いきいき!エバーグリーンラブ: むくみ
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2019年11月30日土曜日

HRTで右手の痛みが改善! くまこさん


ペンネーム くまこ
年齢 51
慶宮医院をはじめて受診した年齢 49
主訴 右手の痛み 
HRTに使っている薬 エストラーナテープ、デュファストン



私のリウマチ因子の高さは慶宮医院でNo.1だそうです。
1000を超える値ですから、リウマチになるのが怖くて、HRTはきっと一生やめられせん。

40台後半、生理がなくなって半年くらい経った頃から、右手がこわばるようになりました。
はじめは、マウスの使い過ぎかなあ、と思っていたのですが、だんだん悪化して、包丁を持つのも大変になってきました。
リウマチ因子が異常に高いことがわかったのは、近所の整形外科で右手の痛みの原因が何かを確かめるための血液検査でです。
すぐ、大学病院を紹介され、受診しました。
大学病院へは半年くらい通院して、3回検査を受けましたが、右手の痛み以外に症状がないために「リウマチではないから、来てもらっても何もできない。もう来なくていいよ」と言われてしまいました。

とはいっても、右手は歯磨きもできないほど痛くて、何も異常がないとは思えません。
幸い、仕事はパソコンでできたので、マウスを親指でクリックするタイプのものに替え、あとは左手で何とか対応していました。
この痛みを治してくれる病院はないものかとインターネットで検索したところ、慶宮医院のホームページにたどりつきました。
HRTでリウマチの発症を防げると書かれています。
ホットフラッシュなどのいわゆる更年期症状もあるから、HRTで右手の痛みと一緒に治るかもしれないし、リウマチにもならなければラッキー、と期待して受診しました。

慶宮医院ではすぐにエストラーナテープを処方していただき、たちどころに更年期症状は治まりました。
手の痛みも徐々に良くなり、今では、冬場に少し違和感がある程度です。

ただ、HRTをはじめてから、時々、むくんで顔が腫れるようになりました。
かぶれたみたいになってかゆみもあります。
皮膚科でかゆみ止めをもらったりもしましたが、効きません。
半年間くらい、このむくみを繰り返すうちに、デュファストンを飲みはじめるとその症状が出てくることに気づきました。
宮地先生に相談して、デュファストンをプロゲストンという別のプロゲスチン製剤に替えていただきましたが、プロゲストンでも症状は変わりません。
どうしたものかと思いながらしばらく続けていたら、あるときからむくまなくなりました。
今は、またデュファストンに戻してHRTを続けています。

HRTを続ければ骨粗鬆症にならないと、宮地先生から聞いています。
親戚に、背骨が潰れて背中が曲がってしまった人がいて、骨粗鬆症の怖さは知っているので、これは、嬉しい効果です。

ストレス解消もかねて健康のために、毎日、ジムに通ったりランニングをしたりしています。
加えてHRTを続けることで、ずっと元気でいられれば嬉しいです。



2016年12月21日水曜日

漢方薬で感染性胃腸炎の嘔吐、下痢対策

寒くなってくると、感染症が流行って、困ることが多いですね。

ちょうど、今の時期、ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行していることも多いです。

特に、お子さんや高齢の方が罹ると、嘔吐(吐き戻し)や下痢で脱水症状が出やすく、危険なこともあります。

高齢者の場合は、嘔吐物を誤嚥(誤って、気管に入ってしまう)して、肺炎を起こす、いわゆる誤嚥性肺炎の原因になることもあるので、侮れない感染症です。

主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、発熱(38℃以下)、腹痛で、小児では嘔吐が多く、大人は下痢が多い傾向があるといいます。

病原体により異なりますが、だいたい潜伏期間は1~3日くらいで、症状も1~3日くらいで治ることが多いようです。

特に有効な治療法はなく、安静と水分補給が重要ですが、重い脱水症状には点滴が必要です。
嘔吐や下痢が酷い場合は、OS-1などの経口補水液や水は、消化管が受け付けず、飲んでも嘔吐と下痢がひどくなるだけで、脱水症状は改善されないことを覚えておいてください。

重篤な脱水症状や肺炎が起こったら医療機関を受診するといいでしょう。

軽い場合には、自宅で安静にして水分補給に努めるとよいと思いますが、水分補給についてはコツがあるので、詳しくは下記をご覧ください。
⇒脱水状態になったら経口補水液!

また、大抵の感染性胃腸炎には抗菌薬や抗ウイルス薬は必要なく、かえって有害です。

胃腸炎に効く漢方薬☆五苓散

さて、こんな厄介な感染性胃腸炎ですが、実は、嘔吐と下痢には、漢方薬で特効薬があります。

五苓散(ごれいさん)、という処方です。
処方内容は、沢瀉、茯苓、蒼朮、猪苓、桂皮の5つの生薬で構成されます。

それぞれの生薬は、利尿、鎮静、健胃、抗眩暈(めまい)、発汗、理気(体表の血管を拡張させて軽く発汗させる)作用を持つものから構成されていますが、桂皮以外のすべての生薬は、利尿作用を持っています。

五苓散は漢方や中国医学の考え方の、水毒や水滞・湿証(水分停滞)、水腫(水分横溢)という病態に著効することが多いです。

漢方や中国医学の考えでは、水毒や水滞、水腫という病態は、体内で水が本来あるべきではないところに偏って存在する状態と捉えます。

ですので、五苓散は嘔吐や吐き気、下痢ばかりでなく、浮腫(むくみ)、胸水、腹水、尿量減少、頭痛、眩暈(めまい)、耳鳴り、口渇(のどの渇き)、二日酔いによるこれらの症状、つわり(悪阻)、熱中症による脱水予防などに応用されます。

とても良く効きますので、感染性胃腸炎対策に常備しておくことをお勧めします。

胃腸炎では薬が吸収されにくいことに注意

胃腸炎で、吐き気や嘔吐、下痢があると、胃や腸などの消化管は機能が低下しているので、水をはじめ、ほとんどのものの吸収が落ちています。

感染性胃腸炎には病院でナウゼリンやプリンペランなどの吐き気止めや、ロペミンやトランコロンなどの下痢止めの薬を処方されることもあると思いますが、これらの薬も、消化管の機能が低下しているときには吸収されにくいと考えられます。

その点、五苓散は、消化管の機能が低下しているときでも、よく効きます

五苓散の飲み方

感染性胃腸炎への五苓散の常備法としてお勧めなのは、エキス顆粒(粉薬)の五苓散をお湯に溶かして、冷ましてから、製氷皿に入れて冷凍庫に入れて、五苓散氷としておくことです。

【材料】1日分
大人
  • ツムラの五苓散料エキス顆粒(薬局で買えます) 2包(5g)
  • 熱湯 40mL
子ども
  • ツムラの五苓散料エキス顆粒 1包(2.5g)
  • 熱湯 40mL 
  • 砂糖 小さじ1/2くらい
【作り方】
  1. 五苓散料エキス顆粒(子ども用には砂糖も)を湯呑にいれて、40mLの熱湯で良く溶かす。ちょっと溶けにくいので、必ず熱湯を用いて、スプーンで根気よく溶かしてください。
  2. 冷めたら製氷皿4ピースに、同じ量になるように入れる
  3. 冷凍庫で凍らせる
【飲み方】
  • 五苓散氷を口の中に1つ含み、溶かす(飲み込まないこと)
  • 1日4個が目安
  • できれば、吐き気や下痢が軽いうちに飲む
  • 熱中症の脱水予防に使う場合は、暑さを感じた時点で予防的に飲む
  • 二日酔い予防もモチロン飲み会の前に飲む

消化機能が落ちていても飲みやすい

五苓散氷は、消化管の機能が低下していても、ゆっくり吸収されていくので、胃腸炎に適していると言えます。

感染性胃腸炎では、水も一切受け付けない(嘔吐の時は水を飲めばすぐ吐く、下痢の時は水を飲むとすぐ下痢する)状態になっていることが多いでしょう。
この方法ならこんな時でも、薬を飲むのに水をたくさん飲まずに済みます

エバーグリーン研究室では、夏の熱中症の脱水対策にもこの方法をお勧めします。
特に高齢の方とお子さんがいる家庭にぴったりです。

ちょっと渋いのが難点ですが、良薬口に苦しということで、味わってみてください。

お子さんには、ちょっと砂糖を加えて溶かして、味を調整してあげてもいいでしょう。

五苓散で症状が改善されて落ち着いたら、下記のリンクのアミノ酸スープがお勧めです。
⇒胃腸炎にアミノ酸スープ

下痢やむくみになぜ効くのか


五苓散は、体内が水分過多のむくんだ(浮腫)の状態では尿量を増やし,脱水状態では尿量を減少させる作用があります。
西洋薬の利尿剤では脱水状態でも尿量が増えるのに、五苓散は浮腫である場合のみ尿量が増えることも特徴です。

血中の電解質濃度(ナトリウムイオンやカリウムイオン、カルシウムイオン、塩素イオンなど)のバランスに影響せずに尿量を増やす作用もあります。
西洋薬の利尿剤の欠点は、この電解質のバランスに影響することです。

これらの五苓散の持つ、まさに体内の水分をあるべきところに納める作用は、とても不思議で、日本の研究者たちは一生懸命研究しました。

その1つをご紹介します。

礒濱洋一 郎 漢方薬の薬理作用とアクアポリン


図1から図5までを見てください。

漢方薬 アクアポリン 五苓散 イラスト 水の吸収 カリウムイオン ナトリウムイオン ポンプ
1.細胞外と細胞内の電解質バランスが正常
水の挙動(移動)は細胞外と細胞内の電解質バランスによって方向が決まる。
細胞内から塩素イオンなどの負(-)イオンが出ると、細胞外液のほうが浸透圧が高まり、
細胞内の水をアクアポリンを通じて引き寄せる。
ナトリウムイオンなどの正(+)イオンが細胞に入り、細胞内の浸透圧が高まると
細胞外液からアクアポリンを通じて水が細胞内に流入する。
どちらの場合も一時的に細胞内の水の量が増減するが、
管腔側との基底層のそれぞれのアクアポリンの働きで、水が出入りして収支を保ち、
やがて細胞の浸透圧は一定に落ち着くと考えられる。
アクアポリン 五苓散 イラスト 水の吸収 カリウムイオン ナトリウムイオン ポンプ
2.細胞外と細胞内の電解質バランスが異常
細胞外液と細胞内の電解質バランスが崩れると、水の移動が起こり浮腫(むくみ)や脱水や下痢となる。
この図の場合は管腔側の細胞外から水が流入し、浮腫となる様子を描いている。
アクアポリン, つわり(悪阻), むくみ, 下痢, 感染性胃腸炎, 胸水, 五苓散, 口渇、二日酔, 水滞, 水毒, 脱水, 頭痛, 尿量減少, 熱中症, 腹水, 眩暈(めまい), 漢方薬,
3.細胞外と細胞内の電解質バランスが異常
細胞外液と細胞内の電解質バランスが崩れると、水の移動が起こり浮腫(むくみ)や脱水や下痢となる。
この図の場合は、基底層側の細胞外から水が流入し、脱水や下痢となる様子を描いている。


漢方薬 アクアポリン 五苓散 イラスト 水の吸収 カリウムイオン ナトリウムイオン ポンプ
4. 五苓散がむくみに効くメカニズム
アクアポリンに作用して、アクアポリンの機能を止めて、
本来移動すべきでない水を堰き止める。
五苓散などの漢方薬に含まれる成分の1つ(この場合はマンガンイオン)が水の通り道となるアクアポリンに作用して、アクアポリンの機能を止めて、本来移動すべきでない水を堰き止める。

これが、五苓散が下痢にも、むくみにも効くメカニズムの1つのようです。

また、五苓散などの漢方薬の成分は小腸まで到達しなくても、口の中や喉などの粘膜からも吸収される可能性も指摘されています。

このあたりが嘔吐や下痢で消化管が機能低下しても、五苓散が効く秘密なのかもしれません。



漢方薬 アクアポリン 五苓散 イラスト 水の吸収 カリウムイオン ナトリウムイオン ポンプ
5.五苓散が下痢に効くメカニズム
アクアポリンに作用して、アクアポリンの機能を止めて、
本来移動すべきでない水を堰き止める。

漢方や中国医学の2000年以上の経験から、いろいろな生薬を使った処方が蓄積されています。
その使い方やメカニズムはまだ十分に科学的にわかっていないものも多いですが、近年の研究からだいぶ明らかになってきました。


エバーグリーン研究室では、副作用の出にくい漢方薬や民間薬の有効活用を推奨していますが、このような研究が進めば、より科学的に納得して漢方薬を使えるようになりますね。

漢方や中国医学の欠点は、どのような場合にどの処方を使うべきかの方法論が、経験論に基づいていて、一応体系化はされているものの、理論の基礎に陰陽五行説と易(経)という古い哲学ないし思想があり、難解で、多様な解釈ができてしまうことです。

漢方や中国医学の弁証(理論と診断・処方)は、物事の捉え方として素晴らしい点も多いのですが、ある意味、教条主義的で、一部に論理的ではない面があり、経験と勘がものをいう場合が多いことも問題点でしょう。

上の研究のように、漢方や中国医学の知見や考え方を現代科学・医学・薬学で分析・検証して、より有効で安全な使用法が明らかになっていくことを期待しています。

2014年7月9日水曜日

むくみの原因(メカニズム)

みやざきちかし ミヤザキチカシ
立ち仕事などで、夕方になると足がむくんで靴がきついとか、靴下の跡がつくとか、手の指が腫れて指輪抜きにくくなるなど、お悩みの方も多いと思います。

むくみですよね。

今日はむくみのメカニズムについてみてみましょう。 
むくみ(浮腫)は、細胞と細胞の間の水分が、多くなりすぎた状態です。
細胞と細胞の間を満たしている水分を「細胞間液」「組織液」「間質液」などと呼びますが、呼び方が違うだけで同じ意味です。
細胞と細胞の間を満たしている液体ですから「細胞間液」がわかりやすいので、この言葉を使って説明します。

血管とリンパ管

下の絵で、赤から青へ色が連続しているパイプが血管(動脈~静脈)です。
血管は体の隅に行くほど細くなり、やがて動脈から静脈となり、また太くなっていきます。
すみれ色のパイプはリンパ管です。
リンパ管は、体の隅々に通じていて、リンパ節に向かってリンパ液を送っています。

下の絵は、血管がもっとも細くなる体の隅ずみの部分、いわゆる末梢の細胞の集まり(組織)での模式図です。
末梢組織では、細胞たちが、血管(動脈)に乗って流れてきた、酸素、水(H2O)、栄養素の供給を受けます。
静脈とリンパ管は、余分な細胞間液や、細胞が出す老廃物を運んでくれる役目があります。
水、栄養素はとても小さく、血管の中で液体成分である血漿(けっしょうと読みます)に溶け込んでいます。

動脈から、酸素、水、栄養素が細胞に配られて、一方、細胞から出るいらない老廃物を静脈やリンパ管が送り出すためには、血漿と細胞間液のやり取りが欠かせません。
末梢組織を通る毛細血管には、大きな穴が開いていて、赤血球が運んできた酸素や、血漿中の水、栄養素など小さな物質を自由に通します。
末梢組織では、血漿が細胞間液となり、細胞間液が血漿となり、どちらも、ほぼ自由に行き来しているといえます。

下の絵ではその様子を矢印と点線の矢印で表しています。

ムクミ(フシュ)

ムクミ(フシュ)
むくみ(浮腫)のメカニズム

むくんだ状態ってどういうこと?

絵の上の青い点線で囲まれた部分は、むくんでいない正常な組織です。
下のオレンジで囲まれた部分がむくんだ状態です。

正常組織では、血漿と細胞間液のやり取りは盛んで、余分な細胞間液は、細胞の出す老廃物や、死んだ細胞の残りかすなどもリンパ管に吸収されて、これらの働きで、一定の体積(図では面積)を保たれています。
でも、むくんだ組織では血管に細胞間液が戻っていかず、細胞間にとどまってしまっています。
また、余分な老廃物などが細胞間液とともにリンパ管に吸収されず、これが原因で、オレンジの点線で囲まれた体積は青い点線で囲まれた体積より大きくなります。
体積が大きくなる、つまり普通より膨らむ、これがむくみのメカニズムです。

ちなみに、すべての体液で体重の60%を占めていて、細胞間液は体重の15%、血漿は5%の割合です。
また、細胞の中の体液=細胞内液の体重に対する割合は40%です。


ではなぜ、健康な人でもむくむのでしょう

注目は、緑色の点であらわした、アルブミンというタンパク質と、すみれ色であらわしたリンパ管です。
アルブミンは肝臓で作られて、血液に乗って体中を回っているタンパク質です。
いろいろな働きがありますが、もっとも大事なのは、末梢組織で、血漿と細胞間液のやり取りを調節する働きです。

血漿の中の小さい物質は毛細血管を通り抜けられますが、アルブミンは大きなタンパク質なので、ほとんど通り抜けられません。
この血液中のアルブミンが浸透圧を調節しているのです。

青い点線で囲まれた、正常な組織の血管には、緑の点のアルブミンがたくさんあります。
血管内の濃度が細胞間液に比べて高い状態です(浸透圧が高い状態)。

でも、オレンジの点線で囲まれたむくみの組織の血管では、アルブミンが少なくなっていて、細胞間液とあまり変わりません(浸透圧に差がない状態)。

物理法則として、濃度は一定になりたがるので、正常組織のように血管の中と細胞間の濃度に差があり、血管内の浸透圧が細胞間より高い場合は、血漿(血管の中)から細胞間液に移動した液体が、再び、血管に戻ろうとします。

ですので、正常な組織では、いったん血漿から細胞間液として出たものの9割は、再び血漿として回収されるため、むくむことはないのです。

では、むくんでいるのはどういう状態なのでしょうか。
むくみの場合は、血管の中と細胞間の濃度に差がないか、細胞間の浸透圧のほうが高い状態。
濃度に差がない場合は血漿から細胞間液に移動した液体が、再び、血管に戻れず、細胞間に留まってしまうのです。

細胞間液の浸透圧のほうが高い状態では、血管内の水分を細胞間液に引き寄せ、むくみがさらに進みます。

また、血漿から細胞間液として出た液体の残りの1割はリンパ管に吸収されていくのですが、リンパ管の働きが悪くなると、吸収も遅くなり、これも、むくみの原因になります。

今はやりのリンパマッサージは、リンパ管をマッサージすることで働きを高めることを期待されて行われているのでしょう。
細胞間液として出た液体の残りの1割がリンパ管に吸収されていくので、リンパマッサージの効果の程度も推定できますね。

アルブミンがちゃんと働いていない状態って?

アルブミンは、肝臓が疲れていると十分作られません。
大量に毎日のように飲酒している人では、アルコールの代謝に肝臓が忙しくて、アルブミンの産生効率が低下してしまうと考えられます。
また、アルブミンは栄養状態が悪いと作れません。
疲労したり、何らかの原因で食事でタンパク質が十分とれていないとむくみやすくなるのです。
極端なダイエットが原因のむくみも無視できませんね。

飲酒した後のむくみ


ちなみに、アルコールを飲んだあくる日、むくむことがあるかと思います。
アルコールを代謝するのに水が必要です。
ですので、飲酒中は脳が水分を摂れと指令を出して、無意識に水分を必要量取り込み、それを使って肝臓がせっせとアルコールを代謝してくれます。
しかし、酔いが進むと、脳の水分調節をつかさどっていた機能が低下していまい、水を摂りすぎてしまうようです。

また、酔いが回って、そのままベッドに倒れこむ、といった事態になりがちですが、睡眠中は抗利尿ホルモンが分泌されるので、これが水をため込む原因ともなります。
抗利尿ホルモンとは、名前の通りおしっこを出さないようにするホルモン。
夜中におしっこをしなくて済むように分泌されるのですが、むくみには逆効果なわけです。

飲酒して、あくる日むくまないコツは、お酒とともに、必要以上に水をごくごく飲まないことです。
ストローを添えたコップで水を飲むのがお勧めです。
また飲酒中はおしっこを決して我慢しないことも大切です。

ただし、二日酔いの予防には水をたくさん摂るのが効果的。
どちらを取るか、悩みどころです。

ナトリウム(塩分)の取りすぎも原因に

ナトリウム(塩分)の摂りすぎもむくみの原因となります。
ナトリウム(塩分)をたくさん摂ると、細胞間液のナトリウム濃度が高くなり、浸透圧が上がります。
すると、細胞間液の濃度を下げようとして、血管内の水分を引き寄せます。
こうして細胞間液の体積は増えて、むくみとなるのです。
細胞間液は増加しているのに、血管内の血液量(体積)は減少しているという状態です。

これを腎臓は、細胞間液が減ったのだと勘違いして、ナトリウムと水分を尿として排泄することを抑えてしまい、細胞間液のナトリウム濃度がさらに上がり、さらにむくむという悪循環になります。

また、血中のナトリウム濃度が上がると、脳の視床下部の口渇中枢が働いてナトリウム濃度を低下させようと、水を飲むように指令します。
これが、塩辛いものを食べたときにのどが渇く理由です。

こんなわけで、ナトリウムを摂りすぎると、細胞間液も血管の中も、体中に過剰な水に満たされてしまっているわけです。

日本人の多くは、食塩や塩辛い味付けのものを摂りすぎで、むくみがちで、これが原因で、高血圧となっている場合が多いと思われます。

まとめると、特に病気のない人では、

●むくみは細胞と細胞の間に液体がたまってしまう状態

●むくみは疲労やタンパク質の摂取不足、肝臓の機能が落ちると起こる

ナトリウム(塩分)の摂りすぎでも起こる

●アルコールも原因となる


ということになります。
むくみやすい人は覚えておいて損はないと思いますよ。

これ以外にも、糖尿病予備群の人では、糖の摂りすぎでむくむ可能性があります。
糖質制限でむくみがなくなったという人は意外に多いようです。
この話は下のページで。
糖質制限 糖質は何gまでOK?

また、脱水によって却ってむくむこともあります。
これについてはまた別の機会にお話ししますね。