いきいき!エバーグリーンラブ: 脂肪燃焼
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2016年9月10日土曜日

運動不足のリスクは喫煙なみ

スウェーデンで45年間にわたり、死亡リスクを増やす原因について調査をしたところ、第1位は喫煙であることが認められました。

ここで問題です。
喫煙に次ぐ第2位は、次のうちどれでしょう。

  1. 血清コレステロール
  2. 運動不足
  3. 高BMI


回答に替えて、研究の概要をご紹介しましょう。

中年男性の45年間の死亡リスクに影響を及ぼす因子について

Per Ladenvall et.al.; Low aerobic capacity in middle-aged men associated with increased mortality rates during 45 years of follow-up.

【研究の方法】
  • 1963年に50歳だった男性の792人のデータを使用した、45年間にわたる前向き観察研究(プロスペクティブコーホート研究)。
  • 参加者が54歳の1967年に、792人のうち656人が自転車(エルゴメーター)に乗ってマスクをつけて、最大酸素摂取量(VO2max)を測定して、運動能力の上限を測定した。
  • 2012年の99歳まで参加者を観察して、約10年ごとに運動能力検査をした。
  • 参加者の死亡および一般国民の死亡率は、スウェーデン国民死亡原因登録のデータで確認した。
  • 参加者の身体測定・血圧や血液検査データと、運動能力と死亡のデータを比較して分析した。
【研究の結果】
  • 運動能力の指標である最大酸素摂取量(VO2max)で、次の3つのグループに分けて比較した。
  1. VO2maxが高いグループ
  2. VO2maxが中等度のグループ
  3. VO2maxが低いグループ
  • VO2maxが高いグループは、特に運動しない場合と比べ45年間の死亡リスクが21%低下すると推算できた[ハザード比0.79 (95%信頼区間0.71–0.89; p < 0.0001)]。
  • つまり、運動しないと45年間で21%死亡しやすくなるといえる。
  • 運動しないことの死亡リスク増加へのインパクトは、喫煙に次いでの2位で、高BMI、血清コレステロール高値などよりもはるかにリスクが高かった。
  • 喫煙での死亡リスク増加は58%の上昇であった[ハザード比1.58 (95%信頼区間1.34–1.85; p < 0.0001) ]。
いかがですか。

この研究は45年にわたる長期間参加者の656人を追跡して、10年ごとに運動テストも実施しているのでかなり信頼できる研究結果といえるでしょう。
現在では、喫煙は最もはっきりした健康へ悪影響のあるリスクの1つです。

運動不足はその喫煙に次いで、死亡リスクを上げてしまうのです。

エバーグリーン研究室では、運動の習慣をつけることが、生涯の健康にどれほど良い影響を与えるかについて、皆さんといろいろ勉強してきました。

でも、運動不足がどれだけのデメリットであるかについては、解説するのが難しいところでした。
この研究で、実感いただけたでしょうか?

禁煙に成功した方、次は運動習慣ですね。

運動のメリットを復習

運動することを習慣にできれば、まず筋肉が太目に維持され、筋肉内のミトコンドリアが増加し、その働きが向上します。
筋トレと有酸素運動を組み合わせた適度な強度がお勧めです。

肩こり、腰の痛み、関節痛など、筋肉がつくだけで解消できる痛みも多くあります。
また、有酸素運動をして心拍数を上げると血流がよくなり、肺や心臓や血管の健康にも役立ちます。
定期的に骨が刺激を受けることで、骨も強くなります。

代謝が上がるので、体の中の不要なものが排泄されやすくなり、何より太らず健康に美味しいものを楽しめます。

また、運動ががん認知症などいろいろな病気を予防する証拠も数多くあります。
さらに、適切な運動で病気を回復に向かわせたり、進行を遅らせることさえできます。

エバーグリーン研究室では、健康な生活の基礎となるのが、運動習慣と考えています。
どんなダイエットや健康法、サプリメントや薬も、適切な運動習慣の効果にはかないません。

また、これらのダイエットや健康法も、運動と組み合わせなければ効果が発揮されないと考えて間違いありません。


キーワードは、
  • 筋肉の量が増加
  • ミトコンドリアが増加して活性化
  • 有酸素運動+筋肉トレーニング
  • 心肺機能向上(血流を良くする)
  • 動脈硬化予防
  • 骨の健康
  • 肥満回避
  • 代謝向上
  • 老廃物除去(デトックス)
  • 汗をかく能力(熱中症予防)
  • 体温調節
  • 自律神経活性化
  • 認知機能改善(ボケ防止)
  • 精神の健康
  • がん予防
  • メタボ防止(血圧、血糖値の正常化)
など、たくさんあげられます。

関係する話題は、下記をご参照ください。

ミトコンドリアの数で若さが決まる
有酸素運動と無酸素運動の違い
体重・BMIより筋肉量が大事
運動すると食べ過ぎる?
デスクワークは危険!
座り時間を短くすれば老化しにくい
筋肉は脚から落ちる
1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる
ミトコンドリアが活発な筋肉を保つためには
運動すればボケを防げる!
歳をとってから運動を始めても遅くはない
BMIが正常でも死亡率が上がる原因?
運動不足で脳がしぼむ!

2016年5月18日水曜日

糖をためる仕組み、脂肪を消費する仕組み

食事でとった糖類はどのようにして、吸収され、エネルギーとして利用されているのかを知っていると、ダイエットをはじめとする健康管理に役立つと思います。

ヒトはエネルギーの貯蓄能力が優れた生物

実は、ヒトは生物の中でも、エネルギーをためておくことに関しては、とても進化しています。
この能力で、飢餓をしのいで、脳を発達させ、ヒトに進化できたと考えられます。

でも、一方で、現在では、ありがたくない進化になっているかもしれません。
なぜなら、現代先進国の文明社会は、飽食、さらには運動不足オーバーカロリーという、生物がこれまで経験したことのない環境に置かれているため、ヒトのエネルギー貯蓄能力が、肥満、糖尿病、高血圧、がんなどの生活習慣病を引き起こしてしまっている可能性が高いからです。

我々の体が行っている、エネルギーのため方、使い方

そんなヒトのエネルギー貯蓄方法と、貯蓄したエネルギーで飢餓(空腹)をしのぐメカニズムを知って、健康管理やダイエットに役立てましょう。
今回も、5分06秒の動画にまとめました。




動画の内容の要約は以下の図をご覧ください。

ブドウ糖(グルコース), グリコーゲン, 糖新生,インスリン, グルカゴン, 脂肪細胞, 脂肪組織, 脂肪酸, 遊離脂肪酸, 中性脂肪(トリグリセリド), 脂肪燃焼, 糖質制限, ダイエット

ブドウ糖(グルコース), グリコーゲン, 糖新生,インスリン, グルカゴン, , 脂肪酸, 遊離脂肪酸, 中性脂肪(トリグリセリド), 脂肪燃焼, 糖質制限, ダイエット
糖の吸収~肝臓へ

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全身の臓器にブドウ糖を供給するため、血糖値は一定に

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ブドウ糖はグリコーゲンと脂肪ににして貯蔵

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常にブドウ糖が必要な臓器もある

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グリコーゲンの貯蔵量には限りがある
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肝臓のグリコーゲン貯蔵量は8-10時間分


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糖新生では脂肪細胞の脂肪と、筋肉のタンパクが消費される

今回のコンテンツに特に関連が深いのは
糖質は食べ物でとる必要はない?
空腹感を抑える食べ方
血糖値だけでない空腹感のメカニズム
インスリンは肥満ホルモン?!
脂肪を貯めるしくみ
りんご型肥満でおなかが炎症
脂肪細胞が食欲をコントロールする

の各コンテンツです。

よろしければこちらも読んでください。

糖質
血糖になる栄養素
何を食べると血糖値が上がる?
「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
ブドウ糖と果糖の毒性
果糖はブドウ糖より危険
果糖は別腹
糖類を食べるとおなかがすく?
糖質は食べ物でとる必要はない?
糖質制限で二日酔いから解放?
アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
スポーツドリンクで糖尿病に? 
お酒と糖類の依存性
あなたの1日の糖質量
糖質制限 糖質は何gまでOK?
エナジードリンクは飲んでもOK?
加糖飲料の危険性が次々証明
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の恐ろしい結果、終末糖化産物(AGEs)とは?
早い、うまい、安いが身を滅ぼす
血糖値だけでない空腹感のメカニズム
空腹感を抑える食べ方

糖尿病
4~5人に1人が糖尿病予備軍!
糖毒性で糖尿病予備軍に??
グルコーススパイクに注意
インスリンは肥満ホルモン?!
早食いはメタボの元
厚労省お墨付き栄養法で糖尿病?
低GI食品って意味ある?
やっぱりGIはあてにならない
糖尿病予備群は癌リスクが15%高い
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の末路、終末糖化産物(AGEs)とは?
血糖値だけでない空腹感のメカニズム
空腹感を抑える食べ方

食べ物・栄養
食生活は進化の中で3回変わった
50歳超女性は夕食でタンパク50g
飲酒でボケが早まる!
砂糖入り飲料のリスク
おいしさの罠
米国マクドナルド が抗生物質与えた鶏肉の使用をやめる
食品のコレステロールは気にしなくてOK
エナジードリンクは飲んでもOK?
短い期間でも、健康な食事でがんのリスクが減る
カメはなぜ長生きか?
早い、うまい、安いが身を滅ぼす
血糖値だけでない空腹感のメカニズム
空腹感を抑える食べ方

食用油
健康に良い油?悪い油?




2015年3月5日木曜日

食品のコレステロールは気にしなくてOK


健康的な食生活として、「コレステロールを多く含む食品を控える」といった栄養の指導を受けた方や、コレステロールを抑えたマヨネーズなどの商品を利用なさっている方も多いと思います。

エバーグリーン研究室では、食事で摂るコレステロールはあまり気にしなくて良いというお話しをしてきました。
⇒脂肪は悪者?


2015年2月11日のアメリカの新聞ワシントンポストで、
The U.S. government is poised to withdraw longstanding warnings about cholesterol

『アメリカ合衆国農務省の「アメリカ人のための食生活ガイドライン」を作成している委員会が、コレステロールの多い食品を食べることへの注意を取り下げることを決めた。

この注意は過去40年間政府によってアメリカ国民にされてきた。

しかし、健康な成人では、コレステロールが多い食品を食べても、血中のコレステロールに影響しない、心臓病のリスクも上昇しない。』

と報道されました。

今日は、発表された「アメリカ人のための食生活ガイドライン」の内容をざっとみてみましょう。
Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee

このガイドラインは、改訂を重ねてきていますが、今回の2015年の改訂はワシントンポストの記事のように、コレステロールの扱いが目玉です。

「アメリカ人のための食生活ガイドライン」推奨の概要

  • コレステロールの摂取は制限しない。
  • 果物と野菜、全粒の穀物(精製していない穀物)、低脂肪乳製品、シーフード、豆類とナッツを積極的にとり、加工された肉(ハムやソーゼージ)や赤い色の肉(赤身肉;牛肉、豚肉、ラムなど血の多い肉)、砂糖、加糖食品と加糖飲料、精製した穀物は控える。
  • 添加糖は一日必要カロリーの10%未満、飽和脂肪も一日必要カロリーの10%未満にして、ナトリウムを1日2300mg未満にする。
  • 穀物の摂取量の半分は、全粒の穀物から摂らなければならない。
  • 適度な量のアルコールの摂取は、大部分の成人で健康に好ましい。
  • 一日最高カップ5杯までのコーヒーは、大部分の成人で問題ない。

以前には、このガイドラインでは、コレステロールは1日300mg以上摂るべきではない、としていましたが、この制限をなくしました。
鶏卵1つでだいたい240mgのコレステロールを含むので、卵は1日1個まで、などと言われていたわけですね。
この制限がなくなったのです。

科学的な根拠が集まってきて、以前の見解を訂正する勇気は素晴らしいと思います。
日本の政府機関や学術団体は、情報のアップデートや、正確性の検証が甘いと思います。
アメリカという国には良いことと悪いことと玉石混交と思いますが、これはぜひ見習うべきでしょう。

風評を安易に信じない

テレビや雑誌のタイアップ番組・記事や、製薬会社、食品会社、化粧品会社の広告宣伝が、意図的に間違った情報を流すことは容易に想像出来ますが、政府機関や学術団体などの公的なガイドラインといえども、図らずも間違っていることはあるのです。

最近の科学界では、科学研究と企業などの利害衝突と資金提供が、科学研究の正確性と質に影響することを問題視しています。

また、商品がいかにも科学的な裏付けがあるようにキャッチ―に宣伝して、商品を売り込もうとする企業は無数にあります。
科学という、なんとなく、正しく、権威がありそうな装いに惑わされずに、冷静に情報を判断するようにしましょう。

得体が知れなく、あまりおいしくなく、しかも高い、低コレステロールを謳う商品は必要ないのです。

オムライス オムレツ 卵 イラスト コレステロールうちの奥さん=れい研究員は卵が大好物ですが、コレステロールの摂りすぎを気にして以前は1日、2個くらいまでにしていました。
ものすごく損をした気分だと、怒っています。
我慢した分を取り返すために、先日のおでんには卵が一人3個ずつ割り当てられていました。

ある程度、生命科学を学んでいたって、正しい科学知識のアップデートは、努力して勉強を続けないと、訂正できないものです。

生命科学を学ぶ機会のなかった方々が、食べたいものを我慢して損をしないように、エバーグリーン研究室では、正しいデータ・・・科学的に正しいと思われるデータを紹介していきます。

「アメリカ人のための食生活ガイドライン」の改定内容に関していえば、アルコールの記述以外は概ね間違っていないと思われます。
卵好きの皆さん、卵は心置きなく食べてください。

2014年9月22日月曜日

脂肪細胞が食欲をコントロールする


前回は脂肪細胞が脂肪滴(脂肪)に脂肪をため込んで、肥大化脂肪細胞となると脂肪組織が炎症して、全身に悪影響を与えることをお話ししました。

⇒脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!

今日は、脂肪細胞が食欲をコントロールしていることをお話しします。
この仕組みがわかると、なぜ人が太って行くのかが理解できると思います。

正常な食欲のコントロール

下の絵を見てください。
実は、脂肪組織の成熟脂肪細胞はホルモンを出して食欲をコントロールしています。

ダイエット 痩せない 内臓脂肪 食欲 コントロール 満腹中枢 摂食中枢 脂肪を燃やす 成熟細胞 太る 体質 カロリー レプチン アディポネクチン 脂肪細胞 脂肪燃焼 摂食中枢 満腹中枢 肥満 痩せホルモン イラスト おにぎり 脂肪が燃える エネルギー摂りすぎ おなかいっぱい 
レプチンと脂肪細胞の関係

適度に脂肪を貯えた成熟脂肪細胞は、食事でのカロリー摂取をモニターしていて、

①エネルギー摂りすぎた! もう十分

の信号を感知します。
すると、のように、脂肪細胞から出るホルモンの1つで、痩せホルモンとも俗に呼ばれるレプチンを出します。

レプチンは血液に入って、脳で

③満腹中枢を働かせて、同時に、摂食中枢を抑えてくれます。

すると、

④のように、もう十分おなかいっぱい、身体に悪いからもう食べるな!!信号を出して、

同時に体中の脂肪細胞に、脂肪を燃やしなさい!!信号を送ります。


こうして、成熟脂肪細胞は自分自身を含めて、余計な脂肪をため込まないように、食欲と脂肪燃焼をコントロールして、肥満を防いでくれているのです。

食べ過ぎが続くと食欲がコントロールできなくなる


ところが、このレプチンが出ているのに、食事を続け、食べ過ぎ、カロリーオーバーが続くとどうなるでしょう。

もちろん、成熟脂肪細胞はせっせと脂肪を貯め続けて、太り、やがて肥大化脂肪細胞になります。
ここら辺の仕組みはこちらをご覧ください⇒脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!


遺伝子 快感 報酬系 ダイエット 痩せない 内臓脂肪 食欲 コントロール 満腹中枢 摂食中枢 脂肪を燃やす 成熟細胞 太る 体質 カロリー レプチン アディポネクチン レプチン アディポネクチン 脂肪細胞 脂肪燃焼 摂食中枢 満腹中枢 肥満 痩せホルモン イラスト おにぎり 脂肪が燃える エネルギー摂りすぎ おなかいっぱい 
肥満の悪循環 満腹感がなくなる

すると、上の絵のように
(1)エネルギー摂りすぎた! もう十分 信号

を受けて、肥大化脂肪細胞はどんどんレプチンを出します(2)。
しかし、
多すぎるレプチンに脳の満腹中枢と摂食中枢は鈍感になり(3)

もう十分おなかいっぱい、身体に悪いからもう食べるな!!信号と、
脂肪を燃やしなさい!!信号(4)

出さなくなってしまいます。

こうなると、(5)のようにまた食欲が出て、全身の脂肪は燃えにくくなる。
さらに、エネルギー源がどんどん入ってくるので、脂肪細胞は脂肪を貯め、また、レプチンを出す……。

これが肥満の悪循環です。


人は本来、突然太ったりしない生物

人は急に太るのではありません。
長年の運動不足と過食を積み重ねて、満腹感が麻痺してきてだんだん太り、それとともに皮下脂肪と内臓脂肪の肥大化脂肪細胞が増えます。

これが続いて、人は太り続け、さらに、内臓脂肪では炎症が起こり続けているのです。

これが肥満が万病の元といわれるメカニズムです。


私たちは、自分の身体が求めてくる食欲などの、欲求や欲望をそのまま信じてはなりません。
欲求があっても、それは本当に必要でなく、害になることも多いのです。

欲求や欲望を満たされることを追い求める脳の報酬系が出来上がったのは、太古のこと。
飢餓に苦しみ、寒さに耐え、冬眠の必要があった生物の時代の遺伝子を、私たちは受け継いでいます。

食物に定期的には出会えなかった時代を思い描いてください。
お腹がすいたと感じたときに、一生懸命食物を探して食べたヒトは、生き残ることができました。
このような、「お腹がすいたら食べることで幸福感を感じた」ヒトの遺伝子が、後世に生き残ったわけです。

この「快感」を感じる脳の仕組みを報酬系といいます。
報酬系には、その快感を追い求めさせる性質があります。

空腹感を満たすという快感を追い求めること、つまり、積極的に食物を探して食べることは、太古の環境に合わせて、報酬系が仕組んだものなのです。

残念なことに、この報酬系は、(お金があるなどの条件がそろえば)食物がいくらでも食べられる現代の先進国に住むヒトでも、同じように働いています。
そして、私たちを着々と太らせていきます。

食品産業だけでなく、この報酬系のおかげで成り立っている産業もたくさんありますね・・・
その罠にはまらないように、しっかりと理性を働かせることが、現代を生き抜くということなのでしょう。

よろしければこちらも読んでください。

糖質
血糖になる栄養素
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果糖はブドウ糖より危険
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スポーツドリンクで糖尿病に? 
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あなたの1日の糖質量
糖質制限 糖質は何gまでOK?
エナジードリンクは飲んでもOK?
加糖飲料の危険性が次々証明
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の恐ろしい結果、終末糖化産物(AGEs)とは?
早い、うまい、安いが身を滅ぼす
血糖値だけでない空腹感のメカニズム

糖尿病
4~5人に1人が糖尿病予備群!
糖毒性で糖尿病予備群に??
グルコーススパイクに注意
インスリンは肥満ホルモン?!
早食いはメタボの元
厚労省お墨付き栄養法で糖尿病?
低GI食品って意味ある?
やっぱりGIはあてにならない
糖尿病予備群は癌リスクが15%高い
全粒粉や玄米はなぜ体に良い?
高血糖の末路、終末糖化産物(AGEs)とは?
血糖値だけでない空腹感のメカニズム

食べ物・栄養
食生活は進化の中で3回変わった
50歳超女性は夕食でタンパク50g
飲酒でボケが早まる!
砂糖入り飲料のリスク
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エナジードリンクは飲んでもOK?
短い期間でも、健康な食事でがんのリスクが減る
カメはなぜ長生きか?
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