
(R1:L. bulgaricus OLL1073R-1)
豆乳+R-1ヨーグルト
豆乳+牛乳+R-1ヨーグルト
今回は、
低い温度で長時間発酵させると免疫力を高める成分がたくさん作られるという情報をもとに、免疫力強化R-1ヨーグルトを作ってみました。
R-1ヨーグルトが風邪・インフルエンザに有効!?
R-1の製造元、明治の研究所が、R-1の免疫に対する作用のデータを出しています。牧野聖也ほか ヨーグルト乳酸菌が賛成する菌外多糖の利用と培養条件の影響 Japanese Journal of Acid Bacteria. 2013; 24(1): 10-17.
ヨーグルト乳酸菌Lactobacillus delbrueckii ssp.bulgaricusが産生する菌体外多糖の免疫賦活作用
Makino, S. et al.: Br. J. Nutr. 2010; 104, 998-1006.
【健康な人での効果】
牛乳摂取群73例とR-1ヨーグルト摂取群74例(平均年齢67.7歳; 59- 84歳)にわけ、8-12週間毎日摂取して、風邪症候群およびインフルエンザへの罹患状況を確認した(2か所の地域の試験を統合して解析)。- R-1ヨーグルトを8-12週間食べた高齢者では風邪をひく割合が統計学的に有意に低下した(オッズ比0.39; P= 0.019)。
- R-1株ヨーグルト摂取群のNK活性の上昇量は牛乳摂取群に比べて有意に高かった(P= 0.028)。特に、NK活性の低い人で、NK活性の上昇量が高かった。
【マウスでのインフルエンザに対する効果】
マウスにインフルエンザウイルスを接種したときの生存率を、R-1ヨーグルトを食べた群と、蒸留水を飲ませた群とで比較した。R-1ヨーグルトを与えた期間は、ウイルス接種21日前から6日後まで。
- 蒸留水を飲んたマウスではウイルス接種7日後から死亡が確認され、9日後にはすべて死亡した。
- R-1ヨーグルトを食べたマウスでは8日後に40%に死亡が確認されたものの、21日後の生存率は37.5%だった。
- 以上のように、R-1ヨーグルトにより、統計学的に有意な生存率の上昇および生存日数の延長が認められた(p=0.0018;Kaplan-Meier Logrank test)。
R-1が作り出す多糖に、抗ウイルス効果
これらの効果は、R-1が作る菌体外多糖(exopolysaccharide; EPS)によると考えられます。同じ論文で、R-1のEPSがインフルエンザによる死亡を減少させる効果をマウスを使った実験で示しています。
これらの結果は、明治の研究所が出したものなので、信頼性が高いかどうかはお約束できません。
が、盛んに使われている抗ウイルス薬も、効果があると言うには疑問のあるデータしか出ていないのでR-1ヨーグルトを試してみる価値はあるのではないかと考えました。
低温・長時間発酵でEPSを効率よく作る
この明治の論文の記載に、- R-1ヨーグルトに含まれるEPSの量を増やすには、ヨーグルトの酸度を上げる(酸っぱくする)か、一般的な発酵温度(40~45℃)より低い温度で長時間発酵させる必要がある。
ヨーグルトが酸っぱくなりすぎてはおいしくないので、低温+長時間発酵を試してみました。
38℃で8時間ほど発酵させたところ、 トロトロの酸っぱすぎないヨーグルトができました。
このトロトロ感を出しているのがEPSなので、かなり、うまくEPSを作れたのではないかと思います。
EPSが本当に免疫力を高めてくれるかどうかは、試してみないことにはわかりませんが。
食べ始めてから、風邪をひいても軽く済んでいるので、 いまのところ効いていると言えそうです。
免疫力強化R-1ヨーグルトの作り方
【発酵させる道具】私は、タニカのヨーグルティアというヨーグルトメーカーを使っています。
これだと、1℃刻みで温度設定ができます。
お値段も定価で8,500円(税別)と、手の届く範囲。
低温調理にも使っています。
1回目に作るとき
- R-1ドリンクタイプ 低糖・低カロリー112mL(明治ヨーグルト) 1本
- 成分無調整豆乳 500mL
- 成分無調整牛乳 500mL
豆乳は、marusanの毎日おいしい無調整豆乳を使っています。
はじめ、キッコーマンのおいしい無調整豆乳で作っていました。
が、必ず表面に3mmくらいのピンクの層ができます。
これはフザリウムというカビではないかと思われたので、豆乳を変えたところ、まったくピンクにはならなくなりました。
【作り方】
1.容器、ふた、混ぜるスプーンを滅菌(消毒)する。
私は無印良品で購入したスプレーの容器(写真)を使って、消毒用エタノールをスプレーしています。
電子レンジに少量の水を入れた容器をいれて1分半「チン」するという方法もあるようですが、そのあとエタノール消毒すれば完璧ですね。
2.成分無調整豆乳 500mLと成分無調整牛乳 500mLをヨーグルティアの容器に入れて、電子レンジ500wで約4分間加温する。
目標は、38℃くらいに温めること。我が家の電子レンジでは、冷蔵保存の豆乳・牛乳の時は4分20秒、室温(22℃)保存の豆乳・牛乳の時は4分かかります。
冬は+20~30秒くらいです。
3.2.にR-1低糖・低カロリーを加えてよく混ぜる。
4.ヨーグルティアを36~40℃に設定し、3.をセットして8時間発酵させる。
全体がトロトロのヨーグルトになっているのが目標です。
夏は36℃の設定でできましたが、冬場は38℃~40℃(部屋の温度によってはもっと高く)に設定した方がよいようです。
我が家では、11月末、38℃に設定したところ8時間後にはヨーグルトが完成しましたが、温度計で測った完成品の温度は34℃でした。
5.8時間経ったら取り出して、すぐに冷蔵庫に入れる。
2回目以降作るとき
【材料】【作り方】
1.2.は1回目と同じ。
3.作ったヨーグルト180㏄を種ヨーグルトとして2によく混ぜる
4.5.は1回目と同じ
5回くらい種ヨーグルトとして使えます。
上手にできれば、もっといけるかもしれません。
まだまだ課題が・・・
ヨーグルティアは、高い温度の設定ではほぼ誤差がなく保温できますが、設定温度が低いと室温の影響を受けるようです。とりあえず、上記の方法でおいしいヨーグルトが完成したのでご紹介しますが、実際の培養温度と設定温度については、もっと研究が必要なようです。
フザリウム(カビ)について
フザリウム(正確には「フザリウム属」)は土壌にいるカビの仲間で、100以上の種類があるといいます。大豆、小麦、大麦、そば、米などの穀類に寄生して赤かび病などの原因となるのもそのうちの1つです。
ヨーグルトがピンクになったのは、豆乳の中に微量潜んでいたフザリウムが、ヨーグルティアによって適温になり、増えたものと思われます。
フザリウムは酸素を好むカビです。
空気と接しているヨーグルトの表面だけがピンクになったことからも、フザリウムが原因ではないかと考えました。
ちなみに、R-1などの乳酸(発酵)菌はたくさん種類がありますが、酸素があってもなくても生きていけるのが特徴で、この性質を通性嫌気性と呼んでいます。
ですので、ヨーグルトの表面以外の酸素の少ないところでは、R-1が優勢で、フザリウムは増殖できなかったということでしょう。
『食品工業技術センターに確認した所、豆乳に含まれているアントシアニンが溶出したものではないかと意見を頂きました。(アントシアニンはブルーベリーやワインに含まれているいわゆるポリフェノールと呼ばれる栄養素です。)通常のヨーグルトと同じようにおかしな臭いが無いことを確認して、お召し上がり頂いても大丈夫です。』とのコメントがあります。
真偽のほどを確かめるために、培養してみればよかったですね。
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