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著者:颯田葉子
発行:化学同人
第1刷 2011年7月
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文章がちょっと論文調なので、そういった分野が好きではない人には馴染みにくいかもしれません。
この本の中で、メモしておきたいなと思ったところがありました。
どのくらいの歳月でDNAが変わっていくのかを計算しているところです。
何億年という気の遠くなるような数字の根拠がここにあったのかと腑に落ちました。
せっかくなので、内容を紹介しておきます。
進化というのはDNAの一部が変わることで起こるのですが、1個の親から子供への遺伝の際にDNAの一部が変わったとしても、これはただのDNAのコピーミスで、進化ではありませんね。
進化と呼ぶからには、新しいDNAを持った集団が生まれなければならないのです。
新しいDNAといっても、スミからスミまで違うわけではありません。
新しくなったのはDNAのほんの一部なのです。
例えば、ヒトとチンパンジーは600万年前に分岐しましたが、DNAを比べてみると違うのは1.23%だけでした。
ここから計算すると、DNAを構成する1つの単位(塩基)は10億年に1回、違ったものに置き換わることがわかります。人間のDNAは、およそ30億個の塩基でできているので、1年に3個の間違いが起きている計算になります。
このDNAの置き換えられ方も、すべての場所で同じかというとそうではなくて、DNAの中でも何らかの役割を果たしている部分は置き換え時間がかかり、役割を担っていない場所のDNAは置き換えられるのが比較的早いことがわかっています。
DNAが変化しても、それが環境に適していなければ子孫は残せません。
なので、体を作るための役割を担っているDNAだと、定着しにくいのですね。
ここまでは、1個の人間でのお話。進化というからには、同じ遺伝子を集団で獲得しなければなりません。
地球の環境の変化に伴い、生物は10万年単位で適応してきたわけです。
文明社会による、現在の急激な環境の変化に対応しろと言われても、遺伝子にとっては無理な注文なのです。
なんだか難しげな話になってしまいました。
こんなところは読み飛ばしても、ほかに感染症の原因となっているウイルスについて、遺伝子から人間との関係をみていたりと、興味深い話がたくさん書かれています。
DNAネタ初心者の中クラスの方なら十分楽しめる内容です。
著者の颯田さんは、遺伝子関係の情報はたくさん持っていそうなので、ほかの書籍も読んでみますね。
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