HRTについては、こちらをご覧ください。
女性の人生は女性ホルモン次第にもかかわらず、日本ではちっともHRTが普及しません。
更年期を過ぎても元気な秘訣
精巧!女性ホルモン調節システム
女性ホルモンはこうして作られる
ホルモンの非常事態が更年期症状に!
HRTは乳がんの原因になる??
HRTで使われる薬剤~エストロゲン製剤
HRTで使われる薬剤~プロゲスチン製剤
その理由は、たいへんな副作用があると思われているからでしょう。
特に乳がんに関しては、医師から「HRTを行うときには、必ず毎年乳がんの検査をしてください」と言われるので、そんなに危ないのかしら?と思ってしまうのですね。
さて、HRTを継続するに当たって、毎年の乳がんの検査は必要でしょうか?
18年間の追跡試験の結果
このように言われるようになった根拠に、2002年に発表されたThe Women's Health Initiative(WHI)というアメリカで行われた大規模臨床試験で、HRTを行うことで乳がんが増える可能性があるという結果が報告されたことがあります。詳細はこちらをご覧ください。
HRTは乳がんの原因になる??
2017年に、同じWHI試験において、新たに18年間の観察期間でのデータが報告されました。
HRTとして結合型エストロゲン(プレマリン®)を単独で約8年間投与した後、合計18年間にわたり継続してフォローした成績です。
18年間の死亡例について、死亡率がエストロゲンの投与によって 増えるかどうかを、死因別に検討しました。
【試験期間】
登録期間は1993~1998年。累積追跡期間は18年。
【対象】
10,739例。登録時50~79歳(平均63.3歳)。子宮を有する閉経後女性。
【方法】
結合型エストロゲン(プレマリン®)0.625mg投与群(5,310例)、あるいはプラセボ群(5,429例)にランダム化。
結合型エストロゲンは平均約8年間、約4%の人は観察期間中も含め約18年間継続して使用していました。
【結果】
主な結果は下の絵の通りです。
HRTを行った群と行わなかった群で、
- 総ての原因での死亡率(総死亡)に差はなかった。
- 心血管系の疾患での死亡にも差はなかった。
- 総てのがんでの死亡率に差はなかった。
- 乳がんとアルツハイマー型認知症による死亡は統計学的に有意に低下していた。
グラフはHRTを行ったことで各疾患での死亡リスクが増えたか、減ったかをハザード比(ハザード比±調整95%信頼区間)で示しています。
●がハザード比、●についている横線の長さがデータのばらつきの大きさを示します。
ハザード比について説明するのはたいへんなので、グラフの見方のポイントだけ理解してください。
グラフの読み方のポイント
- ●が1.0より小さい値(左側)の疾患はHRTで減少したこと、1.0より大きい値(右側)の疾患はHRTで増加したことを示している。
- ●についた横線が1.0のラインをまたいでいない場合、『統計学的に有意(意味がある)』と考えられる。
- ●についた横線の長さが長い場合は、●の値から離れているデータがたくさん含まれていることを示している。
大腸がんのリスクは増えていますが、ばらつきが大きく 有意ではありません。
乳がんのリスクはHRTで減少する
これまで言われていた「乳がんが増える」という説とは反対の結果でした。
この研究結果から、日本でもHRTが普及するといいですね。
もし、未だにHRTでがんが増えるという医療関係者がいたら、ぜひこの研究を紹介してあげてください。
この研究報告を知らないとしたら、その医療関係者はちょっと勉強不足かも…。
「HRTの継続に乳がんの検査は必要か?」という質問に答えるとすれば、
「乳がんで死亡したくなければ、HRTを行っても行わなくても(むしろHRTを行わない人こそ)、乳がん検診を受けたほうがよい」
ということになります。
0 件のコメント:
コメントを投稿