いきいき!エバーグリーンラブ: 熱中症対策、誤解していませんか?

2016年8月12日金曜日

熱中症対策、誤解していませんか?

熱中症になったら「水だけ飲んでも汗で出てしまった塩分やミネラルが不足してしまうので、塩分やミネラルも補いましょう」といわれますね。
そのようなときには、OS-1のような経口補水液が役に立ちます。

ここで、よく誤解されていることがあります。


熱中症で誤解されやすいポイント1

熱中症にならないようにするために一番必要なのは、水分を摂り続けることではありません。
予防で大切なのは
  • 体の中から余分な熱を発散させること。
  • 熱を発散させるには汗をかくのが一番なので、普段から上手に汗をかけるようになるために、筋肉を鍛えること。
  • お年寄りや体力がなくて汗がかけないような方は、暑い場所を避けること。
  • スポーツなどで大量の汗をかく可能性ある場合は予防的に水分補給をする。
です。

熱中症で誤解されやすいポイント2

熱中症で脱水になってしまったら、

水分+塩分(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質)+糖

を補わなければなりませんが、

熱中症にならないようにするために、1日中水分+塩分+糖を摂り続ける必要はありません。

そのようなことをしたら、むしろ、塩分(特にナトリウム)も、糖も摂りすぎになってしまいます。

そして何よりも、熱中症になってしまったら、まずは体を冷やしましょう。
クーラーの効いたところに駆け込んだり、水を浴びるなどして、とにかく体を冷やすことです。


熱中症とは

ここからは、熱中症について詳しくお話しします。

熱中症対策を考える前に、熱中症とは何か、正しく理解しましょう。

熱中症は「熱にあたる(中る)」と書きます。
漢字のとおり、熱が体の中から出ていけなくなった状態です。

健康な人は、気温の高いところで長時間過ごしたり、激しい運動をしたりして体が熱くなると、汗をかくことで体温を調節します。

汗をかけば乾くときに身体の表面から気化熱が奪われ、体温が下がります。
また、顔が赤くなるのは顔の表面に血管、血液が拡がってきて身体の表面から熱を外に逃がそうとするためです。

ですから、体の中の水分が少なくなると汗をかけなくなって、体温調節がうまくいかなくなります。
この状態が熱中症です。

正しい熱中症予防策とは?

熱中症を予防するにはどうすればよいでしょうか。

上手に汗をかくことができる人は、水分補給をすることで熱中症を予防できます。
若い人や、体力のある人は、比較的上手に汗をかけます。

汗をかきにくい人は、お年寄りや体力のない方に多いようです。
まさに、熱中症になりやすいと言われている方々ですね。

では、どうすれば汗をかけるようになるのでしょうか。

答えは、筋肉をつけてミトコンドリアを増やすことです。

どうして筋肉をつけてミトコンドリアが増えると汗がかけるようになるかは、とても難しいので別の機会にお話ししましょう。

ミトコンドリアについては、こちらをご覧ください。
⇒ミトコンドリアの数で若さが決まる

うまく汗をかけない人の熱中症予防策は

高齢者など、筋肉が少ない方は、体の中に水分があってもうまく汗をかけないために熱中症になる危険があります。
このような方が熱中症にならないためには、体温が高くなるような環境に、長くいないようにすることが肝心です

特に高齢者は、部屋の温度が高くなっていることに気付かない場合がありますので、室温と湿度をまめにチェックして、温度は28度以下、湿度は50~60%を超えないように、エアコンを使いましょう。

「熱中症対策に経口補水液」に異議あり!

熱中症対策にOS-1(オーエスワン)のような経口補水液が盛んに勧められていますね。
あたかも、経口補水液を飲み続けていれば熱中症にならないかのような印象を受けます。

が、正確には
「熱中症で少しでも脱水症状が見られたら経口補水液」
「暑いところに行ったり、沢山汗をかくスポーツをするような状況で脱水する可能性がある場合に予防的に経口補水液」
と言わなければいけません。

脱水するリスクの少ない生活をしている場合は、夏だからと言って経口補水液を飲み続ける必要はありません。

普通の生活をしていて(激しい運動をしないで)汗をかくだけならば、お水で十分、脱水は予防できます。


ただの水というのも味気ないので、我が家では、レモンミント水を常備しています。

朝、レモンジュースを作ったあとのミキサーに、ミントと水を入れて、もう一度回します。

レモンミント水より、もう少し味の濃い飲み物がほしいというときには、フルーツジュースに比べて糖質の低い、トマト水はいかがでしょうか。

【材料】
  • トマト   小1個(約100g)
  • 水+氷  700mL
  • お好みでバジル 1/3枚
  • 汗をかいたなと思ったら、塩  1g (塩は、小さじ1=6g なので、1gは小さじ1/6)

経口補水液での塩分の摂りすぎに注意

経口補水液は、水分を効率よく吸収できるように、グルコース(ブドウ糖)と塩分を含んでいるため、1日中飲むには糖分も塩分も高すぎます。

参考までに、厚生労働省が定める日本人のナトリウム(食塩相当量)の目標量は、
  • 男性8.0g/日(ナトリウムとして3144mg)未満
  • 女性7.0g/日(ナトリウムとして2751mg)未満
です。

食塩1gには、ナトリウムが約393mg含まれています。

OS-1には100mL中に115mgのナトリウムが含まれているので、500mL(ペットボトル1本)飲むと、575mgのナトリウムを摂取することになります。

飲み物からの1日の水分摂取量は、少なくとも1500mLとされています。
これをOS-1にすべて置き換えて、ペットボトル3本(1500mL)飲んだとすると、
575mg×3=1725mg
のナトリウム摂取。

1日の目標値の半分強です。
食事などでもナトリウムは摂取されるので、目標値を超えてしまう可能性があります。

塩飴もNG

暑くなると、よくレジの周りにおかれる塩飴
これは糖質の塊です。

塩の辛さを甘さでマスクして美味しくしています。
ですから、飴とほぼ同じ量の角砂糖をなめているのと変わらない糖質を摂ることになります。

一見、健康に良いようなコピーがかかれているパッケージをよく見かけますが、塩分(塩、NaCl、ナトリウムなどの表示)の量と、糖質の量を確かめたうえで買うようにしましょう。

脱水状態になったら経口補水液!

経口補水液が適しているのは、
  • 感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態
  • 高齢者の経口摂取不足による脱水状態
  • 過度の発汗による脱水状態
どれも、普通の健康状態ではなくなってしまったときです。

経口補水液は、自宅でも簡単に作れます。

【材料】  
  •  500 mL
  • 1.5g (小さじ3/10)
  • 砂糖 20g (大さじ2と1/5)
※ミネラルを含む水で作れば、ミネラルも摂取できます。

経口補水液が良いと言われる理由は正しい??

小腸から体内に水分を吸収するには、ブドウ糖とナトリウムイオン(Na+)が不可欠です。

経口補水液を勧める理由として、

「ブドウ糖とナトリウムイオンは、1:1の割合で取り込まれるので、1:1の割合で含まれる経口補水液を飲むと、最も効率よく水分を吸収することができる」

と、メーカーは言っています。

しかし、実際には、ブドウ糖とナトリウムイオンが含まれてさえいれば、小腸はブドウ糖とナトリウムイオンを1:1の割合で水とともに拾い上げて吸収するので、元の飲料水に含まれる割合は問題になりません。

つまり、ブドウ糖とナトリウムイオンがある程度入っていれば、厳密に1:1でなくても構わないということです。

ということで、安く簡単にできる経口補水液もどきのレシピをご紹介します。

経口補水液もどき

【材料】
  • ポカリスエット 500mL 
  • 水        500mL 
  • 塩        3g

〈参考〉小腸で水分を吸収する仕組み

小腸の吸収のシステムについては、少々、専門的なお話になります。
興味のある方はご覧ください。
エネルギーが必要なトランスポーター:SGLT1 Na+/K+ポンプ エネルギーを使わないトランスポーター:GLUT2 アクアポリン   Na+とブドウ糖濃度が適切な経口補水液を飲むと、この SGLT1が働き、Na+とブドウ糖が小腸の壁の細胞の中に移動します。⇒①  小腸の壁の細胞に入ったブドウ糖は、今度はGLUT2というトランスポーターで小腸の壁を囲んでいる血管の中へ移動します(⇒②)。  ブドウ糖と一緒に小腸の壁に入ってきたNa+は、Na+/K+ポンプ(ナトリウムイオン カリウムイオン ポンプ)というトランスポーターで、血液中のカリウムイオン(K+)と入れかわる形で血管の中に出ていきます(⇒③)。  Na+とブドウ糖が血液中に入ると、小腸の中と小腸を囲む血管の中とで浸透圧に差ができます。 (血管の中、つまり血液のほうが、小腸の中より浸透圧が高くなります。)  体の反応は、この浸透圧の差を元に戻す方向に進みます。  ここで、もう一度、腸肝の壁をみてみましょう。 腸管の壁の細胞には、水を取り込むアクアポリンというトランスポーターがたくさん存在しています。  腸管の中と血液と間にできた浸透圧の差の分、水はアクアポリンを通って腸管の膜を通過し、血液の中へ入っていきます。(⇒④)  このようにして、経口補水液に含まれるブドウ糖とナトリウムと水は、血液中に入り、全身に送られます。イラスト 画像 糖尿病

食塩は、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)が化合してできています。

小腸には、ナトリウムイオン(Na+)ブドウ糖(グルコース)の両方が存在すると働くSGLT1というトランスポーターがあります。

トランスポーターというのは、細胞膜の外から中に特定の物質を汲み入れたり、中から外に特定の物質を汲み出したりするポンプのようなものです。
トランスポーターには、働くのにATPというエネルギーが必要なものと、エネルギーを使わないで働くものがあります。
ここでは、次の4種類のトランスポーターが登場します。
  • エネルギーが必要なトランスポーター:SGLT1 Na+/K+ポンプ
  • エネルギーを使わないトランスポーター:GLUT2 アクアポリン
Na+ブドウ糖濃度が適切な経口補水液を飲むと、この SGLT1が働きます。
SGLT1は、エネルギー(ATP)を使ってNa+を小腸の壁の細胞の中に取り込み、流れを引き起こすことで一緒にブドウ糖も引き込みます。⇒①

小腸の壁の細胞に入ったブドウ糖は、今度はGLUT2というトランスポーターで小腸の壁を囲んでいる血管の中へ移動します(⇒②)

ブドウ糖と一緒に小腸の壁に入ってきたNa+は、Na+/K+ポンプ(ナトリウムイオン カリウムイオン ポンプ)というトランスポーターで、血液中のカリウムイオン(K+)と入れかわる形で血管の中に出ていきます(⇒③)

Na+ブドウ糖が血液中に入ると、小腸の中と小腸を囲む血管の中とで浸透圧に差ができます。
(血管の中、つまり血液のほうが、小腸の中より浸透圧が高くなります。)

体の反応は、この浸透圧の差を元に戻す方向に進みます

ここで、もう一度、腸管の壁をみてみましょう。
腸管の壁の細胞には、を取り込むアクアポリンというトランスポーターがたくさん存在しています。

腸管の中と血液との間にできた浸透圧の差の分、アクアポリンを通って腸管の膜を通過し、血液の中へ入っていきます。(⇒④)

このようにして、経口補水液に含まれるブドウ糖ナトリウムは血液中に入り、全身に送られます。

ここで気が付くことがあります。
  • ブドウ糖=糖尿病の原因
  • ナトリウム=高血圧の原因
  • =むくみの原因=高血圧の原因
ブドウ糖ナトリウムも、摂りすぎてはいけないとされているものの代表格です。

昔は、塩も砂糖も貴重品でした。
これらを摂ることが難しい環境だったために、わざわざ取り込むためのトランスポーターができ、現在は過剰摂取によって病気を引き起こすことになったのでしょう。

健康な人が経口補水液を常飲することがいかに無駄なことかがお分かりいただけると思います。

個人的には経口補水液よりお勧め アミノ酸スープ

経口補水液 だし汁 
アミノ酸スープ レシピはこちら

脱水で身体がだるいときには、アミノ酸スープをお試しください。
経口補水液より、格段においしいです。

OS-1に含まれるアミノ酸は、グルタミン酸ナトリウムだけですが、アミノ酸スープには、30種以上のアミノ酸が含まれています。
旨み成分として有名なイノシン酸も含まれます。

ビタミンやミネラルも、OS-1よりたくさんの種類が含まれています。

経口補水液がいいというけれど

「脱水には経口補水液」といってきましたが、ここにも重要な落とし穴があります。

原因が熱中症であっても下痢や嘔吐であっても、脱水状態になってしまったら、口からの水分・電解質の補給では間に合わないことが多いです。
特に、重症な下痢や嘔吐の時には口から水分をとっても吸収できません。

このようなときには、経口補水液を買いに走るのではなく、病院に行って点滴してください。

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