更年期障害とは、45~55歳くらいの更年期に女性ホルモンであるエストロゲン分泌の低下が原因で起こる症状です。
症状の現れ方は実に多様で、更年期の初期に現れるものから、何十年もあとに現れるものまであります。
初期の症状は人によって異なります。
ひどい方もいれば、何もない方もいます。
一方、初期症状とは別に、体の中では更年期以降、徐々にダメージが進み始めます。
このダメージは、20~30年間蓄積して、取り返しのつかない状態になってはじめて症状となって現れます。
今日は、血管の障害から来る脳梗塞や心筋梗塞、リウマチ、骨折などの「とりかえしのつかない状態」がどうして起こるか、逃れる方法はないのかについて、お話しします。
更年期症状より重篤な更年期以降に現れる症状
心筋梗塞や脳卒中のような致命的な疾患から、リウマチや骨粗鬆症、認知症のようなQOLを大きく損なう疾患まで、現れる症状は実に多彩。
そして、この、あとから現れる取り返しのつかない状態は、初期症状とは異なりほとんどの女性で起こります。
症状が出るのは、時間の問題です。
では、なぜ、女性ホルモンが減るだけでこんなにいろいろな症状が現れるのでしょうか?
女性ホルモンと言えば、妊娠や女性らしさを保つのに必要なホルモン 、というイメージですね。
肌をすべすべにしたり、乳房を大きくしたり・・・
しかし、実はそのような作用はほんの一面にすぎません。
実は、女性ホルモンは、若さを保つ様々な機能を支えるホルモンなのです。
どうして、女性ホルモンにはそんなにたくさんの働きがあるのでしょうか?
ホルモンって何?
まず、ホルモンとは何かについて簡単にお話ししましょう。ホルモンは、特定の器官から分泌されます。
皆さんがよく知っているホルモンを例に挙げると、インスリンは膵臓から、甲状腺ホルモンは甲状腺から、男性ホルモンは精巣から分泌されます。
女性ホルモンであれば、分泌するのは卵巣です。
ホルモンは、必要な時に必要な量が血液中に分泌され、血液に乗って、目的の器官に届けられます。
最近では、ホルモンが作られた細胞やそのすぐ近くで作用する場合もあることが確認されました。
脂肪細胞、骨、脳、冠動脈などに見られる女性ホルモンは、1つの例です。
その場合は血液中には出てこないために、これまで発見されずにいたのでしょう。
ここでは、血流を介した女性ホルモンの作用についてお話しします。
女性ホルモンの場合は、乳房、子宮、血管、筋肉、骨などが、目的の器官です。
なかでも、血管、筋肉、骨に対する作用が失われることが、更年期以降の障害に影響してきます。
分泌される量はほんの微量です。
それでも、目的とする器官できちんと作用できるのは、目的の器官にそのホルモンがくっつく受容体があるためです。
受容体にホルモンがくっつくことで、それぞれの器官が機能を発揮します。
ホルモンは、細胞の中に取り込まれやすい形をしており、非常に効率よく作用できるのです。
このように、女性ホルモンは全身の様々な器官を守っています。
更年期を境に女性ホルモンはほとんど出なくなる
生物は、生殖するために女性(雌)の身体を保護するシステムを進化させてきました。その働きを調整するのが女性ホルモン。
残念なことに、更年期となり生殖できる期間が終わると 、女性ホルモンはほとんど分泌されなくなります。
生物の進化は、生殖できる期間が終わってからもその最強の保護システムを温存するまでには至っていないということですね。
では、男性はどうかというと、若いときから老年期まで、若干少なくはなるものの少量ながら女性ホルモンが分泌され続けます。
骨折する高齢者の割合が女性の方が高いのは、女性ホルモンの量が男性よりも少なくなってしまうからです。
女性にとっては、何とも理不尽なお話です。
この理不尽さを解消するのがホルモン補充療法(HRT)。
これからブログの中で、更年期とそれ以降の女性の健康や、HRTに関する話題を取り上げていきますね。
参考にしてください。
注意
- HRT を行う際には、定期的に運動することをお勧めします。
- HRT に用いる薬を入手するには、病院で医師に処方していただく必要があります。
- 基礎疾患がある方などでは、HRTが行えない場合もあります。
- HRT には注意すべき副作用があります。
- HRT 実施にあたっては、婦人科を受診して、医師に相談してください。
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