは、脚を鍛えることから始めましょう。

いきなり筋トレはつらいでしょうから、まずは、ストレッチから始めるのがよいでしょう。
ストレッチをしている暇がない方は、日常生活で文明の利器に頼っていた部分を、自分の力を頼ることにしてみるのも一案です。

例えばこんなことで脚を鍛えてみませんか?


エスカレーター、エレベータを使わないで階段で上がる 近距離は、自転車やバス、電車を使わないで歩く 電車で座らない ちょっとした買い物するとき、カートを使わないで手でカゴをもつ なるべく速足で歩く ルンバを使わないで掃除機を使う リモコンを使わずに操作できる電気機器は手で操作する 座りっぱなしにならないように、1時間に5分は歩くようにする
筋肉が落ちないようにする
  • エスカレーター、エレベータを使わないで階段で上がる
  • 近距離は、自転車やバス、電車を使わないで歩く
  • 横断歩道の代わりに、歩道橋を渡る
  • 電車で座らない
  • ちょっとした買い物するとき、カートを使わないで手でカゴをもつ
  • なるべく速足で歩く
  • ルンバを使わないで掃除機を使う
  • リモコンを使わずに操作できる電気機器は手で操作する
  • 座りっぱなしにならないように、1時間に5分は歩くようにする
こうやって挙げてみるといろいろあって、ため息が出そう・・・
まず、ため息が出ないものからはじめてみる、というのはいかがでしょう?