いきいき!エバーグリーンラブ: 成熟脂肪細胞
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2014年9月22日月曜日

脂肪細胞が食欲をコントロールする


前回は脂肪細胞が脂肪滴(脂肪)に脂肪をため込んで、肥大化脂肪細胞となると脂肪組織が炎症して、全身に悪影響を与えることをお話ししました。

⇒脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!

今日は、脂肪細胞が食欲をコントロールしていることをお話しします。
この仕組みがわかると、なぜ人が太って行くのかが理解できると思います。

正常な食欲のコントロール

下の絵を見てください。
実は、脂肪組織の成熟脂肪細胞はホルモンを出して食欲をコントロールしています。

ダイエット 痩せない 内臓脂肪 食欲 コントロール 満腹中枢 摂食中枢 脂肪を燃やす 成熟細胞 太る 体質 カロリー レプチン アディポネクチン 脂肪細胞 脂肪燃焼 摂食中枢 満腹中枢 肥満 痩せホルモン イラスト おにぎり 脂肪が燃える エネルギー摂りすぎ おなかいっぱい 
レプチンと脂肪細胞の関係

適度に脂肪を貯えた成熟脂肪細胞は、食事でのカロリー摂取をモニターしていて、

①エネルギー摂りすぎた! もう十分

の信号を感知します。
すると、のように、脂肪細胞から出るホルモンの1つで、痩せホルモンとも俗に呼ばれるレプチンを出します。

レプチンは血液に入って、脳で

③満腹中枢を働かせて、同時に、摂食中枢を抑えてくれます。

すると、

④のように、もう十分おなかいっぱい、身体に悪いからもう食べるな!!信号を出して、

同時に体中の脂肪細胞に、脂肪を燃やしなさい!!信号を送ります。


こうして、成熟脂肪細胞は自分自身を含めて、余計な脂肪をため込まないように、食欲と脂肪燃焼をコントロールして、肥満を防いでくれているのです。

食べ過ぎが続くと食欲がコントロールできなくなる


ところが、このレプチンが出ているのに、食事を続け、食べ過ぎ、カロリーオーバーが続くとどうなるでしょう。

もちろん、成熟脂肪細胞はせっせと脂肪を貯め続けて、太り、やがて肥大化脂肪細胞になります。
ここら辺の仕組みはこちらをご覧ください⇒脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!


遺伝子 快感 報酬系 ダイエット 痩せない 内臓脂肪 食欲 コントロール 満腹中枢 摂食中枢 脂肪を燃やす 成熟細胞 太る 体質 カロリー レプチン アディポネクチン レプチン アディポネクチン 脂肪細胞 脂肪燃焼 摂食中枢 満腹中枢 肥満 痩せホルモン イラスト おにぎり 脂肪が燃える エネルギー摂りすぎ おなかいっぱい 
肥満の悪循環 満腹感がなくなる

すると、上の絵のように
(1)エネルギー摂りすぎた! もう十分 信号

を受けて、肥大化脂肪細胞はどんどんレプチンを出します(2)。
しかし、
多すぎるレプチンに脳の満腹中枢と摂食中枢は鈍感になり(3)

もう十分おなかいっぱい、身体に悪いからもう食べるな!!信号と、
脂肪を燃やしなさい!!信号(4)

出さなくなってしまいます。

こうなると、(5)のようにまた食欲が出て、全身の脂肪は燃えにくくなる。
さらに、エネルギー源がどんどん入ってくるので、脂肪細胞は脂肪を貯め、また、レプチンを出す……。

これが肥満の悪循環です。


人は本来、突然太ったりしない生物

人は急に太るのではありません。
長年の運動不足と過食を積み重ねて、満腹感が麻痺してきてだんだん太り、それとともに皮下脂肪と内臓脂肪の肥大化脂肪細胞が増えます。

これが続いて、人は太り続け、さらに、内臓脂肪では炎症が起こり続けているのです。

これが肥満が万病の元といわれるメカニズムです。


私たちは、自分の身体が求めてくる食欲などの、欲求や欲望をそのまま信じてはなりません。
欲求があっても、それは本当に必要でなく、害になることも多いのです。

欲求や欲望を満たされることを追い求める脳の報酬系が出来上がったのは、太古のこと。
飢餓に苦しみ、寒さに耐え、冬眠の必要があった生物の時代の遺伝子を、私たちは受け継いでいます。

食物に定期的には出会えなかった時代を思い描いてください。
お腹がすいたと感じたときに、一生懸命食物を探して食べたヒトは、生き残ることができました。
このような、「お腹がすいたら食べることで幸福感を感じた」ヒトの遺伝子が、後世に生き残ったわけです。

この「快感」を感じる脳の仕組みを報酬系といいます。
報酬系には、その快感を追い求めさせる性質があります。

空腹感を満たすという快感を追い求めること、つまり、積極的に食物を探して食べることは、太古の環境に合わせて、報酬系が仕組んだものなのです。

残念なことに、この報酬系は、(お金があるなどの条件がそろえば)食物がいくらでも食べられる現代の先進国に住むヒトでも、同じように働いています。
そして、私たちを着々と太らせていきます。

食品産業だけでなく、この報酬系のおかげで成り立っている産業もたくさんありますね・・・
その罠にはまらないように、しっかりと理性を働かせることが、現代を生き抜くということなのでしょう。

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2014年9月17日水曜日

脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!

前回はエネルギー銀行の脂肪細胞に、脂肪がたまる仕組みをお話ししました。

⇒脂肪をためる仕組み

今日はいよいよ、エネルギーを貯めこみすぎて景気が悪くなった身体での脂肪細胞エネルギー銀行の末路をお話しましよう。

さて、白色脂肪細胞はまず、前駆脂肪細胞という脂肪細胞の赤ちゃんが、脂肪を貯えていって脂肪滴(脂肪の塊)を作り、成熟脂肪細胞になるのでした。

下の絵を見てください。


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善玉の成熟脂肪細胞から悪玉の肥大化脂肪細胞へ

優良企業の成熟脂肪細胞


前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞に成長した白色脂肪細胞は、上の絵のように適正な大きさの時には、アディポネクチンというインスリンの働きを助ける物質を出しています。

脂肪細胞から出たアディポネクチンは、血液に乗って全身の細胞に行きわたります。
そして、インスリンが働きやすくしたり、脂肪を燃やしたり、炎症を抑えたりして、動脈硬化にならないように働いています。
心臓に対しても、太らないように保護しています。

善玉社員である成熟脂肪細胞は、お客様である全身の細胞に役に立つアディポネクチンを貸出しているわけです。
優秀な銀行員ですね。

同時に、インスリンの指令で、食事で血液に入ってくる脂肪酸やグルコース(ブドウ糖)をせっせと脂肪にして脂肪滴にため込みます。

貯めこむ脂肪滴の量が適正な間は、成熟脂肪細胞は優良社員なのですが、脂肪滴は段々と大きくなります。
脂肪滴が大きくなりすぎると、成熟脂肪細胞は肥大化脂肪細胞になります。

脂肪滴が大きくなりすぎ、脂肪細胞は悪玉社員に


こうなると、銀行員は一気に悪玉社員に変身。
高血圧の原因となるアンジオテンシノーゲンや血が固まる原因となるPAI-1などをまき散らして、全身の細胞に迷惑をかけます。

反対に、正義の味方だったアディポネクチンは出なくなって、インスリンの指令が届きにくくなリます。
そのため、脂肪酸やグルコース(ブドウ糖)を取り込む能力にも限界がきます。

取り込まないだけではなく、肥大化脂肪細胞は大きくなりすぎて苦しいので、脂肪滴の中性脂肪を分解して、脂肪酸を血液に放出してスリムになろうとします。
でも、わずかな効果しかありません。
さらに悪いことに、脂肪酸の血液中の濃度が高くなると、インスリンはさらに働きにくくなります。

となると・・・血液中には脂肪酸があふれてしまいます。

肥大化脂肪細胞がパンパンになると、脂肪細胞は増える


こうなると、脂肪を貯めるために新しい細胞を増やすしかありません。
赤ちゃんの前駆脂肪細胞が成熟脂肪細胞になります(分化)。

新しくできた成熟脂肪細胞は細胞分裂して仲間を増やし、どんどん入ってくる脂肪酸やグルコース(ブドウ糖)に対処しようとします。

つまり、脂肪滴がパンパンに膨れて肥大化すると、細胞分裂する。
増えた成熟脂肪細胞にさらに脂肪をため込み、肥大化脂肪細胞が増える
という悪循環に陥ります。

脂肪組織がどんどん大きくなって、身体はますます太るわけです。


ちなみに、1つの脂肪細胞の容積は最大400倍にも膨れ上がるといいます。
健康な成人では脂肪細胞の数は300億個といわれていますが、肥満者では最大600億個もの脂肪細胞を抱えていることもあります。

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白色脂肪細胞の成長と肥大化

エネルギー銀行暴走!炎症物質を出し始める

こうなると、もう、インスリンの指令もまったく受け入れられなくなります。
このような状態をインスリン抵抗性といいます。

命令系統が破たんして、悪玉社員ばかりになって、通常業務ができなくなったエネルギー銀行は、暴走を始めます。

脂肪酸やグルコース(ブドウ糖)を取り込む代わりに、下の絵のような、炎症を起こす物質を出し始めるのです。


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肥大化脂肪細胞とTNF-α
炎症を起こす物質とは何かというと、MCP-1とTNFα
ちょっと、聞きなれないかもしれませんが、この二つがエネルギー銀行を破たんさせる悪者です。

限界に達した肥大化脂肪細胞は、まず、MCP-1を出しします。
MCP-1は、血管を流れる白血球の1種の単球を活性化させて、マクロファージにして自分の周りに呼び寄せます。
マクロファージTNFαを出して、炎症を引き起こします。


こうして、肥大化白色脂肪細胞がたくさんある内臓脂肪組織は、もはや脂肪を貯めておくエネルギー源銀行ではなく、炎症が絶えない「火の車」の組織になっていくのでした。

この「炎症」が絶えない状態がヤバイ!!のです。

内臓脂肪の炎症が続くと、糖尿病だけでなく、心筋梗塞や脳卒中をひき起こす動脈硬化や、癌の発病リスクも上がることがわかっています。

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