電車ではつり革を利用してつま先立ち 通勤時間がトレーニングに変身 |
運動不足を感じている方も、そうでない方も、1日のうちどれくらい座っているか計算してみてください。
お勤めの方で、デスクワーク中心で、通勤も電車や車で移動される方は殆ど座りっぱなしなのではないでしょうか?
現代の先進国での便利な文化がもたらす、ライフスタイルやワークスタイルは、座りがちな生活を強要していると思います。
今日は、座りがちな生活を送っているだけで、病気になるという科学的な証拠をいくつかお話しします。
座りがちな人は糖尿病・心筋梗塞・狭心症・脳卒中になりやすい
まずは、複数の研究の結果を条件を揃えてまとめ直して、統計学的に評価する方法(システマティックレビューとメタアナリシス)という分析方法で、18の研究、合計79万4577人を分析しました。18の研究のうちで15の研究の質(方法や条件)は中等度から高度なものでした。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22890825
その結果、
・座りがちな人は、そうでない人に比べて、2.12倍糖尿病になりやすく(112%なりやすさが増加)
・座りがちな人は、そうでない人に比べて、1.9倍心筋梗塞や狭心症、脳卒中などで死亡しやすく(90%なりやすさが増加)
・全般的な原因で死亡する率も、座りがちな人は、そうでない人に比べて、49%高まった。
ということです。
この研究で注目されるのは、いろいろな条件(人種や国)で、79万人もの人のデータを集めて分析したところです。
座る時間が長い人は死亡率が高い
もう一つ、オーストラリアで 45歳以上の22万2497人を平均2.9年間観察した大規模な研究では、http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1108810
座る時間が1日に4時間以下だった人のグループに比べて、
・座る時間が4時間以上8時間未満だった人のグループは、1.02倍死亡率が上がり、
・座る時間が8時間以上11時間未満だった人のグループは、1.15倍死亡率が上がり、
・座る時間が11時間以上だった人のグループは、1.4倍死亡率が上がりました。
この死亡率の上がりやすさは、性別、年齢層、BMIと身体活動のレベルに関わりなく、確認されました。
さらに、糖尿病や心筋梗塞や脳卒中などの循環器病を持っていた経験がある人でも、この傾向は同じでした。
つまり、健康な人でも、病気を持つ人でも、座りがちな人の死亡率が上がるということです。
この研究での注目点は、研究手法が、前向き研究といって、あらかじめ観察する人と条件を決めておいて、時間の経過を追ってその結果を記録・分析するという方法なので、すでに起こってしまっている結果を分析する方法よりも、正確な分析ができることです。
座りがちな生活で死亡率は1.4~1.5倍に
2つの研究報告とも座りがちな生活の全体的な死亡率の増加を概ね1.4から1.5倍と推算してることが共通しています。さらに、座りがちなことを直接研究する代わりに、座りがちな生活になるテレビ、車、コンピューターの自宅での所有割合が上がると、身体活動性が落ちて、食事摂取カロリーが増え、BMIとウェストサイズが大きくなり、糖尿病にもなりやすくなるという研究もあります。
http://www.cmaj.ca/content/early/2014/02/10/cmaj.131090
座っている時間が長いということは、もちろん運動量が少ないわけですが、大事なことは、座っている時間が運動不足の目安になりそうだということです。
つまり、立ち仕事についている人や、運動の習慣がある人は、自然に座っている時間は少なくなるでしょうし、デスクワークや車や電車での移動が多い人は座りがちになるということです。
それを裏付けるように、別な研究では、通勤距離が長いと、心肺機能や身体活動レベルが低下して、BMIとウェストサイズ、血圧が上昇し、通勤距離が約24.2km超の人は明らかに肥満になりやすいという結果が得られています。
いかがでしょう?
まめに動いて座りがち生活を解消!
現代の私たちの生活は知らず知らずのうちに、運動不足を強要され、健康を害していることがお分かりいただけたかと思います。
じゃあ、運動する時間もない、サラリーマン、OLの私たちはどうすればいいの!!
という声が聞こえそうです。
ご安心ください。
とりあえずできることがあります。
それは、座りがちな人は最低でも1時間に5分ぐらいは立って歩くことです。
最近発表された研究によると、1時間ごとに5分間の散歩で、長時間の座位による脚の動脈への悪影響が避けられるという結果があります。
この研究では、11人の肥満ではない20-35歳の健康な人に、3時間座りっぱなしの場合と、座り始めて、30分後、1時間半後、2時間半後に5分間運動をしてもらって、足の動脈の拡がりかたを比較しました。
すると、3時間座ったままでいると、座り始めて1時間後には、座り始めて30分後に運動した場合に比べて50%も動脈が拡がりにくくなることがわかりました。
この研究は、見方を変えれば、運動による動脈の柔軟性への影響を、血管の拡がりやすさを指標にして調べたともいえるわけです。
この研究は、見方を変えれば、運動による動脈の柔軟性への影響を、血管の拡がりやすさを指標にして調べたともいえるわけです。
動脈が柔軟性を失って硬くなって、拡がりにくくなったり、収縮しにくくなったりするのが動脈硬化です。
そして、硬くなった動脈にはやがて血栓という血の塊ができて詰まり、血液の流れが悪くなります。
こうして動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。
つまり、座りがちであっても、時々運動することで、血の流れを悪くする動脈硬化が予防できる可能性があると考えられるわけです。
運動が大切なのは、筋肉を増やして、余計な脂肪組織を増やさないことだけでなく、血行を良くして、血管のしなやかさを保つことでもあるのです。
座りがちな人は、言い方を変えれば、血管のトレーニングが足りない人といえるでしょう。
あなたの周りに、仕事中にしょっちゅう立ち歩いてどこかへ行ってしまう人がいたとしたら、ちょっとは動け!と、無意識に身体に要求されているのかもしれません。
非難せずに、あなたも一緒について行ってはいかがですか?
血管のトレーニングをすれば、血流がよくなり、脳にも血が回って、そのほうが、作業効率も上がるかもしれませんね。
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