いきいき!エバーグリーンラブ: 抗菌薬
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2015年8月6日木曜日

ピロリ菌は除菌して大丈夫??

ヘリコバクター ピロリって、よく聞きますね。
H.ピロリとか、ピロリ菌と書かれていることも多いです。

胃がんの原因になるといわれて有名になりました。
このピロリ菌が胃の粘膜の中に棲みついてしまうと、胃潰瘍になったり、胃がんになったりする。
だから、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などのある人の胃の中に見つけたら“除菌”しようということで、病院ではピロリ菌除菌用のお薬パックを処方します。

パックにはなっていないけれど同じ作用を持つ薬剤を組み合わせて使うこともできますが、ここではパックを中心に説明します。

ピロリ菌除菌に使われる薬

このお薬パックには、1次除菌用と、1次除菌が効かなかったときの2次除菌用の2種類があり、それぞれ2つの製薬メーカーから、発売されています。
  • 1次除菌用:ランサップ(武田薬品工業)、ラベキュアパック(エーザイ)
  • 2次除菌用:ランピオンパック(武田薬品工業)、ラベファインパック(エーザイ)

どれも、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬の3剤がパックになっていて、1日2回、1週間飲みます。

抗菌薬は強い酸性の胃の中では効きにくいため、胃酸を抑える薬で胃の中を中性に近づけてから、抗菌薬を効かせるわけです。

パックに入っている薬は次の通り。

1次除菌用
  • ランサップ :ランソプラゾール(胃の薬)アモキシシリンクラリスロマイシン(抗菌薬)
  • ラベキュアパック :ラベプラゾール(胃の薬)アモキシシリンクラリスロマイシン(抗菌薬)

2次除菌用
  • ランピオンパック  :ランソプラゾール(胃の薬)アモキシシリンメトロニダゾール(抗菌薬)
  • ラベファインパック :ラベプラゾール(胃の薬)アモキシシリンメトロニダゾール(抗菌薬)

1次除菌用の2つのパックを見てみると、胃の薬以外は同じ抗菌薬が入っています。
2次除菌用も一緒。

1次除菌用と2次除菌用の違いは、抗菌薬のクラリスロマイシンが、メトロニダゾールになっているところ。
同じピロリ菌でも、クラリスロマイシンが効かなくなっているものもいるので、その時にはメトロニダゾールでもう一度チャレンジする、というシステムです。

ただし、メトロニダゾールは細菌だけでなく、原虫と呼ばれるようなもっと大きな生物にも効果を示します。
副作用も現れやすいので、できれば1次除菌だけで解決させたいですね。

そのためにも、薬はきちんと決められた通りに飲むようにしましょう。

ピロリ菌除菌が保険で認められている疾患

薬でピロリ菌を除菌する治療が保険で認められているのは、次の通り。

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃MALTリンパ腫
  • 特発性血小板減少性紫斑病
  • 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ピロリ菌除菌で再発する可能性が低くなります。
特発性血小板減少性紫斑病は難治性の病気ですが、理由はわかりませんがピロリ菌除菌で改善することがあります。

ただの胃炎や、いつも胃の具合が悪い程度の症状であれば、除菌治療は保険では認められていません。
これは、次に説明する、常在菌や耐性菌のことを考慮すれば、妥当な適応だと思います。


ピロリ菌感染が胃がんの主な原因と考えられることから、ピロリ菌感染がみられたら、誰でも直ちに除菌するのがよいのではないか、という意見もあります。

ピロリ菌を除菌することに何の問題もないとすれば、この意見はごもっともです。
しかし、抗菌薬をたくさん使うことには、色々な意味で問題があります。

ヒトの体の中で今、生きている100兆を超える細菌を、その一部であるとはいえ、安易に殺してしまっても、身体は大丈夫なのでしょうか。

ここからは、ピロリ菌を例に、抗菌薬を使うことの弊害を考えてみます。

抗菌薬 使い過ぎの弊害

抗菌薬が他の薬と違う点は、生き物を殺す作用を持つというところにあります。

もちろん、ヒトに害がないように、細菌にあってヒトにないもの・・・細胞壁とかDNAを作る酵素とか・・・をターゲットにした殺菌力を持つように作られています。


抗菌薬はたくさんの種類の菌に効かないものを選ぶのが原則

まずは、数多い抗菌薬のどれを選ぶか、という考え方をお話しします。

抗菌薬は何の菌にでも効果がある方がいい薬、というイメージがありませんか?
これは間違いです。

抗菌薬は、目的とする細菌以外は殺さない作用をもつものを選ぶのが正解。
ピロリ菌を除菌したければ、なるべくピロリ菌以外の菌には効かない抗菌薬を選びます。

理由は2つあります。

理由1 常在菌を殺さないようにするため

私たちの体の中・・・特に腸管の中には、私たちになくてはならない細菌がたくさん棲みついています。
これらの細菌を常在菌といいます。

身体に良い菌を善玉菌、身体に悪い菌を悪玉菌とする呼び方がありますが、これはあまり正確ではありません。
なぜならば、同じ細菌でも、体調や細菌の数や、身体のどの部分にいるかによって、身体に良い菌として働いたり、悪い菌として働いたりすることがあるからです。
除菌は人類を滅ぼす?

何の役にも立っていないように見えて、実は、重要な役割を担っている菌もたくさんいます。

腸内細菌が免疫のシステムを作る話はこちらをご覧ください。

色々な細菌に効く抗菌薬を使ってしまったら、身体に必要な常在菌まで殺してしまうことになります。

抗菌薬を飲むとおなかをこわすことがありますね?
あれは、抗菌薬が必要な常在菌を殺してしまって、腸が正常に働けなくなってしまった結果です。

理由2 耐性菌を作らないため

耐性菌って聞いたことはありますか?

細菌Bに対して抗菌薬Aがはじめは効いていたのに、使っているうちに効かなくなってきた場合、
細菌Bは抗菌薬Aに耐性化した
といい、
細菌Bは抗菌薬Aに対して耐性菌になったと考えられます。

細菌が耐性化する仕組み

例えば、細菌Bが抗菌薬Aに耐性化する仕組みをみてみましょう。

細菌Bの中には、抗菌薬Aがとてもよく効くタイプもいれば、あまり効かないタイプもいます。

細菌は人間と比べてかなり頻繁に増殖します。
人間はせいぜい30年に数人子供を産む程度ですが、大腸菌は条件が良い場合20分に1回分裂する、つまり子孫を増やしています。

遺伝子は、増殖する際に間違ってコピーされることが多く、このコピーミスが違った性質の子孫を作ることになります。
ですから、増殖の機会の多い細菌は、ちょっと性質の違う子孫ができる確率がヒトより高くなります。


抗菌薬が細菌を耐性化する仕組みのイラスト 耐性菌を作らないようにするために抗菌薬の使用はよく考えて。ピロリ菌除菌 抗生物質の正しい使い方 イラスト 
右の図を見てください。

細菌Bが増殖したところへ抗菌薬Aを投与したとします。
細菌Bは、中でも抗菌薬Aがよく効く性質をもったものから順に死んでいきます。

抗菌薬Aがよく効くことを「抗菌薬Aに感受性が高い」といいます。

何回か抗菌薬Aを投与すると、抗菌薬Aが効きにくい性質を持った細菌B、つまり、耐性化した細菌Bだけが生き残った状態になります。

この段階で抗菌薬Aの投与をやめるとどうなるでしょう。
抗菌薬Aに耐性化した細菌Bには、周囲に競合する細菌Bがいなくなりましたから、抗菌薬A耐性細菌Bばかりが増えます。

そして、次に細菌Bが増えすぎて肺炎の症状を起こした時には、抗菌薬Aを投与しても効果が得られなくなってしまいます。


医師や薬剤師から、抗菌薬を決められた期間、きちんと飲むようにと言われたことはありませんか?
それは、中途半端に感受性の高い菌だけを殺して、耐性化することのないようにするためです。

とはいっても、やっぱり耐性化は防げないようで、ピロリ菌の除菌に用いるクラリスロマイシンもメトロニダゾールも、耐性化が進んでいることが実験で確かめられています。
Sasakiら:J Clin Biochem Nutr 2010; 47:53-58
和田真太郎他 感染症学雑誌 77(4); 187-194

どんな菌にでも効く抗菌薬が必要な場合

「特定の細菌にしか効かない抗菌薬を選ぶ」という原則には例外があります。

お腹をこわしたり、肺炎になったりしたときなど、原因の細菌が何かを調べるのを待っていられないこともあります。
原因の細菌は、痰や便を調べることで確認することができますが、何日か時間がかかってしまいます。

こういうときに限って、何にでも効く抗菌薬をとりあえず飲むことになります。

これを「エンピリックセラピー」といいます。

インフルエンザに罹ったときには、10分くらいで簡単に調べて薬を処方されますが、インフルエンザは患者さんがたくさんいるので、検査薬メーカーもがんばってインフルエンザウイルス用に特別な検査薬が開発したのですね。

ピロリ菌ワクチンは必要??

現在、中国ではピロリ菌を感染させないためのワクチンの開発が進んでいます。

6~15歳の小児4,464例を対象に、ワクチン投与群とプラセボ(偽薬)投与群とを3年間フォローした結果、ピロリ菌感染がみられた人数は次の通り。
  • プラセボ群:2年目22例、3年目13例
  • ワクチン群:2年目10例、3年目6例
Lancet. 2015 Jun 30. pii: S0140-6736(15)60310-5.

さて、ここからはみなさんに考えていただきたいことです。
このワクチンを使うべきかどうか。

衛生状態が良くなったことで、ピロリ菌の感染者は減少したと考えられています。
また、ピロリ菌が原因で胃がんが発症するのは高齢になってからです。

ということは、近年までほとんどの人は生まれてすぐにピロリ菌に感染し、感染したまま60歳程度の天寿を全うしていたということになります。

これは、ピロリ菌と人間がお互いに持ちつ持たれつの共生関係を保っている証拠なのではないでしょうか。

ピロリ菌除菌で食道がんにはなりやすくなる

ピロリ菌除菌によって発症率が高くなる病気もあります。
食道がんがその一つ。

ピロリ菌は胃の中で、胃酸という強力な酸の中で生息しています。
これは、ピロリ菌が胃粘膜にある尿酸を塩基性のアンモニアに変えるウレアーゼという酵素を分泌して、胃酸を適度に中和して住みやすくできるためです。

ピロリ菌はウレアーゼのほかにもCagA(カグエー)など、色々なタンパク質を出すのですが、これらが胃粘膜に炎症を起こします。
この炎症が何十年もの長期間続くことで、がんが発症すると考えられています。

さて、食道について考えてみましょう。
健康な人でも、胃の中のものが食道に入ってきてしまうことがありますね。
この時、胃の中の強い酸は、食道の壁を攻撃してしまいます。

ピロリ菌が胃の中にいれば、ウレアーゼが胃酸を中和してくれることで、食道に胃の中のものが逆流した時にも、強い酸が食道に触れずにすみます。

つまり、図らずもピロリ菌は胃酸から食道を守る働きをしているわけです。

ピロリ菌感染で、免疫の働きが鍛えられる

ピロリ菌が感染している人は、小児ぜんそく、アレルギー性鼻炎、皮膚アレルギーなどの疾患に罹る割合が低いことも報告されています。
Yu Chen and Martin J.Blaser  Journal of Infection Diseases 2008; no.4: 198

さらに、乳児期にピロリ菌に感染することで、ピロリ菌に対して強い炎症反応を起こさなくなることも確認されました。
A.Amberbir et al. Clinical and Experimental Allergy 2011; no.10: 41

つまり、3歳くらいまでにピロリ菌に感染していれば、年をとってから胃の中にピロリ菌がいたとしても強い炎症が起こらないからがんにならない。
さらに、喘息や花粉症、アトピーなどの免疫が過剰に働いてしまう病気にもならない、ということです。

これは、細菌がヒトの体の中に棲むことで、ヒトの免疫反応が教育されて、「ほどほどに外敵と闘う力」を身につけるためと考えられます。

衛生的な環境が整うまでの何100万年という歳月の中で、ヒトは様々な細菌と出会い、お互いに一番うまく生き抜く方法を作り上げてきたのです。
いきなり環境が変わっても、100年足らずの年月で簡単には適応できません。

抗菌薬で常在菌を殺すのは、身体に優しくない

ヒトの体からいなくなったのはピロリ菌だけではありません。
私たちのおじいさん、おばあさんの時代ですら、お腹の中に寄生虫がいたり、頭にシラミがいたりするのが当たり前でした。

水洗トイレができて、ごみの回収が徹底されて、快適になった暮らしは、もう元には戻せませんね。
寄生虫も、シラミも勘弁・・・です。

天然痘やはしかのように、致死率の高い感染症がワクチンで防げるのもありがたいことです。

一方で、こうして一つひとつきれいに、安全にするたびに、他の危機・・・アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症など・・・が生まれます。

と、考えると解決策は思い浮かびませんが、せめて、過剰な抗菌薬の使用だけは避けたいものです。

風邪の原因はほとんどがウイルス。
抗菌薬は効きません。

抗菌薬を飲むこと=薬で過剰に菌を殺すことのデメリットをしっかり考えて、薬を使いましょう。

といっても、自分で判断するのは難しいですから、風邪で医師から薬を処方された時、
「この中に抗菌薬はありますか?
私の症状には、抗菌薬が必要ですか?
と聞いてみてください。

医師の中には、抗菌薬を処方しないと患者さんが満足しないと思って、効かないと思いながら処方している方もいます。



もちろん、先に書いたピロリ菌除菌の適応に相当する方・・・放っておくと胃がんになる可能性の高いような方には、除菌することをお勧めします。


ピロリ菌について、詳細を知りたい方は
JACRI 日本臨床検査薬協会のウェブサイトがわかりやすいです。
寄生虫なき病
参考図書
モイセズ・ベラスケス=マノフ/著 赤根洋子/訳 福岡伸一/解説『寄生虫なき病』 文芸春秋 2014年3月発行


2015年3月17日火曜日

米国マクドナルド 抗生物質を与えた鶏肉の使用をやめる


現代文明社会の食べ物事情は、予想よりはるかに厳しいと思ったほうがよさそうです。

飽食の日本では実感しにくいかもしれませんが、世界的には、確実に食料不足の時代に入っていますし、スピードと収益性を重視する現代社会では、「早い」「安い」「うまい」が尊ばれ、ファーストフード、コンビニ、インスタント食品、ジャンクフード全盛の感じがします。

2015年3月5日 10時41分に掲載のNHK News Webで「米マクドナルド 抗生物質与えた鶏肉の使用中止」との報道がなされました(現在NHK元記事のリンクが切れていますのでマクドナルドのプレスリリースをリンクします)。

McDonald's USA Announces New Antibiotics Policy and Menu Sourcing Initiatives

概要は、
  • 世界的に販売不振のマクドナルドは、食の安全に対する消費者の関心にこたえるため、アメリカの店舗で、今後2年を目途に抗生物質(抗菌薬)を用いて飼育した鶏肉を扱わない方針を発表。
  • アメリカでは、家畜の病気予防と生産性向上のため家畜に抗生物質使用することは一般的で、その結果、抗生物質が効かない耐性菌が出現し、人間の健康にも影響を及ぼす危険性があると専門家が指摘している。
  • マクドナルドは、人工の成長ホルモンが与えられた牛から摂った牛乳についても扱わないことを明らかした。
  • これらの取り組みで、消費者に安全性をアピールし客離れの食い止めを図りたい。
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さらに、ロイターReutersによると、このマクドナルドの方針は養鶏業者に経済負担を増加させるといいます。
INSIGHT-Chicken growers set to pay price for no-antibiotic McNugget

概要は、
  • 抗菌薬を使用しないと飼育コストは3%ほど上昇する試算で、マクドナルドは世界最大の外食チェーンとしての購買力を盾に、コスト増加の負担を鶏肉供給会社に強いる、と多くアナリストが予測。
  • アメリカで4位の鶏肉会社Perdue Farmsはすでに2002年から抗菌薬の使用を控える取り組みを始め、同社の鶏の95%超はヒトに使用する抗菌薬なしで飼育されている。さらに、半数以上は抗菌薬が一切使われていない。
  • 抗菌薬を控える飼育によって、飼育場の増設、鶏の死亡率の上昇、ワクチン費の増大、飼育期間の延長などの負担が発生した。
今回は、あえて抗菌薬やホルモン剤入りの肉の健康被害については詳しく取り上げません。
こうしてみると、現代社会と食にまつわる問題の根深さが見えてくるように思います。

食品産業が「早い」「安い」「うまい」消費者ニーズを作った

消費者が仕事に追われ、時間に追われ、「早い」「安い」「うまい」を求めた結果、マクドナルドのようなファーストフードの売れ行きが上がったと思われがちですが、実は成り行きは反対です。
食品を作る企業が「早く」「安く」「うまい」製品を売り込み、消費者が宣伝に乗せられて、効率の良さをよしとする価値観が一般化していったのです。

食品産業が行ったのは、効率の良さの普及だけではありません。
より甘い食品、より脂分の多い食品、より塩分の多い食品を好むような嗜好も、食品業界によって研究され、普及しました。
おいしさの罠

抗菌薬、ホルモン剤はなぜよくない?

安さを追求する陰には、抗菌剤やホルモン剤を与えて家畜を育てる畜産業があります。
家畜の最大の敵は病気ですから、感染症にかからないように抗菌剤を与えます。
少しでも早く成長させ、肉の量を増やして食肉にしたり、たっぷりと搾乳するためにホルモン剤も与えます。

大量の抗菌剤を使った結果、家畜の中にその抗菌剤が効かなくなる耐性菌ができます。
また、これらの薬剤は家畜の中に蓄積して、その家畜を食べたヒトに取り込まれます。
知らず知らずのうちに、抗菌薬を取り込み、体内に耐性菌を作っている可能性もあります。

ホルモン剤は、EUを除いて、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで使用が認められていて、日本では国内での使用は禁止されていても、輸入肉のホルモン剤使用にはおとがめなし、という非常に矛盾した立場をとっています。
EUでは、1988年に成長促進を目的としてホルモン剤を牛に使用することを禁止し、1989年以来ホルモン剤を使用して飼育された食肉や乳製品の輸入を認めていません。
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ホルモン剤は乳癌などのホルモン依存性の癌の原因となっている懸念もあります。
日本での牛肉消費量の増加に伴って、ホルモン依存性癌の患者数が約5倍になったとする報告もあります。
半田 康ら. K3-4 牛肉および癌組織のエストロゲン濃度 : ホルモン剤使用牛肉の摂取とホルモン依存性癌発生増加との関連(高得点演題6 腫瘍,高得点演題プログラム,第62回日本産科婦人科学会学術講演会).日本産科婦人科學會雜誌 62(2), 614, 2010-02-01

ホルモン剤の使用の是非については、アメリカ+オーストラリア+カナダ+ニュージーランドなどのホルモン承認諸国対EUで、激しい論戦を展開しています。
互いに、畜産、酪農は重要な輸出産業なので、市場の取り合いをしているわけです。
でも、この論戦はEUの言うことに理があるような気がします。
できれば生理的でないホルモン剤を含まないほうが安全でしょう。
冒頭のNHKの記事のリンク切れも、先日発効した日豪EPAと、交渉にもめているTPPとの兼ね合いの報道管制では?と疑いたくなりますね。

健康志向も食品産業の戦略に利用?

マクドナルドに追随して、早くて安くて旨い食べ物を売る企業が、どんどん出てきました。
市場を独占できなくなって、経営が苦しくなったマクドナルドは、今度は消費者の健康意識を利用し、抗菌薬やホルモン剤の使用をやめたと宣伝して、健康志向のイメージをつけようと考えたのではないかと想像できます。

なぜなら、中止すると発表されたのは鶏肉と牛の乳製品だけ。
本命のハンバーガーの牛肉には、相変わらず抗菌薬やホルモン剤が使われるようです
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我々の立場で考えれば、多少なりとも怪しい薬が使われなくなることはありがたいことですが。
ただ、理解しておかなければいけないのは、私たちの味覚は、食品・外食産業の戦略によって変えられているということです。

確かに、簡単に食べられる便利な食品ができたことで、女性が社会に出ていくゆとりが生まれた、というように、我々は多くの恩恵を受けています。
忙しいときに、マクドナルドで済ませられるのは実にありがたく、うまく利用すればよいと思います。

ですが、これからは、お手軽な食べ物を目にしたら、そこには危険が潜んでいるということを思い出してください。
リスクを知りつつ「便利さ」「おいしさ」をうまく利用したいものです。

作られたおいしさに左右されない味覚を持とう

本来、食は生き物の生活の基本です。
大事な食事は、自ら食材を仕入れ、場合によっては飼育・栽培して、作って、おいしくいただくものでした。
忙しく、過剰な味のとりこになって、外食や加工食品をこんなに頻繁に利用しているライフスタイルが、消費者の健康を顧みずに利益を追求するこれらの産業・企業・規制当局の暴走を許したのではないのでしょうか?

多くの人が、本来、嗜好品やごちそうとしてたまに食べるものだった、甘味、高カロリー食(揚げ物、炒め物など)、加工食品などに慣れてしまいました。
それでなければ物足りなくなり、味覚もより味の濃いもの(塩、砂糖、油脂)に依存的になってしまっていると思います。
おいしさの罠

人間の味覚は、想像以上に簡単に変わります。
アメリカで食べられている、ショッキングピンクや紫や緑のケーキに違和感を持てるうちに、食品産業の企てに流されない確かな「味覚」を取り戻さないといけませんね。

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おいしさの罠

2014年7月17日木曜日

風邪薬の選び方【鼻水の薬】

肥満細胞 杯細胞 鼻水 眠くなる 眠くならない 抗菌薬 のどが渇く のどが乾燥する カラカラ 便秘 抗コリン薬 抗生物質 常在菌 ウイルス ロイコトリエン ドリエル 睡眠補助薬 鼻炎用スプレー ステロイド プソイドエフェドリン 医者の薬 OTC 総合感冒薬 止まらない 1日1回 ウイルス 感染 かぜ 風邪 鼻水抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬 分泌抑制  ベラドンナ アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸 クレマスチン、 マレイン酸 カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン 塩酸塩  ケトチフェン フマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン  エピナスチン 鼻腺 鼻水 鼻づまり 副交感神経 感染 風邪 肥満細胞 杯細胞 鼻腺 鼻水 鼻づまり 副交感神経 感染 風邪 かぜ抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬(分泌抑制) ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸クレマスチン、 マレイン酸カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン塩酸塩 ケトチフェンフマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩 かぜ 抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬(分泌抑制) ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸クレマスチン、 マレイン酸カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン塩酸塩 ケトチフェンフマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩

風邪で鼻水が出るとき、総合感冒薬はNG

以前、風邪をひいたとき、総合感冒薬ではなく、その時の症状を抑える成分だけが入っている薬を選んだほうがいいというお話をしました。
⇒総合感冒薬って何に効くの?


今日は風邪などで鼻水が出るときの薬の選び方をお話しします。
その前に、鼻水が出るメカニズムをちょっと見てみましょう。

鼻水はこうして作られる

風邪は、ウイルスが原因で起こります。
ウイルスは何かの細胞の中でなければ生きていけないので、自分が入ることのできる細胞を探しています。
また、ウイルスはあまり器用ではないので、入ることのできる細胞はかなり限られています。
ウイルスが細胞に入ることを感染といいます。
風邪ウイルスは皮膚のような丈夫な細胞には感染できません。
風邪ウイルスが感染しやすい細胞・・・それが、鼻やのどの粘膜の細胞なのです。

鼻やのどの粘膜が乾燥して、ウイルスを外に出す粘液が少なくなっていると、余計、ウイルスは感染しやすくなります。
だから、冬場によく風邪をひくのですね。

それに、どんなウイルスでものどや鼻に感染するわけではなく、たまたま、のどや鼻の粘膜に感染できる素質を持ったウイルスがはいってきて、そのとき、のどや鼻の粘膜が感染しやすい状態だったときに感染するわけです。

話をウイルスがのどや鼻の粘膜に感染したところに戻しましょう。

ウイルスが鼻水を作って出しているわけではありません。
鼻水を作って出しているのは、私たちの鼻の粘膜の細胞です。
なぜ、そんな迷惑なものを作るのか?
それは、ウイルスを外に出してしまうためです。

ウイルス 感染 かぜ 鼻水 眠くなる 眠くならない 抗菌薬 のどが渇く のどが乾燥する カラカラ 便秘 抗コリン薬 抗生物質 常在菌 ウイルス ロイコトリエン ドリエル 睡眠補助薬 鼻炎用スプレー ステロイド プソイドエフェドリン 医者の薬 OTC 総合感冒薬 止まらない 1日1回 ウイルス 感染 かぜ 風邪 鼻水抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬 分泌抑制  ベラドンナ アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸 クレマスチン、 マレイン酸 カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン 塩酸塩  ケトチフェン フマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩 風邪 鼻水 肥満細胞 杯細胞 鼻腺 鼻水 鼻づまり 副交感神経 感染 風邪 肥満細胞 杯細胞 鼻腺 鼻水 鼻づまり 副交感神経 感染 風邪 かぜ抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬(分泌抑制) ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸クレマスチン、 マレイン酸カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン塩酸塩 ケトチフェンフマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩 かぜ 抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬(分泌抑制) ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸クレマスチン、 マレイン酸カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン塩酸塩 ケトチフェンフマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩
鼻・のど


鼻水を出している細胞を見てみましょう。

肥満細胞 杯細胞 鼻水 眠くなる 眠くならない 抗菌薬 のどが渇く のどが乾燥する カラカラ 便秘 抗コリン薬 抗生物質 常在菌 ウイルス ロイコトリエン ドリエル 睡眠補助薬 鼻炎用スプレー ステロイド プソイドエフェドリン 医者の薬 OTC 総合感冒薬 止まらない 1日1回 ウイルス 感染 かぜ 風邪 鼻水抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬 分泌抑制  ベラドンナ アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸 クレマスチン、 マレイン酸 カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン 塩酸塩  ケトチフェン フマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩 鼻腺 鼻水 鼻づまり 副交感神経 感染 風邪 肥満細胞 杯細胞 鼻腺 鼻水 鼻づまり 副交感神経 感染 風邪 かぜ抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬(分泌抑制) ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸クレマスチン、 マレイン酸カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン塩酸塩 ケトチフェンフマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩 かぜ 抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬(分泌抑制) ベラドンナ総アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸クレマスチン、 マレイン酸カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン塩酸塩 ケトチフェンフマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩
鼻の粘膜の構造

鼻の奥の粘膜の、鼻腺(びせんと読みます)と杯細胞(さかずきさいぼうと読みます)から、鼻水は出てきます。
このとき、粘膜にある毛細血管が充血して膨らむと、粘膜が腫れて、鼻づまりも起こります。

もう少し詳しく説明すると、ウイルスが感染したことを察知した副交感神経の働きで、鼻水が出たり、毛細血管が拡張したりします。

それにしても、あんなに際限なく鼻水を出すための水分が、一体鼻の奥のどこにあるのだろうと不思議になりますよね。

でも、実は健康な人でも1日に1~1.5リットルの鼻水を作っているといいます。
鼻の中を乾かさないようにして、ウイルスをはじめとした異物を体の外に押し流しているのですね。
なので、ウイルスが感染した急場には、がんばれば、あのくらいの量は簡単に作れるのかもしれません。

鼻水には鼻炎用の薬を

総合感冒薬は、風邪そのものを治しているわけではなく、いろいろな症状を抑える成分がたくさん入っている薬。
だから、鼻水が出るときには、鼻水に効く薬だけを飲むほうが、余計な副作用の心配が減るというワケです。

特に鼻水では、総合感冒薬に入っている成分は昔ながらの眠くなるタイプのもの。
この眠くなる副作用を生かして、睡眠補助薬として売られている成分もあるほどです。
ドリエルという商品がその例です。

総合感冒薬に入っている鼻水用の成分と、総合感冒薬には入っていないけれど鼻水によく効く成分は次の通りです。
鼻水 眠くなる 眠くならない 抗菌薬 抗生物質 市販薬 のどが渇く のどが乾燥する カラカラ 便秘 抗コリン薬 抗生物質 常在菌 ウイルス ロイコトリエン ドリエル 睡眠補助薬 鼻炎用スプレー ステロイド プソイドエフェドリン 医者の薬 OTC 総合感冒薬 止まらない 1日1回 ウイルス 感染 かぜ 風邪 鼻水抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン 鼻づまり プソイドエフェドリン塩酸塩 鼻炎用スプレー (ステロイド) ベクロメタゾンプロピオン酸 エステル d-クロルフェニラミンマレイン酸塩  抗コリン薬 分泌抑制  ベラドンナ アルカロイド ヨウ化イソプロパミド フマル酸 クレマスチン、 マレイン酸 カルビノキサミン メキタジン 抗アレルギー薬 アゼラスチン 塩酸塩  ケトチフェン フマル酸塩 エメダスチンフマル酸塩 セチリジン塩酸塩 フェキソフェナジン塩酸塩 エピナスチン塩酸塩 眠くならない 癖になる イラスト 図 
鼻水・鼻づまりに効く薬


水色で囲んだ成分がお勧めです。
これらは、花粉症・アレルギー性鼻炎の薬に入っています。

抗アレルギー薬と呼ばれる成分の中でも比較的新しいもので、眠くなる人は少ないです。
少なくとも、私はまだ、これを飲んで眠くなった人に出会っていません。

1日2回のものと1回のものがあります。
花粉症のように、1日中鼻水が止まらないことがあらかじめ分かっているのであれば、1日1回の薬が便利でしょう。
今から出かけるから、とりあえず半日症状を抑えて、あとは様子を見ようかしら・・・というときには、1日2回の薬を1回だけ飲む、というのでもよいでしょう。

鼻づまりはちょっと手ごわい

鼻水には薬が効きやすいのですが、鼻づまりは困りもの。
薬が効きにくい症状です。

鼻づまりというのは、鼻水が詰まって起こるのではなくて、鼻の奥の血管が拡張するために鼻の粘膜が腫れて、鼻の通りが悪くなって起こるので、鼻水を止めても鼻づまりは治らないのです。

ステロイドのスプレーを鼻の穴に噴霧するのが一番、手っ取り早いです。
これは、よく効くのですが、鼻水も出ていて鼻が詰まっているようなケースだと、鼻水と一緒に薬も出て行ってしまうので、効かせるのは難しそうですね。

飲み薬では、プソイドエフェドリンという成分が、鼻づまりに効果があるとされています。
でも、プソイドエフェドリンだけが入っている商品はありません。
どれも古いタイプの抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬と一緒になって、鼻炎用の薬として発売されています。
なので、ちょっと使いづらいです。
とても眠くなるので、寝るときに飲むにはいいかもしれません。

鼻の症状に効く薬の作用

抗ヒスタミン薬??

色々調べてみましたが、抗ヒスタミン薬が風邪の鼻水を抑える作用の仕組みがわかりませんでした。

ヒスタミン受容体にヒスタミンが作用するのをブロックします。
これは間違いありませんが、風邪をひいたときにヒスタミンが出てくるメカニズムが確認できませんでした。

いわゆる総合感冒薬に入っている抗ヒスタミン薬は、眠くなるだけで風邪の鼻水には効かないというのが、今のところの結論です。
よく寝て風邪を治そうという人にはいいかもしれません。


抗アレルギー薬

抗ヒスタミン薬の作用に加えて、肥満細胞の細胞膜を安定化して、肥満細胞からヒスタミンやらロイコトリエンやらという炎症反応を起こすもろもろの物質が出てこないようにします。

古いタイプの抗アレルギー薬は、やはり眠くなります。


新しい抗アレルギー薬

水色の枠の薬です。
個人的に、お勧めの薬です。

古いタイプの抗アレルギー薬と違って、中枢神経(脳)に入っていかないので、眠くなりにくいとされています。

試してみましたが、本当に全く眠くならずに、風邪の鼻水によく効きました。
これらは単味で買うことができることでもポイントが高いです。


抗コリン薬

コリンというのはアセチルコリンという、副交感神経から出てくる物質のことを意味しています。
鼻水や鼻づまりの大元を抑えるのでよく効きそうですが、大きな問題があります。
副交感神経というのは、体中の色々なところに張り巡らされているため、ほかの場所でも作用してしまうのです。

例えば、のどが渇いたり、便秘になったり、というのがよくある症状です。
のどが渇くというよりも、のどが乾燥してカラカラになる、という方が適当かもしれません。
人前で話す必要のあるときには、飲まない方が良いでしょう。

?の印をつけたのは、抗コリン薬は総合感冒薬におまけのように入ってはいるものの、お医者さんがこの薬だけを鼻水に使うことはありません。
なので、本当に必要な成分なのかな?と、ちょっと疑問に思ったからです。


鼻づまりの薬

プソイドエフェドリンという成分が、飲み薬で鼻づまりに効果があるとされています。
鼻の血管を収縮させて鼻の通りをよくします。
試していないので、効果のほどはわかりませんが。

エフェドリンというのは交感神経に作用する物質で、心臓や脳の血管にも作用してしまいます。
15年くらい前に、同じような作用をもつフェニルプロパノールアミン(PPA)という成分が、アメリカで大量に飲んだ人に脳出血の副作用が出たために発売中止になりました。

その代わりに使うようにと厚生労働省が勧めたのが、このプソイドエフェドリンです。

プソイドエフェドリンは、エフェドリンを血管にだけ作用させるように工夫された成分です。
とはいえ、血管を薬で収縮させると、効果が切れたときに反動で余計鼻づまりがひどくなるという話もあります。


鼻炎用スプレー

鼻づまりには飲み薬よりもスプレーがお勧めです。
ステロイドのスプレーは強力に炎症を抑えます。

ステロイドというと強い薬とか、使いすぎないほうが良いとかいう印象がある方もいるかと思いますが、飲み薬でなければあまり神経質にならなくてよいと思います。

それに、風邪の鼻づまりならば、悪くても1週間もすれば治るので、使い続けても問題ないでしょう。


抗菌薬をお勧めしないワケ

おまけに、もう少し説明を追加します。
鼻の奥にも、そういった常在細菌はたくさんいます。
鼻の奥は、塩辛い鼻水にさらされているので、ほかの場所とは違う、塩分に強い細菌が住んでいます。
有名なのは、黄色ブドウ球菌
鼻くそをほじった手で皮膚の弱いところを掻いてしまったためにとびひになったお子さんは多いのでは?
その原因のNo.1がこの黄色ブドウ球菌です。
常在菌は思いがけないところで私たちの役に立っています

のども同じで、たくさんの種類の常在菌が住み着いています。

これらの常在菌は、普段は増えすぎることもなく、悪さをしません。
体の中で、いるべきところにいるべき数だけ住んでいる常在菌は、実は悪さをするどころか、私たちを守ってくれてもいるのです。


ここに風邪のウイルスがやってきたとします。
たとえば、のどや鼻に入った風邪ウイルスは、鼻やのどの奥の粘膜に張り付いて感染します。

常在菌たちはウイルスが入ってくると、自分たちの居場所が脅かされるので、ウイルスの感染を阻止しようとしてくれるのです。

でも、風邪ウイルスが勝って、感染して、風邪をひくとどうなるでしょう。
体の免疫パワーがウイルスに費やされるので、常在菌のバランスが崩れてしまい、常在菌が異常に増えてしまったりします。
こうなるともう常在菌は身体を守ってはくれません。

風邪をひいてからしばらくたつと、黄色や緑色の鼻水が出ますね。
また、黄色や緑っぽい痰も風邪の治りかけに出てきます。
これは、常在細菌の色です。

私たちの身体は、ウイルスと闘うと同時に、これらの増えてしまった常在細菌とも戦います。
常在細菌と戦う戦闘員は白血球やマクロファージで、ウイルスと戦うのはリンパ球という細胞。

なので、正確にいうと、黄色や緑色のどろどろした鼻水や痰は、ウイルスや、細菌、それらを食べた白血球やリンパ球などの死骸が混ざったもの、ということになります。


風邪に抗菌薬抗生物質とも呼ばれています)を使うお医者さんが今でもいるようですが、抗菌薬は、色々な種類の細菌をやっつける薬です。
ウイルスには作用しません。

風邪をひいているときに抗菌薬を飲むと、確かに増えすぎた常在細菌をやっつけますが、常在するのにちょうど良い数だけ残すといった調節はできません。

また風邪ウイルスが感染していないところ(腸などの組織)の常在細菌もやっつけてしまいます。
そのような組織では、常在細菌の防御が壊されて、新しい感染が起こってしまう可能性もあります。

もしも、お医者さんにかかって風邪と診断されて、抗菌薬を処方されたら、本当に必要なのですか?と質問してみてください。
お医者さんは、患者さんが抗菌薬を処方してほしいと思って、機械的に処方していることも多いと思います。
必要のない薬を飲むのは、身体によくないことを思い出して、勇気を出して医師に質問してみましょう。

抗菌薬は、身体と、常在細菌(共生微生物とも言います)との絶妙な共生関係を崩すばかりか、結果としてウイルスの味方のように働いてしまいます。