いきいき!エバーグリーンラブ: 11月 2014

2014年11月19日水曜日

レシピ*シナモン&豆乳ラテ

バイタミックス ミキサー 糖質制限 低糖質 レシピ 泡だつ 砂糖なし コーヒー 作り方 ホット 写真バイタミックスでモコモコな豆乳ラテができました。
お鍋を使わないので、後片付けも楽チン。
朝、ちょっと多めにコーヒーを入れて、余った分で午後に豆乳シナモンラテを作ってみてはいかがですか?


【材料(2杯分)】
豆乳      300㏄
コーヒー    100㏄
バイタミックス ミキサー 糖質制限 低糖質 レシピ 泡だつ 砂糖なし コーヒー 作り方 ホット 写真ラカンカット  小さじ2(甘さ控えめです)
シナモン    小さじ1
バター     小さじ1/4(細かくしておく)

【作り方】
1.材料を全部、バイタミックスに入れてよく混ぜる

2.泡立ったらカップに入れて、電子レンジ(牛乳あたため)でチン

糖質の量を計算しようとしたのですが、シナモンの糖質量がわかりませんでした。
糖質の量は
炭水化物の量-食物繊維の量=糖質の量
で計算します。

シナモンの炭水化物は、小さじ2(4g)中、3.2gとかなり多め。
食物繊維の量が探せませんでした。
シナモンは木の皮ですから、食物繊維が多いような気もしますが…

シナモン(桂皮)について

漢方薬として使われる桂皮の作用

シナモンとは漢方薬で使われる桂皮のことです。
桂皮の作用は、健胃、発汗、汗を止める作用、解熱、鎮痛、整腸、駆風(くふう)、収斂(しゅうれん)など。
駆風とは、腸管内にたまったガスを排出させることで、腹痛を和らげることを目的に使われます。
収斂は引き締めること。

「収斂化粧水」などよく聞きますね。
ここでいう収斂は美肌作用ではなく、腸の粘膜を引き締めて下痢を抑えることを意味しています。

桂皮は、多くの漢方薬に主要な成分として使われています。
桂皮は皮膚や、消化管など身体の表面(一筆書きした体の輪郭部分)に作用するようです。
この辺りはまた別の機会にお話ししますね。



糖類の消化酵素を阻害する作用

シナモンにはα‐アミラーゼや、マルターゼ(α‐グルコシダーゼとも呼ばれます)などの酵素を阻害する働きがあることが確認されています。

三浦 理代 五明 紀春. 市販香辛料のα-アミラーゼ活性およびα-グルコシダーゼ活性に及ぼす影響. 日本食品科学工学会誌 1996; 43(2); 157-163.


α‐アミラーゼは、デンプンをブツブツ切断する酵素。
唾液中や膵臓から出てきます。
⇒消化についてはこちら

マルターゼもα‐アミラーゼと同じようにグルコースがつながっているものを切る酵素なのですが、こちらは、マルトース(麦芽糖)をグルコース(ブドウ糖)にするのが専門です。

デンプンやマルターゼなどのようにグルコースがつながった形のままでは、消化管から吸収することができません。
ですから、シナモンを食べればα‐アミラーゼやマルターゼの働きが弱められることになります。
お米やパンが、いくらか吸収されにくくなるということですね。

病院で出される糖尿病の薬の中にも、α‐グルコシダーゼを阻害する薬があります。
ただし、これらの薬を飲んでも糖が吸収されなくなるのではなく、吸収されるまでに時間がかかるようになるだけです。

  • アカルボース(商品名:グルコバイ、アカルボースなど)
  • ボグリボース(商品名:ベイスン、ボグリボース、グルベスなど)
  • ミグリトール(商品名:セイブル)

シナモンが、これらの薬の代わりになるかというと、作用の強さが違うので、そう単純にはいきません。
糖尿病の薬を使っていない人が食べたときに、ちょっとグルコース(ブドウ糖)の吸収が遅くなるかな、という程度に考えてください。


2014年11月11日火曜日

デスクワークは危険!

ですくわーく、どうみゃくこうか、すわりがち、しんきんこうそく、しぼうりつ、とうにょうびょう、ひまん、のうそっちゅう、うんどうぶそく
電車ではつり革を利用してつま先立ち
通勤時間がトレーニングに変身
運動をしようと思っても、なかなか時間がないと思っている方も多いでしょう。

運動不足を感じている方も、そうでない方も、1日のうちどれくらい座っているか計算してみてください。
お勤めの方で、デスクワーク中心で、通勤も電車や車で移動される方は殆ど座りっぱなしなのではないでしょうか?

現代の先進国での便利な文化がもたらす、ライフスタイルやワークスタイルは、座りがちな生活を強要していると思います。

今日は、座りがちな生活を送っているだけで、病気になるという科学的な証拠をいくつかお話しします。

座りがちな人は糖尿病・心筋梗塞・狭心症・脳卒中になりやすい

まずは、複数の研究の結果を条件を揃えてまとめ直して、統計学的に評価する方法(システマティックレビューとメタアナリシス)という分析方法で、18の研究、合計79万4577人を分析しました。
18の研究のうちで15の研究の質(方法や条件)は中等度から高度なものでした。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22890825

その結果、

・座りがちな人は、そうでない人に比べて、2.12倍糖尿病になりやすく(112%なりやすさが増加)

・座りがちな人は、そうでない人に比べて、1.9倍心筋梗塞や狭心症、脳卒中などで死亡しやすく(90%なりやすさが増加)

・全般的な原因で死亡する率も、座りがちな人は、そうでない人に比べて、49%高まった。

ということです。
この研究で注目されるのは、いろいろな条件(人種や国)で、79万人もの人のデータを集めて分析したところです。

座る時間が長い人は死亡率が高い

もう一つ、オーストラリアで 45歳以上の22万2497人を平均2.9年間観察した大規模な研究では、

http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1108810

座る時間が1日に4時間以下だった人のグループに比べて、

・座る時間が4時間以上8時間未満だった人のグループは、1.02倍死亡率が上がり、

・座る時間が8時間以上11時間未満だった人のグループは、1.15倍死亡率が上がり、

・座る時間が11時間以上だった人のグループは、1.4倍死亡率が上がりました。

この死亡率の上がりやすさは、性別、年齢層、BMIと身体活動のレベルに関わりなく、確認されました。
さらに、糖尿病や心筋梗塞や脳卒中などの循環器病を持っていた経験がある人でも、この傾向は同じでした。

つまり、健康な人でも、病気を持つ人でも、座りがちな人の死亡率が上がるということです。

この研究での注目点は、研究手法が、前向き研究といって、あらかじめ観察する人と条件を決めておいて、時間の経過を追ってその結果を記録・分析するという方法なので、すでに起こってしまっている結果を分析する方法よりも、正確な分析ができることです。

座りがちな生活で死亡率は1.4~1.5倍に

2つの研究報告とも座りがちな生活の全体的な死亡率の増加を概ね1.4から1.5倍と推算してることが共通しています。

さらに、座りがちなことを直接研究する代わりに、座りがちな生活になるテレビ、車、コンピューターの自宅での所有割合が上がると、身体活動性が落ちて、食事摂取カロリーが増え、BMIとウェストサイズが大きくなり、糖尿病にもなりやすくなるという研究もあります。
http://www.cmaj.ca/content/early/2014/02/10/cmaj.131090

座っている時間が長いということは、もちろん運動量が少ないわけですが、大事なことは、座っている時間が運動不足の目安になりそうだということです。

つまり、立ち仕事についている人や、運動の習慣がある人は、自然に座っている時間は少なくなるでしょうし、デスクワークや車や電車での移動が多い人は座りがちになるということです。

それを裏付けるように、別な研究では、通勤距離が長いと、心肺機能や身体活動レベルが低下して、BMIとウェストサイズ、血圧が上昇し、通勤距離が約24.2km超の人は明らかに肥満になりやすいという結果が得られています。

いかがでしょう?

まめに動いて座りがち生活を解消!

現代の私たちの生活は知らず知らずのうちに、運動不足を強要され、健康を害していることがお分かりいただけたかと思います。

じゃあ、運動する時間もない、サラリーマン、OLの私たちはどうすればいいの!!

という声が聞こえそうです。

ご安心ください。

とりあえずできることがあります。

それは、座りがちな人は最低でも1時間に5分ぐらいは立って歩くことです。

最近発表された研究によると、1時間ごとに5分間の散歩で、長時間の座位による脚の動脈への悪影響が避けられるという結果があります。

この研究では、11人の肥満ではない20-35歳の健康な人に、3時間座りっぱなしの場合と、座り始めて、30分後、1時間半後、2時間半後に5分間運動をしてもらって、足の動脈の拡がりかたを比較しました。

すると、3時間座ったままでいると、座り始めて1時間後には、座り始めて30分後に運動した場合に比べて50%も動脈が拡がりにくくなることがわかりました。
この研究は、見方を変えれば、運動による動脈の柔軟性への影響を、血管の拡がりやすさを指標にして調べたともいえるわけです。

動脈が柔軟性を失って硬くなって、拡がりにくくなったり、収縮しにくくなったりするのが動脈硬化です。
そして、硬くなった動脈にはやがて血栓という血の塊ができて詰まり、血液の流れが悪くなります。
こうして動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。

つまり、座りがちであっても、時々運動することで、血の流れを悪くする動脈硬化が予防できる可能性があると考えられるわけです。

運動が大切なのは、筋肉を増やして、余計な脂肪組織を増やさないことだけでなく、血行を良くして、血管のしなやかさを保つことでもあるのです。

座りがちな人は、言い方を変えれば、血管のトレーニングが足りない人といえるでしょう。

あなたの周りに、仕事中にしょっちゅう立ち歩いてどこかへ行ってしまう人がいたとしたら、ちょっとは動け!と、無意識に身体に要求されているのかもしれません。
非難せずに、あなたも一緒について行ってはいかがですか?

血管のトレーニングをすれば、血流がよくなり、脳にも血が回って、そのほうが、作業効率も上がるかもしれませんね。

運動・筋肉・ミトコンドリアについては下記もどうぞ…

運動・ミトコンドリア
ミトコンドリアの数で若さが決まる
有酸素運動と無酸素運動の違い
体重・BMIより筋肉量が大事
運動すると食べ過ぎる?
デスクワークは危険!
座り時間を短くすれば老化しにくい
筋肉は脚から落ちる
1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる
ミトコンドリアが活発な筋肉を保つためには

2014年11月10日月曜日

レシピ*低糖質 ガーリック大豆パン

HB ホームベーカリー パン焼き機 大豆 おから 低糖質 ダイエット にんにく 食パン 糖質制限 糖尿病 HB大豆メインの糖質8%のパンです。
ガーリック風味で、このままでもいけます。
少しチーズを加えたら、風味がぐっと良くなりました。
グルテンは、通常よりかなり少なめですが、全粒粉を少し入れて、十分、ふっくら焼けました。
グルテンで膨らませた違和感は、ほとんどありません。
欠点は、少々、色黒なところでしょうか・・・


家庭用パン焼き器 HB で作った低糖質パン 糖質制限ダイエットにどうぞ  ホームベーカリー(パナソニックSD-BH105 HB)で焼きました 低糖質 糖質制限 ダイエット メニュー 作り方 レシピ にんにく ガーリック 大蒜 ニンニク パン焼き機 全粒粉 低糖類 ラカント パルスウィート バイタミックス ミキサー 乾燥大豆 大豆粉 卵 たまご  砂糖を使わない 簡単 グルテン 少な目 ふすま 衾 ブラン ラカンカット バター【材料】
全粒粉      40g         (糖質22.8g)
水煮大豆      100g       (2.7g)
小麦ふすま(ブラン)  60g     (5g)
グルテン     35g          (2.9g)
おろしにんにく  小匙1/3      (0.7g)
卵          2コ          (0.4g)
ラカンカット   大匙2     -
塩         小匙1/2    -
クリームチーズ 20g         (0.6g)
バター       40g         (0.1g)
ドライイースト  小1.5 
お好みで ドライミント   大匙1       
糖質合計 34.4g


【作り方】
ミキサー 水煮大豆 混ぜる バイタミックスに、大豆、卵、バター、オリーブオイルを入れて
1.大豆の水煮を作る。

  大豆は煮る前の重さで40gくらい.
  水で戻した大豆を、圧力鍋で30分以上煮て柔らかくする。
  缶詰の大豆の水煮でもOK。
2.ミキサーに水煮大豆100gと卵、バター、オリーブオイルを入れて、トロトロになるまで撹拌する。
  ミキサーはバイタミックスを使っています。



ホームベーカリー パナソニックSD-BH105 HB 低糖質 糖質制限 ダイエット メニュー 作り方 レシピ  家庭用パン焼き器 パン焼き機 全粒粉 低糖類 ラカント パルスウィート バイタミックス ミキサー 乾燥大豆 大豆粉 卵 たまご  砂糖を使わない 簡単 グルテン 少な目 


3.パン焼き器のお窯に2と、その他の材料をすべて加える。


4.パン焼き器の「ドライイースト、早焼き、淡」で焼く
パン焼き器は、ホームベーカリー パナソニックSD-BH105を使っています。

5.10分くらい混ぜたところで、壁面に生地がついていたら、ヘラで取る

家庭用パン焼き器 HB で作った低糖質パン 糖質制限ダイエットにどうぞ  ホームベーカリー(パナソニックSD-BH105 HB)で焼きました 低糖質 糖質制限 ダイエット メニュー 作り方 レシピ  パン焼き機 全粒粉 低糖類 ラカント パルスウィート バイタミックス ミキサー 乾燥大豆 大豆粉 卵 たまご  砂糖を使わない 簡単 グルテン 少な目 ふすま 衾 ブラン ラカンカット バター にんにく ガーリック 
焼き上がり
6.材料投入の合図から15分くらいしたら、羽根を外して、生地をきれいに整える


7.あとは焼き上がりを待つだけ


かなりよく膨らんで、450gのパンができました。
強力粉で作ったときの2/3・・・とまではいかないくらいでしょうか。
でも、食感はかなり小麦に近いと思います。

大豆メインのパンは、どうしても小麦のような爽やかさに欠けてしまうのですが、生地に味をつけて個性を出せば、遜色ないものになります。
今回は、ガーリックとクリームチーズを少々加えました。

糖質の量は、全部で34.4g程度ですから、7.6%に相当します。
(ラカンカットは糖質ですが、血糖を上げないので、ここでは糖質としてカウントしていません)
「糖類オフ」と「糖質オフ」の違いはこちらをご覧ください。

ラカンカットの代わりに、ラカントやパルスイートカロリーゼロも使えます。
どれも、血糖を上げません。
私の調べた限りでは、ラカンカットを大量に買うのが一番お得なようです。

パサパサにならないようにするには、油を多く入れるのがコツなようです。
今回は、かなり思い切って油を増やしました。
そのためか、グルテン独特のゴムっぽい感じがしません。

油には、バターとオリーブオイルを使っています。
この量だと、バター臭くも、オリーブオイル臭くもなく仕上がります。
バターが好きな方は、思い切って全量バターにしてみても良いかもしれません。

チーズ・ニンニクの量もちょっと抑え気味なので、お好みで増やしてください。



他のレシピも是非ご覧ください。

レシピ*低糖質ごま大豆パン
レシピ*低糖質大豆パン
レシピ*低糖質ごまクッキー
レシピ*低糖質チョコレートブラウニー

2014年11月6日木曜日

脂肪は悪者?

みなさん脂肪(脂質)にどのようなイメージをお持ちですか?
脂肪をとると太る、とか、酸化した脂肪が体に悪いとか、悪いイメージが定着しているのではないでしょうか?

でも、栄養素の中で、脂肪はとても大切です。
脂肪の構成成分の脂肪酸には、体内で作れないために食べ物でとるのが必須なものもあります。

人間の細胞の成分の割合(重さの%)は、おおよそ、水分66%、 タンパク質16%、脂肪13%、無機物4.4%、炭水化物0.4%、核酸(微量、遺伝子の成分)と言われています。
水分を除くと、脂肪はタンパク質とともに体の成分として大きな割合を占めていることがわかります。

別なページで、脂肪の消化吸収、脂肪細胞への取り込みについてはお話ししました。
⇒脂肪の消化吸収はこちらを
⇒脂肪を貯めるしくみ

今日は、脂肪が私たちの体でどのように利用されているかを順に見ていきましょう。

脂肪は細胞膜の材料

下の絵を見てください。
私たちの細胞です。
脂肪酸, 脂肪,脂質二重層,コレステロール,グリセロリン脂質,細胞膜,しなやか、いい油、悪い油、両親媒性分子、動脈硬化、高脂血症、脂質異常症、エンドサイト―シス、エキソサイトーシス、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質
細胞と細胞膜(脂質二重層)

上の絵のように、細胞膜は脂質二重層という脂肪の成分からできていて、脂肪は細胞膜の材料として使われています。
脂肪細胞に脂肪滴となってエネルギー源として蓄えられるだけではないのです。
むしろ、こちらの働きのほうがずっと大切。
約40兆個といわれる、私たちのすべての生きた細胞の細胞膜はこの脂質二重層でできています。
そう、脂肪は不可欠なものなのです。

体組成計測ができるヘルスメーターで、体脂肪率を気にするあなた!
体脂肪率は低ければ低いほどいいと思っていませんか?
30歳以上 の女性で、体脂肪率の正常範囲20~27%ぐらいが適正値とされいて、20%以下だとちょっと痩せすぎで問題アリ、とされるのにはこういうわけがあるのです。

細胞膜はシャボン玉に似ている?


私たちの体はカチカチではなく、しなやかで、やわらかで、しかも丈夫です。
特に動き回る生物(動物)である私たちにはこのしなやかさはとても大切です。
細胞もしなやかに動いていて(流動的で)、自由に形や大きさを変えることができなければ機能しません。
その細胞の膜も同じ性質が必要です。

じゃあ、細胞膜をどのようにイメージすればよいでしょう。

ちょっと想像しにくいかもしれませんが、丈夫なシャボン玉のようなものと考えてみてください。
シャボン玉も膜でできていますし、シャボン玉になる石鹸水の成分は脂肪酸塩です。
シャボン玉は状況に合うように自由に形や大きさが変わりますよね。
それによく見ると表面に虹色の渦が見えて、常に動いているのがわかるはずです。
シャボン玉はずぐに割れてしましますが、これをとても丈夫にして、簡単には割れないようになったものが細胞膜といっていいでしょう。

実はシャボン玉と細胞膜の化学構造は似ているのです!!
シャボン玉と細胞膜の構造の最大の違いは、膜を構成する分子の向きが逆なことで、二重層であることもよく似ています。
ここら辺は機会があればまたお話しします。

細胞膜で脂肪が果たす役割

さて、細胞膜の脂質二重層はとても大切な役割があることがわかっています。
脂肪についてもっと理解するために、ちょと詳しく見てみましょう。

脂肪酸, 脂肪,脂質二重層,コレステロール,グリセロリン脂質,細胞膜,しなやか、いい油、悪い油、両親媒性分子、動脈硬化、高脂血症、脂質異常症、エンドサイト―シス、エキソサイトーシス、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質
細胞膜(脂質二重層)

上の絵のように細胞膜はおもに脂質で構成された二重の膜です。
上と下に水色の丸が並んでいて、それにオレンジ色、黄色とか緑、ピンクの足が生えていますね。
この凧のようなものが細胞膜のおもな基本単位で、グリセロリン脂質といいます。

左の絵はグリセロリン脂質の一種を拡大したものです。


青い部分は、頭のようなので頭部とよばれています。


頭部は水になじみ、油(脂質)をはじく性質をもっています。

黄色の部分は、しっぽのようなので尾部とよばれます。

尾部は油(脂質)になじみ、水をはじく性質をもっています。

つまり頭部と尾部では、性質が反対なんです。

この性質によって私たちの体は自然に細胞の中と外を隔てているのです。


上の絵のように頭部と頭部、尾部と尾部、はお互いにくっついて、頭部は膜の外方向、尾部は膜の内方向に集まって、並んでいます。

物理化学的に、同じ性質を持つ分子や形が似た分子どうしは引き付け合う法則があります。
こうして二重の膜が出来上がっているわけです。


細胞の外は、体液(リンパ液)や血液などがあり、これらは水分を多く含みます。
また、細胞の内側は、細胞液(細胞質)に満たされていて、これも水分が多いので、細胞の外側と内側には、水になじむ頭部(青い丸)が自然と並んでいきます。

一方、黄色い尻尾のような尾部は細胞膜の内側に集まっていますね。
ここでは、油(脂質)になじむ性質の尾部が、お互いに引き合っています。

このように頭部と尾部の物理化学的な性質によって、大事な細胞の中に外から勝手に余計なものが入ってこないようになると同時に、大切な細胞の中のものが出ていかないようにバリアーとなることができます。

脂質を作る脂肪酸には、いくつかの種類と役割がある


さて、この大切な細胞膜を作るグリセロリン脂質は、実は脂肪(中性脂肪)を構成している脂肪酸が部品になってできています。

下の絵を見てください。

グリセロリン脂質(ホスファチジルコリン)と中性脂肪



赤い点線で囲んだように、グリセロリン脂質は脂肪の脂肪酸の1つが、別な成分に入れ替わった形になっています。

40兆個ある細胞の膜にたくさんのグリセロリン脂質があるのですから、その原料の脂肪がとても大切なことがわかりますね。

この細胞の脂質二重層はとても高性能です。

穴が開いているわけではないのに、細胞外から必要なものを取り込み、細胞内の不必要なものは出してしまう機能をもっています。
さらに、ほかの細胞との信号をやりとりして、チームプレイもできます。
細胞の形を変えるのも上手で、自分を複製(細胞分裂)するときだって、柔軟に対応します。

つまり、細胞膜はこのような高機能を発揮せるために、しなやかで、しかも、丈夫で強いといった性質をもっているのです。
もしも細胞膜がしなやかさを持っていなかったら、あなたの皮膚や内臓はごわごわのカチカチでしょう。

さて、この、しなやかで丈夫な細胞膜で大切な役割をしているのが、今回の主役、脂質二重層の脂肪酸成分です。

下の3枚の絵を見てください。


左の絵では、尾部(オレンジ)の4つの脂肪酸部分はまっすぐです。

頭部(青)は隙間なく並んでいいて、2つのグリセロリン脂質はピッチリと隣り合っています。

左の絵では尾部のオレンジの脂肪酸部分はまっすぐですが、黄色とピンクの脂肪酸部分は足を跳ね上げたように曲がっています。

それに合わせて、2つのグリセロリン脂質の頭部(青)にちょっと隙間ができて並んでいます。













右の絵ではオレンジ色の尾部の2つの脂肪酸部分はまっすぐですが、緑色とピンクの脂肪酸部分は足を跳ね上げたように曲がっています。
特に緑色の方は大きく曲がっています。

そして、それに合わせて、2つのグリセロリン脂質の頭部にさらに隙間ができて並んでいます。






実はこの隙間が「しなやかさ」を保つために大切だと考えられています。

もう一度、脂質二重層の絵を見てみましょう。
脂肪酸, 脂肪,脂質二重層,コレステロール,グリセロリン脂質,細胞膜,しなやか、いい油、悪い油、両親媒性分子、動脈硬化、高脂血症、脂質異常症、エンドサイト―シス、エキソサイトーシス、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質
脂質二重層と脂質ラフト
中央の上の部分(頭部が青色)は脂質ラフトとよばれる多機能を持つ領域で比較的強固な構造。
脂質ラフトをおもに構成するのは、グリセロリン脂質ではなく、スフィンゴ脂質とスフィンゴ糖脂質


絵の中央下部には、オレンジ色で描かれた足のまっすぐな脂肪酸部分を持つグリセロリン脂質が多く、左側と右側には、今見たような、黄色ピンクの脂肪酸部分を持ったグリセロリン脂質が多くなっています。

まず中央下部です。
中央下部のグリセロリン脂質はピッチリと詰まって並んでいます。
そのためグリセロリン脂質どうしの結びつきが強くて丈夫です。

この構造の上には、脂質ラフトとよばれる強固な筏(いかだ)のような構造があります。
ラフトとは英語でまさに筏の意味です。
絵では中央の上の部分(頭部が青色)で尾部が肌色で描かれています。

この脂質ラフトは細胞への信号を受け取ったりするところなのですが、細胞膜の外側に大きな緑色のタンパク質があり、また、細胞膜を貫通しているスプリングのような形のタンパク質があったりするので、これらを支えるために強度が必要なのです。
そこでその下の中央下部には足がまっすぐなグリセロリン脂質が集まっていて、土台のように支えています。
脂質ラフトは必要に応じてしなやかなグリセロリン脂質の海を筏のように浮かんで移動できるようです。


脂肪酸, 脂肪,脂質二重層,コレステロール,グリセロリン脂質,細胞膜,しなやか、いい油、悪い油、両親媒性分子、動脈硬化、高脂血症、脂質異常症、エンドサイト―シス、エキソサイトーシス、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質
コレステロールの構造

コレステロールで細胞膜を強くする

中央部にグレーのタツノオトシゴみたいな形の楔(くさび)のようなものがところどころありますね。
これがコレステロールです。

コレステロールは、柱のように重いものを支えるように入っています。

コレステロールは細胞の強度が必要な個所にこのように配置されます。
コレステロールにはこれ以外にもホルモンの原料にもなります。
実は、コレステロールは体になくてはならないものなのです。

コレステロールが多いと動脈が硬くなる動脈硬化になって心筋梗塞や脳卒中の危険が高まるという話を聞いたことがあるかと思います。

一方で、コレステロールが低すぎると死亡率が上がるという研究もあります。

程度にもよりますがコレステロール値が少々高くても、遺伝的に血中の脂質が高くなる資質がある人や、糖尿病など動脈硬化のリスクが高い人を除いて、ほとんどの場合、薬は必要ないと考えます。

不必要な薬はなるべく使用しないほうが安全です。
もしも、あなたやあなたの家族がコレステロールを低下させる薬を医師から処方されているのなら、本当に必要なのかどうかもう一度、医師に相談してみてください。

話がそれました。

細胞膜の固いところ、柔らかいところ

さて、ちょっと上の細胞膜の絵の左側と右側の部分を見てください。
ここには、黄色ピンクの脂肪酸部分を持ったグリセロリン脂質が多く配置しています。

この部分には、脂質ラフトのような支えるべき重いものがありません。
なので、細胞膜をしなやかに保つため、足の曲がった黄色やピンクや緑の脂肪酸部分を持つグリセロリン脂質が集まっています。
こうして、グリセロリン脂質の隙間が比較的緩やかになり(分子同士の相互作用が弱くなり)、グリセロリン脂質が細胞膜の上を自由に動けるためしなやかになっていると考えられます。

どうですか?

脂肪やコレステロールの物理化学的な性質を自然に利用して、私たちの細胞は体の機能を発揮させていることが、細胞膜1つをとっても鮮やかにわかりますね。

私たちの体は、とても、とーっても理にかなっています。

最初のほうで、細胞膜は丈夫なシャボン玉のようなものとお話ししました。
空気中でできたシャボン玉はすぐに水分が蒸発するので割れてしまいますが、私たちの細胞膜は割れませんね。
それは、細胞の内にも外にもふんだんに水があるためです。
水が豊富な環境ではグリセロリン脂質の物理化学的な性質はかわりません(だから、簡単には割れません!)。
生命に水が必須な一面です。
丈夫なシャボン玉って、ちょっとありえないようなイメージですが、私たちの体はこれを自然の法則に従って実現しているのです。

脂肪やコレステロールが体によくないといった、一面的な迷信を安直に信じてしまっては損をします。

最新の科学の情報をきちんと理解して、自分の健康は自分で守る努力をしましょう。

われわれエバーグリーン研究室は読者=研究員の皆さんと、研究を続けていきます。

さて、今日は脂肪とコレステロールの機能がわかりました。

下の記事では、体に良い脂肪(油脂)と悪い脂肪についてお話しています。
健康に良い油?悪い油?


よろしければこちらも読んでください。

糖質
血糖になる栄養素
何を食べると血糖値が上がる?
「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
ブドウ糖と果糖の毒性
果糖はブドウ糖より危険
果糖は別腹
糖類を食べるとおなかがすく?
糖質は食べ物でとる必要はない?
糖質制限で二日酔いから解放?
アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
スポーツドリンクで糖尿病に? 
お酒と糖類の依存性
あなたの1日の糖質量
糖質制限 糖質は何gまでOK?
エナジードリンクは飲んでもOK?
加糖飲料の危険性が次々証明
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の恐ろしい結果、終末糖化産物(AGEs)とは?
早い、うまい、安いが身を滅ぼす
血糖値だけでない空腹感のメカニズム

糖尿病
4~5人に1人が糖尿病予備群!
糖毒性で糖尿病予備群に??
グルコーススパイクに注意
インスリンは肥満ホルモン?!
早食いはメタボの元
厚労省お墨付き栄養法で糖尿病?
低GI食品って意味ある?
やっぱりGIはあてにならない
糖尿病予備群は癌リスクが15%高い
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の末路、終末糖化産物(AGEs)とは?
血糖値だけでない空腹感のメカニズム

食べ物・栄養
食生活は進化の中で3回変わった
50歳超女性は夕食でタンパク50g
飲酒でボケが早まる!
砂糖入り飲料のリスク
おいしさの罠
米国マクドナルド が抗生物質与えた鶏肉の使用をやめる
食品のコレステロールは気にしなくてOK
エナジードリンクは飲んでもOK?
短い期間でも、健康な食事でがんのリスクが減る
カメはなぜ長生きか?
早い、うまい、安いが身を滅ぼす
血糖値だけでない空腹感のメカニズム