いきいき!エバーグリーンラブ: 運動すればボケを防げる!

2015年8月21日金曜日

運動すればボケを防げる!

いつまでも健康で楽しく人生を送ることを目指して、エバーグリーン研究室は活動していますが、健康でいることの最終目標は、元気ボケずに老年期を過ごして穏やかな最後を迎えることにあると思います。

知り合いの医師たちは、ほとんどの患者さんが、
「自分は重い病気にならない」
「自分はがんにはならない」
と思っていると口を揃えていいます。
みな病気の怖さはなんとなく知っていても、自分は例外と思いがちなのです。

生活習慣を改善すれば、認知症にならない

不健康な生活習慣が原因になることが多い高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病や、喫煙による肺疾患、アルコール過飲による肝臓・膵臓疾患、がん、など、日本の人口が高齢化すればするほど、病気になる確率は高くなります。
やはり、避けられる病気は、できる限り生活習慣を改善して、回避することが大切です。

運動, 運動不足, 有酸素運動, 認知症, 筋トレ, 筋肉, 認知機能,
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症、730万人!
認知症の原因はまだよくわかっていませんが、高血圧や糖尿病の患者さんに認知症が多いことがわかっていますし、脳卒中を起こした人は認知症になりやすいこともわかっています。
つまり、生活習慣の改善で、認知症も防げるということです。

自分だけは認知症にはならない、と思っていませんか?

図を見てください。

あと10年後にはなんと65歳以上の5人に1人が認知症という予測されているのです。
私もあと約15年で65歳になりますので、とても他人事ではありません。

では、どうすればよいのでしょうか?

そのヒントとなる研究結果が報告されましたので、ご紹介しますね。

運動は高齢者の認知機能(脳機能)を良くする


Eric D. Vidoni et al. Dose-Response of Aerobic Exercise on Cognition: A Community-Based, Pilot Randomized Controlled Trial. PLoS ONE 10(7): e0131647. doi:10.1371/ journal.pone.0131647


【研究の方法】
  • 認知機能に問題のない65歳以上の101人の高齢者をコンピューターソフトで、下記の4つのグループにランダム(無作為)に分けた。
  1. 特別に運動をしないグループ
  2. 中等度の運動を週あたり150分程度行うグループ
  3. 中等度の運動を週あたり75分程度行うグループ
  4. 中等度の運動を週あたり225分程度行うグループ
  • 研究の開始時に参加者の心肺機能と脳機能をテストして測定した。
  • 研究参加者は26週間、それぞれのグループの運動を続けた。
  • 研究参加者は研究の終了時にも同じテストをして、それぞれの成績を比較した。
  • 脳機能は言語の記憶、視覚空間認知機能、注意力・集中力、問題への柔軟性・対応力、論理力・推察力の脳機能についてテストした。

【研究の結果】
  • 中等度の運動を行う2、3、4のどのグループでも、程度の差はあるが、脳機能が改善した。
  • なかでも、特に4の週あたり225分運動行うグループは、視覚空間認知機能の成績が良くなった。この機能は、物体がどこにあるかを理解し、そこまでの距離などの見当をつける能力。
  • 注意力・集中力も2、3、4のどのグループでも改善していた。         

【研究から考えられること】
  • 脳の機能は、運動量が多いほど改善する傾向があった。
  • しかし、単純に運動量を増やすため運動時間を長くすればいいのではなく、運動時間よりも運動の強度のほうが大切である可能性がある。
  • 運動に慣れてきて、以前の運動の強度が楽に感じるようなら、ダンベルを重くするなど運動の強さをだんだん上げていかないと、脳機能の改善には効果が発揮されないと考えられた。

いかがでしょう?

運動で脳機能が改善するなんて、とても心強いですね。
認知症を予防するには、運動は欠かせないようです。

運動のステップアップが脳の快感に

筋トレをしているとわかりますが、たとえばダンベルの重さを慣れに従って少しずつ重くしていかないと、筋肉は付いてきません
また、骨折などで動けない期間など、身体の機能を使わない期間があると、筋肉をはじめとして、体の機能はどんどん落ちていきます。

⇒筋肉を保つためにはどの程度の運動が必要か
⇒筋肉を維持するにはどうすれば良いか

身体の機能を使わない期間が長い寝たきりの患者さんなどでは、廃用症候群といって(生活不活発病ともいいます)、筋肉が大幅に落ちて、床ずれがでてきたりして、身体の機能がどんどん落ちていくのですが、身体の機能だけでなく、精神的な機能も落ちることが知られています。

運動と脳機能の関係もきっと同じですね。

運動を始めて、慣れてきたころに、さらに強さを上げて運動することで、目標を達成した快感を繰り返し得ることができます。
これが脳にとって刺激になるのでしょう。
刺激を受け続けることが、脳の機能を維持するカギなのでしょうね。

身体の運動や、脳の運動も続けて、その強度を上げていくことは、言い換えれば、チャレンジし続けることです。



 重い植木鉢を力いっぱい押しのけて障害物を乗り越え、達成感に浸る 
エバーグリーン研究室所属リクガメ うらら研究員(愛称:うらちゃん)
カメにも運動は欠かせない。リクガメの空間認知機能は優れている。



こうすることで、我々は歳をとっても常に新たな目標を得ます。
理想の体型に一歩ずつ近づく。
素敵なことです。
目標に向かって、ささやかにでも努力を続ければ、体はそれに応えて機能を維持してくれるようです。

また、慣れてくれば、運動の後の爽快感は格別です。
この爽快感は、運動により脳の報酬系が活性化されドパミンが分泌されるためです。
報酬系は、目標を定め、努力して、それを達成することで活性化されます。
この達成感は、アスリートはみな経験しています。

運動を習慣化すれば目標ができて、ストレスを解消でき、かつボケ防止にも役立つ。

もう運動しない手はありませんね。

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