いきいき!エバーグリーンラブ: 死亡率
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2017年1月26日木曜日

”週末にまとめて運動”でも死亡率は下がる!

寒いですね―。

エバーグリーン研究室のメンバーは、日常的に運動する習慣ができてはいても、この寒さだと、ジョギングやスポーツジムなどに出かけるのが少し億劫になりますね。


運動不足を自覚していても、お勤めがあって「仕事が忙しくて、運動している暇がない」とお嘆きのかたもいらっしゃると思います。

または、忙しいので週末だけスポーツジムに集中して通う方も多いでしょう。


そんな方々に心強い研究報告が発表されたので、ご紹介します。

”週末にまとめて運動”でも総死亡率、心血管疾患・がんによる死亡率は下がる!

Association of “Weekend Warrior” and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality. JAMA Intern Med. Published online January 9, 2017. doi:10.1001/jamainternmed.2016.8014

【研究の実施国と参加者とデーター収集期間】

  • イギリスで、63,591人の40歳以上の人々(平均年齢58.6歳、男性45.9%)で1994年から2012年の期間

【研究の方法】

上記の間に自分の活動性を自己申告してもらい、そのデーターを2016年に分析した。
 
参加者が報告した活動性は
  1. 運動なし:中強度運動も75分以下の高強度運動も全くしていない
  2. 運動不足型:週に150分以下の中強度運動か、週に75分以下の高強度運動を週に何回行ったかも報告してもらった。
  3. 週末集中型:週に150分以上の中強度運動か、週に1~2回の75分以上の高強度運動
  4. 高活動型:週に150分以上の中強度運動か、週に3回以上の75分以上の高強度運動
に分類され、それぞれの総死亡、心血管疾患による死亡、がんによる死亡の件数を比較分析した。

 

【研究の結果】

  • 観察期間中の総死亡は8,802件、心血管疾患死は2,780件、がんによる死は2,526件。
  • 総死亡リスク
  1. 運動なしに比べて
  2. 運動不足型週に1~2回運動したと報告した人々では、34%低下[ハザード比0.66 (95%信頼区間, 0.62-0.72)]
  3. 週末集中型は30%低下[ハザード比0.70 (95% 信頼区間, 0.60-0.82)]
  4. 高活動型35%低下[ハザード比0.65 (95% 信頼区間, 0.58-0.73)]
がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患,

  • 心血管疾患死亡リスクは、
  1. 運動なしに比べて
  2. 運動不足型週に1~2回運動したと報告した人々では、40%低下[ハザード比0.60(95%信頼区間, 0.52-0.69)]
  3. 週末集中型は40%低下[ハザード比0.60 (95% 信頼区間, 0.45-0.82)]
  4. 高活動型41%低下[ハザード比0.59 (95% 信頼区間, 0.48-0.73)]
がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患,

  • がんによる死亡リスクは、
  1. 運動なしに比べて
  2. 運動不足型週に1~2回運動したと報告した人々では、17%低下[ハザード比0.83 (95%信頼区間, 0.73-0.94)]
  3. 週末集中型は18%低下[ハザード比0.82 (95% 信頼区間,0.63-1.06)]
  4. 高活動型21%低下[ハザード比0.79 (95% 信頼区間, 0.66-0.94)]
がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患,

  • 定期的に運動する習慣がある人々が、総ての死亡リスクが最も低い傾向が認められた。 

 

【研究から考えられること】

  • 現在推奨されている運動ガイドラインに沿っていない、運動不足型でも、週に1~2回運動したと報告した人々では、週末集中型の人々と同等の死亡リスク低下率が認められた。
  • このことから、週に1-2回の運動習慣を身につければ、総死亡率、心血管疾による死亡率、がんによる死亡のリスクを低下させることができると考えられる。

運動を趣味にしよう!


いかがですか?

週に1-2回の定期的に運動する習慣でよいのです。

週末のスポーツや趣味がいよいよ楽しくなりますね。

運動の習慣がない人は、最初は億劫さや、辛さを感じがちでしょう。
でも、慣れてくると、運動によって脳の報酬系が働き、ドパミンが分泌されて、快感や達成感、満足感が得られるようになってきます。

そして、運動の習慣がつくと、運動しないと体が「鈍(なま)った」感じがして、運動をしたくなります。

この感覚をつかむまでが、勝負です。

そのあとは、言われなくても、自然に体と脳が運動することを要求してきます。

運動習慣さえつけば、あまり食べ物も気にしなくてもよいし、適量ならお酒も甘味もおいしくいただけますよ。

ぜひチャレンジしてください。

がん, 運動, 運動習慣, 運動不足, 癌, 死亡リスク, 死亡率, 心血管疾患

2016年9月10日土曜日

運動不足のリスクは喫煙なみ

スウェーデンで45年間にわたり、死亡リスクを増やす原因について調査をしたところ、第1位は喫煙であることが認められました。

ここで問題です。
喫煙に次ぐ第2位は、次のうちどれでしょう。

  1. 血清コレステロール
  2. 運動不足
  3. 高BMI


回答に替えて、研究の概要をご紹介しましょう。

中年男性の45年間の死亡リスクに影響を及ぼす因子について

Per Ladenvall et.al.; Low aerobic capacity in middle-aged men associated with increased mortality rates during 45 years of follow-up.

【研究の方法】
  • 1963年に50歳だった男性の792人のデータを使用した、45年間にわたる前向き観察研究(プロスペクティブコーホート研究)。
  • 参加者が54歳の1967年に、792人のうち656人が自転車(エルゴメーター)に乗ってマスクをつけて、最大酸素摂取量(VO2max)を測定して、運動能力の上限を測定した。
  • 2012年の99歳まで参加者を観察して、約10年ごとに運動能力検査をした。
  • 参加者の死亡および一般国民の死亡率は、スウェーデン国民死亡原因登録のデータで確認した。
  • 参加者の身体測定・血圧や血液検査データと、運動能力と死亡のデータを比較して分析した。
【研究の結果】
  • 運動能力の指標である最大酸素摂取量(VO2max)で、次の3つのグループに分けて比較した。
  1. VO2maxが高いグループ
  2. VO2maxが中等度のグループ
  3. VO2maxが低いグループ
  • VO2maxが高いグループは、特に運動しない場合と比べ45年間の死亡リスクが21%低下すると推算できた[ハザード比0.79 (95%信頼区間0.71–0.89; p < 0.0001)]。
  • つまり、運動しないと45年間で21%死亡しやすくなるといえる。
  • 運動しないことの死亡リスク増加へのインパクトは、喫煙に次いでの2位で、高BMI、血清コレステロール高値などよりもはるかにリスクが高かった。
  • 喫煙での死亡リスク増加は58%の上昇であった[ハザード比1.58 (95%信頼区間1.34–1.85; p < 0.0001) ]。
いかがですか。

この研究は45年にわたる長期間参加者の656人を追跡して、10年ごとに運動テストも実施しているのでかなり信頼できる研究結果といえるでしょう。
現在では、喫煙は最もはっきりした健康へ悪影響のあるリスクの1つです。

運動不足はその喫煙に次いで、死亡リスクを上げてしまうのです。

エバーグリーン研究室では、運動の習慣をつけることが、生涯の健康にどれほど良い影響を与えるかについて、皆さんといろいろ勉強してきました。

でも、運動不足がどれだけのデメリットであるかについては、解説するのが難しいところでした。
この研究で、実感いただけたでしょうか?

禁煙に成功した方、次は運動習慣ですね。

運動のメリットを復習

運動することを習慣にできれば、まず筋肉が太目に維持され、筋肉内のミトコンドリアが増加し、その働きが向上します。
筋トレと有酸素運動を組み合わせた適度な強度がお勧めです。

肩こり、腰の痛み、関節痛など、筋肉がつくだけで解消できる痛みも多くあります。
また、有酸素運動をして心拍数を上げると血流がよくなり、肺や心臓や血管の健康にも役立ちます。
定期的に骨が刺激を受けることで、骨も強くなります。

代謝が上がるので、体の中の不要なものが排泄されやすくなり、何より太らず健康に美味しいものを楽しめます。

また、運動ががん認知症などいろいろな病気を予防する証拠も数多くあります。
さらに、適切な運動で病気を回復に向かわせたり、進行を遅らせることさえできます。

エバーグリーン研究室では、健康な生活の基礎となるのが、運動習慣と考えています。
どんなダイエットや健康法、サプリメントや薬も、適切な運動習慣の効果にはかないません。

また、これらのダイエットや健康法も、運動と組み合わせなければ効果が発揮されないと考えて間違いありません。


キーワードは、
  • 筋肉の量が増加
  • ミトコンドリアが増加して活性化
  • 有酸素運動+筋肉トレーニング
  • 心肺機能向上(血流を良くする)
  • 動脈硬化予防
  • 骨の健康
  • 肥満回避
  • 代謝向上
  • 老廃物除去(デトックス)
  • 汗をかく能力(熱中症予防)
  • 体温調節
  • 自律神経活性化
  • 認知機能改善(ボケ防止)
  • 精神の健康
  • がん予防
  • メタボ防止(血圧、血糖値の正常化)
など、たくさんあげられます。

関係する話題は、下記をご参照ください。

ミトコンドリアの数で若さが決まる
有酸素運動と無酸素運動の違い
体重・BMIより筋肉量が大事
運動すると食べ過ぎる?
デスクワークは危険!
座り時間を短くすれば老化しにくい
筋肉は脚から落ちる
1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる
ミトコンドリアが活発な筋肉を保つためには
運動すればボケを防げる!
歳をとってから運動を始めても遅くはない
BMIが正常でも死亡率が上がる原因?
運動不足で脳がしぼむ!

2015年5月14日木曜日

1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる


座りがちの生活は、危険なことは以前お話ししました。

今日は、それを裏付ける研究がいくつか発表されたのでご紹介します。



1時間にたった2分の運動で死亡リスクが減る

【研究参加者】
2003-2004年のアメリカ国民健康栄養運動調査の対象となった3626人のアメリカの一般人で、うち383人が慢性腎臓病患者だった。
  
 【方法】
1時間相当の活動を加速度センサーで計測して、
①座りがち 
②低い活動 
③軽い活動 
④中等度活動~活発
の四段階に分類した。

①の座りがちの人が1時間ずっと座りがちを続けた場合と、1時間に2分間、上の②~④の活動をした場合とで、死亡率に差が出るかどうかを、最長3年間観察して分析した。

【結果】
●座りがちでも、1時間に2分間、③の軽い活動を行えば、全参加者で死亡リスクが約33%低下した。
●慢性腎臓病患者を選り分けて分析すると、1時間に2分間、③の軽い活動を行うと死亡リスクが41%低下していた。

なお、③の軽い活動は(加速度センサーで500-2019カウント/分)だった。

ずっと同じ姿勢でいるのは不自然なこと?

いかがですか。
上の研究の「加速度センサーでのカウント」というのがわかりにくいですね。
要するに、1時間に2分間、歩くか、ちょっと早歩きしなさいと理解すればいいと思います。
個人差はありますが、2分間歩くまたは早歩きで7-9kcalぐらい消費する運動です。

デスクワーク 猫背 サルコペニア 運動不足 エコノミークラス症候群職場でのデスクワークなどで、ずっと座っていると、伸びをしたくなったり、トイレに立ったり、無意識にしていると思います。
これは、同じ姿勢でいることに体が警告を出しているのでは?と個人的には思っています。

エコノミークラス症候群はご存じでしょう。

長時間座っていると、下半身(脚)の静脈に血の塊が出来やすくなって、この血の塊が肺に飛んで肺の血管を塞いでしまい、呼吸困難になったりするのがエコノミークラス症候群です。

私たちの体は、下肢(特にふくらはぎ)の筋肉が動くことで、下肢の静脈が押されて、血液が心臓に還っていくのを助けています。
ミルキングアクション、筋ポンプ作用とも言います)。

血液の循環はとても大切です。
特に、重力で下に下がった静脈の血を心臓に還すことが重要なのです。
心臓は血液を送り出すポンプですが、吸い上げる機能は弱いのです。
血液の循環から考えても、ずっと同じ姿勢でいるのは1時間が限度で、それを超えそうなら、最低2分歩くことが必要ということですね。

職場の上司の方にも教えてあげてください。

死亡の原因は肥満よりも運動不足が多い

つぎは、ヨーロッパで行われた観察研究です。

Physical activity and all-cause mortality across levels of overall and abdominal adiposity in European men and women: the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition Study (EPIC)

【研究参加者】
33万4,000人の男女のデータを集めた。
平均12年の観察期間中、参加者は身長、体重、胴囲を測定し、身体活動レベルを自己申告してもらった。
観察期間中の死亡リスクと、身体活動のレベルとの関係を分析した。

【結果】
●参加者の約4分の1(22.7%)が座りがちな職業で、レクリエーションもしない、“非活動的”に分類された。

●“非活動的”な人のグループと全く運動しないわけではないが軽い運動はする“ある程度非活動的”な人のグループでの死亡リスクをを比較した結果に大きな差があった。

●これらの結果から、1日に90~110カロリーを消費する運動(1日20分ぐらいの早歩き)により、死亡リスクを16~30%低減できると研究者たちは推定した。

●さらに、研究者たちははヨーロッパでの死亡に関する最新データを分析して、ヨーロッパでの男女の死亡920万件のうち、33万7,000件は肥満によるものと推定し、この約2倍(67万6,000件)が、運動不足によるものと推定した。

筋肉がないことが危険?

いかがですか?

肥満と健康についての数多くの研究の中には、ちょっと太り気味の人のほうが、死亡リスクが低いというものが結構あります。

肥満も程度の問題で、明らかなリンゴ型肥満で慢性的に炎症が起こってしまっていると死亡リスクが上がると思います。
りんご型肥満でおなかが炎症

でも、BMIや体重だけでは判断できないと思います。
私の個人的な解釈ですが、肥満というより、筋肉が脂肪に置き換わった場合が危険だと思います。
体重・BMIより筋肉量が大事

ですので、運動不足のひとの死亡が多かったのっではないでしょうか?
この研究者たちの推定が正しければ、痩せていても、筋肉がない人はリスクが高いはずです。
筋肉量と死亡リスクについての研究を行えばよいと思います。

定期的に運動すれば、筋肉が落ちてしまうことはありません。
筋肉は脚から落ちる

始めの研究では1時間に2分運動するだけでも、死亡リスクが下がるとしていました。
1日16時間活動(起きて)いるとして、2分間を15回、1日当たり30分の軽い運動=歩行か早歩きとなります。
2つ目の研究での、1日に90~110カロリーを消費する運動(1日20分ぐらいの早歩き)とだいたい同じぐらいの運動量です。

この2つの研究は全く関係がありませんが、死亡リスクを減らすのに必要な最低限の運動量がだいたい一致しているのが興味深いですね。


2014年11月11日火曜日

デスクワークは危険!

ですくわーく、どうみゃくこうか、すわりがち、しんきんこうそく、しぼうりつ、とうにょうびょう、ひまん、のうそっちゅう、うんどうぶそく
電車ではつり革を利用してつま先立ち
通勤時間がトレーニングに変身
運動をしようと思っても、なかなか時間がないと思っている方も多いでしょう。

運動不足を感じている方も、そうでない方も、1日のうちどれくらい座っているか計算してみてください。
お勤めの方で、デスクワーク中心で、通勤も電車や車で移動される方は殆ど座りっぱなしなのではないでしょうか?

現代の先進国での便利な文化がもたらす、ライフスタイルやワークスタイルは、座りがちな生活を強要していると思います。

今日は、座りがちな生活を送っているだけで、病気になるという科学的な証拠をいくつかお話しします。

座りがちな人は糖尿病・心筋梗塞・狭心症・脳卒中になりやすい

まずは、複数の研究の結果を条件を揃えてまとめ直して、統計学的に評価する方法(システマティックレビューとメタアナリシス)という分析方法で、18の研究、合計79万4577人を分析しました。
18の研究のうちで15の研究の質(方法や条件)は中等度から高度なものでした。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22890825

その結果、

・座りがちな人は、そうでない人に比べて、2.12倍糖尿病になりやすく(112%なりやすさが増加)

・座りがちな人は、そうでない人に比べて、1.9倍心筋梗塞や狭心症、脳卒中などで死亡しやすく(90%なりやすさが増加)

・全般的な原因で死亡する率も、座りがちな人は、そうでない人に比べて、49%高まった。

ということです。
この研究で注目されるのは、いろいろな条件(人種や国)で、79万人もの人のデータを集めて分析したところです。

座る時間が長い人は死亡率が高い

もう一つ、オーストラリアで 45歳以上の22万2497人を平均2.9年間観察した大規模な研究では、

http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1108810

座る時間が1日に4時間以下だった人のグループに比べて、

・座る時間が4時間以上8時間未満だった人のグループは、1.02倍死亡率が上がり、

・座る時間が8時間以上11時間未満だった人のグループは、1.15倍死亡率が上がり、

・座る時間が11時間以上だった人のグループは、1.4倍死亡率が上がりました。

この死亡率の上がりやすさは、性別、年齢層、BMIと身体活動のレベルに関わりなく、確認されました。
さらに、糖尿病や心筋梗塞や脳卒中などの循環器病を持っていた経験がある人でも、この傾向は同じでした。

つまり、健康な人でも、病気を持つ人でも、座りがちな人の死亡率が上がるということです。

この研究での注目点は、研究手法が、前向き研究といって、あらかじめ観察する人と条件を決めておいて、時間の経過を追ってその結果を記録・分析するという方法なので、すでに起こってしまっている結果を分析する方法よりも、正確な分析ができることです。

座りがちな生活で死亡率は1.4~1.5倍に

2つの研究報告とも座りがちな生活の全体的な死亡率の増加を概ね1.4から1.5倍と推算してることが共通しています。

さらに、座りがちなことを直接研究する代わりに、座りがちな生活になるテレビ、車、コンピューターの自宅での所有割合が上がると、身体活動性が落ちて、食事摂取カロリーが増え、BMIとウェストサイズが大きくなり、糖尿病にもなりやすくなるという研究もあります。
http://www.cmaj.ca/content/early/2014/02/10/cmaj.131090

座っている時間が長いということは、もちろん運動量が少ないわけですが、大事なことは、座っている時間が運動不足の目安になりそうだということです。

つまり、立ち仕事についている人や、運動の習慣がある人は、自然に座っている時間は少なくなるでしょうし、デスクワークや車や電車での移動が多い人は座りがちになるということです。

それを裏付けるように、別な研究では、通勤距離が長いと、心肺機能や身体活動レベルが低下して、BMIとウェストサイズ、血圧が上昇し、通勤距離が約24.2km超の人は明らかに肥満になりやすいという結果が得られています。

いかがでしょう?

まめに動いて座りがち生活を解消!

現代の私たちの生活は知らず知らずのうちに、運動不足を強要され、健康を害していることがお分かりいただけたかと思います。

じゃあ、運動する時間もない、サラリーマン、OLの私たちはどうすればいいの!!

という声が聞こえそうです。

ご安心ください。

とりあえずできることがあります。

それは、座りがちな人は最低でも1時間に5分ぐらいは立って歩くことです。

最近発表された研究によると、1時間ごとに5分間の散歩で、長時間の座位による脚の動脈への悪影響が避けられるという結果があります。

この研究では、11人の肥満ではない20-35歳の健康な人に、3時間座りっぱなしの場合と、座り始めて、30分後、1時間半後、2時間半後に5分間運動をしてもらって、足の動脈の拡がりかたを比較しました。

すると、3時間座ったままでいると、座り始めて1時間後には、座り始めて30分後に運動した場合に比べて50%も動脈が拡がりにくくなることがわかりました。
この研究は、見方を変えれば、運動による動脈の柔軟性への影響を、血管の拡がりやすさを指標にして調べたともいえるわけです。

動脈が柔軟性を失って硬くなって、拡がりにくくなったり、収縮しにくくなったりするのが動脈硬化です。
そして、硬くなった動脈にはやがて血栓という血の塊ができて詰まり、血液の流れが悪くなります。
こうして動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。

つまり、座りがちであっても、時々運動することで、血の流れを悪くする動脈硬化が予防できる可能性があると考えられるわけです。

運動が大切なのは、筋肉を増やして、余計な脂肪組織を増やさないことだけでなく、血行を良くして、血管のしなやかさを保つことでもあるのです。

座りがちな人は、言い方を変えれば、血管のトレーニングが足りない人といえるでしょう。

あなたの周りに、仕事中にしょっちゅう立ち歩いてどこかへ行ってしまう人がいたとしたら、ちょっとは動け!と、無意識に身体に要求されているのかもしれません。
非難せずに、あなたも一緒について行ってはいかがですか?

血管のトレーニングをすれば、血流がよくなり、脳にも血が回って、そのほうが、作業効率も上がるかもしれませんね。

運動・筋肉・ミトコンドリアについては下記もどうぞ…

運動・ミトコンドリア
ミトコンドリアの数で若さが決まる
有酸素運動と無酸素運動の違い
体重・BMIより筋肉量が大事
運動すると食べ過ぎる?
デスクワークは危険!
座り時間を短くすれば老化しにくい
筋肉は脚から落ちる
1時間に2分体を軽く動かせば寿命が延びる
ミトコンドリアが活発な筋肉を保つためには