いきいき!エバーグリーンラブ: 糖尿病
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2017年12月23日土曜日

薬を飲む前に減量しよう!

生活習慣病は、40歳代後半から50歳代の中年期~高齢初期に発病・診断されることが多いですね。

皆さんご承知の通り、生活習慣病の危険因子=リスクファクターの指標としては、体重(腹囲)増加、血糖値・血圧・血中の脂質の上昇が知られています。


高血圧や糖尿病にならない簡単な方法

定期健診で、これらの上昇や上昇傾向を指摘されるようになるのが、中年期~高齢初期の場合が多いのです。
急に過体重や肥満にはなりません。
若い時からの生活習慣が集積して、特に、運動不足と過食過飲によって少しずつ太っていきます。
それが悪い実を結ぶのが中年期~高齢初期で、体重以外のリスクファクターである血糖値・血圧・血中の脂質も正常上限を超えてくるのです。

もしもあなたが、血圧や血糖値が上がり始め、高血圧や2型糖尿病を発病する境界であることを定期健診などで指摘されたら、ぜひ体重計に乗って、体重とBMIを測る習慣をつけてください。

過体重や肥満になると、全身の脂肪組織が慢性的に炎症をしている状態になり、糖尿病だけでなく、がんや動脈硬化など万病のもとです。
⇒脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!
たとえ適正体重には至らなくても、太っている状態から減量できれば、これらの病気にならないようにできるのです。

今日は、減量で2型糖尿病から薬を使わずに離脱できた、という研究を紹介し、過体重や肥満から減量することの大切さを考えてみたいと思います。

減量すれば、薬なしで2型糖尿病の治療が可能


【研究の目的】

2型糖尿病は発症すると生涯治療が必要な慢性疾患である。
一般診療所などでの指導による集中的な減量で、2型糖尿病が寛解(2型糖尿病の診断基準以下に維持)できるか否かを評価した。

【研究方法】

●実施場所はスコットランド、 イギリス・タインサイド地方の一般診療所など9ヶ所。

●被検者をコンピュータで作成したリストにより、減量管理プログラム(介入グループ)ガイドラインに基づく治療(対照グループ)の2つの群に1:1にランダムに割り付けた。

●研究実施場所(タインサイド、スコットランド)と、被験者のリストのサイズ(5,700超とそれ以下)により層別化した。

●被検者、ケア担当者、アウトカムデータ収集研究アシスタントは、被験者がいずれの群に割り付けられたかを知り得たが、これらの割り付けは研究結果を解析する者には知らされなかった。

●研究開始前の6年間に2型糖尿病と診断された20~65歳の、BMIが 27~45、インスリン未使用の患者を登録した。

●介入グループは、抗糖尿病薬と降圧薬を使用中止し825~853 kcal/日の半消化態栄養剤で3~5ヶ月間食事をとり、その後2~8週間で段階的に普通食を再開する長期的な減量プログラムを実行した。

15kg以上の減量ができたか、糖尿病の寛解としてHbA1c<6.5%を維持できたかを評価した。

【研究の結果】

●2014年7月25日から2017年8月5日まで306人の被験者が研究に参加し、介入グループ157人、対照グループ149人に割り付けられた。

●12ヶ月時点で介入グループでは68人(46%)が糖尿病の寛解を達成し、対照グループでは6人(4%)が糖尿病の寛解を達成した。

●12ヶ月時点で15kg以上の減量 が成功したのは介入グループでは36人(24%)、対照グループでは0人 で統計学的に意味のある差だった(p< 0.0001)。

糖尿病の寛解の成功は、体重増加した76名では0、0~5kgの減量で6/89人(7%)、5~10kgの減量では19/56人(34%)、10~15kgの減量で16/28人(57%)、15kg以上の減量では31/36人(86%)減量の度合いが大きいほど糖尿病の寛解の成功率は高まった。

●介入グループでは 減量の平均は10.0kg(標準偏差 8.0)、対照グループでは 1.0kg(標準偏差3.7)だった。(群間補正差 -8.8 kg、95%信頼区間 -10.3 〜 -7.3 で統計学的に有意 p< 0.001)

生活の質(QOL)を EuroQol 5 Dimensions visual analogue scaleで評価したところ、介入グループ では、試験開始時に比べて7.2ポイント(標準偏差21.3)改善、対照グループでは -2.9ポイントと (標準偏差15.5)悪化していた。
(群間補正差 6.4、95%信頼区間2.5〜10.3で統計学的に有意 p=0.0012)

●研究実施中、重大な有害な副作用は、介入グループで 7件/157人 (4%)、 対照グループ で2件/149人 (1%)に見られた。そのうち胆道疝痛、腹痛が同じ被検者で起こり、介入に関連した副作用である可能性があると見なされた。

●研究終了後に重大な副作用は起こらなかった。

【結論】

研究実施後12ヶ月時点で、被検者の半数が非糖尿病状態へ寛解し、抗糖尿病薬の使用を終了できた。
このような2型糖尿病の寛解が、(患者と)一般診療所などの目標である。
 
いかがでしょう?

糖尿病の方も、その予備軍の方も、減量をすれば、薬なしで、糖尿病から離脱できるのです。

15%の減量で糖尿病から離脱

この研究で注目すべきなのは、15kg以上の減量で86%が糖尿病から離脱できたということです。
研究参加者の研究開始時点での体重が平均約100kgだったことから、おおよそ15%の減量に成功すればよいということになります。
仮に、BMIの値が大きい肥満の方でも、15%の減量を頑張れば、病気を遠ざけることができるのです。
例えば体重80kgの人は、12kgの減量、つまり68kgを目指して実現すればよいのです。
決して実現できない目標ではありませんね。
実際、「若いころはそのくらいの体重だった」と思う人も多いはずです。

いきなり15%の減量は無理!!って思う人も多いでしょう。
でも、この研究では、10~15kgの減量でも57%もの人が糖尿病から離脱できています。
15%の減量に届かなくても、ある程度の効果が得られると考えられます。
確かにダイエットは難しいので、いきなり15%体重を落とすことを目標にするのではなく、リバウンドしないような着実な減量を時間をかけて行うことでも、十分効果は期待できます。
諦めずにじっくり取り組みましょう。
”週末にまとめて運動”でも死亡率は下がる!

ガイドラインにしたがって薬を飲んでいるだけでは、糖尿病は治りません。
生活習慣を変えて、太っている場合は減量しなければ、いくら薬を飲んでも、血液透析や神経障害、認知症へと進んでいきます。
薬を飲む前にやるべきことがあることが分かりますね。
糖尿病ガイドライン 糖尿病治療薬はやめられる
糖尿病で血液透析や神経障害になりたくなければ、まず運動療法・食事療法が勧められる。ガイドラインに従った薬物療法だけではダメ

糖尿病治療で優先すべきなのは服薬ではない!

生活習慣病の薬は、あくまでも減量など生活習慣の改善の補助的な選択肢に過ぎません。
現在の生活習慣病の薬では、生活習慣病の進行を少しは遅らせることはできても、元の健康な身体に戻すことはできません。

薬を使わずに寛解(病気からの離脱)を目指すことが正しい治療目標です。
健診で検査値に問題を指摘されたからといって、病院でいきなり薬を処方してもらうのは考え直さなければなりませんね。

この研究からも明らかなように、糖尿病の薬や降圧薬など、生活習慣病の薬は、1度飲み始めたら止められないというのは間違いです。
医師や薬剤師などの医療従事者や、製薬企業の従業員の中には、「生活習慣病の薬は一生飲まなければならない」という科学的に誤った指導・情報提供をする方もいますが、そのような医療機関や薬は受診・使用しないほうが身のためです。
患者も医療従事者も、「薬を飲んでいれば大丈夫」という誤った認識を改めなければなりません。

この研究のように、良識のある病院・医院は、生活習慣病の治療では、いきなり薬を処方せずに、先ずは食事療法や運動療法を指導してくれるはずです。
生活習慣病予備軍の方は、是非、まずこの方法を選んでください。

運動・糖尿病については以下のコンテンツもどうぞ

運動
老化を遅らせる運動法は?

糖尿病

2017年5月27日土曜日

健康にも不健康にもすぐにはなれない

健康であることの大切さは、体調を本格的に崩した経験をして、不健康を自覚して初めて分かります。
「一病息災」とも言いますね。

人間は自分で考えるよりもずっと愚かです。
何事も経験して、ある意味痛い目に合わないと、大切なことが理解できないようです。
いくら能力にも体力にも自信があると言っても、体験を伴わない勉強や、机上の理論や思い込みだけで「分かっている」つもりにならないようにすることが大切なようです。

それを証明してくれるような長期にわたる大規模な調査研究の結果をご紹介しましょう。


長生きで健康な高齢期は、中年期が決め手

Norrina B. Allen et.al. Favorable Cardiovascular Health, Compression of Morbidity, and Healthcare Costs
Forty-Year Follow-Up of the CHA Study (Chicago Heart Association Detection Project in Industry). Circulation. 2017;135:1693-1701

Golden years are longer and healthier for those with good heart health in middle age
American Heart Association Rapid Access Journal Report

【研究の参加者】
  • 研究開始時に18-74歳(平均44歳)のだった参加者のうち、2010年時点で65歳以上になった人25,804人(開始時点の参加者の65%に該当、43%が女性、90%が白人)

【研究の方法】
  • 1963年から1974年に参加者に最初の健康テストを行った。
  • 健康保険(アメリカのメディケア)の記録から、継続的に対象者を追跡。
  • 血圧、コレステロール値、糖尿病の有無、BMI、喫煙の有無を調査して、それぞれをリスク要因と定める。
  • 心臓血管の健康状態に応じて、

  • ①良好(リスク要因なし。2010年時点で全体の6%に該当) 
    ②普通[リスク要因は0項目だが、リスク要因の指標(数値)が上昇傾向。2010年時点で全体の19%に該当]
    ③要注意(リスク要因が1項目該当。2010年時点で全体の40%に該当
    ④リスクあり(リスク要因が2項目以上該当。2010年時点で全体の35%に該当)
にグループ分けした。

【研究の結果】
  • 65歳まで慢性疾患にならなかった17,939人のなかで①良好(リスク要因なし)のグループは、④のリスク要因が2項目以上該当したリスクありのグループに比べて、
医療費節約 寿命 慢性疾患 血圧 コレステロール糖尿病 BMI 喫煙
長生きで健康な高齢期は、中年期が決め手
  1. 寿命が平均3.9年長い
  2. 慢性疾患の発症が4.5年遅かった
  3. 高齢期の慢性疾患発症が22%少なかった
  4. 医療費は約18,000ドル(約200万円)節約できた
  • 65歳まで心臓発作、脳卒中、うっ血性心不全にならなかった18,714人のなかで、①良好(リスク要因なし)のグループでは、
  1. 心血管疾患の発症が6.9年遅かった
  2. 心疾患の医療費は46.5%削減された

【研究から考えられること】
  • 長生きして高齢になってもやりたいことをするためには、健康的なライフスタイルが大切であることを、若い成人たちに普及させる必要がある
と研究者らはコメントしています。

リスク要因は年を取ってから病気になって現れる

この研究は、一見当たり前のような結果を示していますが、よくかみ砕くと警句に満ちています。

リスク要因が2項目以上該当した④のリスクありのグループの人は、65歳までは慢性疾患と診断されなくても、その後、病気と診断されて生涯病院通いになる可能性もあることを示しています。

寿命に平均3.9年、慢性疾患の発症に4.5年の差があるということは、65歳を超えたら、間もなく重い病気を発病して、闘病の末に3.9年早く亡くなるというシナリオもあり得るのです。

「65歳なんてまだまだ先、太り気味で血圧が高めだけど元気だから大丈夫」なんて思っていませんか?
辛い思いをしながら病気と闘う期間が長い老後は、果たしてハッピーリタイアメントでしょうか?

お金より健康を蓄えよう

この研究は、中年期を過ぎたら自分を労わることこそが、実は仕事・出世や貯蓄よりも、だんだんと弱っていく高齢期の、健やかで確かな備えであることを証明しています。

急に肥満にはならないし、高血圧や、2型糖尿病などの生活習慣病も、急には発病しません。

不健康」も「健康」も日常生活の蓄積によります。
中年までは、若さによって、多少の無理や暴飲暴食、運動不足、ストレスを解消できますが、それ以降は、無理をすれば「不健康」に向かって悪い要素が蓄積していくわけです。

健康にわき目も振らず一生懸命仕事をして、貨幣を得て財テクなどで人生に保険を掛けたつもりでも、「不健康」も一緒に蓄えてしまっては元も子もありません。
厚くかけた保険が充分に降りたとしても、貯めたお金を治療にふんだんに使えたとしても、現代の医療ではほとんどの場合、老化と病気は根治しないことも覚えておくべきです。

エバーグリーン研究室がお勧めできる唯一の「安心」は、
正しい知識に基づく、健康な生活習慣の獲得です。

仕事を引退して暇になったら始めるさ・・・では、間に合わないかもしれません。
健康な老後の前に、健康な60代があり、その前に健康な50代があり、その前に健康な40代があるのです。
そして、年とともに、健康の状態の質はだんだん下がっていきます。

年とともにやる気がなくなっていくことも計算に入れておく必要があります。
「もう体なんかどうでもいいや」と投げやりな気持ちになると、厄介です。

医療や介護の現場で、一番問題になるのは、患者さん本人の健康への無関心と、生活への諦めです。
一度投げやりになってしまうと、いくらアドバイスをしても、なかなか抜け出すきっかけをつかめないようです。

ときどき、ライフスタイルを見直そう

上の研究の①のグループのように、リスク因子が1つもない「無病息災」は難しいとしても、健康診断などで問題を指摘されたら、そろそろライフスタイルを考え直す時ではないでしょうか?

ライフスタイルを考え直すキーワードは、
多忙、ストレス過多、運動不足、睡眠障害(不足・質が悪い睡眠)、無趣味・無関心、タバコ・アルコール・カフェイン・甘味などの嗜好品、食べ過ぎ・飲みすぎ、偏食、外食(美食)過多
です。
これらを修正することが他のどんな健康法より一番効果があります。

中年期が、健康な老後に向けて「まだ取り返しのつく」人生最後のチャンスです。

始めるのは、今、ですね。

2017年4月9日日曜日

夜に炭水化物を食べないほうが良い

仕事や家事や子育てで忙しい毎日、皆様お疲れ様です。

帰宅が遅くなったり、つい外食や買い食いが多くなったりして、夕食の時間が遅くなっていませんか?

夕食は、遅くとも寝る前の3-4時間前ぐらいまでに済ませることが理想だと言われますね。
12時に就寝するとして、8時頃までに夕食を済ますということですね。
これが体に良いのには理由があります。
理由についてはこの記事の終わりに書きますね。

さて、今日は、先ず、やっぱり夜に食事、特に糖質などの炭水化物を摂ると、血糖値を上げてしまうことを示した研究を紹介してから、夕食の上手な摂り方を研究してみましょう。

特に、糖尿病予備軍や糖尿病の人たちは要注目です。

夜に炭水化物を取ると血糖値が上がる

Katharina Kessler. et al. The effect of diurnal distribution of carbohydrates and fat on glycaemic control in humans: a randomized controlled trial.Scientific Reports 7, Article number: 44170 (2017)

Men with impaired glucose metabolism should avoid high-carbohydrate foods in the evening

【研究の参加者】
  • 29人の男性(平均年齢:約46歳)
  • 平均BMIは27(平均的な体格~肥満気味の人までが参加したことになる)
  • 参加者のうち11人は、調査開始時点に耐糖能異常(糖尿病予備群)で、他の18人は正常だった。
【研究の方法】
  • 29人をグループA14人とグループB15人に分けた。
  • グループAにX食、グループBにY食を4週間食べてもらい、4週間の期間(ウォッシュアウト期間)をおいてから、X食Y食を入れ替えてさらに4週間食べてもらった。
(X食)高炭水化物食を朝~昼頃に食べ、高脂肪食を夕方~夜に食べる
(Y食)高脂肪食を朝~昼頃に食べ、高炭水化物食を夕方~夜に食べる
  • 参加者の炭水化物と脂質の代謝と各種のホルモン分泌、体重、BMIを測定して、それぞれを比較した。


【研究の結果】
  • 血糖値を比較した結果、夜に高炭水化物食を摂るY食摂取後の血糖値は、夜に高脂肪食を摂るX食摂取後の血糖値に比べ、平均7.9%高かった。
  • この傾向は耐糖能異常(糖尿病予備軍)でより明らかだった。
  • 糖質の代謝に必要な消化管ホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)と、食欲を抑制する消化管ホルモンのペプチドYY(PYY)の分泌低下も、夜に高炭水化物食を摂るY食摂取を摂取した耐糖能異常(糖尿病予備軍)でより明らかだった。

【研究から考えられること】
  • 耐糖能異常(糖尿病予備軍)の人は、夕方以降の高炭水化物食は避けるべきである。
  • 通常の生活リズム(体内時計、概日リズム)ではGLP-1ペプチドYYなどのホルモンは食後の必要時にきちんと分泌されるが、夕方~夜に食事をした場合には分泌が低下する傾向にあった。
  • 特に耐糖能異常(糖尿病予備軍)の群ではGLP-1ペプチドYYなどのホルモンの分泌が低下していたことから、耐糖能異常(糖尿病予備軍)の人は、夜に食べるなどの不規則な生活を修正すべきである。
とコメントしている。

いかがですか。

夕方以降の炭水化物摂取は、糖の代謝に負担をかけるようです。
特に、耐糖能異常(糖尿病予備軍)の人は夕食以降は糖質を控えるべきですね。

この研究で、寝る前の食事や、夜食、お酒の締めの麺類やお茶漬けなどの食事は、高血糖や肥満の元である理由が明らかになったようです。

寝ている間に働く”モチリン ”の邪魔をしない食生活を!

実はこれ以外にも、就寝前まで時間を空けずに食事をすることのリスクを説明するホルモンがあります。

モチリンという消化管ホルモンです。
モチリンは小腸の細胞から睡眠中に多く分泌され、寝ている間や食事の合間に胃や小腸に残っている食物などを大腸へ運ぶ蠕動運動を促します(空腹期伝播性強収縮と呼びます)。
また、モチリンは胃液(ペプシン)や膵液(アミラーゼなど)といった消化酵素の分泌も促します。

つまり寝ているときの消化と翌日の排便に備えて、消化管内を片づけて掃除する役目のホルモンと言えます。

こんな大切な役目を持つモチリンですが、モチリン空腹でないと働きません

寝るときに満腹でモチリン寝ているときに働けないのです。
胃や小腸に食物がたくさん入っている状態で、モチリンが働いてしまい、内容物をどんどん大腸に送ってしまったら、かえって消化・吸収を妨げることになるからです。

つまりある程度、消化管の中が空いてきてから、モチリン掃除を始めるわけです。
モチリンに働いてもらうには、最後に食事をしてからある程度消化吸収が済むまでの時間が必要ということです。
夜遅く食事すると翌朝食欲がなくなる理由がわかりますね。

前夜のお酒で翌朝食欲がないのも、二日酔いのせいだけでなく、就寝間際の締めの食事のためにモチリンが作用しなかったからかもしれません。

そうは言っても・・・という方の対策

血糖値を上げず、朝から快食・快便の快適な生活を始めるためには、少なくとも夜の炭水化物(糖質)と満腹は避けるべきなことが理解できます。

「日中は仕事があるから空腹はつらいし、時間がないから外食せざるを得ないし、 朝食と昼食は炭水化物(糖質)を止められない。晩ご飯を早めに食べるのも難しい」という方、晩ご飯だけは炭水化物(糖質)をカットして量を減らしてみてはいかがでしょうか?

夜遅くコンビニでお弁当を買って帰る際には、おにぎりやカップラーメン、パンはやめて、たんぱく質が多めのおかずを選ぶことをお勧めします。
お弁当を買ったときには、思い切ってご飯(お米)は残しましょう。
「もったいない」と思ってしまう方は、〇年後の糖尿病食を想像すると思いきれるかもしれません。

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2016年10月20日木曜日

たくさん動いていれば何を食べてもOK

秋です。
スポーツと食欲の季節ですね。

エバーグリーン研究室では、病気を避けて、いつまでも健康で過ごすための勉強を続けています。
これまで、運動と、適切な食事について様々なお勧めをしてきました。

今日は、健康でいるための大きなヒントとなる研究が報告されましたので、ご紹介しながら、もう一度、運動と食生活の関係について学びたいと思います。

ここで質問です。

下のイラストで、運動するタイミングはどちらが良いと思いますか?

運動, 運動不足, 栄養学, 栄養素, 血糖値, 健康的な食事, 消費社会, 食後高血糖, 糖尿病, 食後の運動で、2型糖尿病患者の食後高血糖を管理できる

Reynolds, A.N., Mann, J.I., Williams, S. et al. Advice to walk after meals is more effective for lowering postprandial glycaemia in type 2 diabetes mellitus than advice that does not specify timing: a randomised crossover study. Diabetologia (2016). doi:10.1007/s00125-016-4085-2

Short walks after meals may prove important tool in managing diabetes

【研究の参加者】
41人の2型糖尿病患者( 年齢60 ± 9.9歳、糖尿病の罹病の平均値10年)

【研究の方法】
41人を、
①特に時間を決めずに毎日30分のウォーキングをするグループ
②毎日3回の食後に10分ウォーキングをするグループ
に分けて、2週間運動をしてもらい、その後1か月運動を休み、その後、のウォーキング方法を入れ替えた。
アクセロメータ(加速度センサー)で身体の活動度と、持続血糖測定器で血糖値を5分ごとに継続して1週間以上測定して、運動を行う前後で比較した。

【研究の結果】
  • ②の毎日3回の食後に10分ウォーキングは、①の特に時間を決めずに毎日30分のウォーキングに比べて、食後の血糖値を12%減少(幾何平均 0.88, 95%信頼区間 0.78-0.99)した。
  • 食事中の炭水化物の割合が最も多く、座っている時間が最も長かった夕食後のウォーキングが血糖値を22%減少(幾何平均 0.78,  95%信頼区間 0.67-0.91)させ特に効果があった。

【研究から考えられること】
  • 特に炭水化物の割合の多い食事をとる場合、食後の運動の指導をすべきである。
  • 現在の糖尿病の運動指導では、食後30分から2時間にかけて運動を行うと効果的としているものの、実行が難しい場合は、患者のライフスタイルに合わせて、実施しやすい時間を選んで行う、という指導内容を訂正し、食後の運動を推奨すべきである。 

食休みは身体に良くない

いかがですか?

この研究は無作為化クロスオーバー介入研究ですので、①も②も同じメンバーが試験対象となっています。
ですから、参加者はそれほど多くはないものの、かなり信頼できる結果だと思われます。

エバーグリーン研究室では、以前から、炭水化物、特に糖質(遊離糖質、単純糖質)は、「早い栄養素」とか「エネルギー密度・エネルギー効率の高い栄養素」として、アスリート、代謝の活発な若者以外は、あまりたくさん摂るべきではないとお勧めしてきました。
運動不足の人は、なおさらです。
⇒早い、うまい、安いが身を滅ぼす
⇒吸収が速い栄養素は老化を進める?
⇒速い栄養にご注意
⇒主食の罠

この研究からもわかる通り、炭水化物、特に糖質は食後の血糖値を急速に上げます。

しかし、それは、活動的でなく、運動をせずに、体を安静にし過ぎている場合に問題となるのです。

運動をしたり、家事をして活動的になり、筋肉や赤血球や脳が、血中のグルコース(ブドウ糖=血糖)を消費してくれれば、血糖値は上がらずに済み、インスリンも余計に分泌されずに、太らずに済むわけです。

要するに、炭水化物は直ちに血糖となり、血糖をエネルギーとして使わないと体が脂肪としてため込もうとするため、ため込むすきを与えないように常に活動的でいて、エネルギーを使ってしまえばよい、ということです。
⇒糖をためる仕組み、脂肪を消費する仕組み

文明社会の利便性→運動不足→不健康

農業・畜産業・林業・漁業など一次産業が主な就労であった時代には、特に運動(スポーツ)を意識しなくても、普通に生活をしていれば、活動的になり、血糖値などを気にせずに、炭水化物を食べても問題になりませんでした。

それどころか、汗をかいて体を使う仕事をする人々には、即時にエネルギー源となる炭水化物はぴったりの栄養素だったのです。

日本でも、戦前は一次産業の就労人口が多く、自家用車などが普及する以前には、2型糖尿病は現在ほど多くはありませんでした。

ところが、約300年前に起こった産業革命以降、文明社会に住むヒトは、利便性と引き換えに、慢性的な運動不足に陥っています。
⇒文明が病気を作った!

都市への一極集中が加速し、移動には車や自転車、階段は使わず、最近では買い物さえ宅配で荷物も持ちません。
家事や買い物さえもロボット技術とITにより自動化が進んでいます。
仕事もデスクワークが多く、趣味でスポーツする方も減っているようです。
昼休みにバレーボールやキャッチボールをしている光景も珍しくなりました。
1日1回軽く汗をかく活動をしていますか?

糖尿病、肥満、高血圧、動脈硬化、がん、認知症などの生活習慣病の主原因は、実は食事内容よりも、運動不足です。
運動習慣あるヒトや毎日の運動量が多いヒトでは、食事内容をそれほど気にせず健康を維持できるということです。

消費社会に騙されない!

では、なぜ運動の重要性が認識しにくいのでしょう。

エバーグリーン研究室では、その原因は、資本主義が生み出した現在の消費社会のシステムにあると考えます。

消費社会では、企業活動に代表される、消費者の貨幣による消費が重要視され優先されるので、企業は利得のために消費者に消費を促します。

消費を促すためには、消費者の欲望、安易さと不安と恐怖を刺激するのが常道です。

「美味しいもの、美しい容姿や、健康を、労力を使わず、この商品を使えば得ることができる」などと盛んに製品を売り出し、宣伝広告しています。

また、「これは便利だ」「楽ができる」などとの誘い文句で、掃除・洗濯・片付けなどをしなくてもよい安楽商品もたくさんあります。
ルンバなどの自動掃除ロボットや、乾燥機能付き洗濯機、使い捨ての商品などがその典型ですね。

また一方で、
「これを食べていると健康に悪い」
「これを飲まないと健康に悪い」
「サプリを使わないと太る、醜くなる」
「化粧品を使わないと美容に悪い」
などとというキャッチコピーを使って、不安と恐怖を刺激して、安心のために製品を買わせようとする企業や宣伝は数え切れません。

医療保険なども同様です。
「病気になったらお金がかかる」と不安をあおって加入させようとしています。
いくら保障の厚い保険に入ろうとも、病気になったら、まず幸福にはなれません。

そして、マスメディアやインターネットにはびこる広告やマーケティングによって、
欲望、安易さと不安と恐怖を刺激され続け、これらの商品・製品を必要以上に消費するため、
ヒトは貨幣の虜になっています。

そのため、長時間の労働を強いられ、その内容も、会社員であればデスクワークや単純作業の比率が多く、体を使う就労は少なくなっています。
多忙と疲労のためにエレベーター・エスカレーターはもちろんご近所への移動も車やタクシー。
やっと迎えた週末には、疲れていて、趣味やスポーツどころか、ちょっとしたストレッチをする気力もない。

貨幣の獲得のために、仕事優先の思考になり、休日も取らず、ストレスが多くなり、不健康な食事や飲酒・喫煙などで憂さを晴らす、といった方も多いと思います。

消費社会と貨幣にとらわれ、時間を奪われ、安心することに脅迫されて、本質を見抜く思考ができなくなってはたいへんです。
生き物が本来守るべき、自分の健康な命を見失ってしまわないようにしたいものです。
健康を損なえば、自分だけではなく周りの人間も不幸になります。
病気になって喜ぶのは医療従事者と医療産業だけです。

保険に入っても病気予防はできない

医療・医学は未完成です。
現在の医療技術で、一度かかってしまった病気を完治させることはまだまだ困難です。

保険に入っても病気は予防できません。
保険をかけて、発病してからお金をかけて高級な医療を受けても、根治しないことが多いのです。
病気にならないことが大切です。

そして、あらゆる生活習慣病に共通して最も有効な予防法は、運動であることを忘れてはなりません。

人生は限られています。
誰にとっても時間は等しく過ぎていき、貨幣を出しても買い足せません。
なるべく多く健やかな時間を過ごすことが、貨幣には代えられない幸せではないでしょうか。

さあ、今日は17:00に退社して、自宅の最寄り駅から1つ前の駅で降りて、歩いて自宅に帰りましょう。
エレベーターもエスカレーターも使わないようにしましょう。
きっと新たな風景や発見を楽しめますよ。
帰ったら軽いストレッチをしましょう。
これだけでもかなりの運動量です。
そうすれば風呂上がりのビールも格別ですよ。

週末はきちっと仕事を休んで、趣味やスポーツに汗を流しましょう。
美味しい料理をたくさん楽しめますよ!!!

2016年8月6日土曜日

主食の罠

主食をたくさん食べると、やっぱり太るようですね。

面白い調査結果を報道で知りました。

『主食の重ね食べ』は肥満のもと

大阪府健康医療部が2016年8月2日に発表した、大阪版健康・栄養調査結果(速報版)によると、男女とも 4 人に 1 人が、1 日 1 食以上、主食の重ね食べ、をしているということです。

具体的には、
  • お好み焼き+ごはん
  • うどん+かやくごはん
  • ラーメン+チャーハン
  • そば+どんぶりもの
などの組み合わせでしょうね。
週に1食以上、「主食の重ね食べ」をしている人の割合をBMI(体格指数)別にみると、肥満の人は63.9%で、普通(51.6%)、やせ(44.6%)の人より高かったったということです。

この調査は2015年11-12月、18歳以上の大阪府民1858人から回答を得たものです。
大阪版健康・栄養調査結果(速報版)

News Up 「重ね食べ」は肥満の元?

調査報告書には、『主食の重ね食べは「太りそうだ」と思う人が男女とも多く、特に女性はどの世代も多い傾向だった』との記述もありました。
主食好きの人は、わかっているのについやってしまう。ということでしょうか?

これには仕組みがあります。
主食の白米や精製された小麦粉などは、糖質が多く含まれているので、余計におなかが空いてしまうのでしたね。
⇒糖質は食欲を増進させる

白米の食べすぎが糖尿病の原因に?

実は、白米の過食がアジア地域(日本人と中国人)の2型糖尿病の主な原因であることは、明らかになっています。

この研究では、メタアナリシスという解析方法で、7つの前向き観察研究(プロスペクティブコーホート研究)を解析対象として、
  • 228,869人のアメリカ人とオーストラリア人
  • 123,479人の日本人と中国人
を4-22年間観察した食事内容と2型糖尿病発病割合などの結果を比較しました。

解析結果は、
  1. 日本人と中国人で白米の摂取量が多かったグループは、少なかったグループに比べて、 55% 2型糖尿病になりやすかった[相対危険度1.55 (95%信頼区間1.20-2.01)] 
  2. アメリカ人とオーストラリア人で 白米の摂取量が多かったグループは、少なかったグループに比べて12% 2型糖尿病になりやすかった[相対危険度1.12(95%信頼区間 0.94-1.33)]
  3. 1の結果と2の結果を統計学的に解析すると、同じ量の白米を摂取した場合、アメリカ人とオーストラリア人に比べて、日本人と中国人のほうが糖尿病になりやすいと判断できる。
  4. 白米の摂取量が多ければ多いほど2型糖尿病の発病リスクは高まった(線形相関あり)。
  5. 2型糖尿病の発病リスクは、およそ1日600g(ご飯4杯)の摂取で、まったく白米を摂らない場合に比べて約50%上昇すると推算された。
いかがでしょう?

白米、うどん、パンなど、精製度が高く、エネルギーの密度が高い食品はやはりほどほどにしないと危険ですね。

日本独特の「主食」という奇妙な考え方

エバーグリーン研究室では、我々日本人が陥っている最悪の食習慣が「主食」を摂るということにあると考えます。

「主食」について調べるとわかりますが、「主食」の概念は先進国では日本以外ではまず見当たりません。
欧米人もパンやパスタは食べますが、それが「主食」になることはありません。
中国人も、南の地域では白米を多く食べるようですが、あえて「主食」といえば餃子のようです。
つまり、他の国の人々も、高エネルギー密度のデンプンを食べてはいますが、その量と割合が日本人ほど高くないということです。

「主食」は、英訳すればメインディッシュになります。
日本人の多くが、ご飯やうどんがメインディッシュということです。

外国人がこれを聞くととても驚きます。
多くの外国の料理のメインディッシュは,
肉や魚などのタンパク質が豊富な料理です。

日本人は、もともと狩猟採取による肉食中心の雑食であったのが、農業振興と租税の目的で律令時代のころから始まった肉食禁止令などによって、次第に米中心の食生活となり、江戸時代には通貨の代わりになるまでになりました。
元禄時代に精米技術の普及によって、庶民も白米を食べるようになると、脚気=「江戸患い」が出現しました。

その後も、農業保護の政策から、米を中心とした「主食」の考え方は日本に蔓延しています。
明治期にも海軍軍医の高木兼寛が海軍で多くの死者を出していた脚気の原因を白米中心の食事であることを発見して、海軍の食事内容を改めたことは有名です。

脚気の直接の原因はビタミンB1不足です。
精米によって白米にすることで、玄米に含まれていたビタミンB1は失われコメの栄養価が変わってしまうわけです。
そして、白米のご飯(主食)と漬物といった栄養価の足りない食事スタイルで脚気が起こっていたのです。
ちなみに脚気による死亡者数は、1923(大正12)年の26,796人がピークだそうです。

昭和に入っても1975年に日本神経学会で脚気の症例が全国各地から報告されて、学会がざわめいたことがあるそうです。
このころは、ちょうど高度成長期で豊かになるとともに、白米中心の食事に加え、インスタント食品や外食などの機会が増えてきたからと思われます。

もちろん医療技術の進歩も影響しているのでしょうが、日本人の平均寿命の延長は高度成長期から始まった、コメの消費量の減少に比例しています。

また、戦前までは小さかった日本人の体格が、戦後急速に大きくなったのも、食事に占める炭水化物の割合が少なくなり、タンパク質の摂取割合が増えたためと思われます。

日本の栄養学と栄養食品の問題点

日本の栄養学はあまり進歩していないようです。
PFCバランスなどと呼ばれる、1日のエネルギーの13~20%はタンパク質、20~30%は脂肪で、50~65%は炭水化物(でんぷん・糖質、食物繊維、アルコールも含む)で摂りなさいという、炭水化物が多過ぎる食事指導を行っているのが実情です。

ここにも、「主食」の考えが影響していると思われます。
「主食」の考えを改めない限り、日本食が健康食とは言えないでしょう。

日本の栄養学の問題点は、食事に含まれる栄養素の割合や熱量にばかり着目して、各食品の消化・吸収を含めたエネルギー密度・効率という視野が乏しいことと考えます。
日本の栄養学の問題点は、食事に含まれる栄養素の割合や熱量にばかり着目して、各食品の消化・吸収を含めたエネルギー密度・効率という視野が乏しい バナナジュース イラスト 

例えば、同じ量の糖質を含む食品であっても、バナナをミキサーでジュースにした飲み物のほうが、固形のバナナよりもエネルギー密度が高くなり、消化・吸収効率が良いことは、実験しなくても論理的に直観できます。

安直なキャッチの商品に注意

「食べられないなら飲めばいい」などという安直なキャッチコピーで、栄養バランスが取れているとする流動食を宣伝している食品・製薬メーカーもありますが、あのような商品を一般向けに開発する意図がわかりません。

その商品は、1パケージで200kcal/125mL(1mL当たり1.6kcal)のエネルギーだそうですが、125mLなら一気に飲めるでしょう。
200kcal(おにぎり1個強のエネルギー、糖質29.3g!角砂糖7.3個分に相当)を一飲みで摂るなんて恐ろしいことです。
仮に一食の摂取カロリーを800kcalとしても、通常の調理での、固形物の多い、のど越しの良くない、よく噛む必要のある食事では、早く食べても30分はかけているはずです。

明治 メイバランス イラストこのような商品を飲むと、唾液の分泌は少なく、胃を素通りして、膵臓がびっくりして膵アミラーゼを盛んに分泌させて膵臓に負担をかけ、急速に小腸から栄養が吸収され、血糖値の急上昇とインスリンの過剰分泌の恐れがあると思います。

ちなみに、この商品と同じグループに分類される液体半消化態栄養剤の医薬品の用法では1時間に50-100mLの速度で投与するとなっています。

※液体半消化態栄養剤:口から食べられなくなってしまった人が固形の食事の代わりに摂取する医薬品

この医薬品の液体半消化態栄養剤は、各栄養成分の組成と配合量は異なりますが、エネルギーは1mL当たり1.5kcalと上の商品と同様です。

一般に販売されている流動食のように飲む食品はこれ以外にもありますが、忙しいからと言ってこのような食品を使用しないことをお勧めします。

第一、栄養学などで食品のエネルギー換算に用いる、食品の物理的燃焼熱を基にしたアトウォーター換算係数には、問題点が多すぎます。

※ アトウォーター換算係数:食品のカロリーを計算する際に用いる係数。
食品を燃やして生じる熱量(燃焼熱)から,それを摂取した場合に糞に排泄される部分の燃焼熱と、尿に排泄される部分の燃焼熱を差し引いて求める。
炭水化物とタンパク質は1gを4kcal、脂質は1gを9kcalとする。

栄養学が、この問題点を認識できていないはずがありません。
学問として、なぜ率先して改善しないのか理解できません。
栄養学は、農業・畜産業をはじめ食品業界、外食産業などの利権が関係しやすい学問領域ですが、もう少し進歩していただきたいものです。


バランスのよい食事 20のポイント

バランス良い食事が大切とは、栄養士による栄養指導の決まり文句ですが、具体性に欠けます。

それよりも、
  1. 主な食品の主要な栄養成分を覚えておく
  2. 一種類の食品や1つの栄養素を含むものをたくさん食べすぎない
  3. いろいろな食材を用いて食事をする
  4. 動物にとってはタンパク質が最も重要な栄養素
  5. 濃い味付けを避け、薄味に慣れる(塩分を控える)
  6. 同じ調理法のものを食べすぎない(揚げ物、炒め物ばかりなど)
  7. スムージーや粥、餅など極端に粉砕・加熱・加工調理したものは控えめに
  8. のど越しの良い食物(カレーなどルーのかかったもの、あんかけの丼もの・麺、汁の多い丼もの、汁かけ飯、麺類、噛まなくて済む柔らかい食物、流動食)を食べすぎない
  9. 加工食品を食べすぎない
  10. 糖質を摂るときは食物繊維(野菜)を一緒に食べる
  11. 美味しいものは習慣性・依存性があるので嗜好品と考える
  12. 塩+砂糖+油脂の多い味付けが習慣性・依存性をもたらす
  13. 美味しい(甘い)飲み物は飲まない(子供には水!)
  14. 早食いしない(1口で30回は噛んで、食物に唾液を良く絡めてから飲み込む)
  15. 大食いしない
  16. 保存食を買い置きしない
  17. 外食を控える
  18. 食べ放題は危険
  19. 満腹を感じたら食べない。無理して食べない
  20. 食べること以外の楽しみを持つ
を心掛けると良いと思います。
このコンテンツに関連のあるコンテンツはこちらです↓
⇒早い、うまい、安いが身を滅ぼす
⇒全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
⇒炭水化物の消化と吸収

下の記事も読んでくださいね。


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血糖になる栄養素
何を食べると血糖値が上がる?
「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
ブドウ糖と果糖の毒性
果糖はブドウ糖より危険
果糖は別腹
糖類を食べるとおなかがすく?
糖質は食べ物でとる必要はない?
糖質制限で二日酔いから解放?
アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
スポーツドリンクで糖尿病に? 
お酒と糖類の依存性
あなたの1日の糖質量
糖質制限 糖質は何gまでOK?
エナジードリンクは飲んでもOK?
加糖飲料の危険性が次々証明
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の恐ろしい結果、終末糖化産物(AGEs)とは?
早い、うまい、安いが身を滅ぼす
血糖値だけでない空腹感のメカニズム
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糖をためる仕組み、脂肪を消費する仕組み

糖尿病
4~5人に1人が糖尿病予備群!
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糖尿病予備群は癌リスクが15%高い
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食べ物・栄養
食生活は進化の中で3回変わった
50歳超女性は夕食でタンパク50g
飲酒でボケが早まる!
砂糖入り飲料のリスク
おいしさの罠
米国マクドナルド が抗生物質与えた鶏肉の使用をやめる
食品のコレステロールは気にしなくてOK
エナジードリンクは飲んでもOK?
短い期間でも、健康な食事でがんのリスクが減る
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関節痛サプリのウソ

食用油
健康に良い油?悪い油?
食品中の脂肪は気にしなくてもOK

2016年3月17日木曜日

早い、うまい、安いが身を滅ぼす

“エネルギー効率”“エネルギー密度”の問題点

エバーグリーン研究室では、現代の食生活の問題点を、エネルギー効率あるいはエネルギー密度にあるとみています。
以前にも、別な表現で「早い栄養素」にご注意というコンテンツも書きました。
⇒吸収が速い栄養素は老化を進める?
⇒速い栄養にご注意

“火”による調理で、よりおいしく、より食べやすくなった

人類の築いた文明・英知は、ヒトの進化に伴って厳しい自然をヒトが生き抜くために発達しました。
その中でも「飢餓」を克服するための発明、特にインパクトが大きかったのが、「火」の使用だといわれています。

今のところ火を自分で熾して利用する生物はヒトだけだとされています。

火の効用には、食事以外にも、暖をとる、照らす、威嚇するなどの効用もありますが、なんといっても、食物を調理することで、硬いものでも食べやすくして、食中毒や寄生虫を避けるといったメリットが最大のものだったでしょう。

穀物などの農作物は植物性食品ですので、果物など以外は、火を使って調理することが必要となります。
植物細胞は細胞壁があるので、十分熱を加えないと柔らかくはなりません。
⇒高温・高圧で柔らかくなる

また、加熱することで、植物中のでんぷんが分解されて、オリゴ糖や二糖類になり、消化・吸収されやすくなると同時に甘くおいしくなります。
⇒炭水化物の消化と吸収

調理することで、同じ穀物でも、生で食べるよりもずっと栄養価が高くなるのです。

粉砕することで、さらにおいしく食べやすく

さらに、火を使用した調理に加えて、穀物を粉砕すること、つまり挽くことも大きな技術進歩でした。
紀元前3,000年頃の古代エジプトでは、碾臼で小麦粉を挽き、パンを焼いていたといわれます。

小麦などの穀物を挽くことで、粒子は細かくなり、それを焼くことでさらにでんぷんが分解されて甘くておいしいパンとなるのです。

このように調理技術の発達は、ヒトに計り知れないメリットをもたらしました。
ヒトの脳は、調理することで、ふんだんな栄養を摂れるようになったことで発達したのかもしれません。

調理技術の発達で、エネルギー効率、エネルギー密度が向上

しかし、一方で、調理することのデメリットも生まれました。

調理することによって、食物のエネルギー効率あるいはエネルギー密度は飛躍的に向上します。

飢餓に見舞われた時代のヒトには、調理技術や、食品開発・保存技術は、ありがたいものだったのです。

しかし、約300年前の産業革命以降、ヒトは常にエネルギー効率のよい食べ物にありつけるようになりました。
特に、砂糖の抽出と食用油を搾る搾油、精製された小麦粉などの製粉が一般的になってからは、先進国では低コストで大量生産可能な、エネルギー密度が高い食事・食品にあふれています。

便利な生活が産んだ運動不足で、より慢性疾患が増加

こんな食環境になったうえ、産業革命以降、農業従事が低下し、デスクワークが増加しました。
鉄道や自動車、エレベーター、エスカレーターの普及による慢性的な運動不足も加わって、エネルギーの収支が大幅に過剰になりました。

そして、肥満をはじめとして、糖尿病、高血圧、脂質異常症、がん、関節疾患、骨粗鬆症などの慢性疾患が爆発的に増加したのです。
日本でも、戦後の自家用車の普及と、糖尿病の有病率は比例しています。
高効率のエネルギー供給と、エネルギー消費のバランスが崩れたライフスタイルが、先進国の生活です。
これでは、そのままの生活で健康を維持するのは、困難でしょう。

エネルギー効率の高い食品は血糖値が上がりやすい

エネルギー効率がよい、あるいはエネルギー密度が高い食事は、農作業などの肉体労働をしている場合は、有利に働くこともあったでしょう。

しかし、現代先進諸国のライフスタイルでは、エネルギー高効率あるいはエネルギー高密度は、諸悪の根源のようです。

同じカロリー(熱量)を摂取しても、エネルギー高効率あるいはエネルギー高密度の食品では、血糖値が上がりやすく、インスリンが出やすくなるため、体に余計に負担がかかるようです。

その証拠となる研究の1つを簡単に紹介します。

カロリーは同じでも性質の違う糖では、血糖値とインスリン値に差

Farnaz Keyhani-Nejad.et al. Effects of Palatinose and Sucrose Intake on Glucose Metabolism and Incretin Secretion in Subjects With Type 2 Diabetes. Diabetes Care 2016;39:e38–e39 | DOI: 10.2337/dc15-1891

【研究目的】
砂糖(ショ糖・スクロース)と同じように、グルコース(ブドウ糖)フルクトース(果糖)で構成される、イソマルツロース(パラチノース)摂取後の血糖値の上昇は、砂糖摂取後よりも低いとされる。

これまで、イソマルツロースの代謝の詳細は不明であったので、ヒトでの代謝を調べる。

【研究方法】
2型糖尿病の成人10人(女性2名、男性 8名、61.6±4.6歳、BMI 32.1±4.06 kg/m2)をランダムに次の2群に分けて、血糖値とインスリン値、インスリンの分泌を促進するホルモン(GLP-1GIPなどを調べた。
  • イソマルツロース(パラチノース)50gが溶けたドリンクを300mLを飲む群
  • 砂糖50gが溶けたドリンクを300mLを飲む群
1週間以上時間をあけて2つのグループのドリンクを入れ替えて、同様に調べた。

【研究結果】
  • イソマルツロース摂取後は砂糖摂取に比べて、血糖値のピーク値の平均が20%低く、インスリン分泌は55%低かった。
  • イソマルツロース摂取後、血液中のGIP濃度が僅かに増加したが、ピーク時にもそれほど上がらなかった。
  • 砂糖摂取後では、GIP濃度は15分後に倍以上と急峻に上昇して、約60分後に急落した。
  • イソマルツロース摂取後では、GLP-1濃度は砂糖摂取後に比べて、素早く上昇し、より長時間持続した。

まとめると、
イソマルツロース摂取は砂糖摂取に比べて、
  • 血糖値が上がりにくい
  • インスリンも極端には上がりにくい
  • GIPは上がりにくい
  • GLP-1は素早く上昇して、長時間持続した

【研究結果から考えられること】
砂糖摂取に比べて、イソマルツロース摂取では、血糖値もインスリンもGIPも上がりにくいことが分かった。

砂糖は消化酵素によって速やかにグルコースとフルクトースに分解されるため、小腸上部に分布するGIP産生K細胞を刺激しGIPを産生する。
一方、イソマルツロースでは分解に時間がかかるため、イソマルツロースのほとんどは分解されないまま、小腸上部を通過してしまうのでGIP分泌が刺激されない。
GLP-1を産生するL細胞は、小腸の下部にあるため、そこに到達するまでにイソマルツロースがグルコースとフルクトースに分解され、GLP-1は分泌される。

これまでの研究から、GIPは肥満や脂肪肝、脂肪組織の炎症を起こす可能性が示されている。

砂糖もイソマルツロースも、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)で構成されるが、化学結合が異なる。
そのため、消化酵素の働き方が異なり、砂糖は早く分解され、イソマルツロースはゆっくりと分解される。

この違いから、このような結果となったと思われる。

イソマルツロースは、糖尿病の代替甘味料として使用されている。
このことについて、研究者たちは、次のように結論している。
  • イソマルツロースは、腸の細胞でGIP分泌を減少させてGLP-1分泌を増加させ、インスリン分泌もある程度維持するので、血糖値の著しい変動を防ぐことができる。
  • イソマルツロースは2型糖尿病患者に有効であろう。

ただし、砂糖もイソマルツロースも、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が1:1で構成されているので、最終的には吸収されてエネルギーになる。
摂りすぎは良くないし、運動も必要だと警告もしている。

砂糖とイソマルツロースの違い

いかがですか。
下の絵は、砂糖とイソマルツロースの化学構造を比較しています。

どちらも、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が1:1で構成されていいますが、化学結合の仕方が異なります。
糖質 何グラム

砂糖(スクロース、ショ糖)とイソマルツロース(パラチノース)は
どちらもグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が化学結合したもの。
化学結合の部位が違うことで分解されやすさが変わる。
イソマルツロースでは砂糖に比べて分解のスピードが遅いことから、吸収に時間がかかり、
血糖値の上がり方やインスリンの出方が緩やかになる。

砂糖の赤い丸の結合は速やかに分解されますが、イソマルツロースの青い丸の結合は、比較的ゆっくり分解されるので、血糖値の上がり方も、インスリンの出方もゆっくりです。
しかも、代謝的に好ましくないGIPの分泌も上がらないというわけです。

でも、研究者達も注意している通り、最終的には砂糖と同じ分のグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が吸収され摂取カロリーは同じです。
また、イソマルツロース甘さが砂糖の約半分なので、砂糖と同じ甘さを求めて使用すると倍量を使うことになってしまい逆効果になることもあります。

GIPGLP-1の違い

GIPGLP-1 どちらもインスリン分泌を促すホルモンですが、図のように小腸で産生する細胞がある場所が違います。

インクレチン、GIP, GLP-1, DPP-4,イソマルツロース, インスリン, エネルギー効率, エネルギー密度, 炎症, 血糖値, 倹約遺伝子, 高血圧, 脂質異常症, 糖尿病, 肥満,
インスリンの分泌を促す小腸の上皮細胞で産生されるホルモンをインクレチンと呼ぶ。
インクレチンにはGIPGLP-1がある。
GIPを産生するK細胞は図中ピンク色の上部小腸の吸収上皮細胞層にある。
GLP-1を産生するL細胞は、図中グリーン色の下部小腸の吸収上皮細胞層に分布する


GIPは、肥満や脂肪肝、脂肪組織の炎症を起こす可能性が示されていて、
GLP-1には、脂質異常や高血圧を防いだり、慢性炎症を治めて動脈硬化が進まないようにする作用があります。
Yutaka Seino and Daisuke Yabe. Glucose-dependent insulinotropic polypeptide and glucagon-like peptide-1: Incretin actions beyond the pancreas.Journal of Diabetes Investigation
Volume 4, Issue 2, pages 108–130, March 2013

どうして、2つのホルモンにこのような違いがあるのかまだ詳しいことは不明ですが、どうもGIPは、飢餓にさらされたときなどに働く「倹約遺伝子」によって現れてくるホルモンのようです。

倹約遺伝子は糖尿病・肥満に弱い

倹約遺伝子は、言葉の通り、エネルギーの使用を倹約して、余ったエネルギーを出来るだけ蓄える作用を持ちます。
最小限のエネルギー源で生きていけるようにしてくれる、本来は生物にとってありがたい遺伝子です。

日本人は倹約遺伝子が働きやすい

我々日本人やアメリカ大陸のピマインデアンは、この倹約遺伝子が働きやすく、糖尿病や肥満に弱いとされます。

実際に、運動量の多い伝統的な生活を続けるメキシコに住むピマインデアンは健康なのに、同じ遺伝子を持つアメリカに住む近代的な生活をするようになったピマインデアンでは、肥満と糖尿病が蔓延したという事実があります。


倹約遺伝子を持っている人種は、おそらく、食料に困りがちで、食料を得るための農作業などの運動量も多く、かつ栄養価が高くてエネルギー効率が良いあるいはエネルギー密度が高い食べ物をあまり多く食べて来なかったと考えられます。

そういえば、昔の日本の食事は食物繊維を多く含む質素なもので、就労者は殆どが仕事でよく体を動かす一次産業でした。


倹約遺伝子に高エネルギー密度の食べ物は想定外

現代の日本のような文明国に住み、倹約遺伝子が働きやすい体質で、忙しく、運動する暇もない我々にとって、エネルギー密度が高い食べ物はとても危険な食料と思われます。

忙しいと言って、ファーストフード、丼もの、カレーなどのルーをかけた白飯、麺類、パンなどの外食や、コンビニ中食、インスタント食品などを利用することを考えさせられる研究です。

早い、うまい、安いで身を滅ぼさないようにしたいものですね。

“血糖値をあげにくいサプリメント”も使い方を間違えれば本末転倒

最後に、「血糖値の上昇を緩やかにする」などと謳った難消化性デキストリンなどのサプリメントについて。

最近、このような商品がたくさん市販されていますね。
上の説明のとおり、このようなサプリメントは血糖値の上昇カーブを緩やかにさせますが、それは糖の吸収スピードが遅くなっただけ。
糖が吸収されないわけではありません。

つまり、最終的に吸収される糖質の量、カロリーは同じです。
気を許してたくさん食べれば、当然、オーバーカロリーに・・・

早い、うまい、安い(高い?)食べ物を存分に食べるためのサプリメント使用は本末転倒でしょう。

よろしければ下記↓も読んでみてください。

糖質
血糖になる栄養素
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糖尿病
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