今日は、脂肪細胞が脂肪を貯めるしくみについて見てみましょう。
本来、白色脂肪細胞は飢餓に備えるために、インスリンの指示を受けて、グルコースや脂肪分(脂肪酸)を脂肪として細胞内に貯えておくのが役割です。
下の絵を見てください。
脂肪組織の中に小さめなのと大きな脂肪細胞とがありますね。
脂肪をためて大きくなった脂肪細胞もあります。
脂肪組織の成熟脂肪細胞と肥大化脂肪細胞 |
脂肪細胞はエネルギー源の銀行
白色脂肪細胞はまず、前駆脂肪細胞という脂肪細胞の赤ちゃんが、脂肪を貯えていって脂肪滴を作り、成熟脂肪細胞になります。
貯える脂肪の原料は。脂肪酸とグリセリンやグルコース(ブドウ糖)です。
成熟脂肪細胞は、全身のエネルギー源の銀行のような役割を果たしています。
お金は脂肪酸。
つまり、栄養が余った時には脂肪にして貯えて、エネルギー源が必要な時に脂肪酸にして血液に放出する、つまりエネルギー源のお金である脂肪酸をおろして、ばらまくわけです。
下の絵は脂肪細胞での脂肪酸の出入りを描いています。
脂肪細胞での脂肪酸の出入りと中性脂肪脂肪酸サイクル |
上の絵のなかのオレンジの細い糸のような脂肪酸(遊離脂肪酸)とグリセリン(オレンジの3連玉)に注目してください。
グリセリンはグリセロールとも呼ばれます。
3つの脂肪酸が集まってグリセリンの3つの玉にくっついたものが中性脂肪です。
脂肪酸とグリセリンは脂肪細胞の細胞膜を自由に出入りできます。
でも、中性脂肪は大きいので脂肪細胞の細胞膜を通り抜けられません。
このような性質を利用して・・・つまり、脂肪酸とグリセリンを中性脂肪に変えたり、反対に中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに変えたりして、脂肪細胞はお金の出し入れをしています。
脂肪細胞がお金を貯えるとき
では、食事をしたときのお金の流れをみてみましょう。
炭水化物や糖類を含んだ食事をすると血糖値(血液中のグルコース濃度)があがりインスリン(紫の玉●)が出てきます。
インスリンは、脂肪細胞の細胞膜の近くにあるリポタンパクリパーゼ(緑の玉●)という酵素を活性化させます。
リポタンパクリパーゼには、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する働きがあります。
脂肪酸とグリセリンは脂肪細胞の中に入ることができるので、どんどん、脂肪細胞に取り込まれます。
脂肪細胞に取り込まれた脂肪酸とグリセリンは、脂肪細胞のなかで中性脂肪に変わります。
中性脂肪は細胞膜を通り抜けられないので、脂肪細胞に貯まります。
これが脂肪となり、やがて脂肪滴となります。
こうして、銀行にお金が貯えられるのです。
この過程をよくみると、グルコース(ブドウ糖)が入ってきたことがきっかけとなって、脂肪細胞に中性脂肪がたまることがわかりますね。
脂肪細胞がお金をばらまくとき
今度は、食事の間隔があいたり、運動したりしたときの様子を見てみましょう。
身体がエネルギー源を要求するときには、ノルアドレナリンやグルカゴンなどのホルモンが出てきて、脂肪細胞の中にあるホルモン感受性リパーゼ(ピンクの玉●)という酵素を働かせます。
ホルモン感受性リパーゼは中性脂肪を分解して、脂肪酸とグリセリンにします。
ばらばらになった脂肪酸とグリセリンがどうなるかは、もうお分かりですね。
これらは細胞の外に出て行って、血液に入り、エネルギー源として利用されるのです。
このように、中性脂肪と脂肪酸・グリセリンはサイクルを作って調整されているのです。
うまくできてますね。
脂肪細胞が貯えるのは中性脂肪だけでなく、グルコース(ブドウ糖)も細胞内で脂肪に組み替えて貯えます。
ここら辺はまたの機会に。
お金(エネルギー源)は循環しないと不景気に
こうして脂肪細胞はエネルギー源銀行として働いています。
摂取カロリーが多くなり、エネルギーが多く入ってきているのに運動不足でエネルギーを消費しないと、預金が増えすぎて、ローンでの金利でもうけられなくなります。
エネルギー源銀行の経営が悪くなってしまうのです。
経済と同じで、お金(エネルギー源)は循環しないと不景気になるのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿