いきいき!エバーグリーンラブ: 1月 2015

2015年1月27日火曜日

レシピ*低糖質 アーモンドクッキー


小麦を使わない低糖質クッキーです。
アーモンドとクルミをたくさん入れて、かなりクッキーらしく仕上がりました。
サクサク感は小麦粉に劣るけれど、味は全く遜色ないと思うのですが・・・いかがでしょう?

【材料】
  • アーモンド(粉)    70g
  • クルミ          30g
  • 小麦ふすま(ブラン) 30g
  • ラカンカット      50g
  • バター         40g
  • 卵            2コ
  • 塩       ひとつまみ 

【作り方】
1.アーモンドをミキサーで細かくする
  
 私は、バイタミックスで粒状のアーモンドを粉砕して使っています。
バイタミックスでナッツを粉砕するときは、投入口を手でふさぎ、スイッチを入れて、10粒くらいずつ中に落とすようにします。
残念ながら、一度に大量にはできません。

アーモンドプードルを使ってもいいと思いますが、ちょっと粒がある方が、ナッツクッキーらしくなります。


    2.クルミを1cm角くらいに砕く
    これは、キッチンバサミで切るのがお勧めです。
    細かくしすぎると、入っているのがわからなくなってしまうので、大きめに。


      3.卵2個をハンドミキサーで混ぜる(普通の泡だて器でもOK)


      4.溶かしたバターとラカンカット、塩を加えてさらに混ぜる
       ラカンカットは砂糖の代わりです。血糖値を上げない甘味料です。ラカントやパルスイートカロリーゼロでもOK。


      5.1のアーモンドと2のクルミ、ふすまを加えて、泡立て器で混ぜる


      6.鉄板の上にクッキングシートを敷いて、5を広げる




      7.オーブン(余熱なし)180℃で15分焼く
      オーブンによって、焼き加減を見て調整してください。
      竹串を通して、生地がついてこなければOKです。






      8.焼きあがったら、好みの大きさに切る






      普通のクッキーならば、成型して焼くところですが、生地がトロトロなので、クッキングシートの上に伸ばして焼きます。
      厚さは5㎜くらい。

      3cm×3cmのクッキーが32個できます。
      糖質の量は全部で12g程度。
      1個は糖質0.4gくらいです。

      ラカンカットの代わりに砂糖、ふすまの代わりに小麦粉を使えば、全体で糖質80g強。
      約7倍です。
      糖質と糖類の違いについてはこちらをご覧ください
      ⇒ラカンカットについてはこちらをご覧ください
      ⇒ふすま(ブラン)についてはこちらをご覧ください

      ベーキングパウダーは、小麦粉を使わなければ入れても膨らまないと思われるので、使っていません。
      ⇒ベーキングパウダー、重曹についてはこちらを。

      ナッツについて

      アーモンドはバイタミックスで砕いていますが、ちょっと形が残っているくらいの方がおいしいので、ふつうのミキサーで十分です。
      うまく砕くのには、研究が必要かもしれませんが。
      アーモンドプードルを使えば、また食感が変わっていいでしょう。

      クルミはなくてもOK。
      入れれば風味が増して、ちょっと高級感が出ます。

      さて、気になるナッツ類の糖質を調べました。
      どれも、煎ったりゆでたりして、食べられる形になっている状態の糖質量です。

      カシューナッツ(フライ)  緑豆(ゆで)  ひよこ豆(ゆで) 小豆(ゆで) ピーナッツ(いり)  ピスタチオ(いり)  アーモンド(フライ)  ひまわりの種(フライ)   ごま(いり) かぼちゃの種(いり)  クルミ(いり) 大豆(ゆで)  精白米(めし)
      白米100gはお茶碗2/3程度。
      ここに含まれる糖質は36.8gです。
      一番、糖質の多いカシューナッツでも100g中20gですから、白米はかなり糖質量が多いことがわかります。

      とはいえ、クルミを白米の代わりに100g食べるというのは想像しにくいので、食事のメニューとしてはあまり参考になりませんね。
      主食の代用を考えるならば、大豆製品を利用するのが妥当かと。

      とりあえず、お菓子の類は食べないにほうがいいことは百も承知ですが、それでもおやつは食べたいので、ここではナッツ中心のクッキーをお勧めしてみた、というところです。


      2015年1月24日土曜日

      糖・脂質・塩~おいしさの罠

      健康に良い食べ物、良くない食べ物のそれぞれの特徴はなんでしょうか?

      子供のころ、母親にお菓子は控えて、野菜を沢山食べなさいと促された経験は誰しもお持ちと思います。


      さて、このように皆さんがイメージする、健康に良い食べ物の典型が、ビタミンと食物繊維が豊富な「野菜」で、健康に悪い食べ物の典型が、味が濃い目のお菓子の類でしょう。

      • 健康に良い食べ物=あまりおいしくない、あまり箸が進まない
      • 良くない食べ物=とてもおいしく、癖になる

      どうでしょう、みなさん同意なさるのでは?

      行政の健康政策が成功しないのには理由がある

      今日は、行政などの行う健康意識を向上させるキャンペーンが、なぜ、肥満やそれに伴う病気の防止に成功しないのかを考察したドイツのキール大学での研究を紹介します。
      ⇒How to Combat the Unhealthy = Tasty Intuition: The Influencing Role of Health Consciousness
      ⇒Health consciousness: Do consumers believe healthy food always tastes bad?

      この研究をした、キール大学のロバート・マイさんとステファン・ホフマンさんは、

      「近年、健康的食生活が流行しているが、消費者は相変わらず健康に良くない食品を食べすぎている。原因は、健康に良くないものは、大抵おいしいもので、おいしいかどうかが、(消費者が)食べるものを選ぶ基準だからだ」
      と書いています。

      【研究テーマ】
      • 行政などの行う健康意識を向上させるキャンペーンが、肥満やそれに伴う病気の防止に成功しない理由は?

      【研究の結果、わかったこと】
      • この研究の参加者に、砂糖と脂肪の含まれる量が違うヨーグルトを与えて、どのヨーグルトを選ぶかを観察したところ、含まれる成分が健康に良いという情報があったからといって、健康的なヨーグルトを選ぶとは限らなかった。
      • 健康志向が全くない人は、健康情報にも全く興味がないので、含まれる成分が健康に良いという情報も効果がない。
      • ある食品が健康に良いものだという情報が与えられると健康志向の人たちは少しは食習慣を変えるが、健康志向のない人たちは、情報の量に関わらず、健康的なヨーグルトにおいしいものはないと信じている。
      • これらのことから、おいしいかどうかが、健康志向の人にとっても、そうでない人にとっても食品を選ぶとき重視されて、キャンペーンで健康意識を高めたからといって、簡単にこれを乗り越えられるものではない。
      研究者たちは、

      • 「行政機関は、商品の包装表示や食品会社のマーケティングを改善させるだけでなく、味そのものも改善し、また、健康的な食事をすることが、粋で“クール”と消費者が思えるような、消費者の感情に訴える社会活動に資金援助するなどの、これまでとは違う健康的食品の宣伝方法を考えるべきである」
      • 「世界的に流行する肥満を抑えるためには、食品会社、消費者、行政が互いに足を引っ張り合うのをやめ、みなにとってメリットのある方法を見つけ、全体的にアプローチすることが早急に必要だ」

      と結論しています。
      皆さんはいかがお考えでしょう。

      おいしさは砂糖・脂肪・食塩で決まる

      この研究で用いられたヨーグルトでは、ヨーグルトに含まれる砂糖と脂肪がおいしさのポイントのようですが、実は、食品の味付けのキーポイントとなるのは、「砂糖=甘さ」「脂肪=油っぽいコク」「食塩=しょっぱさ」であり、これは、食品業界では常識のようです。

      おいしくて癖になる食べ物の代表選手、ポテトチップスを思い出してください。
      まさに、「砂糖=甘さ」「脂肪=油っぽいコク」「食塩=しょっぱさ」の塊です。

      ほかにも、たとえば、ハンバーガーのソースはケチャップの甘さにマヨネーズの油っぽさにそれぞれの調味料中の食塩のしょっぱさがハーモニーとなっています。
      天ぷらでも同じです、衣の油に、甘辛い天つゆがよく合いますよね。

      この「砂糖=甘さ」「脂肪=油っぽいコク」「食塩=しょっぱさ」を味付けの基本にして、ほかの風味を加えて、加工食品は開発されています。
      これらを基本に消費者が癖になる味付けを日夜研究しているのです。

      『フードトラップ』が明かす食品業界の罠

      ここで、一冊の本を紹介したいと思います。

      マイケル モス 著、 本間 徳子 訳 日経BP社刊
      「フードトラップ-食品に仕掛けられた至福の罠」

      砂糖・脂肪・塩の習慣性を利用したビジネス

      この本の原題は写真の表紙にもあるように“Salt, Sugar,Fat”でまさに、塩、砂糖、脂肪です。

      この本は、「砂糖」「脂肪」「塩」のもつ習慣性(癖になる)を巧みに利用した、加工食品や清涼飲料水、菓子などを問題視して警告を鳴らしています。

      この中にも繰り返し、「砂糖」「脂肪」「塩」のもつ習慣性と危険性が登場します。
      それらが、食品会社の研究所で研究しつくされている様子がわかります。

      アメリカの食品会社が、1980年代以降、消費者が癖になる「砂糖」「脂肪」「塩」を多く含んだ商品を次々に開発して、売り上げを伸ばし、株主の要求に答えていく様子やこれらの商品が肥満や虫歯などを増加させ、ひいては病気の原因となっていることへの、医療従事者や、研究者などからの批判を企業がうまくすり抜ける様子もかかれています。

      ビジネスの根底にある文明社会が生み出した欲望

      しかし、著者は、一方的に食品会社の「悪」を暴くという論調ではありません。
      資本主義と企業間競争、株主への配当、消費者の嗜好と欲望、欲望を利用するマーケティング・メディア、規制当局と企業の駆け引き、農業などの産業と企業と政治など、現代文明社会全体の問題としてとらえているところが真摯さを持っていると思います。

      私たちは、改めて、「おいしさ」などの自分の欲望がどのようなものかを考えなければなりません。

      少なくとも、味覚と嗅覚が作り出す「おいしさ」は、それをもたらす、糖質、脂肪、塩分などが、人類の歩んだ歴史の中で、長らく得難いものであったからこそ、発達した感覚であることは間違いないことです。

      砂糖・脂肪・塩の必要性から「嗜好」が生まれた

      私たちは、塩分がなければ、生きていけません。
      山間地域では昔から塩は貴重品でした。

      脂肪

      脂肪は苦労して得た獲物にほんの少し含まれるものでした。
      野生の獲物は、家畜と違い脂肪は少ないのです。

      搾油技術が発達したのも長い歴史の中でごく最近のことですので、食用植物油は存在しませんでした。

      糖類

      糖類の精製技術の完成も、同様に長い歴史の中でごく最近のことですので、私たちの祖先は精製されていない炭水化物のほんのりした甘味を感じる能力を時間をかけて発達させました。
      ご飯を口にいれて、長く噛むと甘みを感じる実験を経験した方も多いと思います。
      これは、ヒトは唾液の中にアミラーゼという消化酵素があるからこそ味わえます。

      哺乳類の中で、唾液にアミラーゼを含む種はごく少数です。
      たまたま、アミラーゼを分泌する能力を持った種が、ドングリやナッツ、根菜や球根、未精製の穀物の中の糖質を甘いと感じるようになった。
      これらの種は、好んで穀物を多く食べたことで、厳しい環境を生き残った。
      さらに、火による調理により、糖質を脳の効率の良い栄養素として充分に使えるようになり、人類は脳を発達させることができたと考えられます。

      生き残るための報酬系が仇に

      報酬が与えられたときに快感を感じるように働く脳のシステムを報酬系といいます。
      私たちの味覚・嗅覚のもたらす「おいしさ」は、まさに報酬系が働いた結果得られる快感です。
      貴重な栄養素を感知して、それを摂取させるように長い年月をかけて脳が鍛えられてきたといえます。

      いいかえれば、「おいしさ」などの欲望は、報酬系の挙動に過ぎません。
      欲望を満たすことが「良いこと」と脳に思い込まされているということです。

      このように私たちの祖先が、長い時間を経て環境に適応して、安定的に栄養素を獲得できる遺伝子を獲得するうちに、やがて人類となり、厳しい天候をしのぐため、捕食者から逃れ逆にそれを狩るため、飢えを克服するため、火の利用の発明、道具の創意、被服の発明、定住・農耕などを始めとする文明を発達させてきました。
      それは、ある意味では、素晴らしい人類の英知の結晶でしょう。

      一方で、私たちの英知は、最も基本的な生き物としての自分の身体について、まだ何も理解していないとも言えるでしょう。

      生物学的新文明社会を目指す 

      私たちの身体は、飽食とほど遠い環境=飢餓を生き抜いてきた遺伝子で設計されています。
      欲望をもたらす報酬系の機能は、現代文明社会の飽食に対応したものではありません。

      欲望という、古いシステムに騙され、欲望に頼り、それを経済活動などの社会の営みに利用する悪循環をどこかで断ち切らない限り、先に紹介したキール大学の研究者達のいうような、新しい社会システムを作ることはできないと思います。

      自然の流れに従って進化を遂げてきた報酬系による欲望を、満たすことで文明が進歩したことも事実です。
      でも、欲望をどんどん満たせば、古い遺伝子しか持たない私たちの体はその早い食性の変化についていけずに病気になる。
      これに打ち勝つには、欲望に流されない確かな意志で、消費に頼らない新たな価値観、新たなおいしさを創造していくことが大切と思います。

      生物の仕組みを理解した、新しい文明社会を目指す必要がありそうです。

      食べ物については、こちらもご覧ください。

      食べ物・栄養
      食生活は進化の中で3回変わった
      50歳超女性は夕食でタンパク50g
      飲酒でボケが早まる!
      砂糖入り飲料のリスク
      おいしさの罠
      米国マクドナルド が抗生物質与えた鶏肉の使用をやめる
      食品のコレステロールは気にしなくてOK
      エナジードリンクは飲んでもOK?
      短い期間でも、健康な食事でがんのリスクが減る
      カメはなぜ長生きか?

      糖質
      血糖になる栄養素
      何を食べると血糖値が上がる?
      「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
      ブドウ糖と果糖の毒性
      果糖はブドウ糖より危険
      果糖は別腹
      糖類を食べるとおなかがすく?
      糖質は食べ物でとる必要はない?
      糖質制限で二日酔いから解放?
      アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
      スポーツドリンクで糖尿病に? 
      お酒と糖類の依存性
      あなたの1日の糖質量
      糖質制限 糖質は何gまでOK?
      エナジードリンクは飲んでもOK?
      加糖飲料の危険性が次々証明
      全粒粉や玄米はなぜ体に良い?

      食用油
      健康に良い油?悪い油?

      2015年1月19日月曜日

      インフルエンザ*タミフルよりはリレンザ・イナビルが安心

      エバーグリーン研究室では、インフルエンザに罹ったら、抗インフルエンザウイルス薬より漢方薬をお勧めしています。

      インフルエンザ*漢方薬で早めの対策

      とはいえ、抗インフルエンザウイルス薬についてももっと詳しく知っておく必要があるのでは?と思い、誰でも入手できる資料を元に、色々調査してみました。

      ここでは、今、A型にもB型にも効果があるとされていて、注射薬ではない3種類の抗インフルエンザウイルス薬を比べてみることにします。
      • タミフル:経口薬(カプセル、ドライシロップ)5日間服用
      • リレンザ:5日間吸入
      • イナビル:1回吸入

      剤形が違うとこんなことが違う

      まず、投与方法の違いについて。
      カプセル、ドライシロップ、吸入などの薬の形を、剤形といいます。

      同じ剤形でも、薬によって吸収のされ方が違う場合があるので、一般的な話はすごく複雑になります。
      ですから、ここでは、タミフルとリレンザ、イナビルについてお話しします。

      幼児、高齢者、肺炎の人はタミフル

      吸入はお手軽な感じがしますが、乳幼児や高齢者など、うまく使えない場合には全く効果が得られません。
      肺炎を起こしている人や、喘息で気道が狭くなっている人も、薬が肺まで届きにくいために使えません。

      経口薬は、飲めば確実に体内に入るので、誰にでも使いやすい剤形といえます。
      タミフルが誰にでも勧められるのには、こういった理由があります。

      リレンザ・イナビルはのど、タミフルは全身

      吸入と経口薬では、使用後、体の中のどこに入っていくかが違います。
      • タミフル(経口薬)の場合:       口→胃→小腸→肝臓→血液→全身
      • リレンザ/イナビル(吸入)の場合:  のど・気道・肺の粘膜→血液→全身
      このような体内での薬の動き方を、体内動態といいます。

      薬の作用の現れ方 経口投与 吸入の作用箇所の違い 内服、吸入で吸収される部位 口から飲んだ時とスプレーで吸入した時、薬はどうやって効く? のど 肝臓 静脈 動脈 小腸から門脈を通って肝臓へ 体内動態と効果が発現する部位 有効性  吸収 代謝 ADME 図説 イラスト タミフル リレンザ イナビル オセルタミビル ザナミビル ラニナビル インフルエンザの薬は何がいいか イラスト 図説
      タミフルを飲んだ時
      ①飲み込むと
      ②胃を通過して小腸へ
      ③小腸から吸収されて、門脈(緑)を通って肝臓へ
      ④肝臓から肝静脈を通って心臓へ
      ⑤心臓から全身へ
      ★全身で作用

      リレンザ・イナビルを吸入した時
      ①吸入すると、のど・気管支・肺の粘膜へ
      ★のど・気管支・肺で作用
      ②のど・気管支・肺の粘膜からほんの少し吸収され、全身へ

      タミフルも、リレンザ・イナビルも、最終的には血液中に入り全身へ送られますが、その割合が違います。
      • タミフルでは飲んだ量の約80%が血液へ
      • リレンザは吸入した量の約2%が血液へ
      これがどういうことかというと・・・

      タミフルは

      タミフルは、大半(80%)が血液の中に入り全身へいきわたり、全身に作用します。
      そのほかは、おそらく吸収されていないと考えられます。

      リレンザは

      リレンザは、吸入した薬のほとんどはのどや気管支、肺など、吸入した薬が届いた粘膜にとどまって作用します。
      インフルエンザウイルスはのどから侵入するので、ここで、戦って体に入るのを食い止めようというわけです。

      イナビルは

      では、イナビルはどうかというと、示されているデータがちょっと違うので、タミフルやリレンザと並べてお示しできません。

      イナビルは、血液中の濃度を1とすると、肺胞粘液中の濃度は約100、肺胞マクロファージの濃度は約14,000になるとされています。

      肺を顕微鏡で見ると、小さな袋がたくさん集まってそこで血液中の二酸化炭素を酸素に置き換えています。
      この小さな袋が肺胞。
      肺胞の表面を覆っている粘液が肺胞粘液、肺胞の中にいるマクロファージ(白血球の一種で、ウイルスと闘う戦闘員)が肺胞マクロファージです。
      ですから、イナビルは血液中にはほんのわずかしか入らず、ほとんどが肺胞で作用すると考えられるわけです。

      特に、肺胞マクロファージというのは、インフルエンザウイルスが感染した細胞を食べる戦闘員ですから、この中にイナビルがたくさんあるということは、イナビルがインフルエンザウイルスが感染した細胞にたくさんくっついていたのではないかと推測できます。

      ただし、インフルエンザウイルスが増殖することができるのは喉の細胞だけで、肺の細胞には入っていくことができません。
      ですから、肺胞にイナビルがいくらたくさん分布していても、肺での効果は期待できません。
      インフルエンザ治療薬 イナビルは本当に有効?

      抗インフルエンザウイルス作用について3剤を比べると

      これらの薬が効果を発揮するのは、ヒトの細胞の中で増殖したウイルスが細胞から出ていくところです。
      インフルエンザウイルスの増え方と薬の作用については、こちらを見てください。

      ということは、いったん血液中に入ってから、体中を回ってのどの粘膜にたどり着いた薬が効果を発揮するタミフルよりも、投与した薬のほとんどがのどの粘膜で効果を発揮するリレンザやイナビルの方が効率がよさそうに思えますね?

      中枢神経系副作用について3剤を比べると

      ここでは、特に問題視されている中枢神経系の副作用についてお話しします。
      錯乱してしまったり、飛び降りてしまったりした原因ではないかとされる副作用のことです。

      血液中で作用するタミフルは、脳の中に入る可能性があるけれども、リレンザ、イナビルは、そもそも血液中に入る量が少ないので、脳に作用する可能性はほとんどない、と考えられますね。

      これに対してタミフルには、脳の中に入るかもしれない、というデータがいくつかあります。
      参考 インフルエンザ*タミフルで予防できる?

      さらに、イギリスの研究者が発表したコクラン共同研究の報告では、次のように、タミフルが中枢神経系副作用の原因ではないかと疑っています。
      Jefferson T, et al. Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in healthy adults and children. Cochrane Database of Systematic Reviews 2014, Issue 4. Art. No.: CD008965. DOI: 10.1002/14651858.CD008965.pub4http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD008965.pub4/abstract
      • タミフルが炎症促進性サイトカインの濃度を低下させることで、免疫反応が治まり、インフルエンザの症状が改善していることが考えられる。
      • とすると、タミフルには中枢神経(脳の神経)抑制作用があり、その結果、熱が下がり、見かけ上、症状が改善したようになっているという可能性がある。
      ちなみに、厚生労働省の見解は、インフルエンザに罹ってタミフルを飲んでいた人と飲んでいなかった人とで、中枢神経系の異常が現れた割合に統計学的に差がないことから、タミフルはこれらの副作用の原因ではない、としています。

      血液中に入る薬の量について3剤を比べると

      そもそも、血液の中に入らなければ、中枢神経系の副作用は起こるはずがありません。
      そこで、タミフル、リレンザ、イナビルが、投与した後どのくらい血液中に入るかを調べてみました。
      抗インフルエンザウイルス薬3剤の体内動態を比べると、吸入薬は経口薬に比べてAUCが約1/20 剤形 1回投与量 半減期 AUC 分子量  タミフル オセルタミビル リレンザ ザニナミビル ラニナミビル 活性体 効果 安全性 精神科副作用 脳内に入る 中枢神経 AUC(血中濃度-時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)

      血液中の薬の量は、時間の経過とともに変化するので、血液中の濃度と時間からAUC(血中濃度-時間曲線下面積、area under the blood concentration-time curve)というものを計算して求めます。

      表の「総AUC」の所を見てください。
      この値で、それぞれの薬が投与期間を通して血液中に入る総量を比較できます。

      タミフルとリレンザは1日2回5日間、計10回投与するので、1回投与した時の投与後12時間のAUCの値を10倍しました。
      ですから、だいたいこのくらいかな、と思ってみてください。

      結果は・・・
      全投与期間に血液中に入る量は、タミフルは、リレンザ、イナビルの約20倍でした。

      化学に強い方は、薬の1分子の重さが違えば、濃度(ng/mL)では比較できないのでは?という疑問を持たれるのではないかと思い、分子量を調べましたが、どれも同じくらいでした。

      つまり・・・
      タミフルは、リレンザ、イナビルに比べて圧倒的に血液中に入る量が多いので、脳の中に作用する可能性も他の2剤より高いといえそうです。

      参考までに、血中濃度半減期も調べました。
      血中濃度半減期というのは、血液中の薬の濃度が一番高くなったところから半分になるまでにかかる時間のことです。

      タミフル、リレンザに比べて、イナビルは血中濃度半減期が10倍以上長いですね。
      イナビルは、ゆっくり吸収されて長い時間作用することがわかります。
      だから、1回の吸入で効果が得られるわけです。

      インフルエンザの症状を抑える作用について3剤を比べると

      薬が発売されるためには、臨床試験(治験)といって、実際に患者さんに使った時の効果や副作用を確認する試験を行う必要があります。
      臨床試験の結果は、薬ごとに作られているインタビューフォームと呼ばれる冊子に書かれています。
      インタビューフォームは「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の
      「医療用医薬品の添付文書情報
      から検索できます。

      ここで調べたところ、タミフル、リレンザ、イナビルとも、似たり寄ったりの成績で、薬を使わない時と比べて発熱やその他のインフルエンザ様症状を、半日~1.5日くらい早く治す、というものが多いようです。
      海外の臨床試験では、効果が認められなかったものもあります。

      さらに、タミフルの臨床試験方法をじっくり読むと、効いたようにみえて実は効いていないのではないかという疑問も出てきます。

      というのは、タミフルには免疫の力を抑える作用があると考えられるためです。

      詳しく説明すると…
      免疫力が弱い人はインフルエンザに罹っていても、抗体が上手に作れないためにインフルエンザかどうか調べる抗体検査の結果が陰性になってしまう可能性があります。

      臨床試験は抗体検査でインフルエンザであることが確認された患者さんだけを対象にします。
      ということは、タミフル投与群には、タミフルを使っても検査でインフルエンザだと認められた免疫力の強い人、つまり、治りやすい人が多かった可能性があるわけです。

      このお話は、
      インフルエンザ*タミフルで予防できる?
      で、予防投与の効果を例に詳しく説明しましたので、ご参照ください。

      インフルエンザの薬って、よく効くって言われているのに・・・と思われる方が多いかもしれません。
      私も、そういう評判を信じていましたが、試験の成績をよく見ると、そんなことはないんです。
      ムリして医者に行ってもらうほどの価値があるとは、ちょっと思えません。

      私の感想

      で、どうすればいい?と思われるかと。
      色々調べた結果の個人的な意見をお伝えしますね。
      じゃあ、インフルエンザ対策は何もしないか、というとそんなことはありません。
      詳しくはこちらを。


      ところで、日本では、新型インフルエンザに備えてタミフルを備蓄しています。
      厚生労働省のお役人は、この薬の有効性も副作用もご存じでしょうから、どうして、そんなことをするのか疑問です。

      で、理由を考えてみました。
      ここからは、全くの想像です。

      新型インフルエンザ対策を何もしないと、いざというときに、パニックに陥ってしまうので、やむを得ず、タミフルを備蓄しているのではないでしょうか。
      タミフルを選んだ理由は、もう、耐性ウイルスが出てきているので、新型ウイルスに全国で使われて耐性ウイルスだらけになってしまっても、惜しくないから・・・でしょうかね??


      2015年1月16日金曜日

      座り時間を短くすれば老化しにくい

      運動しないで、座りがちな生活が健康によくないことは以前にもお話ししました。
      テロメア、老化、アンチエイジング、細胞核、糖質制限、テロメラーゼ、砂糖、リスク、細胞分裂、細胞老化
      座りがちな生活はテロメアを短くする
      今回は、座っている時間を短縮すれば、テロメアが長くなり老化が遅くなり、健康と長寿をもたらす可能性があるという研究がありましたので、お伝えします。

      私たちの体は、必要に応じて細胞分裂して体を修復しています。
      組織を構成する細胞が傷ついたり、寿命を迎えたりして、組織の細胞が欠落するとそれを補うわけですね。
      この時に働くのがご存知の遺伝子DNAです。

      テロメアは、遺伝子DNAの端っこ(染色体の末端)にあります。
      細胞分裂を繰り返すたびに、このテロメアが短くなるので、これをテロメラーゼという酵素で修復するのですが、この修復が働きにくくなることが老化の1つの原因と考えられています。

      テロメアについて詳しくははこちらをご覧ください。

      座りがちな高齢者の座り時間を短縮したらテロメアが延長した



      【方法】 

      • 座っていることが多い過体重の68歳以上の高齢者49人が試験に参加
      • 49人をランダムに個別の活動性を上げる運動プログラムをするグループとしないグループに分けて、6か月間試験を行って、グループ間で血液細胞のテロメアの長さを比較した
      • 毎日、万歩計で歩行数を計った
      • 7日間ごとにどのくらい活動したか日記を書いた
      • 1日のうちの座っている時間を質問票で記録した

      【結果】

      • 活動性を上げる運動プログラムをしたグループは、日常生活の活動性が上がり、歩行数も明らかに多かった。
      • 活動性を上げる運動プログラムをしたグループでは、座っている時間が短いほど、テロメアが延長され、これは統計学的に明らかだった。
      というものです。
      この研究での注目点は、研究手法が、前向き研究といって、あらかじめ観察する人と条件を決めておいて、時間の経過を追ってその結果を記録・分析するという方法なので、すでに起こってしまっている結果を分析する方法よりも、正確な分析ができることです。

      活動的になって、若さを保とう

      この結果をもう少し噛み砕くと・・・
      • 定期的に運動することで、日常生活も活動的になる
      • せっかく日常生活が活動的になったのなら、なるべく座っている時間を短くして動き回れば、老け予防に
      この試験に参加した人が行った運動は、その人の体力に見合ったメニューでしたから、決して、無理な運動ではなかったと思われます。

      健康番組で紹介している腰痛体操や肩こり体操、膝関節体操などを参考にして、毎日少しずつでも実行することにプラスして、椅子に座らないようにしてみるというのはいかがでしょうか?

      私もさっそく実行。
      といったら、どうせすぐ忘れるだろうと、家族に椅子の上にぬいぐるみを置かれてしまいました。

      2015年1月11日日曜日

      レシピ*低糖質 きなこ蒸しパン

      お正月に余ったきな粉で蒸しパンを作ってみませんか?
      あまったきなこで蒸しパンを作る 黒豆 グルテン BP ベーキングパウダー 蒸し器 低糖質 砂糖なし ダイエット 小麦粉を使わないこれまで、水煮大豆やらふすまやら、家の貯蔵庫に標準装備していないものを使うレシピが多かったので、今回は極力、ありそうな素材で作ってみました。

      でも、やっぱり、小麦粉抜きの場合はグルテンが必要です。
      ベーキングパウダーは、小麦に含まれるタンパク質=グルテンと一緒に使うことで、膨らませることができます。


      【材料】小さめの型3つ分
        あまったきなこで蒸しパンを作る 黒豆 グルテン BP ベーキングパウダー 蒸し器 低糖質 砂糖なし ダイエット 小麦粉を使わない
      • きなこ            30g
      • 小麦グルテン        30g
      • ラカンカット(ラカントでも)    30g(甘さ控えめ)
      • 卵               2コ
      • ベーキングパウダー   小さじ1
      • 豆乳             大さじ3
      • バター            30g
      • お好みで黒豆(ラカンカットを使って煮たもの) 40g
      あまったきなこで蒸しパンを作る 黒豆 グルテン BP ベーキングパウダー 蒸し器 低糖質 砂糖なし ダイエット 小麦粉を使わない
      【作り方】
        あまったきなこで蒸しパンを作る 黒豆 グルテン BP ベーキングパウダー 蒸し器 低糖質 砂糖なし ダイエット 小麦粉を使わない
      1. 電子レンジでバターを溶かし、卵、ラカンカット、豆乳を加えて、ハンドミキサーで混ぜる。がんばれば泡立て器でも大丈夫です。
      2. 1にきなこ、グルテン、ベーキングパウダーをふるい入れ、泡立て器で混ぜる
      3. 2を型に流し入れる
      4. お好みで、ラカンカットなどを使って甘く煮た黒豆を型の中に入れ、混ぜる(黒豆のお汁が入ると水っぽくなってちゃんと固まらないので、お汁は極力入れないように)
      5. 蒸し器で12分蒸す
      ラカンカットはラカントやパルスイートカロリーゼロでも代用できます。
      どれも血糖をあげません。

      黒豆は上手に混ぜないと、どうしても下の方に固まってしまうようです。
      あまったきなこで蒸しパンを作る 黒豆 グルテン BP ベーキングパウダー 蒸し器 低糖質 砂糖なし ダイエット 小麦粉を使わない写真のように残念な感じにならないように、1か所にかためず、隅の方にも並べることをお勧めします。

      生地は、水分が多いと、蒸しあがっても中が固まっていないことがあります。
      特に、具を入れると、具の水分がプラスされて想定外の蒸し上がりになることが多いようです。
      そのような時は、ラップをかけて電子レンジで30秒~1分を目安
      にチンしてください。

      ベーキングパウダー・重曹・グルテンの関係

      ベーキングパウダーの作用

      ベーキングパウダーとは、重曹(別名 炭酸水素ナトリウム)に酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム (別名 第一リン酸カルシウム)、酒石酸、焼ミョウバン、フマル酸、リン酸ナトリウム等が入ったものです。
      これらはどれも酸性剤といって、水に溶けると酸性を示します。

      重曹を水に溶かしただけでは発泡しませんが、これらの酸性剤と一緒に溶かすと発泡します。
      この泡・・・二酸化炭素がお菓子を膨らませます。

      化学式では
      • 2NaHCO3(重曹2つ)→Na2CO3+CO2(二酸化炭素)+H2O(水)
      となります。
      ここで出来る二酸化炭素が気体なので、泡になって膨らませるという仕組みです。

      重曹は熱を加えるとさらに発泡します。
      熱を加えたときには、酸性剤の力を借りなくても発泡できます。
      重曹だけでもお菓子が膨らむのは、この加熱によるものです。

      酸性剤にはもう一つ役割があります。
      上の反応で出来てくるNa2CO3(炭酸ナトリウム)はアルカリ性なので、お菓子の色を悪くします。
      そのうえ、独特の酸っぱい味もあって、邪魔なものなんです。
      酸性剤は炭酸ナトリウムを中和して、この邪魔な作用をなくしてくれます。

      ベーキングパウダーと重曹の使い分け

      ベーキングパウダーと重曹は別のものと思われていることも多いようですが、このように、ベーキングパウダーは重曹の欠点を改良して作られたものです。

      ただし、ベーキングパウダーにも欠点があります。
      それは、水と混ぜただけで、発泡が始まってしまうこと。
      ベーキングパウダーでお菓子を作るときは、急がないとふくらみが悪くなるということですね。

      ですから、ちょっと酸味が残っても良いようなお菓子・・・ヨーグルトやレモン味のお菓子や、味が濃いお菓子ではベーキングパウダーではなく重曹を使う、というように、使い分けている方もいらっしゃいます。

      重曹・ベーキングパウダーとグルテンの関係

      はじめにも書いたように、小麦粉を使わないでお菓子を膨らませるには重曹(ベーキングパウダー)と一緒にグルテンを使う必要があります。
      大豆パウダーやおからパウダーに重曹(ベーキングパウダー)を加えただけでは、多分、ほとんど膨らまないと思います。

      この理由を説明しますね。

      重曹から出来た二酸化炭素は、生地の中にある粘り気のあるタンパク質にからめとられて気泡を作ることで、生地を膨らませます。
      このタンパク質がグルテン。
      小麦に含まれるタンパク質、グリアジンとグルテニンに水を加えて混ぜることでできます。
      (二酸化炭素は焼けば蒸発してなくなるので、ご心配なく)

      小麦粉に水を加えて混ぜると粘りが出ますね?
      あの粘り気の元がグルテンです。
      小麦粉にはグルテンを切断するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)も含まれていて、グルテンの粘りを適度に弱めるといいます。
      小麦粉に重曹やイーストを入れると、その絶妙な作用で、生地が伸びやすくなって、ふっくらと膨らむわけです。

      小麦粉を使わず、グルテンで膨らませるとき、グルテンが多いとよく膨らむ代わりにゴムみたいな食感になります。
      ここに、ちょっとだけ小麦粉を加えると、見違えるほど食感が良くなります。
      小麦粉の威力は大きいですね・・・
      そう思うと、糖質制限はつらくなってしまいますが、上手に少しだけ小麦粉を使って、おいしく糖質を抑える方法を研究する価値はありそうです。

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      2015年1月6日火曜日

      糖質制限 糖質は何gまでOK?

      私たちエバーグリーン研究室では、ずっと健康でいるために、食生活と運動習慣の大切さをお伝えしています。

      今日は、食生活のなかでも、最近注目されている糖質についてお話します。

      糖質制限、低糖質、糖質制限ダイエット、糖質0、などのキーワードがいろいろなメディアで取り上げられていますが、みなさんこんな疑問はありませんか?
      糖質を制限するといっても、どのくらいまでなら摂ってもOKなのでしょう?

      糖質はどれくらいまでならOK?

      これが難問なのです。

      推奨される糖質の摂取量は示されていない

      実は、2015年1月現在、日本で、行政や学術団体などの公的な機関が推奨する糖質の摂取量は存在しません。

      厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の報告書には、糖類について、
      「糖類については、日本人においてその摂取量の測定が困難であることから」基準を作成しない
      と記述されています。

      でも、糖質、特に単純糖質の取りすぎは、肥満、糖尿病、がん、認知症など様々な病気や障害の原因となるという科学的な報告はたくさんあります。

      なのに、糖質の摂取量の基準を作成しないのは、納得ができませんね。
      本来、厚生労働省は、国民の健康を維持するための政府機関なのですから。

      WHOが示した基準は「糖類の摂取量1日約25g」

      では、海外ではどうなのでしょう

      世界保健機関(WHO)は、2014年の3月に、糖類(sugars)の摂取量の指針案を発表しました。
      参考⇒WHO opens public consultation on draft sugars guideline

      それによると、肥満や虫歯などの公衆衛生の点から、糖類の摂取量は1日のエネルギー摂取量の5%未満に制限すべきだとしています。

      標準的な体格(BMI)の成人でおおよそ25g(角砂糖6個分)の糖類の量です。

      ここで注意しなければならなのは、WHOは「糖質」ではなく、糖類(sugars)の摂取量について提示していることです。

      イヌリン、ポリデキストロース、セルロース、 難消化性デキストリン、多糖類、グルコース、ぶどう糖、 フルクトース、果糖、でんぷん、オリゴ糖、デキストリン、糖アルコール、還元麦芽糖水飴、エリスリトール、キシリトール、 マルチトール、ラクチトール、アセスルファムK、スクラロース、クエン酸、クエン酸ナトリウム、砂糖、ショ糖、スクロース、 乳糖、ラクトース、麦芽糖、マルトース、 トレハロース、異性化糖、高果糖コーンシロップ、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、砂糖混合異性化液糖
      赤字:血糖値を上げる成分
      紫字:血糖値を少しだけ上げる成分
      黒字:血糖値を上げない成分
      図のように、糖類とは砂糖や麦芽糖などの二糖類とグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)など単糖のことを言います。

      また、でんぷんを加工して単糖にした、異性化糖(高果糖コーンシロップ)も糖類です。

      WHOは、砂糖や麦芽糖とグルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)や、甘味料として飲み物などに入っている異性化糖(高果糖コーンシロップ)などの摂取量を1日25g以下にしなさいと言っているわけです。
      でんぷんなどの糖質まで含めてはいません。

      WHOは、加工食品が大量の糖類を含んでいることを問題視していて、これを警告しているのですね。

      たとえばスプーン1杯のケチャップには約4g、1缶の甘味炭酸飲料には約40gの砂糖が含まれていることを例にとって注意しています。

      食品中の糖分の量は調べられない

      さらに「糖質はどれくらいまでならOK?」が難問である理由に、食品中の糖類や糖質の量が確認できないということがあります。

      例えば、WHOの基準「糖類25g」を守ろうと思っても

      話が複雑になるので、まず、WHOの推奨する糖類25gについて、考えてみましょう。

      1日のエネルギーの5%=1日約25gの糖類という目安があっても、日本に住む私たちがこのこの勧告を利用するのは難しいのです。

      なぜなら、食品中の糖類の含有量がわかる公的な資料は現在ありません。

      糖質の量は推算できるけれど、糖類の量はわからない

      私たちエバーグリーン研究室が糖質(糖類ではありません)の含有量を計算するときは、文部科学省の、 日本食品標準成分表2010、日本食品標準成分表2010準拠 アミノ酸成分表、五訂増補 日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編をデータべース化したwebサイトの情報から推算しています。
      ⇒参考サイト 食品成分データベース

      現在このデータベースの項目には糖質や糖分はなく、炭水化物の項目しかありません。
      (文部科学省は2015年以降の日本食品標準成分表に糖分含有量の記載を始めるそうです。)

      そこで、私たちエバーグリーン研究室が食品の糖質を推算する場合は、炭水化物から食物繊維を引き算して出しています。

      上のベン図のように炭水化物量から食物繊維を除けば、ほぼ糖質の量になると思われるからです。
      それでも、求められるのは糖質ですから、その中にどの位の糖類が含まれているかはわからないわけです。

      食料品については、最近では日本でも、食料品の栄養成分表示に糖質や糖類が表示されているものもありますが、まだまだ少なく、仮に糖類を25g以内に制限しようとしても、食料品にどれだけの糖類が含まれているかわかりません。

      ちなみに、アメリカ、カナダ、オーストラリア、韓国では糖類の栄養成分表示が義務化されていますが、日本では栄養成分表示はまだ義務化されていません(消費者庁が中心になって義務化を検討中です。なぜ厚労省ではないのか疑問です)。

      糖類でない糖質でも、デンプン、オリゴ糖などは血糖値を上げる

      また、糖類でなければ血糖値を上げないかというと、そうではありません。
      私たちが主食としている小麦やお米の主成分であるでんぷんは、消化されてブドウ糖(グルコース)になります。

      他にも、上の図の赤い文字の成分は、すべて血糖値を上げます。
      もう一度、復習しましょう。

      糖質

      • でんぷん、オリゴ糖、デキストリン、還元麦芽糖水飴、キシリトール、マルチトール、ラクチトール

      糖質の中で、特に糖類と呼ばれるもの

      • 砂糖(ショ糖=スクロース)、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)、トレハロース、グルコース(ぶどう糖)、フルクトース(果糖)、異性化糖(グルコース+フルクトース)≒高果糖コーンシロップブドウ糖果糖液糖果糖ブドウ糖液糖高果糖液糖砂糖混合異性化液
      これらは、全部、血糖値を上げます。
      糖の仲間の呼び方と血糖値についてはこちらを…
      ⇒「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い

      お菓子や清涼飲料水などには、水飴、キシリトールやマルチトールなどが成分として表示されているので、確認して避けることができますね。
      生鮮食料品の中に入っている糖質(糖類も含む)は、さきほどの食品成分データベースで「炭水化物-食物繊維」で推算してください。

      問題点をまとめると

      このように、

      ・厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」に糖質や糖分をどれだけとればよいかの指針の記載がなく

      ・WHOは糖類は一日のエネルギーの5%=1日約25g未満を勧告してるけれど、でんぷんを含む糖質には触れていない

      ・文部科学省の、 日本食品標準成分表には糖分含有量の記載は現時点ではない

      ・栄養成分表示には糖質や糖分の表示が義務化されていない。

      問題がたくさんあって、「糖質はどれくらいまでならOK?」に解決が困難なことが実感できますね。

      予想どおり、お役人さんや専門家は、利害関係を含めて、いろいろなご事情がおありのようで、はっきりせず、やはり頼りないものです。

      では、糖質の量をとうやってコントロールするかというと

      自分の健康は自分で守るがポリシーの私たちエバーグリーン研究室では、情報の制限のある中で、「糖質はどれくらいまでならOK?」のヒントを出しましょう。

      その方法は、
      • 糖類については、WHOの一日のエネルギーの5%=1日約25g(角砂糖6個分)未満という勧告を守る。25gには、飲み物、アルコール飲料、調味料を含めて計算。

           ⇒アルコール飲料 角砂糖いくつ分?

      • 一日三食食べている場合は、まず、主食(ご飯、パン、麺類)を一食分やめるか量を減らす。まずは夕食分の主食をやめるのがおすすめ。
      • 糖質制限を始めたら、体重を定期的に測り、記録する。3日おきぐらいがおすすめ。
      • 糖質制限に慣れてきた(2-3週間を目安)ら、最低週に3回45分以上のうっすら軽く汗をかく程度の運動をする。筋トレ+有酸素運動がおすすめ。息が上がり、汗が滴るような激しい運動はNG.。
      • 体重が落ちてきて、自分の理想の体重(BMI22ぐらい)になるまで、主食と糖類を減らす。たとえば最初に夕食のご飯をやめても体重が落ちてこなければ、ケチャップなどの糖類が多い調味料の使用を見直したり、昼食の主食も量を調節して、体重が落ちてくるまで様子をみる。
      • 体重が目標値に到達したら、我慢していた糖質を1つ許可してみる。たとえば、昼食の定食のごはんを1/3だけ食べてみて、体重が増えてこないなら、その量の糖質は許容範囲となる。

      つまり、体と相談して、糖質を制限していくのです。

      糖質制限の効果

      糖質制限は、厳しく行えば短期間で劇的に体重が減り、血圧が下がります。
      特に体重は2週間もすれば減ってきます。

      これは、糖質を制限すると、食後の高血糖がなくなり、インスリンが過剰に出なくなって、体のむくみが取れるためです。

      インスリンは、腎臓にナトリウムを再吸収するシグナルを送り、水分を排出しないように働き、その結果血圧を上昇させ、むくみの分体重が増えているからです。

      尿として排泄する体の中の成分(水分やミネラルなど)は、すぐには排泄しないで、一旦、腎臓に蓄えられた後、インスリンなどの指令を受けて、必要と判断した分だけもう一度血液中に戻されている(再吸収)のですね。

      糖質制限の副作用と対策

      しかし、糖質制限を始めると、体が慣れていないので、一時的に不調に陥る方もいます。

      具体的な症状としては、

      • めまい・立ちくらみ・意識がふっとなくなる(起立性低血圧、低血糖症状)、疲労、虚脱(弱)感、イライラしやすい、怒りっぽくなる、筋力低下、手足の冷え・しびれ、吐き気、便秘、下痢、脱水

      などです。

      身体がエネルギー源をスイッチする

      糖質を制限すると、糖を主要エネルギー源としていた身体が、脂肪(脂肪酸)やケトン体を主要エネルギー源に変更するようになります。
      このように糖質制限で身体がエネルギー源を脂肪(脂肪酸)やケトン体にすることを「ケト適応keto-adaptation」とよびます。

      特に1日の糖質量を60g以下にするような厳しい糖質制限を行うと、ケト適応に伴う副作用として上にあげたような症状が現れるとされます。

      このような症状が現れたら、過剰な糖質制限ですので、主食の量を調節するなどして、症状が現れないようにしてください。
      ナッツたっぷりの
      低糖質クッキーのレシピはこちら

      ミネラルバランスに注意

      また、お話ししたように、糖質を制限するとインスリンが過剰に出なくなるため、体内のナトリウムの量が減ります。
      むくみが取れて血圧も下がりよいのですが、人によっては、ナトリウムの欠乏と体が判断してしまい、ナトリウムとカリウムのバランスを保とうとして、カリウムを排泄してしまう場合があります。

      カリウム不足になると、お話しした副作用の症状が出やすくなるので、糖質制限を行うときは、カリウムの多い食品、アーモンド、ピーナツなどのナッツ類、緑色の野菜、ワカメ、昆布などの海藻を摂ることをお勧めします。

      水分補給を

      レモンミント水
      レシピはこちら
      さらに、むくみが取れ、血圧が下がるのは歓迎ですが、これが効きすぎてしまうと、脱水の可能性があります。
      ですので糖質制限中は、水分の補給を心がけてください。
      目安は、食事以外で、1日1~2Lの糖質を加えていない飲み物で水分補給をしてください。

      カフェインが入っているコーヒーやお茶、紅茶などは、利尿作用があるのであまりたくさん飲むとかえって水分を失います。

      エバーグリーン研究室では、レモンやライム、スダチを絞った柑橘フレーバー水をお勧めします。

      柑橘類にはミネラルも入っていますので、カリウムやナトリウムのバランスを保つのにも役立ちます。
      トマト水レシピはこちら

      ミネラル補給の切り札

      カリウム不足と脱水予防にエバーグリーン研究室では、アミノ酸スープをお勧めします。
      糖質制限中の副作用防止に、削り節と昆布でとっただし汁の、
      アミノ酸スープを1日2回(朝と夜)250mL(お椀1杯)ほど飲んでみてください。
      アミノ酸スープは、カリウム、ナトリウムなどのミネラルたっぷりで、水分補給もできます。
      もちろん糖質も少ないです。
      具として、ホウレンソウや、ワカメを入れれば効果抜群です。
      アミノ酸スープの作り方はこちらを…
      ⇒アミノ酸スープ

      アミノ酸スープ
      レシピはこちら
      また、だし汁をとるのが面倒な方は、カリウム豊富な昆布茶や、青汁を1日2回(朝と夜)飲むのも良いと思います。

      便秘対策

      最後に、糖質制限をすると、腸内の常在細菌が栄養にする糖質と食物繊維が減るので、常在細菌が元気がなくなり、便の量が少なくなり、便秘になる人もいます。

      この場合を踏まえて、意識して食物繊維を摂るように心がけてください。
      大豆、玉ねぎなどの野菜、ワカメ、ヒジキ、昆布などの海藻、キノコなどが糖分も少なくお勧めです。

      血糖降下薬、降圧薬服用中は医師に相談

      とき玉アミノ酸スープ
      レシピはこちら
      ここでお話しした、糖質摂取の目安は、生活習慣、運動量、筋肉量(ミトコンドリアの量と質)などの個人差がありますので、その点はご理解ください。

      また、ここで、紹介する糖質制限のやり方はあくまでも、病気を持っていない人を想定しています。
      糖尿病や高血圧などの病気をお持ちの方は、医師と糖質制限について相談してから行ってください。

      特に、血糖降下薬、降圧薬を飲んでいる方は、糖質を制限すると、低血糖、昏睡(意識がなくなる)、過剰な血圧低下によるめまい・立ちくらみ(起立性低血圧)、転倒、転倒による事故やけがが起こる危険性があります。
      充分ご注意ください。

      糖質制限に興味をお持ちの方は下記もどうぞ。

      糖質
      文明が病気を作った!
      ミトコンドリア イラスト
      ミトコンドリアについては
      こちらをご覧ください
      血糖になる栄養素
      何を食べると血糖値が上がる?
      「糖類オフ」と「糖質オフ」の違い
      ブドウ糖と果糖の毒性
      果糖はブドウ糖より危険
      果糖は別腹
      糖類を食べるとおなかがすく?
      糖質は食べ物でとる必要はない?
      糖質制限で二日酔いから解放?
      アルコール飲料 角砂糖いくつ分?
      スポーツドリンクで糖尿病に? 
      お酒と糖類の依存性
      あなたの1日の糖質量


      糖尿病
      4~5人に1人が糖尿病予備軍!
      糖毒性で糖尿病予備軍に??
      グルコーススパイクに注意
      インスリンは肥満ホルモン?!
      早食いはメタボの元
      厚労省お墨付き栄養法で糖尿病?
      低GI食品って意味ある?
      やっぱりGIはあてにならない
      糖尿病予備群は癌リスクが15%高い

      2015年1月3日土曜日

      レシピ*胃腸炎にアミノ酸スープ


      半年くらい前のこと。
      どうも朝から胃の調子が悪い日がありました。
      胃腸はめっぽう逞しく、具合が悪くなることは珍しいので、「昨日、そんなに飲んでないのに」と不思議に思っていたところ、午後になって、今度はおなかが痛くなってきました。

      普段は便秘がひどくて困っているので、まあいいか、と思ったのですが、時間がたっても腹痛は治まりません。
      トイレに行くと、その時は治るのですが、またすぐに痛くなるので、どこにも出かけられません。
      でも、食欲はあったので、普通に食事をして早く寝ました。

      かつお いわし あじ ぶり グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし 水分がとれない おなかをこわす 気分が悪くて吐き続ける子どもにどうやって水分をとらせる 気持ち悪くて起きられない高齢者 翌朝も普通に起きて、普通に朝ご飯を食べて・・・そこまでは普通でした。
      が、10:00頃になって突然、吐き気とひどい腹痛に襲われたのです。
      どうやら、ウイルス感染症による胃腸炎のようでした。
      起き上がることも出来なくなって、水分を摂っても、たちまち、下から出ていく状態。
      そのうち、冷や汗が出てきて、呼吸まで苦しくなってきました。
      脱水状態による軽いショック症状だったのですね。

      心臓がばくばくした状態は、1時間くらいじっとしていてようやく治まりました。

      そのあと、飲んだのがアミノ酸スープです。
      空っぽの胃と腸に優しくしみ込んでいくのがわかりました。
      そして、みるみる力が出てきたのです。

      なんて書くと、怪しいCMのようですね。
      でも、全然怪しいものではありません。
      単純明快、アミノ酸スープは誰でも知っているだし汁です。
      いろいろな病気で吐いたり、下痢したりして、水分や栄養を補給しにくい時の特効食といえます。
      具は入れないほうが胃腸にやさしいです。

      アミノ酸スープの作り方

      カツオ ブリ アジ イワシ グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし
      【材料】(1人分)
      • 削り節(かつお、ぶり、いわし、あじ) 合計20g
      • 昆布    5cm×10cm 1枚
      • 日本酒(純米酒)   大さじ3
      • 塩    ひとつまみ
      • 醤油   小さじ1.5
      • 水    カップ2
      かつお いわし あじ ぶり グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし【作り方】
      1. 水2カップに昆布を1枚、30分以上浸す
      2. 1を火にかけ、沸騰する寸前に昆布を取り出す
      3. 2が沸騰したところに、削り節20gを入れ、火を止める
      4. 2~3分経ったら、削り節をこす
      5. 鍋に日本酒を入れてアルコールを飛ばす
      6. 4のこしただし汁を5の鍋に戻し入れて火にかけ、醤油、塩で味付けする

      グルタミン酸 イノシン酸 ATP だし汁 おすまし アミノ酸スープ OS-1 経口補水液 熱中症 脱水 下痢 水分補給 暖かい飲み物 カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラル ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシン 細菌感染 ウイルス感染 吐き気 嘔吐 悪心 下痢 おなかを壊して食べられない時 食欲がない 夏バテ 熱中症 ノロ ロタ ATP 病気 すましじる 一番だし

      削り節

      使っているのは、はなかつおヤマヒデの業務用だし
      ヤマビデの業務用だしの原材料は、「さばのふし、いわしの煮干し、むろあじのふし」と書かれています。

      このように、4種類の魚の削り節を使うのには訳があります。
      魚によって、含まれるアミノ酸が異なるためです。
      細かい分析をした研究者がいて、結果が報告されていますので、詳細はこちらをご覧ください。


      削り節、特に鰹節にはイノシン酸が豊富に含まれています。
      イノシン酸は、細胞のエネルギー源となるATPの原料です。

      感染症や病気になると、細胞がイノシン酸(イノシン一リン酸)を作り出すことができにくくなるので、エネルギー源であるATPが減ってしまい、細胞の元気がなくなると考えられます。

      アミノ酸スープはこの点に効果的と考えられます。

      ただし、突然具合が悪くなったときに何種類も削り節が揃えられなければ、鰹節だけでもOKです。

      昆布

      昆布にはグルタミン酸が豊富に含まれます。
      昆布のグルタミン酸と、削り節のイノシン酸がそろうと、ヒトにはとてもおいしいと感じられるようです。

      アミノ酸スープは経口補水液と何が違う?

      脱水症状にOS-1のような経口補水液が勧められていますね。
      この経口補水液にはいろいろ誤解があるようですが、それは別の機会に。

      脱水症状に対して経口補水液の代わりにお勧めしたいのが、アミノ酸スープです。
      OS-1よりずっと体に浸み込んでいくような気がします。

      それに、OS-1より圧倒的においしい!

      OS-1に含まれる成分は、下記の通り。
      • 糖類(ブドウ糖、果糖、コーンシロップ)
      • 食塩
      • 乳酸ナトリウム
      • 塩化カリウム
      • 乳酸
      • 硫酸マグネシウム
      • リン酸ナトリウム
      • グルタミン酸ナトリウム
      • 香料(一部にオレンジ由来の成分を含む)
      • 甘味料(スクラロース)

      これらの中で、アミノ酸は、グルタミン酸ナトリウムだけです。
      アミノ酸スープには、30種以上のアミノ酸が含まれています。
      旨み成分として有名なイノシン酸も含まれます。
      イノシン酸はアミノ酸の仲間ではなくて、核酸系の旨みで、うまみ調味料としても利用されます。

      もちろん、ビタミンやミネラルも、OS-1よりたくさんの種類が含まれています。

      カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムなどのミネラルは、微量なのですが、体にとってなくてはならないものです。
      たとえば熱中症では、汗をたくさんかいてしまうので、ナトリウムなどのミネラルが欠乏しがちです。

      でも、ミネラルは、それだけでは、小腸から十分には吸収されません。
      ミネラルは、アミノ酸やグルコース(ブドウ糖)と一緒に摂取することで効率よく吸収されます。

      OS-1も、そのことを考えて、ミネラルを吸収しやすいように糖類や、グルタミン酸ナトリウムや、乳酸などの、アミノ酸の仲間を配合しているようですね。

      でも、自然の素材を使ったこのアミノ酸スープは、さらにきめ細かいレシピになっています。
      削り節にはたっぷりのアミノ酸、お酒には十分な糖類が入っています。
      これらが、昆布と削り節の中の豊富なミネラルがしっかり吸収される手助けをしてくれるのです。

      アミノ酸がお腹に優しい理由

      では、アミノ酸は、なぜ、弱った胃腸に優しいのでしょうか?

      アミノ酸は、タンパク質を構成する成分です。
      タンパク質は、色々な種類のアミノ酸が立体的に連なった形をしています。
      胃の消化酵素ペプシンや、膵液の中のトリプシン、キモトリプシン、ペプチダーゼ類でタンパク質が分解され、アミノ酸になって、小腸から吸収されます。

      はじめからアミノ酸の形をしていれば、胃や膵臓に負担をかけずに、吸収することができます。

      削り節では、発酵によって魚を構成するタンパク質がアミノ酸に分解されています。
      ですから、これを煮出すことで、ヒスチジン、タウリン、アンセリン、アラニン、カルノシンをはじめとする、多くの種類のアミノ酸を抽出できます。
      これらは、みんな何の消化酵素の助けも借りずに、消化管から吸収されるのですね。

      ノロウイルス、ロタウイルス・・・感染性の胃腸炎にもアミノ酸スープ

      なんだか理由のわからない胃腸炎ばかりでなく、細菌やウイルスの感染による胃腸炎のときにも、アミノ酸スープは活躍します。

      病気に関するメディア情報を見ていると、「お腹を壊して嘔吐や下痢が続くときには水分補給を」といわれていますね。
      でも、本当に何を食べてもすぐ吐き戻したり、下痢してしまうようなときは、胃腸に負担をかけてしまう分だけ、無理やり水分を摂るのはかえってよくありません。

      もう少し待って、ちょっと口にできそうかな、と思ったくらいの時に飲むようにしてください。


      熱中症にもアミノ酸スープ

      アミノ酸スープは、熱中症対策にも有効です。

      熱中症には冷たいものを飲んで体を冷やすのがいいと思われがちですが、それは間違いです。
      体温以下の飲み物や食べ物は、胃で体温まで温まってから、はじめて、腸に送られます。
      冷たいものは、そのままでは吸収されません。

      ですから、いくら暑くても、冷たいものを多く摂るとかえって体力を消耗します。
      覚えておくと、役に立ちますね。

      夏バテしたなと思ったら、温かいアミノ酸スープを、ゆっくり飲んでみてください。
      きっと、身体が喜んでくれます。

      二日酔いにもアミノ酸スープ

      アミノ酸スープの応用編「とき玉アミノ酸スープ」
      レシピはこちら
      二日酔いで気持ちが悪いときも、アミノ酸スープが活躍します。
      脱水症状を改善することで効果を示しますので、たくさん飲むのがよいです。

      また、二日酔いの状態では、肝臓が疲れているので、アミノ酸をたっぷり補給してあげれば肝臓の回復が早まります。

      もし、飲みすぎて起きられないあなたに、愛情をこめてアミノ酸スープを作ってくれる人がいれば、お願いしてみてください。

      二日酔いについては糖質制限で二日酔いから解放?をご覧ください。