いきいき!エバーグリーンラブ: 果糖はブドウ糖より危険

2014年5月17日土曜日

果糖はブドウ糖より危険

ブドウ糖はダメでも果糖なら大丈夫なの?

果糖というと、いかにも健康によさそうですね。
本当のところはどうなんでしょう?
果糖(フルクトース)ブドウ糖(グルコース)の性質を比較してみましょう。

①果糖はブドウ糖より小腸からの吸収が遅い

ブドウ糖(グルコース)は小腸の細胞膜を通過して体内に吸収されるとき、ブドウ糖専用の門(トランスポーターといいます)を通ります。
しかし、ブドウ糖はひとりで通ることはできず、ナトリウムの助けが必要です。
ナトリウムは積極的にブドウ糖を優先してこの門から吸収させます。

実は、果糖もこの種類の門を通って吸収されるのですが、果糖にはお助けがなく、細胞膜の門を順番を待って通り抜けます。
だから、吸収が遅いのです。
ブドウ糖の吸収速度を100%とすると43%の速さです。

果糖は小腸から吸収された後、肝臓で大半がブドウ糖に変換されますが、吸収が遅いので、食後直ぐの血糖値には影響しません。
しかし、肝臓では果糖が原料となりブドウ糖を作ることが盛んになるので、結局、血糖値は上がります(食後約30分以降)。


②果糖のインスリン分泌刺激はブドウ糖よりはるかに弱い。 でも、ブドウ糖と同時に果糖を摂ると、より多くのインスリンが分泌されてしまう

インスリンは肥満ホルモンと呼ばれ、ブドウ糖を体に蓄えるように働きます。

これまで、果糖はブドウ糖に比べて、膵臓ベーター(β)細胞からのインスリン分泌を促す作用がはるかに低いとされていました。

ところが近年の研究で、ヒトとマウスの膵臓β細胞に果糖とブドウ糖を同時に与えたら、膵臓β細胞の甘味受容体が活性化されて、より多くのインスリンが分泌されました。
また、甘味受容体を不活性にすると、果糖が存在してもインスリンは分泌されませんでした。

つまり膵臓が甘味受容体を通じて果糖を感知したときにブドウ糖がともに存在すると、インスリンを多く分泌することがわかったのです。
PNAS 2012 109 (8) E524–E532; published ahead of print February 6, 2012,doi:10.1073/pnas.1115183109

インスリンは肥満ホルモンですので、果糖+ブドウ糖の組み合わせは、肥満のリスクを上げるといえます。

③果糖はブドウ糖よりも、インスリン抵抗性を増して、血中コレステロールを上げる

健康な21歳から25歳の人に、果糖、ブドウ糖、砂糖(砂糖には果糖とブドウ糖が1:1の割合で含まれています)をそれぞれ食事とともに摂らせて、比較する試験が最近報告されました。

その結果、日常的に摂取している量(1日40g)でさえ、果糖、砂糖(果糖:ブドウ糖=1:1)を摂った場合は、ブドウ糖を同じ量摂った場合に比べて、インスリン抵抗性が増加して、血中のコレステロールと脂肪(遊離脂肪酸)が上昇しました。

インスリン抵抗性を持つことは、糖尿病への第一歩です。

研究者らは、肝臓でのインスリン抵抗性を上げる点で、果糖はブドウ糖に比べて毒性が高く、果糖を摂ることで心臓病や脳卒中などになるリスクが上がると指摘しています。


④果糖はブドウ糖よりも血中の中性脂肪を上げる(高トリグリセリド血症)

ブドウ糖が肝臓に吸収されると、インスリンの作用でブドウ糖を原料にして脂肪酸、中性脂肪(トリグリセリド)、コレステロールという脂質が作られます。

脂質は水に溶けないため、そのままでは血中に入っていけません。
そこで、タンパク質と結びついてVLDLになって、血中に出て全身に行きます。

VLDLというのは、悪玉として有名なLDLコレステロールの仲間で、LDLよりも比重が軽いものです。
脂質を血液に乗せて運搬するための船のようなものだと思ってください。


ブドウ糖の摂取でインスリンが分泌されると、LPL(リポタンパクリパーゼ)という中性脂肪(トリグリセリド)を分解する酵素が働いて、中性脂肪を分解して脂肪酸にして全身の細胞に取り込ませます。
ですので、血中の中性脂肪は増えません。


果糖(フルクトース)は肝臓に吸収されると、肝臓で速やかに代謝されて中性脂肪(トリグリセリド)になります。
そのため、中性脂肪(トリグリセリド)がどんどん産生されて、大きなVLDLが血中に出ていきます。

一方、果糖は単独ではインスリンの分泌をあまり促進しないためLPL(リポタンパクリパーゼ)が働きません。
ですので、血中の中性脂肪が増えて、高中性脂肪血症(高トリグリセリド血症)になってしまいます。

①~④をまとめると“果糖はブドウ糖より身体によくない”

つまり、果糖は吸収されるのは遅いので血糖値が上がりにくいけれど、いったんブドウ糖と一緒に吸収されると、ブドウ糖以上の悪さを働くということです。

果糖というとブドウ糖より健康に良さそうなイメージがありますが、実は、血中の中性脂肪や脂肪酸、VLDLなどを増やす作用は強いんですね。



果物には読んで字のごとく果糖が多く含まれるといわれますが、果物には果糖のほかにもブドウ糖、砂糖(ショ糖)など多くの種類の糖が含まれ、果物の種類によってそれぞれ割合が違います。


果糖には、10℃ぐらいに冷やすと甘みが増すという特徴があります。
ですから、冷やして食べると甘みの増す果物(リンゴ、梨、ビワなど)は果糖が多いといえるでしょう。
果物はそのまま食べるのは問題になりません。
しかし、ジュースやスムージー、シャーベットなどに加工したものは、意外なほど多量の果物の摂取になってしまいます。
食べすぎには注意ですね。


注意が必要な成分表示は

果糖とブドウ糖が1:1の割合で含まれる砂糖(ショ糖)の取りすぎは良くないですね。
もっとも要注意なのは、甘味料として食品や飲み物に添加されている果糖です。
「果糖」と書かれているものだけでなく、

「ブドウ糖果糖液糖」、
「果糖ブドウ糖液糖」、
「高果糖液糖、砂糖混合異性化液糖」

などと書かれている場合もあります。
どれも異性化糖(高果糖コーンシロップ)を意味しています。

冷やして食べることが多いアイスクリームや清涼飲料、スイーツには、果糖の冷やして甘さが増す性質を利用するために異性化糖がよく使用されています。
これらの表示のある製品には果糖とブドウ糖がたっぷり入っていると思って間違いありません。

糖質や糖尿病については下記もご覧ください。

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「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
ブドウ糖と果糖の毒性
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アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
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