いきいき!エバーグリーンラブ: 食品のコレステロールは気にしなくてOK

2015年3月5日木曜日

食品のコレステロールは気にしなくてOK


健康的な食生活として、「コレステロールを多く含む食品を控える」といった栄養の指導を受けた方や、コレステロールを抑えたマヨネーズなどの商品を利用なさっている方も多いと思います。

エバーグリーン研究室では、食事で摂るコレステロールはあまり気にしなくて良いというお話しをしてきました。
⇒脂肪は悪者?


2015年2月11日のアメリカの新聞ワシントンポストで、
The U.S. government is poised to withdraw longstanding warnings about cholesterol

『アメリカ合衆国農務省の「アメリカ人のための食生活ガイドライン」を作成している委員会が、コレステロールの多い食品を食べることへの注意を取り下げることを決めた。

この注意は過去40年間政府によってアメリカ国民にされてきた。

しかし、健康な成人では、コレステロールが多い食品を食べても、血中のコレステロールに影響しない、心臓病のリスクも上昇しない。』

と報道されました。

今日は、発表された「アメリカ人のための食生活ガイドライン」の内容をざっとみてみましょう。
Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee

このガイドラインは、改訂を重ねてきていますが、今回の2015年の改訂はワシントンポストの記事のように、コレステロールの扱いが目玉です。

「アメリカ人のための食生活ガイドライン」推奨の概要

  • コレステロールの摂取は制限しない。
  • 果物と野菜、全粒の穀物(精製していない穀物)、低脂肪乳製品、シーフード、豆類とナッツを積極的にとり、加工された肉(ハムやソーゼージ)や赤い色の肉(赤身肉;牛肉、豚肉、ラムなど血の多い肉)、砂糖、加糖食品と加糖飲料、精製した穀物は控える。
  • 添加糖は一日必要カロリーの10%未満、飽和脂肪も一日必要カロリーの10%未満にして、ナトリウムを1日2300mg未満にする。
  • 穀物の摂取量の半分は、全粒の穀物から摂らなければならない。
  • 適度な量のアルコールの摂取は、大部分の成人で健康に好ましい。
  • 一日最高カップ5杯までのコーヒーは、大部分の成人で問題ない。

以前には、このガイドラインでは、コレステロールは1日300mg以上摂るべきではない、としていましたが、この制限をなくしました。
鶏卵1つでだいたい240mgのコレステロールを含むので、卵は1日1個まで、などと言われていたわけですね。
この制限がなくなったのです。

科学的な根拠が集まってきて、以前の見解を訂正する勇気は素晴らしいと思います。
日本の政府機関や学術団体は、情報のアップデートや、正確性の検証が甘いと思います。
アメリカという国には良いことと悪いことと玉石混交と思いますが、これはぜひ見習うべきでしょう。

風評を安易に信じない

テレビや雑誌のタイアップ番組・記事や、製薬会社、食品会社、化粧品会社の広告宣伝が、意図的に間違った情報を流すことは容易に想像出来ますが、政府機関や学術団体などの公的なガイドラインといえども、図らずも間違っていることはあるのです。

最近の科学界では、科学研究と企業などの利害衝突と資金提供が、科学研究の正確性と質に影響することを問題視しています。

また、商品がいかにも科学的な裏付けがあるようにキャッチ―に宣伝して、商品を売り込もうとする企業は無数にあります。
科学という、なんとなく、正しく、権威がありそうな装いに惑わされずに、冷静に情報を判断するようにしましょう。

得体が知れなく、あまりおいしくなく、しかも高い、低コレステロールを謳う商品は必要ないのです。

オムライス オムレツ 卵 イラスト コレステロールうちの奥さん=れい研究員は卵が大好物ですが、コレステロールの摂りすぎを気にして以前は1日、2個くらいまでにしていました。
ものすごく損をした気分だと、怒っています。
我慢した分を取り返すために、先日のおでんには卵が一人3個ずつ割り当てられていました。

ある程度、生命科学を学んでいたって、正しい科学知識のアップデートは、努力して勉強を続けないと、訂正できないものです。

生命科学を学ぶ機会のなかった方々が、食べたいものを我慢して損をしないように、エバーグリーン研究室では、正しいデータ・・・科学的に正しいと思われるデータを紹介していきます。

「アメリカ人のための食生活ガイドライン」の改定内容に関していえば、アルコールの記述以外は概ね間違っていないと思われます。
卵好きの皆さん、卵は心置きなく食べてください。

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