いきいき!エバーグリーンラブ: 果糖は別腹

2014年5月17日土曜日

果糖は別腹

果糖は別腹の理由を説明しましょう。

果糖は、文字通り果物に多く含まれる単糖ですが、その美味しさのために多くの加工食品にふんだんに使われています。
言うまでもなく美味しいものは、食べ過ぎの危険と裏腹です。
果糖の性質と果糖に対する生物の生理ををよく理解しておくとよいと思います。

①満腹を感じにくい
果糖を摂っても、直ぐには血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がらないため、インスリンが出てきません。
インスリンは脳の満腹中枢に働いて「もう食べるな」という信号を出しますが、これが働かないのです。

②果糖を摂るともっと食べたくなる(食欲亢進)

果糖は脳の視床下部という食欲をコントロールする場所でAMPKという酵素を活性化させて、食欲を亢進させることが分かりました。
さらにAMPKが活性化すると、肝臓で作られるブドウ糖の量も多くなることがわかりました。

Cha SH, Wolfgang M, Tokutake Y et al: Differential effects of central fructose and glucose on hypothalamic malonyl-CoA and food intake. Proc
Natl Acad Sci USA 2008; 105: 16871-5.

Yang CS, Lam CK, Chari M et al: Hypothalamic AMP-activated protein kinase regulates glucose production. Diabetes 2010; 59: 2435-43.

Kinote A, Faria JA, Roman EA et al: Fructose-induced hypothalamic AMPK activation stimulates hepatic PEPCK and gluconeogenesis due to
increased corticosterone levels. Endocrinology 2012; 153: 3633-45.

③痩せホルモンが出てこない

食欲や体重をコントロールする、俗に「痩せホルモン」とも呼ばれるホルモンがあります。
レプチンといって、脂肪組織から分泌されるホルモンです。
レプチンは、満腹のときのようにエネルギーが余っていると、脳の視床下部に作用して、全身の細胞にエネルギー(カロリー)を消費させるようにシグナルを出します。
このとき、「もうおなかが一杯だから食べなくていいよ~」という満腹サインも出します。
レプチンの濃度は血液中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値が上がると上がります。
ところが、果糖を摂っても直ぐには血糖値は上がらないためにレプチンの分泌は増えません。
ということは、満腹サインも出ませんし、カロリーを消費させるシグナルも出ないのです。

④食欲が湧くホルモンを下げない

レプチンとは反対に、食欲が湧くホルモンがあります。
グレリンといって、血糖値(血中ブドウ糖値)が上がると濃度が下がり、満腹サインを脳に出してくれます。
でも、果糖は摂っても直ぐには血糖値が上がらないので、グレリンが下がらず、満腹サインが出ません。

①~④をまとめると、

果糖を摂ると、満腹を感じにくく、もっと食べたくなり、カロリーが消費しにくくなる、

つまり、果糖は別腹、ということです。


糖質や糖尿病については下記もご覧ください。

糖質
血糖になる栄養素
何を食べると血糖値が上がる?
「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
ブドウ糖と果糖の毒性
果糖はブドウ糖より危険
果糖は別腹
糖類を食べるとおなかがすく?
糖質は食べ物でとる必要はない?
糖質制限で二日酔いから解放?
アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
スポーツドリンクで糖尿病に? 
お酒と糖類の依存性
あなたの1日の糖質量
糖質制限 糖質は何gまでOK?


糖尿病
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