いきいき!エバーグリーンラブ

2017年12月23日土曜日

薬を飲む前に減量しよう!

生活習慣病は、40歳代後半から50歳代の中年期~高齢初期に発病・診断されることが多いですね。

皆さんご承知の通り、生活習慣病の危険因子=リスクファクターの指標としては、体重(腹囲)増加、血糖値・血圧・血中の脂質の上昇が知られています。


高血圧や糖尿病にならない簡単な方法

定期健診で、これらの上昇や上昇傾向を指摘されるようになるのが、中年期~高齢初期の場合が多いのです。
急に過体重や肥満にはなりません。
若い時からの生活習慣が集積して、特に、運動不足と過食過飲によって少しずつ太っていきます。
それが悪い実を結ぶのが中年期~高齢初期で、体重以外のリスクファクターである血糖値・血圧・血中の脂質も正常上限を超えてくるのです。

もしもあなたが、血圧や血糖値が上がり始め、高血圧や2型糖尿病を発病する境界であることを定期健診などで指摘されたら、ぜひ体重計に乗って、体重とBMIを測る習慣をつけてください。

過体重や肥満になると、全身の脂肪組織が慢性的に炎症をしている状態になり、糖尿病だけでなく、がんや動脈硬化など万病のもとです。
⇒脂肪細胞はパンパンに膨らみ、増えて、炎症!
たとえ適正体重には至らなくても、太っている状態から減量できれば、これらの病気にならないようにできるのです。

今日は、減量で2型糖尿病から薬を使わずに離脱できた、という研究を紹介し、過体重や肥満から減量することの大切さを考えてみたいと思います。

減量すれば、薬なしで2型糖尿病の治療が可能


【研究の目的】

2型糖尿病は発症すると生涯治療が必要な慢性疾患である。
一般診療所などでの指導による集中的な減量で、2型糖尿病が寛解(2型糖尿病の診断基準以下に維持)できるか否かを評価した。

【研究方法】

●実施場所はスコットランド、 イギリス・タインサイド地方の一般診療所など9ヶ所。

●被検者をコンピュータで作成したリストにより、減量管理プログラム(介入グループ)とガイドラインに基づく治療(対照グループ)の2つの群に1:1にランダムに割り付けた。

●研究実施場所(タインサイド、スコットランド)と、被験者のリストのサイズ(5,700超とそれ以下)により層別化した。

●被検者、ケア担当者、アウトカムデータ収集研究アシスタントは、被験者がいずれの群に割り付けられたかを知り得たが、これらの割り付けは研究結果を解析する者には知らされなかった。

●研究開始前の6年間に2型糖尿病と診断された20~65歳の、BMIが 27~45、インスリン未使用の患者を登録した。

●介入グループは、抗糖尿病薬と降圧薬を使用中止し、825~853 kcal/日の半消化態栄養剤で3~5ヶ月間食事をとり、その後2~8週間で段階的に普通食を再開する長期的な減量プログラムを実行した。

●15kg以上の減量ができたか、糖尿病の寛解としてHbA1c<6.5%を維持できたかを評価した。

【研究の結果】

●2014年7月25日から2017年8月5日まで306人の被験者が研究に参加し、介入グループ157人、対照グループ149人に割り付けられた。

●12ヶ月時点で介入グループでは68人(46%)が糖尿病の寛解を達成し、対照グループでは6人(4%)が糖尿病の寛解を達成した。

●12ヶ月時点で15kg以上の減量 が成功したのは介入グループでは36人(24%)、対照グループでは0人 で統計学的に意味のある差だった(p< 0.0001)。

●糖尿病の寛解の成功は、体重増加した76名では0、0~5kgの減量で6/89人(7%)、5~10kgの減量では19/56人(34%)、10~15kgの減量で16/28人(57%)、15kg以上の減量では31/36人(86%)と減量の度合いが大きいほど糖尿病の寛解の成功率は高まった。

●介入グループでは 減量の平均は10.0kg(標準偏差 8.0)、対照グループでは 1.0kg(標準偏差3.7)だった。(群間補正差 -8.8 kg、95%信頼区間 -10.3 〜 -7.3 で統計学的に有意 p< 0.001)

●生活の質(QOL)を EuroQol 5 Dimensions visual analogue scaleで評価したところ、介入グループ では、試験開始時に比べて7.2ポイント(標準偏差21.3)改善、対照グループでは -2.9ポイントと (標準偏差15.5)悪化していた。
(群間補正差 6.4、95%信頼区間2.5〜10.3で統計学的に有意 p=0.0012)

●研究実施中、重大な有害な副作用は、介入グループで 7件/157人 (4%)、 対照グループ で2件/149人 (1%)に見られた。そのうち胆道疝痛、腹痛が同じ被検者で起こり、介入に関連した副作用である可能性があると見なされた。

●研究終了後に重大な副作用は起こらなかった。

【結論】

研究実施後12ヶ月時点で、被検者の半数が非糖尿病状態へ寛解し、抗糖尿病薬の使用を終了できた。
このような2型糖尿病の寛解が、(患者と)一般診療所などの目標である。
 
いかがでしょう?

糖尿病の方も、その予備軍の方も、減量をすれば、薬なしで、糖尿病から離脱できるのです。

15%の減量で糖尿病から離脱

この研究で注目すべきなのは、15kg以上の減量で86%が糖尿病から離脱できたということです。
研究参加者の研究開始時点での体重が平均約100kgだったことから、おおよそ15%の減量に成功すればよいということになります。
仮に、BMIの値が大きい肥満の方でも、15%の減量を頑張れば、病気を遠ざけることができるのです。
例えば体重80kgの人は、12kgの減量、つまり68kgを目指して実現すればよいのです。
決して実現できない目標ではありませんね。
実際、「若いころはそのくらいの体重だった」と思う人も多いはずです。

いきなり15%の減量は無理!!って思う人も多いでしょう。
でも、この研究では、10~15kgの減量でも57%もの人が糖尿病から離脱できています。
15%の減量に届かなくても、ある程度の効果が得られると考えられます。
確かにダイエットは難しいので、いきなり15%体重を落とすことを目標にするのではなく、リバウンドしないような着実な減量を時間をかけて行うことでも、十分効果は期待できます。
諦めずにじっくり取り組みましょう。
⇒”週末にまとめて運動”でも死亡率は下がる!

ガイドラインにしたがって薬を飲んでいるだけでは、糖尿病は治りません。
生活習慣を変えて、太っている場合は減量しなければ、いくら薬を飲んでも、血液透析や神経障害、認知症へと進んでいきます。
薬を飲む前にやるべきことがあることが分かりますね。
糖尿病ガイドライン 糖尿病治療薬はやめられる
糖尿病で血液透析や神経障害になりたくなければ、まず運動療法・食事療法が勧められる。ガイドラインに従った薬物療法だけではダメ

糖尿病治療で優先すべきなのは服薬ではない!

生活習慣病の薬は、あくまでも減量など生活習慣の改善の補助的な選択肢に過ぎません。
現在の生活習慣病の薬では、生活習慣病の進行を少しは遅らせることはできても、元の健康な身体に戻すことはできません。

薬を使わずに寛解(病気からの離脱)を目指すことが正しい治療目標です。
健診で検査値に問題を指摘されたからといって、病院でいきなり薬を処方してもらうのは考え直さなければなりませんね。

この研究からも明らかなように、糖尿病の薬や降圧薬など、生活習慣病の薬は、1度飲み始めたら止められないというのは間違いです。
医師や薬剤師などの医療従事者や、製薬企業の従業員の中には、「生活習慣病の薬は一生飲まなければならない」という科学的に誤った指導・情報提供をする方もいますが、そのような医療機関や薬は受診・使用しないほうが身のためです。
患者も医療従事者も、「薬を飲んでいれば大丈夫」という誤った認識を改めなければなりません。

この研究のように、良識のある病院・医院は、生活習慣病の治療では、いきなり薬を処方せずに、先ずは食事療法や運動療法を指導してくれるはずです。
生活習慣病予備軍の方は、是非、まずこの方法を選んでください。

運動・糖尿病については以下のコンテンツもどうぞ

運動
老化を遅らせる運動法は?

糖尿病

2017年12月6日水曜日

18年のフォローでHRTの安全性を検証

HRTには非常に多くの有用な作用があり、閉経期以降の女性はHRTなしに寿命まで生活を楽しむことはほとんど不可能だと思われます。

HRTについては、こちらをご覧ください。
女性の人生は女性ホルモン次第
更年期を過ぎても元気な秘訣
精巧!女性ホルモン調節システム
女性ホルモンはこうして作られる
ホルモンの非常事態が更年期症状に!
HRTは乳がんの原因になる??
HRTで使われる薬剤~エストロゲン製剤
HRTで使われる薬剤~プロゲスチン製剤
にもかかわらず、日本ではちっともHRTが普及しません。
その理由は、たいへんな副作用があると思われているからでしょう。

特に乳がんに関しては、医師から「HRTを行うときには、必ず毎年乳がんの検査をしてください」と言われるので、そんなに危ないのかしら?と思ってしまうのですね。
さて、HRTを継続するに当たって、毎年の乳がんの検査は必要でしょうか?

18年間の追跡試験の結果

このように言われるようになった根拠に、2002年に発表されたThe Women's Health Initiative(WHI)というアメリカで行われた大規模臨床試験で、HRTを行うことで乳がんが増える可能性があるという結果が報告されたことがあります。

詳細はこちらをご覧ください。
HRTは乳がんの原因になる??

2017年に、同じWHI試験において、新たに18年間の観察期間でのデータが報告されました。
HRTとして結合型エストロゲン(プレマリン®)を単独で約8年間投与した後、合計18年間にわたり継続してフォローした成績です。
18年間の死亡例について、死亡率がエストロゲンの投与によって 増えるかどうかを、死因別に検討しました。


【試験期間】
登録期間は1993~1998年。累積追跡期間は18年。

【対象】
10,739例。登録時50~79歳(平均63.3歳)。子宮を有する閉経後女性。

【方法】
結合型エストロゲン(プレマリン®)0.625mg投与群(5,310例)、あるいはプラセボ群(5,429例)にランダム化。
結合型エストロゲンは平均約8年間、約4%の人は観察期間中も含め約18年間継続して使用していました。

【結果】
主な結果は下の絵の通りです。
HRTを行った群と行わなかった群で、
  • 総ての原因での死亡率(総死亡)に差はなかった。
  • 心血管系の疾患での死亡にも差はなかった。
  • 総てのがんでの死亡率に差はなかった。
  • 乳がんとアルツハイマー型認知症による死亡は統計学的に有意に低下していた。

エストロゲン エストラジオールと乳がん、アルツハイマー型認知症、心血管疾患、冠動脈疾患のかんけい

グラフはHRTを行ったことで各疾患での死亡リスクが増えたか、減ったかをハザード比(ハザード比±調整95%信頼区間)で示しています。
●がハザード比、●についている横線の長さがデータのばらつきの大きさを示します。
ハザード比について説明するのはたいへんなので、グラフの見方のポイントだけ理解してください。

グラフの読み方のポイント
  1. ●が1.0より小さい値(左側)の疾患はHRTで減少したこと、1.0より大きい値(右側)の疾患はHRTで増加したことを示している。
  2. ●についた横線が1.0のラインをまたいでいない場合、『統計学的に有意(意味がある)』と考えられる。
  3. ●についた横線の長さが長い場合は、●の値から離れているデータがたくさん含まれていることを示している。
その結果、乳がんとアルツハイマー型認知症による死亡が有意に減少しました。
大腸がんのリスクは増えていますが、ばらつきが大きく 有意ではありません。

乳がんのリスクはHRTで減少する

つまり、HRTは行わないより行った方が、乳がんによる死亡リスクもアルツハイマー型認知症による死亡リスクも少なくなると考えられます。
 これまで言われていた「乳がんが増える」という説とは反対の結果でした。

この研究結果から、日本でもHRTが普及するといいですね。
もし、未だにHRTでがんが増えるという医療関係者がいたら、ぜひこの研究を紹介してあげてください。
この研究報告を知らないとしたら、その医療関係者はちょっと勉強不足かも…。

「HRTの継続に乳がんの検査は必要か?」という質問に答えるとすれば、
「乳がんで死亡したくなければ、HRTを行っても行わなくても(むしろHRTを行わない人こそ)、乳がん検診を受けたほうがよい」
 ということになります。

2017年11月10日金曜日

朝食を食べないと動脈硬化になる!?

皆さんおはようございます。
朝からもりもり、食事が美味しいですか?

今日は、朝食を抜く人では動脈硬化になりやすくなるという研究を紹介しながら、生活習慣と健康について考えてみたいと思います。


動脈硬化と朝食の関係

The Importance of Breakfast in Atherosclerosis Disease: Insights From the PESA Study.

【研究の目的】
朝食の摂食パターンと、心筋梗塞・脳卒中の原因となる動脈硬化の関係を調べる。

【研究の参加者】
40~54歳で、研究開始時に心臓や脳など血管が原因の疾患がないスペインのマドリードにある国際的な銀行の本社の人々4,052人

【研究の方法】
参加者から聞き取り調査をして、以下の①~③のグループに分類した。

①高カロリー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量(kcal)の20%超の割合を占めていた(全体の27%が該当)
②低カロリー朝食:朝食が1日の総エネルギー摂取量(kcal)の5~20%の割合を占めていた(全体の70%が該当)
③朝食抜き:朝食が1日の総エネルギー摂取量(kcal)の5%未満の割合を占めていた(全体の3%が該当)

そのうえで、首の動脈(両側頸動脈)、下腹部の腎臓のあたりの大きな動脈(腎動脈下腹部大動脈)、太ももの動脈(両側大腿動脈)などについて、血管の中の様子を超音波で解析する画像診断法などで、血管の内側の壁に瘤(小さなコブ、 プラーク)がないかを調べた。

【研究の結果】
③の朝食抜きグループは①の高カロリー朝食グループに比べて、
・下腹部の腎臓のあたりの大きな動脈で1.79倍
・首の動脈で1.76倍
・太ももの動脈で1.72倍
血管の内側の壁に瘤を見つけやすく、動脈硬化になりやすいと考えられた。

また、全身の血管が動脈硬化になっている可能性も2.57倍高かった。
他にも、心臓に栄養を運ぶ動脈(冠動脈)が固くなる現象である石灰化も③の朝食抜きグループで多かった。

これらの傾向は、動脈硬化の危険因子である、年齢、ウエストサイズ(ウエスト周囲径)、喫煙、糖尿病の有無とは関係なく認められた。
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朝食の摂食パターンと動脈硬化の関係



【研究のから考えられること】
研究者たちは、朝食を抜くことは、不健康な生活習慣の指標のようなもので、朝食を抜くようなライフスタイルが、巡り巡って動脈硬化を進展させてしまうのであろう、と述べています。

朝に食欲がないことは怖い

いかがですか。
この研究は単に朝食を抜くことが健康に悪く動脈硬化になるということを証明しているのではありません。
研究者たちのコメントのように、おそらく、朝食を抜くようなライフスタイル全般が、不健康でその結果、動脈硬化になる、と考えるほうが自然です。

では、朝食を抜くようなライフスタイルについて考えてみましょう。

残業続きで、夕食を夜遅く外食などで済ませていれば、翌朝の食欲がないのは当たり前ですね。
晩酌の範囲を超えて、寝る前まで飲酒をすれば、二日酔いにならなくても、お酒によるカロリーオーバーと、胃や膵臓・肝臓の疲れで、翌朝の食欲がないのも頷けます。

上の研究でも、動脈硬化になりやすいのは、図のように、③の朝食抜き、②の低カロリーの朝食、①の高カロリーの朝食の順でした。
このことは、朝に食欲がなければないほど、動脈硬化になりやすい、と読み替えられます。

不健康なライフスタイル=自律神経の乱れ

朝に食欲ないとはどういうことかを生理学的に考えてみましょう。

ここでは、身体がリラックスしているときに働く副交感神経と、興奮したり、活動的になっているときに働く交感神経の働きがカギになります。
交感神経も副交感神経も、ヒトの意思とは関係なく体をコントロールしている神経で、両方を合わせて自律神経と呼ばれます。


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自律神経の働き

人間の1日のリズムでは、夜~就寝中~朝は本来リラックスする神経の副交感神経の支配になるのですが、寝不足や睡眠障害があると、就寝中も副交感神経の支配にならず、興奮の神経の交感神経の支配になってしまいます。

朝食を抜くということは=朝食を食べたくない、ということです。
朝に食欲がないということは、朝に交感神経支配になっていることが考えられます。
交感神経支配になると食欲を感じないのです。
人間の1日の正常なリズムでは、夜~就寝中~朝までは、副交感神経支配であることが自然です。
副交感神経支配では、食欲もわくし、消化・吸収も進むし、排便・排尿も進みます。

朝起きてしばらくすると、喉が渇いて、おしっこに行きたくなり、お腹がすき、食後には大便通があるのが本来のリズムです。

実は、便秘の原因の大半は、多忙なライフスタイルでの夜遅くの食事・寝不足・睡眠障害による交感神経・副交感神経、つまり自律神経支配の乱れです。
女性で、OL時代にはひどい便秘だったのに、結婚して、規則正しい生活になったらいつの間にか下剤はいらなくなったという人は多いのです。
交感神経は消化管を麻痺させる作用があります。

おそらく、朝食を食べない人の朝起きぬけの血圧は、特に高く、高血圧の人も多いと思われます。
交感神経は血圧を上げる作用があります。

高血圧気味の人は、喫煙や、過剰な飲酒や、睡眠障害などによる自律神経の乱れで、夜~就寝中~朝からずっと1日中交感神経支配になってしまっていることが1つの大きな原因でしょう。
実は動脈硬化と高血圧は鶏と卵の関係のように互いにリスク因子です。

実際に、いびきをかく人で、睡眠障害があり、高血圧で薬を飲んでも血圧が下がらない人が、就寝中に鼻に装着したマスクから空気を送りこむ治療(CPAP「シーパップ」と言います)で睡眠障害を改善すると、血圧がスーッと下がり、降圧薬が不要になることも多いのです。

リラックスするには副交感神経が働く必要があります。
リラックスのために無意識に深呼吸することがありますよね。
あれは、十分な酸素を取り込むことで副交感神経が働けるようにしているのです。
睡眠中に十分な酸素を送り込むと、交感神経の緊張がなくなり副交感神経が働くことからよく眠れるようになります。

このほかにも、ストレスが多いと交感神経支配になりがちです。
ストレスが多い仕事や、多忙、気晴らしのない生活や、喫煙、不規則な食事と暴飲暴食(食べ過ぎ・飲み過ぎ、夜中に飲食する)、慢性的な運動不足は自律神経の乱れを招きます。

朝食を食べることが大切なのではない

このように、朝食を抜いたか食べたかではなく、不健康なライフスタイルやストレスの多い生活が原因で、朝に食欲がわかないことが問題と考えるのが論理的です。

よく考えてみてください。
夕食から朝食までは8時間以上間隔があいているのが普通でしょう。
なのに、お腹が減らないというのはとても不自然で不健康な感じがしませんか?

不健康なライフスタイルは、実は自律神経の乱れを招くことが最もいけないことで、食欲も、便通も、血圧も、睡眠も、その他、生物が無意識に規則正しく行っている生活のリズムと恒常性をかき乱してしまうのです。

上記の研究は、朝食を食べたくないようなライフスタイルが、実は動脈硬化だけでなく、万病のもとであることを示してくれていると考えられます。

科学研究は正しく読み解こう

最後に、このような科学研究の読み解き方が大切です。
上記の研究を、「やっぱり朝食を抜くことは健康に悪い」とか「動脈硬化にならないように朝食を食べよう」などと解釈するのはあまりにも一面的です。
「朝に食欲が湧くような健康なライフスタイルにしよう」という解釈が妥当でしょう。

一般メディアはもとより、医療や健康の専門家や、医療・健康関係のメディア等でも、科学研究をきちんと読み解かずに、表面的で一面的だったり、偏向した解釈をしているものが多いようです。
メディアは記事や番組にしたときに、話題になりそうな、キャッチーでセンセーショナルな解釈をすることが問題ですし、専門家は、自分の専門分野での見方に偏りがちなことを忘れてはなりません。
情報は吟味して、正しく解釈したいものです。

2017年9月11日月曜日

レシピ*しそ茶

ベランダの植木鉢で大量の紫蘇(シソ)が育ったので、乾燥させてしそ茶を作りました。

想像以上に美味しくいただけたので、ご紹介します。

もちろん、糖質もカフェインも含まれません。




 【作り方】
  1. 紫蘇の葉を1週間程度、乾燥させる
  2. 1Lのお湯を沸かし、3gの紫蘇の葉を入れて火を止める
  3. 冷めてきたら紫蘇の葉をを取り出して、お茶を容器に移す
  4. 冷蔵庫で冷やす

乾燥させるときは、枝ごと室内の風通しの良いところにつるしても良いし、布巾などの上に広げておいても良いです。

乾燥した紫蘇の葉は、密閉容器に入れておけば、1年を通してしそ茶が飲めます。

お茶は熱いまま飲んでもでも良いです。
個人的には冷やした方が美味しいような気がします。

紫蘇の効能

紫蘇は漢方薬でもよく使われます。
次のような作用があります。
  • 鎮静作用
  • 免疫を高める作用
  • 抗アレルギー作用
  • 胃腸を整える作用
  • 抗菌作用
漢方では、紫蘇はお年寄りにも使える比較的作用が穏やかな処方に使われています。
鎮静作用があり、カフェインが含まれないので、夜、よく眠れないようなお年寄りには最適でしょう。

紫蘇の成分

紫蘇は野菜の中でもβカロチンが突出して豊富です。
βカロチン以外のビタミンとしては、ビタミンK、葉酸などが多く、野菜には珍しくビタミンB群も含まれています。

紫蘇油はαリノレン酸が多い良質な油です。
煮出したときに脂分がどのくらい抽出されるかは疑問ですが、抗アレルギー作用はαリノレン酸によるものと思われるので、多少は抽出されるのでしょう。

ミネラル成分としては、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などが多く含まれます。

紫蘇の最大の魅力はベランダで簡単に栽培できること。
我が家のベランダは、東向きなので朝日しか当たりませんが、少々、肥料をあげたら、今年は大きな株に育ちました。

2017年8月30日水曜日

HRTで使われる薬剤~プロゲスチン製剤

プロゲステロン受容体に作用するホルモンをプロゲステロン(黄体ホルモン)といい、合成したプロゲステロン様作用を示す物質をプロゲスチンと呼びます。


プロゲスチンの使い方
更年期障害のHRTでは、1か月に約10日間、エストラジオールにプロゲスチンを併用することをお勧めします。

プロゲスチンの量や併用期間は、年齢や状況に応じて調整します。
60歳くらい以降の方には、エストロゲンとしてエストリオールが勧められますが、この場合も6か月~1年に1度の間隔でプロゲスチンを併用します。

エストロゲンとプロゲスチンを併用したあと休薬すると、月経のように子宮内膜の脱落(出血)が起きます。

人によっては、エストロゲンだけや、エストロゲンとプロゲスチンの併用中に出血が見られる場合もありますが、継続するうちに 落ち着くことが多いようです。

高齢になると出血は少なくなります。
高齢になってからHRTを始めた方では出血が起こらない場合も多いようです。

プロゲスチン製剤を併用する目的

「更年期になってせっかく生理がなくなったのに、出血は面倒」と思われるかもしれませんが、子宮内膜を脱落させ子宮内膜が肥厚しすぎないようにすることでがん化を防ぐことができます。
とても大事なことなので、HRTは、面倒がらずにしっかりスケジュール管理して行うようにしましょう。

エストリオールは、エストラジオールに比べると1/100~1/10の活性ですが、それでも使い続けると子宮内膜は厚くなってくるので、念のため、6か月~1年に1度はプロゲスチンを併用することをお勧めします。

プロゲスチンを併用しない場合でも、何か月もエストラジオールを使い続けると、厚くなった子宮内膜から出血することがあります。
エストリオールでも、稀に出血がみられます。

子宮を摘出してしまった女性は子宮内膜がんにはならないので、プロゲスチンは必要ありません。


プロゲスチン製剤開発の歴史

プロゲステロンはエスラジオールと同様に、経口投与すると肝臓で代謝されてしまい血液中に届かせることができません。
ですから、体内のプロゲステロンと同じ物質を経皮投与できれば理想的ですが、残念ながらプロゲステロンの経皮製剤は日本では発売されていません。
プロゲステロンは製剤化しても薬価が安く需要が少ないため、製薬会社が開発しないのですね。

そこで、プロゲステロンと同じ受容体に作用して化学構造が類似であるプロゲスチンの経口薬を使います。

プロゲスチン製剤もエストロゲン製剤と同じように、当初は、強力な子宮内膜の肥厚促進作用や妊娠維持作用を持つ薬剤が、月経異常の治療や妊娠維持を目的に開発されました。
これらの薬剤は若干の男性ホルモン様作用も持っており、ニキビ、多毛症、肥満、性欲亢進、男性化症状や、脂質代謝や糖代謝に悪い影響を及ぼすなどの副作用が見られました。

ジドロゲステロン(製品名:デユファストン)は男性ホルモン様作用、排卵抑制作用を持たないプロゲスチンで、1964年に製造販売承認を取得しました。
プロゲステロンの立体異性体(分子構造は同じで空間配置が異なる化合物)で、子宮内膜に対してプロゲステロンと同じ分泌作用を持つことが確認されています。
デユファストンには排卵抑制作用がないので、不妊治療における黄体機能の補充や、妊娠を希望している女性の月経困難症、子宮内膜症、習慣性早流産にも用いられます。

一方、子宮内膜症の治療薬としてもプロゲスチン製剤が開発されました。

子宮内膜症は子宮の内側以外の場所に子宮内膜ができてしまう病気で、以前は、デュファストンなどのプロゲスチン製剤が使われてきましたが、十分な効果が得らませんでした。

現在では、ジエノゲスト(製品名:ディナゲスト、2008年発売)が男性ホルモン様作用を持たないプロゲスチン製剤として子宮内膜症に使われています。
ディナゲストは、プロゲステロンそのものよりも高いプロゲスチン活性を示します。

HRTに用いるプロゲスチン製剤には、そこまでの強さは必要ないこと、また、薬価がデュファストンの10倍以上と非常に高価なことから、ディナゲストをHRTに使用することはありません。


子宮内膜とエストロゲン、プロゲステロンの関係

子宮内膜が異常に分厚くなった(肥厚した)病態を子宮内膜増殖症といいます。
(先ほど紹介したディナゲストの適応となる”子宮内膜症”は、子宮の内側以外の場所に子宮内膜ができてしまう病気で、子宮内膜増殖症とは異なります。)

子宮内膜増殖症のなかでも、特に細胞に異型のあるタイプでは子宮体がんに発展する可能性が高くなります。

子宮内膜は、エストロゲンの作用で厚くなります。
更年期を過ぎれば本来は子宮内膜の肥厚は起こりませんが、HRTによるエストロゲンの投与で肥厚した場合、子宮内膜増殖症が発症して子宮体がんへ発展するリスクが高いとされています。
プロゲスチンは、この子宮内膜の肥厚を抑えるために使います。

HRTと子宮内膜の関係を理解するために、もう一度、月経周期と女性ホルモンの分泌の様子を見てみましょう。

子宮内膜は月経後に卵胞から分泌されるエストロゲンの作用で、増殖して厚くなります。
排卵後は卵胞が黄体となってプロゲステロンの分泌が増え、エストロゲンの作用を上回ります。
このプロゲステロンの作用により、子宮内膜は妊娠に適した状態に変化していきます。

ここで妊娠が成立しなければ(受精卵が子宮に着床しなければ)黄体は消失するので、黄体からのプロゲステロンの分泌は止まり、肥厚した子宮内膜は月経血となって脱落します。

HRTでエストロゲンのみを投与した場合、プロゲステロンによる子宮内膜の性状の変化が起こらないために子宮内膜が異常に肥厚すると考えられます。

月経周期のある場合でも、エストロゲンが過剰に分泌されたり、エストロゲンへの感受性が過剰だったりすると子宮内膜増殖症となります。

HRTに使われるプロゲスチン製剤

HRTでエストロゲンに併用するプロゲスチン製剤としては、ジドロゲステロン(製品名:デユファストン)が勧められます。
デュファストンは男性ホルモン様作用、排卵抑制作用を持たない経口のプロゲスチン製剤です。

プロゲステロンの立体異性体(2次元での分子構造は同じだけれど構成する元素の空間配置が異なる化合物)で、子宮内膜に対してプロゲステロンと同じ分泌作用を持つことが確認されています。
デユファストンには排卵抑制作用がないので、不妊治療における黄体機能の補充や、妊娠を希望している女性の月経困難症、子宮内膜症、習慣性早流産にも用いられます。

また、脂質代謝に影響を及ぼさず、 エストロゲンによる善玉コレステロール(HDL-コレステロール増加)や 悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)減少を妨げない、他の黄体ホルモン製剤に比べてインスリン抵抗性を改善するなどの効果が確認されています。
Mueck AO, Seeger H, Buhling KJ.: Use of dydrogesterone in hormone replacement therapy. Maturitas. 2009; 65 Suppl 1: S51-60 

HRTに使われるエストラジオール+プロゲスチン製剤

エストロゲンとプロゲスチンの両方が含まれる製剤は、避妊を目的としたピル、低用量ピルや、月経異常などの治療薬として、多くの種類が作られています。
そのなかで、エストロゲンとしてエストラジオールを配合し、プロゲスチンの用量を低く抑えた製剤が、更年期以降の女性の骨粗鬆症や更年期障害の治療を目的として開発されました。

日本では2009年に2剤発売され、HRTに用いられています。

エストロゲンとして配合されているのは、どちらの薬もエストラジオールです。

プロゲスチンとして配合されているのは、メノエイドコンビパッチでは酢酸ノルエチステロン、ウェールナラではレボノルゲストレルです。
いずれも、男性ホルモンの作用が認められます。

レボノルゲストレルはアンジュ、トリキュラーなどの低用量ピルにも配合されている成分ですが、ウェールナラでは低用量ピルに比べて低い用量が配合されています。

表に示した「保険が適応となる疾患」とは、メーカーが製造販売承認を取るときに国に申請した疾患名であって、この疾患にだけ効果が認められているというわけではありません。
したがって、骨粗鬆症にはウェールナラがメノエイドコンビパッチより効くけれど、更年期障害にはメノエイドコンビパッチの方が効く、ということはありません。

配合剤では、1錠中、あるいは1枚中にエストラジオールとプロゲスチンが一定量配合されているので(当然ですが)、はじめに紹介した”HRTの治療スケジュール”のように、プロゲスチンの併用期間を調整することはできません。

HRTの目的はエストロゲンの補充ですから、 プロゲスチンは必要最低限の使用にとどめるのがよいと思われます。
生理的に見ても、子宮内膜に対して常にプロゲスチンが働くのは不自然です。

したがって、これらの配合剤より、エストラジオール製剤とデユファストンの併用をお勧めします。

注意

  • HRT を行う際には、定期的に運動することをお勧めします。
  • HRT に用いる薬を入手するには、病院で医師に処方していただく必要があります。
  • 基礎疾患がある方などでは、HRTが行えない場合もあります。
  • HRT には注意すべき副作用があります。
  • HRT 実施にあたっては、婦人科を受診して、医師に相談してください。

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